疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 今回は瑞鶴のIfストーリーです。(別の娘のストーリーを書くとは言っていない。)


瑞鶴If

 執務室の扉を前に瑞鶴は物凄く緊張していた。ついにこの時がやって来たのだ。多くのライバルが居る中で必死に練度を上げて来たのだ。そして今日、お互いに練度98まで上がっていた一航戦の加賀との一騎討ちで、ギリギリ勝利して練度99に到達したのだ。提督は練度99になった艦娘にケッコンカッコカリの指輪を渡すつもりだと公言していて、私が一番初めに練度99に到達したのだ。そして演習後入渠を済ませたら執務室に来るようにと言われたのだから、当然ケッコンカッコカリの話に決まっている。最初は怖くて嫌な奴だった。でも接していくうちに意外と良い人だと分かってきたのだ。戦闘指揮は的確だし待遇もかなり良くなった。基本的に真面目で私達に優しく接してくるのに、汚職だらけの上層部と戦う時は容赦無く追い詰める。私達が戦場で深海棲艦との戦いに集中出来るように、提督は全力を尽くしてくれたのだ。そんな提督にいつの間にか惚れてしまったが、そこには大きな問題が2つある。

 

 私は艦娘で人間ではないこと。そして前任の提督に散々汚されてしまったことだ。

 

 しかしそんな私達に提督は言ってくれたのだ。それがどうした?と。

 

 種族の違いがあろうとも艦娘は人の心を持っている。だから些細な問題だと。そして汚された私達に自分も散々汚れていると。孤児として生きていた時は泥水も啜ったし残飯も漁った。軍に入ってからも相手が悪人とは言え、多くの人間の人生を壊したのだ。結果として命を奪ったこともある。そんな自分が今更汚れ程度を気にするものかと。

 

 だから私はこの人と結ばれたいと願った。例えカッコカリなんてついた絆でも、求めずにはいられなかった。そしてケッコンカッコカリの権利を勝ち取ったのだ、だから覚悟を決めよう。そう考えて大きく深呼吸を繰り返し、執務室の扉をノックする。

 

「提督、瑞鶴よ。」

 

「入れ。」

 

 いつもの短い返事に苦笑しながら扉を開ける。中に真剣な表情をした提督が居てついドキドキしてしまうが、恥ずかしいので何でもないフリをする。

 

「そ、それで話って何かしら?」

 

 つい目線を逸らしてしまい、気が付いたら髪を弄ってしまっていた!これじゃ気にしているのがバレバレじゃない!

 

「まずは練度99到達おめでとう。厳しい鍛練の成果だ、良く頑張ったな。」

 

「あ、ありがとう。」

 

 そんなに真っ直ぐ誉められたら照れるじゃない!

 

「以前から伝えていたが、練度99に到達した者の中で更なる高みを目指す気があるならば、ケッコンカッコカリの指輪を渡そうと思っている。今後も更なる高みを目指すつもりはあるか?」

 

 えぇ!?それだけ!?それじゃなんだか強くなる為の道具が欲しいかって言われてるみたいじゃない!!

 

「もちろんもっと強くなりたいけどさ!なんかこう・・・ムードとか無いわけ!?」

 

「・・・何か勘違いしているようだが、この指輪は所詮ただの道具に過ぎない。上の連中がケッコンカッコカリなんてふざけた名前をつけただけだ。」

 

 ああもう!!知ってたわよそんなこと!!この人が指輪の事をただの強化する為の装備だって考えている事くらい!!だって真面目な性格なのに重婚カッコカリする気満々の発言だったし!!でもちょっとくらい期待したって良いじゃない!?これだけ頑張って一番初めに練度99になったんだから!!

 

「どうした?そんな顔をして・・・この指輪を受け取るのは嫌か?」

 

「ああもう!貰うわよ!!その為にここまで頑張ったんだから!!」

 

 そう言って提督が差し出す指輪をひったくるように奪った。なんだかロマンの欠片も無いやり取りだったけど、とりあえず指輪を一番に貰ったのだから、それで我慢しよう。提督の方をジトッと睨むと苦笑しているのが腹が立つ。

 

「とりあえず今後も高みを目指して、私を支えて欲しい。宜しく頼む。」

 

「ええ、もっと強くなってやりますよーだ!」

 

 まったく!!この人は女心をぜんぜん理解していない!!それでもなんだかんだで見捨てられないのは、惚れた弱みと言うやつだろう。いつか絶対に振り向かせてやるんだから!!

 

「じゃあ失礼するわね!私もっと特訓して強くならないといけないから!」

 

 そう言って肩を怒らせて退室しようとしたら

 

「待ってくれ、仕事の話は終わりだが、少し個人的な話をしたい。」

 

 個人的な話?正直今は少し機嫌が悪いから後にして欲しいけど、引き留められたなら仕方ないわね・・・

 

「・・・何よ、個人的な話って?」

 

「これを受け取って欲しい。」

 

 そう言って提督が差し出して来たのは、指輪の入った箱だった。

 

「いや、指輪ならさっき貰ったわよ?」

 

「この指輪はケッコンカッコカリの指輪ではなくただの指輪だ。」

 

「え?」

 

「もちろんこれに性能を向上させる機能なんか無い。だからこれは私が瑞鶴に結婚して欲しいと思って贈るものだ。そしてこの指輪を渡すのは瑞鶴だけと決めている。だから改めて聞こう、受け取ってくれるか?」

 

 うぅーなによ!なによ!なによ!!さっきまで全く気が無いような事を言ってたくせに!!でも絶対今顔が真っ赤になってるし、すっごく恥ずかしい!!

 

「そ、その、これは私だけの指輪なのよね?」

 

「ああ、当然だ。」

 

「ふ、ふーん。そう。」

 

 ダメだ!つい顔がニヤケてしまう!こうなったら!!

 

「じゃ、じゃあこれは貰って行くからね!!」

 

 そう叫んで指輪をひったくると、全力で執務室から逃走する。「あ、おい!」と提督の慌てた声がしたけど気にするもんか!こんなに恥ずかしい思いをさせた提督のせいなんだから!!




 やはり瑞鶴は可愛い。つまり正義です。

次回のタイトルは?

  • 青葉If
  • 曙If
  • 加賀If
  • 川内If
  • 瑞鶴After
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