バフデバフ   作:ボリビア

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筆がのったけど書き直すかもしれません。


最強と最凶

 七海を届けた後、轟は渋谷を見下ろしていた。 

 

「ラッキー、火山頭と宿儺が居るじゃん。

 建物の中だけど一般人は居ないから良いよね?」

 

 轟の左目には宿儺の呪力と漏瑚の呪力そして二人の呪詛師らしき呪力を捉えていた。

 轟の言葉に反応するように左目が疼き、呪力が轟へと流れていく。

 

(前方に『順転』、後方に『反転』で人間パチンコ完成っと。)

 

 前方の空間を収縮させ、後方の空間を拡散させる事で轟の体は一瞬で建物を穿って目標まで届いた。

 

「やあ、寄生虫。

 さっさと宿主の中に戻りなよ。」

 

「ほう、ここまで化けたか。」

 

 轟が降り立ったのは宿儺と漏瑚の間。

 漏瑚と呪詛師である二人の少女は突然の出現に目を見開き、顕現した宿儺は轟の状態を見て笑みを浮かべた。

 

「あっ、先に『こっち』かな。」

 

「!?」

 

 轟が此方をチラリと振り向き目線があった瞬間、漏瑚は本能的に逃走を選択し跳躍をする前に体が弾け飛んだ。

 

(何だ?

 何が起こった?

 それよりも、何だコイツは?)

 

 頭一つで宙を舞いながら漏瑚は考えた。

 己の体が何故弾けたのかよりも、自分と目があった怪物について考えた。

 目を見た瞬間に己の死を理解した。

 五条悟は封印され、呪霊の時代がやってくる筈だった。

 

(なのに何なのだこれは!?

 そもそも轟悟はまだ結界内の筈!

 話が違うぞ!!) 

 

 五条悟には獄門匣を使い永久の封印を施し、轟悟に対してはこの日限定の封印が施してある筈だった。

 実際にどちらも成功したからこそ彼等は動いたのだ。

 だが目の前には轟悟と五条悟を掛け合せたかの様な怪物がいる。

 話が違うどころの騒ぎではない、作戦実行前の方がマシではないかと錯覚するほどの状態である。

 轟悟は現状、六眼の侵食を抑える為に魂の術式強化を防御や耐久に振っておりその肉体の破壊は困難を極め、その身体能力は通常の天与呪縛の比にならないスペックでありそれだけで特級を圧倒する事が出来る。

 その上で五条悟の術式、無下限術式と六眼を持ち合わせているのだ。

 機動性、防御性、攻撃性どれをとっても渋谷で並ぶものは一人も居ない。

 

(どうする!?

 …いや、無理だ。

 …儂はここでどうあがいても死ぬ。

 すまぬ、真人、花御、陀艮…!

 しかし、一矢報いさせてもらうぞ!!)

 

 漏瑚の頭が赤く輝く。

 命を掛けて爪痕を残そうと己の全てを持ってこの場を消し飛ばさんと呪力を滾らせる。

 それは自然と命をかけた縛りとなり膨大な呪力が熱となって周囲を焦がしていく。

 爆発直前の漏瑚の頭は小さな太陽の様であった。

 

「覚悟!!

 轟悟ゥ!!!」

 

 轟への呪詛と共に漏瑚の全身全霊を懸けた一撃が放たれた。

 本来なら轟悟に届かずとも周囲を消滅させて特級呪霊の驚異を知らしめる筈の一撃。

 しかし、漏瑚の最後の輝きは誰にも届く事は無かった。

 隣にいた二人の呪詛師も火傷の一つも負わず、建物も一切焼けた痕跡は無い。

 追い詰められた漏瑚は気づけなかった。

 自身の周囲に既に無限がある事を。

 

(自爆で手間が省けたな。)

 

 漏瑚の自爆を眺めて、再び轟は宿儺へと顔を向けた。

 

「さて、次はお前だ。

 虎杖悠仁の中に戻るか死ぬか、選べよ。」

 

「面白い、あの術式の持ち主がこのように化けるとは封印された甲斐があったというものだ!」

 

 面白いものを見たと言わんばかりに笑みを浮かべながら宿儺は轟悟と相対した。

 

(小僧を絶望させてやろうかと思ったが此方の方が面白そうだ。)

 

 宿儺の顔に轟の拳が入る。

 最初に動こうとしたのは宿儺だったが、一撃を与えたのは轟だった。

 領域展開をしようと印を組んだ宿儺に対して、轟が肉弾戦による圧倒を選択した結果であった。

 

「軽いな。

 …!」

 

『術式反転 赫』

 

『解』

 

 拳を額で軽々と止めた宿儺を術式反転で吹き飛ばそうとする轟に対して、斬撃で腕を切り飛ばそうとした宿儺。しかし轟の腕には傷一つ付けられず宿儺はゼロ距離で赫を喰らいビルの壁を突き破り渋谷の街を飛んで向かいのビルへと叩きつけられた。

 

(よし、赫の反動は後方に無限を展開すれば殺せるな。

 肉体への反動自体も耐えられる。)

 

 肉体の調子を確かめた後、術式を使って宿儺へと一直線に跳んでいく。

 既に六眼で宿儺を捉えており、一分の狂い無く蹴りを叩き込んだが、そこに宿儺は居なかった。

 

「チッ!

 呪力による囮かよ!」

 

 横から伸びてきた宿儺の腕に首を掴まれて地面に叩き付けられる轟。

 

「お返しだ。」

 

『捌』

 

 宿儺の通常の斬撃である『解』を万能包丁に例えるとすれば、『捌』は専用包丁。

 対象の呪力や強度に対して最適な刃で敵を斬り殺す技。

 それなりの呪力を込めたそれを先程のお返しと言わんばかりに轟の首へとゼロ距離で叩きつけたのだ。

 

「ガハッ!

 あー、ギリギリっ!」

 

 宿儺の刃はギリギリで展開した無限によって喉を半分裂いただけで留まらせて、赫で吹き飛ばしながら宿儺を睨みつける。

 

「ペッ。」

 

 既に喉の修復を終えて、血を吐き出す。

 

(赫の攻撃は拡散による打撃に近い。

 内臓グズグズが精々か。

 にしてもやっぱりぶっつけ本番で術式に慣れないな。)

 

 一方、吹き飛ばされて地面に叩きつけられた宿儺も内蔵を修復させながら轟が術式に慣れていない事を見抜いていた。

 他者から見れば互いに異次元の領域での応酬だが、本人同士は術式の調整と復活の度合いを確かめており、戯れているような感覚であった。

 そもそも轟は虎杖悠仁の生存を信じ、宿儺は完全復活までの戯れとして『殺す気では無いけど、結果的に死ねば其処までの存在。』として互いを認識している部分もある。

 

(奴があの術式をモノに出来ているなら、俺は触ることすら出来ぬはず…。

 手を出すのが早かったか…。)

 

 宿儺が自由に振る舞えるのは多数の『指』を取り込まされた影響で一時的にオーバーフローしているだけであり、宿儺でさえ何時宿主の虎杖が目覚めるか分からない。

 

(仕方あるまい、現状の底だけでも見ておくか。) 

 

 己に追いついてきた轟が印を結ぼうとしている宿儺を見て即座に阻止しようと術式を発動する。

 

『術式順転 蒼』

 

「甘いぞ。」

 

 宿儺の左右に展開された無下限による吸い込みで強制的に右腕と左腕が引っ張られ捻じ曲げられ絞り上げられたが、宿儺は膨大な呪力によって強引に腕を直し引力に抗い印を結んだ。 

 

「領域展開」

 

『伏魔御厨子』

 

 領域を展開した瞬間、無数の斬撃が絶え間なく轟悟を襲った。

 

(ほう、俺の領域の特性を見抜き術式で結界を張ったか。)

 

 轟は宿儺の領域が閉じないことを六眼によって見抜いて即座に無下限による結界を周囲に展開することで、周囲と自分達の距離を無限に引き伸ばすことで宿儺の領域の影響を最小限に留めた。

 

(終わらないなこれ。

 にしてもどうするかこれ。)

 

 轟は自身へ襲いかかる斬撃を結界を維持して受けながら終わりの見えない状態の解決法を考えていた。

 宿儺の領域展開は宿儺の呪力量からして平気で数時間の展開も余裕だろうと推測した轟。

 斬撃の内『解』は肉体の強度から考えて無視しても問題ないが、轟に特化した斬撃である『捌』は無下限術式で防がなくてはならない。

 

(いくらでも付き合えるけど、それは悪手。

 向こうは呪いの王、領域展開だけが手札ではない筈。

 問題なのは今の俺は領域を使えない事だよな。

 それに、もし領域を使えるとしても質で負ける。)

 

 肉体と魂で2つの術式を持っている轟は弊害として生得領域の構築が不完全であり現状、領域展開が行えない。

 となると轟の手札は後一つ。

 

(よし、吹き飛ばそう。)

 

『術式順転 蒼』

 

『術式反転 赫』 

 

 それは五条家の秘中の秘であり、六眼と無下限を持つものにしか許されない理不尽。

 収縮する無限と拡散する無限を重ねる事で放たれる架空の質量による絶対の一撃。

 轟個人が五条悟から聞いた中で最も自分と相性が良いと思った技。

 

(要するに虚閃だもんな。)

 

『虚式 茈』

 

 架空の質量が宿儺へと叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




現状の身体能力は耐久以外は伏黒パパクラスで耐久に関しては滅茶苦茶に堅いです。

この話は改めて術式やらの宿儺の戦闘スタイルが分かったら書き直すかもしれません。
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