バフデバフ   作:ボリビア

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誤字報告助かってます。


術式の効果を知ろう。

 枕を濡らした次の日の朝。

 ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!

 バカみたいなピンポン連打で目が覚めた。

 スマホで時間を確認すると、午前5時。

 

(…ぜってー、五条先生だ。)

 

 取り敢えずご近所迷惑確実なので玄関の扉を開けると案の定、五条先生がいた。

 

「おはよう、無事に辿り着けたみたいだね!

 はい、これ朝御飯。」

 

 正直朝御飯は有難い。

 地図は昨日の一件で握りつぶしてしまいダメになったしこの時間から売店とか食堂がやってるとは思えない。

 

「朝食ありがとうございます。

 次から呼び鈴は一回で大丈夫なんで。」

 

「考えとくよ。

 じゃあ下で待ってるから!」

 

 あの考えとくは変える気ないな。

 はぁ、と溜め息を漏らし取り敢えず着替える。

 荷物と一緒に高専の制服も届いていたが、厳密には俺はまだ中学生だしジャージで良いだろう。

 ジャージに着替えて、朝食を食べようと五条先生からもらった袋を開けると中にはおはぎが入っていた。

 朝食としてどうなの?と思ったが食べれなくはない。

 もしかしたら呪術師は体力勝負とか頭を使うからとかそういう理由で炭水化物+糖分のおはぎなのかも知れない。

 朝食を終えて、寝癖を整えて下に降りて五条先生と合流する。

 

「五条先生、おはようございます。」

 

「うん、おはよう。

 取り敢えずこれ腕につけて。」

 

 五条先生から差し出されたのは銀色の細い腕輪。

 

「あの、着けたら目茶苦茶痛み出したんですけど。」

 

 取り敢えず言われた通りに右手首に通すと、腕輪が小さくなり手首を圧迫してきた。

 

「呪力流してみて。」

 

 言われた通りに呪力を流すと、今度はゆるゆるになった。

 

「轟は呪力自体は捻出出来るけどコントロールが大雑把だから、今日一日その腕輪を常に締め付けず、緩まずのベストな所で維持してね。」

 

 取り敢えず、呪力を流す量を変えて丁度良いサイズに調整してみるが安定しない。

 

「取り敢えずそれを四六時中付けて無意識レベルで安定した呪力コントロールを身に付けて貰うから。

 で、同時に術式の使い方についても色々と教えていくから。

 さ、運動場に移動!」

 

 というわけで運動場にやってくると、水の入ったバケツや木材、シャツ、折れたバット等の粗大ごみといっても過言ではない山があった。

 

「今日って粗大ごみの日か何かですか?」

 

「あれが今日の教材。

 昨日、二年生達をパシって用意した多種多様なごみ山で轟にはひたすら術式を試して術式の明文化をしてもらう。」

 

 明文化、要するに自分の術式を口で説明出来る様に理解するって事だろうか。

 あと、先輩達の用事ってこれだったのか、後でお礼を言おう。

 

「間違った解釈とかしちゃいませんか?」

 

「肉体に刻まれた術式だから、解釈が間違ってたら直ぐに違和感として気付くよ。

 それに、今目指すのはあくまでも口で説明出来るレベルの理解。

 更に理解を深めるのはその後、僕が指導する。

 じゃ、僕これから仕事あるから。

 昼迄には戻ってくるねー。」

 

 ヒラヒラと片手を振りながら校舎へと消えていく五条先生を横目に粗大ごみの山を漁る。

 

(折れた刀、釘、スライム、鞭、何でもあるというか普通に物騒だな。

 何時も通りを確認したいし取り敢えずバットで良いか。)

 

 バットは民間人でも手軽に入手出来て扱いやすい武器として昔から使っている。

 バットを二本手に取り、術式で片方のバットを強化する。

 両腕を強化して、強化バットと普通のバットを思いっきり叩き付けると案の定普通のバットが折れる。

 

(俺自身が把握してるのは加点法は対象を強化する事。

 バットを強化すれば頑丈になるし腕を強化すれば腕力が増す。)

 

 正直単純な術だと思う。

 だが、それだけなら五条先生は目をかけないだろう。

 つまり、俺の術式は単純に見えて複雑、あるいは本当の使い方がある筈だ。

 今までの経験を思い出しながら、目の前のガラクタに術式を施していく。

 

(刀は名刀、シャツは鎧、スライムは良く伸びる。水は変わらない…。

 水だけ特に変化がないのは何故だ?

 だけどスライムには変化があった…。

 そもそも俺の強化って何を強化してるんだ?)

 

 色々と試しながら考えると、根本的な問題として強化とはそもそも何をしているのかという疑問に辿り着いた。

 当たり前過ぎて気付かなかった疑問だ。

 刀なら切れ味、スライムなら粘性、バットなら強度と言った感じで結果が変わる。

 

(…性能を高めている?)

 

 試しに術式を施してない刀の刃を強化バットで叩く事で刃を潰してみる。

 

(これなら刀として機能はしない筈。)

 

 刃を潰した刀に術式を施して木材に振り下ろす。

 普通の刀に術式を施すと綺麗に真っ二つだが刃を潰した刀を振り下ろした結果、真ん中当たりまで食い込んだ。

 今度は何も施してない刀を同じように木材に振り下ろすと、少しだけ食い込んで止まった。

 

(強化した刀で真っ二つ、刃を潰して強化した刀は真ん中辺りで食い込み、なにもしてない刀は刃潰し以下か。)

 

 結果から考えると、俺の術式は性能を強化していると考えるべきだろう。

 だが、俺の勘がずれていると告げている。

 

(間違ってはないが、それだけじゃない。

 そもそも刀の性能って何だよ。

 概念の強化?

 違う。

 もっと単純な筈だ。)

 

「やっほー、進んでる?

 あとその手痛くない?」

 

 考えに集中していると五条先生がやってきた。

 どうやらお昼になっていたらしい。

 集中が切れると急に右手が痛みだしたと思ったら腕輪が手首を締め付けて手が赤黒く成っている。

 あわてて呪力を流して腕輪を緩める。

 

「寝てる間は外していいけど、気を付けてね。

 で、進歩どう?」

 

 取り敢えず午前中の成果を報告する。

 

「なんというか、対象の何処を強化してるのか分からなくて。」

 

「え、なんで簡単じゃん?

 というか、自分で言ってたじゃん。

 バイキルトみたいなものって。」

 

「いや、あれは例え話――」

 

(――そうか。)

 

 ふと、確認したい事が出来てバケツに入った水の中に左手を入れて術式を行使する。

 

(バイキルトもそうだが、強化っていうのは俺の中で二種類ある。

 1つは全体を底上げする強化、そしてもう一つがステータスの一つを強くする強化。)

 

 バケツの中から手を引き上げると只の水はスライムのように俺の手に纏わりついて来る。

 

「…先生、明文化出来ました。」

 

 自分の術式への理解が深まり笑みが漏れる。

 

「聞かせてもらおうか。」

 

「俺の術式、加点法は対象の持つパラメーターを強める事が出来ます。」

 

「うん、OK。

 後、かっこつけてる所悪いけど、手首締まってるよ。」

 

 あ、ほんとだ右手が赤い。

 

 

 

 

 




 今までの主人公はイメージで何となく強化してました。
 刀なら切れ味良くなるというイメージでそれに近付けるように刀の持つパラメーターを雑に強化してました。
 本来のは対象の持つパラメーターを強くするので、水に対して粘性を強めて水飴見たいな状態になりました。
 要するにオート操作からマニュアル操作に切り替えた感じです。

Qちょっとガバくない?
A最強が無限とかいう訳わかんねぇ要素持ち出してるからヘーキヘーキ。
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