バフデバフ   作:ボリビア

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お久しぶりです。
仕事が忙しく更新する気が起きなかったのです。
GWなので更新しました。
短くてすまない。


ハロウィン!

 10月31日、ハロウィン当日である渋谷にて突如帳が降りた。

 窓と補助員による調査の結果、帳は『一般人を閉じ込める事』に特化した帳であり、術師自体は問題なく出入りが可能である事、そして内部に閉じ込められた一般人は帳の縁へと向かい、散り散りに『五条悟と轟悟を連れてこい。』と叫びを上げた。

 高度な結界術と五条悟、轟悟を指名した事から上層部は今回の主犯が交流会を襲撃したグループと断定し、複数の特級呪霊による術師への被害を抑える為に五条悟及び轟悟両名での渋谷平定を命じたのである。 

 

「…で、俺達はどう動きます?

 好きに動いて良いって言われても方針位はくださいよ。」

 

 地下鉄へと続くビルの地下一階。

 鮨詰めになったハロウィンを楽しんでいたであろう一般人を見て改めて轟悟は憂鬱になった。

 一般人が巻き込まれた時点で呪術師側は既に敗北に近い状況であり、ここからどう巻き返そうとしても確実に世間が無視できないレベルでの死人が出る。

 圧倒的勝利を好む轟にとって敗北前提で動くという点が本人のやる気を下げていた。

 

(しかも、敵は確実に俺対策の罠を用意しているから、絶対に手こずるし最悪過ぎる。)

 

「このまま地下に降りるしかないでしょ。

 十中八九、僕らは分断されるだろうから、そっからマジで好きに動いて良いよ。」

 

 そんな轟のメンタルを無視して五条悟は地下へと進軍するために動きだし、轟もそれに続く。

 正面から敵の陣地に向かうのは自殺行為でしかないが、大勢の一般人を人質に取られた二人には敵が待ち構える地下に降りないという選択肢は無い。

 (轟個人としては、一般人の犠牲はしょうがないのでビル毎ぶっ壊そうと思ったが、無用な恐怖心を煽ってはいけないと五条悟に既に注意された。)

 数を頼ろうにも二人に並ぶ術師の内、一人は海外でもう一人は音信不通。

 残酷な事実として他の呪術師は二人が全力を出す場合、足手まといにしかならない。

 正面からの侵入は限られた手札にて最善の選択であった。

 五条悟は術式を用いて一般人と自分との間に無限を発生させて透明な道を進むように歩いていき、轟は強化された脚力で一般人を飛び越えて地下へと続く吹き抜けまで一息で跳ねていく。

 

「あれ?」

 

 先に呪霊達がいるであろうホームまで降りて瞬殺しようと考えていた轟は、一つ上のフロアで見えない壁に阻まれた。

 

「透明な帳、どうやらここでお別れみたいだね。」

 

「ですね。」

 

 後から降りてきた五条悟は帳があるであろう部分を触ると簡単にすり抜けた事から二人はこれが敵が分断する策であるという事に気付いた。

 

(物理的に壊そうにも余波で一般人が確実に死ぬよなこれ。

 大人しく誘いに乗るしか無いか。)

 

「じゃ、お互い頑張ろっか。」

 

 そう言って五条悟は地下鉄へと降りていき線路へと着地した瞬間、白い布のような物が吹き抜けを塞ぐように覆った。

 白い布のような物を観察すると、目や口のようなものが複数あり真人の改造人間である事は明白であった。

 こうして、五条悟と轟悟の二人は分断された。

 

(さて、敵はどう動くかな。)

 

 轟はこのまま自分が放置される事はあり得ないと考えていた。

 事実、今の状況で轟を放置して五条悟を封印したとして、万全の状態の轟悟がいる時点で呪術師と呪霊の勢力図はそこまでひっくり返す事は出来ないし、五条悟が封印という一般人が何人死んでも釣り合わない被害がでた時点で轟は被害を無視して全力で掃討及び五条悟の身柄奪還の為に動く。

 その場合、現時点での五条悟を封印した利点が完全に消える。

 

(チッ…空間の呪力が濃くて呪力での探知は不可能、それに加えて音波で探ろうにも一般人が多すぎて難しい。)

 

 轟悟の探索能力は術式で強化された鋭敏な感覚と演算による呪力と物理的な空間把握能力だが、前者はこの場が既に特級が放つ濃密な呪力と一般人から漏れだす呪力で満ちているため機能せず、物理的な空間把握も大量の一般人がノイズとなって建物の構造位しか把握出来ていない。

 

「面倒くさいから帳を割ろうにもご丁寧に、柱を跨いで帳降ろしやがって。」

 

 己と五条悟を分断する帳が建物の柱を遮って展開されてる為、物理的に帳を除去しようとすると余波で一般人が巻き込まれるだけでなく確実に建物が倒壊するようになっていたのだ。

 この環境全てが轟悟にとって不利に働いていた。

 

「な、なぁ、あんた、も、もしかして轟悟か?」

 

 状況を把握している轟に対して一般人から声がかかる。

 震えた声に轟が顔を向けると、轟の視界にゾンビが目に映る。

 

「だったら?」

 

「あ、あんたがきたら、あそこに、む、向かえって、い、言われた。」

 

 怯えるゾンビの指差す先は吹き抜けのあるエリアへと続く通路の一つ。

 明かりが消えており先が見えない。

 

(…異界化してるな。

 夏油傑の策か。)

 

 指差す通路に意識を向けた轟の知覚では既にあの通路は異界化している事が分かった。

 そして、いくら濃密な呪力で満ちてる空間とはいえ指摘され、意識しなければ分からないレベルの隠蔽と曰くも無い建物にこのレベルの異界を作り上げる技量に改めて警戒心を強める。

 

(銭ゲバみたいに、呪霊操術による呪霊に対する縛りの強制で作り上げたな。)

 

 銭ゲバもとい、一級呪術師である冥冥の術式烏操呪術はカラスを使役する術であり一般的にはハズレの術式であり、常識的に一級になることは不可能に近い。

 しかし冥冥は使役カラスに自死を強制させる事で、命を掛ける縛りで小動物であるカラスの呪力制限を超えた呪力出力を引き出して敵に特効させるバードストライクという技を持っている。

 この技は五条悟以外、直撃に耐えられた人間はいない。

 カラスへの自死でそれだけの威力を出せるのだ。

 力ある呪霊に縛りを設けさせた場合、どれだけの効果を発揮するのかは最早誰にも分からない。

 

「卓越した結界術と呪霊操術の組み合わせとか最高過ぎて最悪過ぎるだろ。

 きっちり焼いとけよ五条先生。」

 

 目の前の異界に対して思わず五条悟への愚痴が漏れてしまうのも仕方ない。

 

(にしても五条先生の言う通り、流れは向こう側か。) 

 

 話は四人が合流したハロウィンの10日前まで戻る。

 

『多分だけど、僕封印されるかも。』

 

 五条悟の言葉に全員が茶を吹いた。

 当日の大まかな動きを決める為に集まった伊地知、与幸吉、轟悟の全員が伊地知をパシって買いにいかせた茶を吹いたのだ。

 

『理由は?』

 

 いち早く復活した轟が問いかける。

 

『流れだね。

 今日までの一連の事件である程度戦力は削れたけど、指盗まれたりとか出し抜かれた事。

 それと現状、獄門疆から脱出する手段が無い事。

 他にも色々あるけど流れが僕ら側、というか僕に殆ど無い。』

 

『立場的にあれだけど、オカルト過ぎません?』

 

『いや、流れっていうのは結構大事だよ。

 特に弱い側が強い側を出し抜く場合だと特にね。』

 

『……つまり、五条悟という最強を出し抜こうという流れ自体に呪力が反応し、出し抜く側を後押ししようと働いていると。』

 

 ジャイアントキリング、強者を弱者が倒す展開というのは人間であれば誰もが一度は空想し、実現したものに称賛を与える。

 一件当たり前で素晴らしい事に思えるが、その根本的な感情は妬みだ。

 強者という存在を妬み敗北する事を望む、正に呪いそのものとも言える事象。

 善悪を抜きに考えて、五条悟という最強を出し抜くという事自体は確かにジャイアントキリングである。

 

『……。』

 

 あながち否定出来ない根拠に全員が沈黙する。

 

(結局、ハロウィンまで一般人の避難とか減らす事出来なかったしここまで完全に向こうの策だしなー。)

 

 轟悟は溜め息と共に異界へと足を進める。

 罠と知っていても多くの一般人を生かす為には呪術師として轟悟は向かわなければならない。

 若干猫背になりがら人波を掻き分けて異界の前に立つ。

 

(ま、ここで死んでも悔いは無いけど。)

 

 全身に反転術式による正の呪力を纏って異界へと足を踏み入れた、その瞬間。

 

「……!」

 

 濃密な呪力を伴った術式が轟の全身へと降り注ぐ。 

 

(向こうもかかったか…。)

 

 地下鉄のホームにて獄門疆と共に五条悟の到着を待っていた夏油傑は轟悟が異界に足を踏み入れた事を知覚した。

 

「さて、君の為だけにストックの大半を注ぎ込んだんだ。      

 せいぜい楽しむと良い。」

 

 

 

 

 

 

 

 




未完にした理由としては、連載中で希望を持たせるのは悲しいかなと思ったので。
後は現状だと原作が区切りつくまで多分完結しないなと思ったので。
しかし、GW等の暇な日は割りと書く気力が出てきたので不定期ですが更新しますがかなり遅くなると思います。
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