疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 川内Ifです。川内のお話なので必然的に夜戦のお話です。むしろ他に何を書けと?


川内if

 夕暮れ時の執務室で今日の書類仕事を終わらせる。今日も何事もなく執務を終えられそうだ。最近は深海棲艦の活動も少なく、遠征で地道に資材回収に勤しむ日々だ。いざという時に資材不足になっては困るので、戦闘が無いからと油断は出来ない。

 

コンコンコン

 

「提督、川内だよ。」

 

「入れ。」

 

 川内がちゃんとノックをしてから入室するということは、夜戦の気配を感じたわけではなさそうだな。もし夜戦の気配を感じたのであれば、目を爛々と輝かせて執務室に飛び込んで来るはずだ。

 

「ねぇ提督、ここで一つ問題です。」

 

「夜戦。」

 

「まだ問題言ってないんだけど!?」

 

「そうか、答えが夜戦以外なら聞こうか?」

 

「う・・・良いじゃん!!やろうよ夜戦!!最近全然夜戦してないじゃん!!」

 

 やはり答えは夜戦だったか。まあ、川内が夜戦以外の話題をする事は少ないからな。あとは姉妹艦の話くらいだろうか?

 

「・・・3日前に夜間偵察に出させたし、1週間前には夜間演習をさせただろう?それに夜間の鎮守府の警備もさせているだろう?」

 

「いやいや!!演習も航行演習と砲撃演習で、戦ってないじゃん!!夜戦しようよ!!夜戦!!」

 

 ふむ・・・あの演習では川内は満足出来なかったのか・・・海上に岩礁に見立てた黒い障害物を多数置いて、標的を探して撃破するというかなり難易度の高い演習だったのだがな。新月の夜だったので非常に視界が悪く、障害物にぶつかってしまう艦娘が多かったのだが・・・川内は難なくこなしていたんだよなぁ・・・

 

「しかしなぁ・・・夜戦の対抗演習をすると、川内の能力が飛び抜けているから、あまりまともな戦いにならんのだよ・・・」

 

「ええ~そんなぁ・・・」

 

 本当に夜戦での川内は他の艦娘達の追随を許さず、その隠密性と索敵能力の高さで必ず優位な位置から攻撃し、相手が反撃する時には消えてしまうのだ。

 

「もぉ・・・なんでも良いから夜戦しよ!!ねぇ良いでしょ夜戦!!」

 

 さて・・・どうしたものか・・・このままでは夜中に夜戦夜戦と騒ぎたててしまうか・・・以前しばらく夜戦がなかった時に、川内が夜中に鎮守府を走りながら夜戦夜戦と騒いだ事件があった。あの時は川内を捕まえようとする神通や安眠妨害をされた艦娘達と、川内が満足するまでおいかけっこをしていた・・・あれはもうやめて欲しい。

 

「・・・そうだなぁ。なら私も久しぶりに体を動かしたい気分だし、川内に相手を頼もうか?」

 

「え!?なになに!?提督も夜戦するの!?やったぁ♪良いよ!!やろやろ!!」

 

「ええ!?」

 

 川内が大喜びしていると、ガタガタっと音がしたのでそちらを見ると、書類の片付けをしていた大淀が顔を真っ赤にして焦っている様子だ。何をそこまで焦っているのだろうか?確かに夜に川内の相手をするのは大変だが、たまには自分も体を動かさないと鈍ってしまうからな。

 

「ではそうだな・・・夕食やらも済ませて少し休んでから始めたいから、20時くらいから始めるとするか。」

 

「うん♪すっごく楽しみだね♪どこでやるの?」

 

「そうだな・・・倉庫区画のほうでやるか。あそこは夜間ならあまり人が来ないし、艦娘達の寮からも離れているから迷惑にならんだろう。」

 

「うん♪じゃあ20時に倉庫区画ね♪すっごく楽しみしてるから♪じゃあまた後でね♪」

 

 そう言うと川内は物凄くご機嫌な様子で執務室を去って行った。さてと、やると決めた以上は自分もしっかりと準備をしておくか。それにしても大淀がさっきから顔を真っ赤にしてぶつぶつ言っているのはなんなのだろうか?

 

「大淀、片付けが終わったのならば夕食を食べに行くぞ?」

 

「あ、はい、大丈夫です。お供します。」

 

――――――――――――――――――

 

 夕食前に姉さんが部屋に帰って来ましたが、姉さんが物凄くご機嫌な様子です。つまり・・・

 

「姉さん、夜戦ですか?」

 

「あ、分かる?久し振りの夜戦だから、夜が待ち遠しくってさぁ♪」

 

 やはり夜戦でしたか。まあ、つい先程まで夜戦夜戦と騒いでいた姉さんが、嬉しそうにしていたので簡単に予想出来ましたが・・・どこで戦うのでしょうか?最近は近海の哨戒を怠らず、発見した敵艦隊や拠点は即座に殲滅していますから、夜間に襲撃を受けるような事は無いはずですが?

 

「ちなみに姉さんは夜戦に誰を連れて行くつもりですか?」

 

「あ、今日は出撃じゃなくて久し振りに提督と夜戦するんだ♪」

 

「・・・ええ!?」

 

 て、提督と!?夜戦!?い、いえ、おおお落ち着きましょう!!きっと以前のような勘違いのはずです。し、深呼吸をしてゆっくりと数を数えましょう。魚雷が一本、魚雷が二本、魚雷が三本、魚雷が・・・提督の魚雷が・・・な、何を考えているのですか私は!?

 

「て、提督と夜戦ですか?」

 

「そうだよ。提督って滅多に相手してくれないからさぁ~今からすっごく楽しみ♪」

 

「そ、そうなのですか?」

 

 提督をお慕いしている艦娘の話はよく聞きますが、提督が艦娘と関係を持ったという噂は聞きません。しいて言えばイクさんが我慢出来ずに提督を襲おうとして、営倉入りになった話くらいではないでしょうか?だからきっと私の勘違いのはずなのですが・・・

 

「ふふん、提督って普段は優しいけど、夜戦の時はすっごく激しいんだよ♪荒々しくて徹底的に攻めてくるからねぇ♪でも私だって夜戦なら負けてられないから、その攻めを全部受け止めるんだ♪それがすっごく楽しいんだ♪」

 

 こ、これは・・・その・・・本当に?子供っぽい性格だと思っていた姉さんが?でも姉さんだって提督の事をお慕いしているはずですし、あり得ないなんて事は無いはずで・・・

 

「あ、そうだ!!今日は神通も一緒に夜戦してみる?きっと楽しい夜戦になると思うんだ♪」

 

 さささ三人で!?そ、そんな!?提督の事はもちろんお慕いしていますが、最初がいきなり姉さんと三人でだなんて!?

 

「い、いえ。残念ですがやらなくてはいけない事があるので・・・二人で楽しんで下さい。」

 

「ええ~、なら仕方ないかぁ・・・」

 

――――――――――――――――――

 

 夕食を終えて動きやすい服に着替えを済ませてから、道具を準備して倉庫区画へと向かう。これを使うのも久しぶりだな。

 

「お、来たね提督♪提督も凄いやる気じゃん♪じゃあ早速夜戦を始めよっか?」

 

「ああ、そうだな。ほら。」

 

 不敵な笑みを浮かべる川内に木刀を渡して向かい合う。士官学校で剣道は習ったが、今からやるのはそんなお行儀の良いものではなく、ルール無用のチャンバラだ。

 

「さぁ提督、全力で来てよ!!」

 

「ああ、もちろんだ!!」

 

 挨拶代わりに正面から思いっきり打ち込むが、難なく受け止められてしまう。川内は自分よりも背が低く細身なのだが、艤装を装着していない状態でも艦娘の身体能力は高く、力でも速度でも川内の方が上だ。そしてなによりも反応速度が段違いだ。なので遠慮なく全力で打ち込むが川内はその全てを防ぎきる。そして川内の集中力は凄まじく、目を爛々と輝かせ続けて全くミスをしない。

 

「はぁ!!せい!!まだまだぁ!!」

 

「あまい!!」

 

 連続で打ち込み突きを放ち、不意打ち気味に足を狙ったりするが、川内の防御を突破出来ない。もし仮に川内が攻撃をすれば一瞬で終わってしまうのだが・・・川内も長く楽しみたいようで、一切攻撃するつもりが無い。ちなみに川内が攻撃する時は寸止めだ。例え鍛練であっても艦娘が人間を傷付けられないという縛りが有効らしい。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「あれ?提督、もうおしまい?」

 

「いや、ようやく体が暖まってきたところだ。まだまだ付き合って貰うぞ!!」

 

「そうこなくっちゃ♪夜はまだまだこれからなんだから♪」

 

――――――――――――――――――

 

「ふぅ・・・少し休憩するか。」

 

「はぁ~い。いや~良い汗かいたねぇ♪熱くて激しくてすっごくドキドキするから、提督との夜戦は最高だね♪」

 

 川内は満面の笑みで額の汗を拭う。どうやら川内の夜戦欲をかなり満たせたようだな。

 

「私も普段は執務室での指揮や書類仕事が多いからな。思いっきり体を動かすのは気分が良い。付き合ってくれてありがとな。」

 

「そんな気にしなくて良いって。私もすっごく楽しんでるんだから。それにしてもこんなに楽しいんだから、神通も来れば良かったのになぁ?」

 

「ん?今日は神通も誘ったのか?」

 

「うん、けど今日はやることがあるからって断られちゃった。」

 

「そうか。」

 

 神通も来れば川内とやらせても面白いかもしれない。川内も神通が相手ならば手加減無しで戦えるだろうからな。

 

「ん?誰かこっちに来てるね?誰だろ?」

 

「夜の倉庫区画に用事があるなんて、明石か夕張くらいじゃないか?」

 

「さぁ?どうだろ?お~い!!そこにいるのは誰なの?一緒に夜戦する?」

 

「わわわ!!川内さんでしたか。それに司令官も居ましたか。ども、恐縮です。青葉です。」

 

 声をかけたら出てきたのは青葉だった。意外だな?

 

「青葉か、こんな時間に何をしているんだ?」

 

「ああ、いえ、そのですね。カメラの整備をしようと工廠に向かっていたら、偶然倉庫区画の方から音がするのが聞こえまして。なのでちょっと気になって様子を見に来たんですよ。ええ、偶然聞こえちゃっただけです。」

 

「・・・偶然ねぇ。」

 

「ほ、本当に偶然ですよ!?大淀さんの呟きなんて聞いて無いですから!?本当にたまたまカメラの整備がしたくなっただけですから!!」

 

 なるほど、そう言えば夕食の時も大淀の様子がおかしかったからな。理由はわからないが、何かぶつぶつと呟いていたから、それを聞いた青葉が興味を持った訳か。まあ、別に隠すような事でもないし、普通に近づいて来てただけだから追及する必要もないか。

 

「そ、それでお二人こそこんなところで何をされていたんですか?ちょっと取材しても宜しいですか?」

 

「提督と夜戦してたんだ♪」

 

「夜戦ですか?えっと・・・木刀を持っているので、剣道か何かですか?」

 

「剣道ってよりはただのチャンバラだな。たまには思いっきり体を動かさないと鈍ってしまうからな。」

 

「なるほどなるほど。確かに提督のお仕事って机でやることが多いですからねぇ。それで鍛練の相手を川内さんにして貰っていたと。」

 

「そういう事だ。それに川内を放っておくと、夜戦夜戦と騒ぎ出すからな。その対策も込みだ。」

 

「あぁ・・・あの事件は大変でしたね・・・」

 

「夜戦は私の生き甲斐だからね!!」

 

 こいつ・・・あれだけの騒ぎを起こしておいて悪びれる気も無いか・・・夜戦バカめ・・・

 

「それで今は休憩中なんですね。もし良かったら実際にやってるところを取材させて貰えないでしょうか?写真撮影も含めて。明日の艦娘新聞の記事にしたいです!!」

 

「ああ、私はかまわん。川内は?」

 

「もちろん良いよ!!じゃあ、提督、続きやろっか?」

 

――――――――――――――――――

 

 後日艦娘新聞に木刀で打ち合う提督と川内の記事が掲載され、一時期鎮守府内でチャンバラブームが到来した。ちなみに記事を読んだ大淀はその場で脱力し、神通は顔を覆って逃げて行って、他の艦娘達に不思議に思われていたそうだ。




 うん、やっぱり夜戦は素晴らしい。そして自分の中で大淀と神通がむっつりキャラになってしまった・・・ほら、真面目な人ほどね・・・
 そして安定の青葉。
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