疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 本当はまだ龍驤のお話は書く予定ではなかったのですが・・・息抜きにどうしてもお笑い方向のお話が書きたくなってしまいました。


龍驤If

 ここ最近の忙しさのせいで未処理の書類の山が溜まっていたが、夕方までにはなんとか処理を終える事が出来た。秘書艦を務めてくれている大淀も少し疲れが見えるが、仕事を終わらせた満足感に浸っているようだ。心地好い疲労感に浸っていると、執務室の扉をノックも無しに開けて一人の艦娘が入ってくる。

 

「提督、邪魔するでぇ!!」

 

 無遠慮にずかずかと執務室に入って来た龍驤はかなり上機嫌なようで、気軽に声をかけてくる。

 

「邪魔するなら帰ってくれ。」

 

「あいよー」

 

 そう言って龍驤はそのまま回れ右をして、執務室から去って行く。そして一呼吸置いてからすぐに執務室へと駆け込んで来た。

 

「いやいやいや!!コントしに来たんとちゃうねん!!」

 

「ならなんで乗ったんだ?」

 

「いや~そりゃまあ、そんな振りされたらついつい乗っかってまうやろ?ってまあこの話は置いといて、仕事は終わったかいな?」

 

「ああ、ちょうど今終わったところだ。」

 

「そりゃちょうどええわ!!今から鳳翔さん所で飲むんやけど、提督も参加せぇへんか?大淀もお疲れ気味みたいやし一緒に飲もうやないか!!」

 

「ほぅ・・・飲みの誘いか。」

 

 まあ、自分はザルではないがお酒にはそこそこ強い方なので、飲む事自体は嫌いではない。格別お酒が好きな訳でも無いので、誘われるか宴会の時にしか飲まない。ただお酒がコミュニケーションの道具として使える事は知っているし、最近は忙しくてあまり艦娘達に付き合えていなかった事を考えると、今回は参加しても良いだろう。

 

「分かった。では片付けを済ませたら向かうとしよう。大淀はどうする?」

 

「あ、はい、提督が参加されるのであればお供致します。」

 

「よっしゃ!!なら善は急げや!!うちは他の娘達にも声かけとくから、鳳翔さんの店に急いで集合やでぇ!!」

 

――――――――――――――――――

 

 大淀と共に居酒屋鳳翔に入ると、中ではもう準備が整っているようで、座敷にある大きめのテーブルには龍驤と翔鶴と瑞鶴が座っていた。

 

「お~い!こっちや!待っとったでぇ!!」

 

「ああ、待たせたな。今日は五航戦を呼んだみたいだな。」

 

「せやな。一航戦の娘達にも声かけとるから、間宮さんとこで食事を済ませてから合流する事になっとるでぇ。」

 

 なるほど、今日は空母の集まりというわけか。それにしても一航戦達は本当によく食べる。居酒屋鳳翔ではつまみだけではなくて、普通の食事も提供してくれるが、基本的に注文が入ってから料理をするため、決まったメニューを大量に作る間宮よりも時間がかかる。だから一航戦達は鳳翔の店で大量に注文しなくて済むように、先に間宮の所で普通に食事を済ませようという配慮か。

 

「なるほどな、今日は賑やかになりそうだな。」

 

「せやな。どうせ飛び入り参加もおるやろ。ほな席着いて始めよか?鳳翔さ~ん!!」

 

「はぁ~い、ちょっと待って下さいね。」

 

 龍驤が奥に声をかけると、鳳翔が奥から料理を運んで来てくれる。大皿に枝豆やフライドポテトやたこ焼き等の簡単に摘まめるものを盛っているものと、ナッツ系や一口チョコなど盛った皿を用意してくれたようだ。ひとまずこれだけあればつまみには困らないだろう。足りなければまた頼めば良い。

 

「お飲み物はどうされますか?」

 

「うちと提督と大淀は生でええやろ?翔鶴と瑞鶴はどうする?」

 

「では私はウーロンハイで。」

 

「じゃあ私はカシスオレンジ!!」

 

「分かりました。すぐに持って来ますね。」

 

 鳳翔が用意した飲み物が行き渡り、今日の飲み会がスタートする。

 

「ほなさっそく乾杯しよか♪」

 

「じゃあ今日の主催者の龍驤に乾杯の音頭をとって貰おうか?」

 

「え、あー、せやなぁ・・・」

 

 軽く振ってみたが龍驤は何を言うべきか迷ってしまったようだが・・・

 

「せや!特になんも無くても酒は美味いんや!!乾杯!!」

 

「「「「乾杯!!」」」」

 

――――――――――――――――――

 

 そこからは酒も料理も話も進み、楽しい時間が流れていた。食事を終えた一航戦も合流し、居酒屋鳳翔には他の艦娘達もやって来て、それぞれ楽しんでいるようだ。ちなみに大淀と瑞鶴はかなり酔いが回っているようで、二人で呂律の回っていない会話をしていて、間に挟まれた翔鶴がおろおろしている。

 

「やあ、司令官、楽しんでいるようだね。」

 

 声をかけられたほうを向くと、お酒の入ったグラスを持った響が立っていた。かなり幼い見た目の響だが、意外と酒豪だったりする。

 

「ん?響か、どうした?」

 

「珍しくここで司令官の姿を見掛けたからね、私も少し混ざろうかと思ってね。」

 

「お、ええで!ええで!来るもの拒まずや!!」

 

「だそうだ。」

 

「スパシーバ、じゃあ失礼するよ。」

 

 そう言って響は私の膝の上に座って、そのまま目の前にあったチョコへと手を伸ばす。

 

「ちょ!?なにやっとんねん!?」

 

「なにって?ちょっとしたスキンシップだよ?」

 

 平然と答える響に龍驤が唖然としていると、騒ぎを聞き付けたのか瑞鶴の目がこちらに向く。焦点の定まらない目でこちらを見ていたが、響の姿を認識した途端に机を叩いて騒ぎだす。

 

「んん?ああ!!なにしょれ!!ずるい!!」

 

「キャッ!!もう!!瑞鶴!!お酒が零れてるじゃない・・・」

 

「私・・・秘書艦なのに・・・秘書艦なのにあんな事された事ありません!!」

 

「うちもないわ!?てか、なんで提督も普通に受け入れとるんや!?」

 

 瑞鶴が倒したコップの中身が翔鶴にかかり、大淀と龍驤が騒ぎだして収集がつかなくなってきたな。加賀はそっぽ向いて知らん顔をしているし、赤城は料理を頬張りながら苦笑している。奥から鳳翔が出てきてお酒のかかった翔鶴の対応をしてくれているのが救いか?

 

「なんでと言われてもなぁ?子供のやることだから一々目くじら立てる程の事では無いだろう?飲みの席だしな。」

 

「そうだよ?こうやって司令官の膝に乗れるのは体の小さい駆逐艦の特権だよ。・・・あ。」

 

 どや顔でしれって言い切った響だったが、ふと龍驤を見て少し驚いた様子だ。

 

「あ!?なんやなんや!?その目はうちが駆逐艦ボディやと言いたいんか!?生憎うちは軽空母やで!!せやからそんな特権は・・・」

 

「欲しく無いのかい?」

 

「あ、いや・・・その、そんなにええんか?」

 

「そうだね。今この時の私は全能感で満たされているように感じるよ。」

 

「なんやそれ!?どんな効果やねん!?提督の膝は元帥の椅子やないんやで!!」

 

 響は龍驤のツッコミにもどや顔を崩さずに、私の膝の上で悠々とウォッカを呷る。

 

「ふむ、龍驤よ、私のグラスが空になってしまったようだが?」

 

「ははぁ!!響閣下!!すぐにお持ちします。」

 

 そう言った龍驤は席を立って店の奥へとウォッカを取りに行って、恭しく響のグラスへと注いでいく。いったいなんの茶番なんだ?

 

「はっ!?あかん、つい雰囲気に流されてもうたわ!!」

 

「なら次は龍驤さんの番だね。」

 

 響は私の膝から降りて龍驤が座っていた席へと移り、龍驤に私の膝の上に座るように求める。

 

「はぁ!?ちょ、ほんまに!?いや、提督もええんか!?」

 

「はぁ・・・響の遊びに付き合ってやれ。」

 

 龍驤は酔いのせいか子供っぽい事をする気恥ずかしさからか、顔を真っ赤にして狼狽えていたようだが、大きくため息を吐く。

 

「しゃ、しゃーないなぁ。やっぱり駆逐艦の遊びにはちゃんと付き合ってやるんが大人の余裕ってやつやからなぁ♪」

 

「どうだい?龍驤さんも力を感じるだろう?」

 

「せやなぁ。ほな響、たこ焼きを献上せぇ。」

 

「ははぁ!!こちらをどうぞ。」

 

 響がたこ焼きを一つ爪楊枝に刺して、恭しく差し出すのを食べた龍驤は満足そうに頷く。

 

「ふむふむ、こういうのもなんかええなぁ。」

 

「気に入って貰えたみたいで良かったよ。」

 

 響と龍驤で笑い合う姿を見れたのであれば、遊びに付き合ったかいがあったな。苦笑しながらそう思っていると、誰かが全力で走ってくる音が聞こえてくる。それなり騒がしい居酒屋にまで響いてくると言うことは・・・まずいな。

 

「龍驤!!悪いが早く降りてくれ!!」

 

「ええー、そんな事言わんでもええやん?もうちょい楽しませてや?」

 

ガラガラガラ!!

 

 勢い良く居酒屋鳳翔の扉を開けて入って来たのは案の定金剛だった!!そして私と目が合うとそのまま勢い良く抱き付いてくる。

 

「Hey!!提督!!Burning!! Love!!」

 

「グッ!!」 

 

「うげっ!!」

 

 龍驤を膝に乗せていた為に、いつものように金剛の突撃を避けられず、もろに衝撃を食らってしまう。さらに龍驤も私とテーブルの間に挟まれたうえに、金剛が龍驤ごと私を抱き締める。流石戦艦級、パワーが段違いだ・・・

 

「りゅ、龍驤さん!?」

 

 珍しい響の叫びを聴きながら龍驤はダウンしてしまったようだ・・・だからすぐに降りろと言ったのだがなぁ・・・




 ただのいちゃラブでは終われなかった・・・龍驤、すまないな・・・
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