「なぁ陸奥よ、クリスマスツリーはこの場所で良いのか?」
「ええ、そこに置いてちょうだい。それにしても本当に立派な木ね。これは飾り付けも大変になるわね。」
提督が駆逐艦の娘達にせがまれて、北九州鎮守府でもクリスマスパーティーをする事に決まったのだけど、かなり本格的に準備をする事になってしまったわ。ディナーの準備は間宮さんと鳳翔さんと大和の担当で、プレゼントの買い出しは一航戦と五航戦が担当する。そして飾り付けは私と長門の担当になったけれど、まさか4m近いクリスマスツリーが運び込まれて来るとは思わなかったわ・・・そしてそんな大木を長門は艤装のアシスト無しで運んでしまったのよね・・・いくら私達戦艦の力が強いとは言っても、ちょっと強すぎないかしら?
「うむ、これでは上の方まで届かないな。仕方ないから肩車でもするか?」
「肩車なんてしても一番上まで届かないと思うのだけど?」
「ならば陸奥が誰かを肩車して、二人まとめて私が肩車すれば届くのではないか?」
「嫌よ。そんな恥ずかしい事するくらいなら普通に梯子を使えば良いでしょ?」
「そうか?こっちのほうが手っ取り早いと思ったのだがな?」
まったく長門は・・・駆逐艦の娘を肩車するだけなら喜ぶ娘もいるでしょうけど、私はそんなに子供じゃないわよ・・・もう・・・
「うわぁ!!すっごく大きいツリーね!!」
「あら?暁ちゃん達、もう飾りを持って来てくれたの?」
「ダー、多すぎるかと思ったけど、この大きさの木に飾るならこの量でも納得だね。」
「さぁ!!私達第六駆逐隊でキレイに飾り付けをするわよ!!」
「ちょ!?なんで雷が仕切るの!?それは暁型一番艦の暁の仕事でしょ!?」
「雷なら大丈夫よ♪」
「理由になってなーい!!」
「はわわ!?喧嘩はいけないのです~」
あらあら?相変わらず元気な娘達ね♪
「ふっ、喧嘩はよさないか。この場の指揮はビッグセブンの一人であるこの長門が任されているのだ。私に任せてくれないか?」
「う~ん?長門さんがそう言うなら・・・」
「仕方ないわね・・・」
「長門さんカッコいいのです!!」
「そうかそうか。この長門に任せておけ!!」
もう・・・長門ったら大人げないんだから。まあ、喧嘩を止めるのは良いけど、暁ちゃん達の好きに飾り付けをさせてあげれば良いのに。
「流石長門さんだね。それで陸奥さん、どうやって飾り付けをするつもりなんだい?私達の身長だと届かないところが多いよ?」
「そうねぇ・・・明石さんが梯子を持って来てくれる手筈になってるから、それまで手が届く範囲をやりましょうか?」
「ダー、じゃあ皆でどんどん飾っていこう。」
響ちゃんに続いて第六駆逐隊の娘達がキャッキャッとはしゃぎながら飾り付けをしていく。やっぱり子供は楽しんでる姿が良いわよねぇ♪ってあらあら?なんだか長門が落ち込んでいるわね?
「あらあら?どうしたの長門?」
「いや・・・なんでもない・・・陸奥は優秀な妹だなぁと・・・」
「ありがとう♪でも急にどうしたの?」
「・・・気にするな。」
なんだか変ね?そんなに肩車がしたかったのかしら?
――――――――――――――――――
『こちら龍驤隊や、敵艦隊を発見したで!!軽巡1の駆逐3のはぐれみたいやから、うちらで充分やれるで!!』
「分かった、そのまま殲滅して引き続き索敵を行え。」
『任しとき!!』
『こちら鳳翔隊です。中規模の敵艦隊を発見致しました。戦艦2、重巡3、軽巡3、駆逐4の計12隻です。敵はまだこちらを捕捉していないと思われます。』
「了解した。金剛達を増援に向かわせる。合流するまでは距離を保て。」
『了解しました。』
「金剛、聞こえるか?鳳翔から位置情報を聞いてすぐに合流しろ。」
『OK!!Follow me!!金剛隊!!私について来て下さいね!!』
『提督、赤城隊敵拠点を捕捉しました。いつでもいけます!!』
「では徹底的に潰せ。油断するなよ。」
『はい!!一航戦の誇りお見せします!!』
『あ、こちら鈴谷隊だよ。残念だけどこっちは外れみたいだね。熊野と艦載機飛ばしてるけど敵艦隊は見当たらないね。』
「分かった、では次のポイントに移動しろ。」
『ほーい。』
ふぅ・・・年末の恒例行事となりつつある周辺海域の掃討戦。偵察部隊の龍驤隊・鳳翔隊・鈴谷隊の3つで敵を探し、主力の赤城隊と遊撃の金剛隊を使って敵艦隊や拠点を殲滅していく。いざという時の為に機動力の高い水雷戦隊も控えさせているが、周辺海域を一掃するまでは気を抜く事は出来ない。しかも今回は駆逐艦達からの要望でクリスマスパーティーをする事になったので、今日と年末にもう一度掃討戦をする。今年は慌ただしい年末だな。
「大淀、引き続き各艦隊からの通信を頼む。何かあればすぐに報告しろ。」
「はい、お任せ下さい。」
「曙、鎮守府内の方はどうなっている。」
「クリスマスツリーは今搬入されて、長門さんが広場に設置したわ。飾り付けは第六駆逐隊ね。それと思ったよりツリーが大きかったから、明石さんが梯子じゃなくて仮設の足場を組むって言ってるわ。」
「そうだな、その方が安全か。食堂の方はどうなっている?」
「えっと・・・清掃が終わって今は少し休憩してるみたいね。もうすぐ食材が納品されるはずだから、納品が終わったら間宮さん達は下拵えを始めて、睦月達が食堂の飾り付けね。今のところ予定通りに進行してるそうよ。」
まあ、こちらは特に大きな問題は無いか。何度か祝勝会や北条の思い付きでパーティーを開催している。だから前もって予定が分かっている今回の準備は、間宮にとっては何も問題ないか。だったらこちらは掃討戦に集中出来るな。
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「よしっ!!これでクリスマスツリーの飾り付けは終わったわね♪」
「ハラショー!!とってもキレイだね。」
「うん、とっても良い感じね♪」
「ピカピカしててとっても綺麗なのです♪」
クリスマスツリーの飾り付けはバッチリね♪後は私と長門で足場の片付けをすれば良いから、第六駆逐隊の娘達は別のお仕事を頼もうかしら?
「うふふ、お疲れ様。凄く綺麗に飾ってくれたから、きっと皆喜んでくれるわ♪」
「と、当然よ!!暁達は一人前のレディなんだから、ちゃんとお仕事は出来るから♪」
「うふふ、いつも遠征任務や護衛任務を頑張ってくれているものね♪そんな暁ちゃん達にもう1つお仕事を頼んでも良いかしら?」
「もちろん良いわ!!何をすれば良いの?」
「クリスマスプレゼントの希望調査の為にこの紙を皆に配って欲しいの。お願い出来る?」
「任せて!!じゃあ第六駆逐隊出るわよ!!」
キャッキャッとはしゃぎながら第六駆逐隊の娘達は駆けて行く。うふふ、やっぱり子供達は元気なのが一番ね♪
「それじゃあ長門、私達は後片付けをしましょうか?」
「あ、ああ。そうしよう。」
「・・・長門?さっきから元気ないけどどうしたの?」
「そ、そんな事はないぞ!?」
「ふーん?」
見るからに何かあるけれど、いったい何を気にしているのかしら?・・・・・・もしかしたら第六駆逐隊の娘達に頼って貰おうとしてたのに、結局私が指揮しちゃった件かしら?そんな事で拗ねなくても良いのに。
「そう、じゃあ早く片付けてしまいましょ。こういう力仕事は長門の方が得意なんだから頼りにしてるわよ。」
「そ、そうか?うむ、私常日頃から鍛えているからな。任せて貰おうか。」
「ええ、頼もしいわね。」
うふふ、ちょっとした一言でやる気になっちゃって。長門はこういう所が可愛いのよね♪
――――――――――――――――――
艦娘寮に着いたから第六駆逐隊の皆で手分けしてクリスマスプレゼントの希望調査を配るわ。暁の担当は巡洋艦の人達ね。あ、さっそく一人見つけたわ!!
「プリンツさん、こんばんわ。」
「おぁ!?びっくりしたぁ。どうしたのア・カツキー?」
「プリンツさんは知ってるかしら?今年は皆でクリスマスを楽しむのよ!!」
「ええ!?日本のクリスマスは初めてだわ!!シュトレーンやレープクーヘンは出るのかしら?」
「しゅ、しゅと・・・なにかしら?」
う・・・暁はドイツ語はちょっと分からないのよね・・・
「ドイツではクリスマスに定番のお菓子なの。日本のお菓子も好きだけど、たまには故郷の味も食べたいなぁってね。」
「ドイツのお菓子!?暁も食べてみたいわ!!間宮さんにお願いしたら作ってくれないかしら?」
「そうですね。マ・ミーヤに頼んで作って貰いましょう!!」
「あ!!その前にお仕事しなきゃ!!はい、プリンツさん。これクリスマスプレゼントの希望調査よ。欲しい物を書いて出してね。」
「欲しい物を紙に書くのですか?ああ、これがタン・ザ・クーですね?」
「えっと・・・そうなのかしら?」
うぅ・・・やっぱりドイツ語は難しいわね。
「欲しい物を書いてツリーに吊るすのが日本の文化だと聞いた事があります!!」
「そうなんだ!!」
言われてみれば陸奥さんから書いた後にどこに提出したら良いか言われてないわね。いつも通り大淀さんに渡すものだと思っていたけど、クリスマスにはそんな作法があったのね!?皆に教えてあげないと!!
「ではこのタン・ザ・クーは貰いますね。日本のクリスマス楽しみにしてます。あ、ツリーはどこにありますか?」
「クリスマスツリーは正面広場にあるわ!!暁達が飾り付けしたのよ!!」
「ダンケ。それはとっても楽しみね♪」
「それじゃあ暁はこのタン・ザ・クー?を配らないといけないから行くわね。」
「ええ、お仕事頑張って下さいね。」
ちょっとフライング気味ですが、プリンツオイゲンの登場です。まさか本編より先にこっちで登場する事になるとは・・・でもこの勘違いネタを書きたかったのです。