疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 おっと、もうクリスマスが来てしまったか。なんとか12月中に後編も投稿したいものです。


クリスマスif(中編)

「あ、天龍さんと龍田さん!!」

 

 入渠を終えて龍田と二人で部屋に戻っていたんだが、部屋の前で暁が嬉しそうな顔で声をかけてきた。そういや第六駆逐隊は今日はクリスマスツリーの飾り付けを担当してたから、それを自慢したくて来たのか?せっかくだから後で見に行ってやるか。

 

「お、どうした暁?何か用か?」

 

「暁は今お仕事中なのよ。第六駆逐隊で皆にクリスマスプレゼントの希望調査を配っているの。」

 

「そういやそんな話があったな。まあ、俺はそんなんではしゃぐのは柄じゃねぇけど、提督がなんかくれるってなら貰っておくか。」

 

「あ!!天龍さんはこの紙をどうしたら良いか知ってる?」

 

 なんだか暁がどや顔で聞いてきたが・・・

 

「なんだよ?いつもみたいに大淀に渡せば良いんじゃねぇのか?」

 

「違うわ。これは書いたらクリスマスツリーに吊るしておくのよ!!」

 

「はぁ?そんな変な事するのか?」

 

 クリスマスってのは西洋のお祭りらしいからあんまり詳しくねぇんだが・・・まるで七夕みたいな事をするのか?

 

「そうよ。さっきプリンツさんからそういう風習があるって教えて貰ったのよ。」

 

「あーあいつ出身はドイツだったか?西洋出身の奴が言うならそうなんだろうな。教えてくれてありがとな。」

 

「ふふん♪暁は立派なレディだからこれくらい当然よ♪じゃあ暁はまだお仕事の途中だからもう行くわね!!」

 

「おう、頑張れよ。」

 

 暁が物凄い満足そうなどや顔をしてから次の人を探しに行きやがった。まあ、あれくらい無邪気なほうが可愛げもあるってもんだな。

 

「ねぇ天龍ちゃん、何か欲しい物は考えてるかしら?」

 

 部屋に入ると龍田がそんな事を聞いてきた。

 

「んー、あんま思い付かねえな・・・」

 

「だったらあれが良いんじゃない?この前木曾さんのマントがカッコいいって言ってたでしょ?天龍ちゃんも着たらカッコいいと思うなぁ。」

 

「おお!!それいいなぁ!!んじゃ俺はそれで決まりだな。龍田はどうするんだ?」

 

「う~ん、私はもうちょっと考えたいなぁ。」

 

「ふーん、そんなもんか。ってかさっきからなにしてんだ?」

 

 戸棚のあたりでごそごそしてたと思ったら、あれは裁縫道具か?

 

「ほら、それをクリスマスツリーに吊るしてって言われたけど、吊るす為の紐がないでしょ?」

 

「・・・そう言われりゃそうだな。」

 

「暁ちゃんうっかりしちゃったのねぇ。針で紙に穴を開けて糸で吊るせば良いと思うの。だから天龍ちゃんはこれをクリスマスツリーのところに持って行ってくれるかしら?駆逐艦の子達の失敗はちゃんとフォローしてあげたいものねぇ。」

 

「へへっ、そうだな。じゃあ俺が持って行ってやるよ。」

 

 ちびっこ共の失敗はちゃんとフォローしてやるのが、年上としての役目ってやつだもんな。相変わらず龍田は細かいとこに気が利くな。

 

「ありがとう天龍ちゃん♪他の娘達も困っているかもだから、急いで持って行ってあげてね~」

 

「おう、行ってくる。」

 

 そうと決まりゃすぐに持って行ってやろう。善は急げってな♪

 

 

 

「天龍ちゃんは素直で可愛いなぁ♪さぁて、私も何か欲しい物を考えて、大淀さんに提出しないといけないわねぇ♪」

 

――――――――――――――――――

 

「あ、鈴谷さん!!熊野さん!!」

 

 おっ?あっちから走ってくるのは暁じゃん。なんかすっごく嬉しそうな雰囲気だね。あ!!もしかしてもうすぐクリスマスだからかな?クリスマスとかテンション上がるよね♪

 

「んん?暁じゃんどうしたの?」

 

「あら暁さん、ごきげんよう。」

 

「ごきげんようです。本日もお日柄よく、なのです。」

 

 また熊野と暁のレディごっこが始まったよ。このノリは鈴谷にはちょっと分からないなぁ。

 

「それで、何か鈴谷達に用事?」

 

「暁は今お仕事中なのよ。第六駆逐隊で皆にクリスマスプレゼントの希望調査を配っているの。」

 

「提督からなんかプレゼント貰えるって言ってたやつかぁ!!良いじゃん♪鈴谷は何を貰おっかなぁ?クリスマスなんて初めてだからワクワクするよねぇ♪」

 

「暁もとっても楽しみにしてるわ!!ねぇ、鈴谷さんはこの紙に欲しい物を書いた後どうしたら良いか知ってる?」

 

「え?こういうのって大淀さんでしょ?」

 

 いや、クリスマスやるのは初めてだけど、こういう書類はだいたい大淀さんの管轄じゃん?

 

「ふふん♪やっぱり鈴谷さんは知らなかったみたいね♪この紙は欲しい物を書いたらクリスマスツリーに吊るすのよ!!」

 

「え?マジで?そんな事誰が言ってたの?」

 

「プリンツさんに教えて貰ったのよ!!」

 

 プリンツさんはドイツ出身だっけ?クリスマスって西洋のお祭りだから、プリンツさん以上に詳しい人はこの鎮守府にいないもんねぇ。

 

「そっかぁ~プリンツさんが言うのなら本当だろうね。熊野は知ってた?」

 

「え!?ええ、当然知ってましたわ。このような西洋の文化を知る事も、淑女として当然の嗜みですわ。」

 

 んん?なんか怪しいなぁ?今の反応・・・熊野の奴知らなかったな。まあ、暁の前でかっこつけたいんだろうから、ここは黙っておいてあげましょうかね。

 

「さっすが熊野さんね!!一人のレディとして憧れるわ!!」

 

「ええ、そうでしょう?暁さんも私みたいな淑女を目指して頑張って下さいね。」

 

「わかったわ!!あ、まだ暁はお仕事の途中だからもう行くわね。暁だって一人前のレディなんだから、お仕事はちゃんとやらないといけないんだから!!」

 

「そうなんだ、お仕事頑張ってね~ってもう行っちゃったかぁ。」

 

 暁のああいう一生懸命なとこは、素直に良い娘だなぁって思うよ。

 

「さぁて、何を頼もうかなぁ?」

 

「そうですわねぇ?せっかくだからクリスマスっぽいものが良いですわね。」

 

「クリスマスっぽいものねぇ?そもそもクリスマスって何をお祝いする日なの?」

 

「えっと・・・サンタクロースという殿方が子供達にプレゼントを配るのをお祝いする日だったと思いますわ。」

 

「え?そうなの?そのサンタクロースって人はなんでプレゼントなんて配るんだろうね?孤児院への慰問とかかな?」

 

「たぶんそんな感じじゃないですの?」

 

 うーん?やっぱり熊野もなんかあんまり詳しく無い感じだね。さっきは西洋の文化を知る事も淑女の嗜みなんて言ってたのにさ。

 

「あ!!そうだ!!明石さんなら外の業者さんからクリスマス用のカタログとか貰ってるんじゃないかな?」

 

「そう言えばクリスマスツリーや飾りなどは外部の業者さんから購入したという話でしたわね。」

 

「だったらクリスマスっぽい服とかアクセサリーとかあるかもじゃん?ちょっと見に行ってみようよ!!」

 

「ええ、なかなか面白い試みですわね。」

 

 そうと決まればさっそく行こう!!クリスマスっぽいお洒落をしたら、提督が褒めてくれたりしないかなぁ?なんてね♪

 

――――――――――――――――――

 

コンコンコン

 

「どなたですか?」

 

「暁です。入っても良いかしら?」

 

「ええ、どうぞ。」

 

「失礼します。」

 

 暁さんが部屋に入って来てペコリとお辞儀をする。直接私と姉さんの部屋を訪ねて来るのは珍しいですが、何かあったのでしょうか?

 

「暁じゃん、どうしたの?夜戦?暁も夜戦がしたいの?夜戦しようよ!!」

 

「ち、違うわ!!」

 

「姉さん!!ちょっと落ち着いて下さい!!ごめんなさいね暁さん。それで、どのようなご用件でしょうか?」

 

「えっとね、第六駆逐隊の皆でクリスマスプレゼントの希望調査を配っているの。」

 

「先日通達があった件ですね。ありがとうございます。」

 

「ああ、この前そんな事言ってたね。お仕事ご苦労様。じゃあ私すぐに出して来るね。」

 

 そう言うと姉さんは暁さんから希望調査を受け取ってすぐに部屋から走り去る。どうせ夜戦って書いて出すのでしょうね。

 

「あ!?待って川内さん!!」

 

「なに?」

 

「その紙に欲しい物を書いたらクリスマスツリーに吊るすの!!」

 

「分かった!!」

 

 今度こそ姉さんは走り去ったみたいですね。それにしても・・・

 

「えっと・・・暁さん?この紙をクリスマスツリーに吊るすのですか?」

 

「ええそうよ!!そうするのがクリスマスのやり方だってプリンツさんが教えてくれたの!!」

 

「そうですか・・・」

 

 プリンツさんがですか・・・確かにプリンツさんは西洋の方なので、クリスマスには詳しいとは思いますが・・・

 

「暁さん、このお仕事は誰に頼まれたものでしょうか?」

 

「陸奥さんから頼まれたお仕事よ。」

 

「陸奥さんはなんと言っていたのですか?」

 

「陸奥さんはこの紙を鎮守府の皆に配って欲しいって言われたわ。だから暁達第六駆逐隊が手分けをして配っているのよ!!」

 

「つまり陸奥さんはこの紙を配った後にどうしたら良いかについて、何も伝えていなかったのですね?」

 

「そ、そうね・・・」

 

 ふぅ・・・おそらく陸奥さんは『書類は大淀さんに提出する』が私達にとって常識だからわざわざ明言しなかったのでしょう。それをプリンツさんからクリスマスの知識を聞いて、暁さんが勝手に判断したのでしょう。これはお説教ですね。

 

「暁さん?」

 

「は、はい!?」

 

「まずは陸奥さんに希望調査を書いたらどうしたら良いかを確認しましょうか?」

 

「え?でもプリンツさんが・・・」

 

「貴女に仕事を頼んだのは陸奥さんです。例えクリスマスの文化としてクリスマスツリーから吊るすのが正解であったとしても、貴女に仕事を依頼した陸奥さんの指示から逸脱してはダメです。だからまずは陸奥さんに確認しなさい。」

 

「は、はい・・・」

 

 私に言われて陸奥さんと通信を始めた暁さんですが、その顔色がどんどん悪くなっていく。

 

「あ・・・その・・・書いたら大淀さんに提出するようにって・・・」

 

「そうですか。」

 

 やはりそういう事でしたか。これは暁さんに軍人としての命令系統のお話を叩き込まないといけませんね。

 

「じ・・・神通さん?」

 

「・・・言いたい事はありますが、まずは間違って伝えた人へ謝って来て下さい。次にまだ渡していない人に配ってお仕事を終わらせて下さい。」

 

「は、はい!!」

 

「それが終わったら・・・またここに来て下さいね。」

 

「はい・・・」

 

「分かったのであればすぐに行動しなさい!!」

 

「は、はい!!」

 

 大慌てで走って行く暁さんを見て、ついついため息が出てしまう。暁さんは一生懸命なのは良いところなのですが・・・きちんと教育をしないといけませんね。

 それにしてもクリスマスプレゼントですか。提督から何か欲しい物を頂けるとの事ですが、あまり高価な物をねだるのはどうかと思いますし、姉さんのように夜戦なんて書いても提督を困らせてしまうだけでしょう・・・どうしたら良いでしょうか?生活に必要な物は支給されておりますし、お給料を頂いているので困っている事はありませんし・・・

 欲しい物・・・欲しい物・・・提督・・・提督のご寵愛・・・夜戦・・・って何を考えているのですか私は!?そんなはしたないお願いが出来るわけないでしょう!?

 

「ただいま~ってあれ?神通どうしたの?」

 

「ね、姉さん!?な、なんでもありません!!」




 天龍&龍田、鈴谷&熊野、川内&神通の3本でした。皆さんはどの姉妹のお話が気に入ったでしょうか?
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