ある穏やかな日の午後。北九州鎮守府の出撃港に艦娘達が集められた。彼女達は皆真剣な表情で提督の言葉を待っている。
「これより対抗演習を行う。第一艦隊は衣笠を旗艦として、青葉・球磨・神通・朝潮・吹雪だ。第二艦隊は鈴谷を旗艦として熊野・天龍・龍田・陽炎・不知火だ。各員実戦だと思って本気で取り組むように。諸君の健闘を期待する。」
「「「「はい!!」」」」
威勢の良い返事をしてから、それぞれの開始地点へと向かって行く。今日はゆっくりと演習を見る余裕があるので、戦力把握の為にもしっかりと見させて貰うとしよう。撮影の準備も出来ているので、戦場の様子も簡単に把握出来る。
「さて、モニターのある指揮室に行くか。」
「はーい、な〜のね♪」
・・・・・・独り言を呟いたつもりだったのに、返事があってかなり驚いた。慌てて振り向くといつの間にかイクが居た。
「・・・いつからそこに居たんだ?」
「ついさっきなのね♪提督をビックリさせる事に成功したの♪」
流石は隠密行動を得意とする潜水艦と言ったところだな・・・まさかここまで近付かれて気が付かないとは思わなかった・・・
「それで?なんでついて来るんだ?」
「今日のイクは非番だから暇なのね。だから提督と一緒に演習の様子を見に来たの♪」
暇だから来たか・・・最近は構って欲しいと言ってくる艦娘が増えたものだが、執務中に来るのは珍しい。艦娘達は仕事の邪魔はしないものだと考えていた・・・
「はぁ・・・悪いが私は遊ぶ暇は無い。遊び相手なら他を探せ。」
「提督!?イクとは遊びの関係だったなんて!?イクは本気だったから悲しいのね・・・」
「人聞きの悪い事を言うな。関係で言うならただの上官と部下だ。」
「つまりイクは命令されたら断われないの・・・エロスを感じるのね♪」
「そうか、では私はもう行く。」
もう自分の手に負えないと判断してイクを放置して歩き出すが、イクはそのままついて来る・・・
「そんな事言わないでイクも一緒に演習の様子を見たいのね。」
「これは遊びでは無い。見たいなら後で記録を見せてやるから、今は邪魔をするな。」
「提督と一緒にリアルタイムで見るから楽しいのね♪それにイクだって遊びだけで言ってる訳ではないのね。ちゃんとした理由だってあるの。」
ちゃんとした理由ねぇ・・・普段から脳内ピンクなイクだから、ちょっと怪しいものだ・・・
「ほう?ではその理由を聞こうか?」
「昔提督が言ってたの。物事は多角的な視点で見るべきだって。一つの視点からでは見えない物もあるから、気を付けるべきなのね。だからこの演習も提督の視点だけじゃなくて、イクの視点もあった方が良いに決まっているのね♪」
・・・・・・思っていたよりまともな理由だった。
「・・・・・・一理あるな。」
「やったのね♪」
嬉しそうなイクと共に指揮室へと入ると、画面越しに艦娘達がスタート地点に向かっているのが見える。開始位置に到着するまでもう少し余裕があるな。
「ではさっそくだが、イクは旗艦の二人をどう見る?私からの印象では衣笠の性格は明るいが、多少心配性なところがある。だから最初は相手の出方を見ると思う。逆に鈴谷はとりあえず動くタイプだから、先に仕掛けるのは鈴谷だと思うのだが?」
「うーん・・・衣笠も鈴谷もエッチな身体つきをしているのね♪衣笠は多少の攻撃には反撃出来るけど、簡単に許容量を超えて真っ赤になっちゃうところが可愛らしいのね♪鈴谷は衣笠よりも積極的だけど、攻められると弱いところは変わらないの♪」
・・・ふむ、最初の一言はともかく、二人共攻められると弱いか。それが本当ならば旗艦としては欠点となってしまうな・・・これは要注意だな。
「では二人の補佐役の青葉と熊野はどうだろう?青葉は視野が広く情報収集に優れる。その代わり旗艦として周りを引っ張るのは苦手みたいだから、サポート役として動いて貰っている。熊野はわりと攻撃的な性格ではあるものの、意外と自分の艦隊をフォローする動きを得意としている。鈴谷との相性も良い。」
「青葉は好奇心旺盛なのね。興味津々だから誘えば簡単なのね♪熊野はレディとしての自尊心が高いけど、あんまり賢くは無いのね・・・プライドをくすぐればすぐに騙せるからちょろそうなのね♪」
なるほど・・・青葉は好奇心旺盛が故に、敵の罠に引っかかる可能性が高いか・・・注意しておくべき点かもしれないな。それと熊野はプライドが高いか・・・深海棲艦相手ならこちらを挑発してくるような事は無いと思うが・・・油断は出来ないな。
「では球磨と神通はどうだ?球磨も神通もかなり好戦的なほうだ。ただ無闇に突っ込むわけでもなく、状況判断は出来ていると思う。」
「うーん、球磨は野生の本能が眠っているのね。ふだんは可愛いキャラだけど、そこを刺激されたら一匹の獣になっちゃうタイプなのね♪神通は真面目なふりをしたむっつさんなのね♪普段は自制してるみたいだけど、こっちも火が付いたら一気に燃え上がるタイプなの♪」
確かにそうかもしれない。球磨もそうだが神通も覚悟を決めた時は躊躇なく敵陣に斬り込む。きちんと手綱を握れる者を旗艦に必要か。
「なるほど。では天龍と龍田はどうだろう?あの二人は球磨と神通よりも好戦的な性格だ。だがあれで以外と面倒見が良いから、水雷戦隊を任せる事も多いが。」
「二人とも軽巡とは思えないくらいエッチな身体をしているのね♪天龍は男っぽい性格でグイグイ距離を詰めてくるタイプなのね。でも一線は超えないあたりなかなか攻略は難しいのね・・・逆に龍田は攻撃的で相手を近寄らせようとしない反面、攻められると激弱なのね♪多少強引に攻めればちょろいのね♪」
なるほど。やはり天龍は旗艦向きらしい。強引な攻めが目立つものの、誰かが沈む程の無理はしていない。駆逐艦の娘達への配慮もしっかりとしている。龍田に関しては少し意外だな。被弾してもむしろ闘志を燃やすタイプだと思っていたが・・・イクの目線でそう見えるという事は、弱いところを隠そうと必死になっているという事か?
「朝潮と吹雪はどうだろう?二人ともかなり真面目で仕事に忠実だ。だが朝潮は少し融通が効かないところが難点だろうか?その点吹雪は誰とでも上手くやれる柔軟性があると思う。」
「朝潮ちゃんはまさに忠犬なのね。提督の命令ならどんな命令にも絶対服従するの。だから朝潮ちゃんにどんな事をさせるかは提督次第なのね♪吹雪ちゃんは真面目だけど隙が多いからちょっとエッチなのね♪雪のように真っ白な吹雪ちゃんを提督好みに染めあげる事が出来る素晴らしい娘なのね♪」
・・・?つまり二人共自分の指揮次第で良くも悪くもなるという事か?出来れば通信が繋がらなくなる事態も想定して、自分自身でも考えて行動が出来るようになって貰いたいが・・・
「陽炎と不知火はどうだ?陽炎はうちの鎮守府に来たばかりの頃は少し無茶をする傾向があったが、最近はかなり改善されて判断力が高くなったと思う。不知火は本当に真面目で軍人らしい性格だと思う。ただその分無茶をしやすいところがあるから、気を付けておくべきだ。」
「二人共スパッツが健康的なエロスを感じさせるの♪陽炎ちゃんは最近お姉ちゃんらしくなってきたから、そういう方向性もありだと思うの♪不知火ちゃんはちょっとおっかないのね・・・でもクールな雰囲気で隠してるだけで、実は凄い情熱を秘めているはずなのね♪」
ふむ、最初の戯言は置いておいて、陽炎はお姉ちゃんらしくなったか。やはり周りから見ても落ち着いてきたという事か。ならば確かに旗艦として運用する方向性も悪く無いかもしれない。反対に不知火はクールに見える反面かなり好戦的だ。どうやらイクも同じ考えのようだな。
「なかなか面白い意見が聞けたな。参考になった。」
「わーいなのね♪イクも頑張って説明したかいがあったのね♪」
「ああ、最後に演習の監督をしている鹿島はどうだ?私としては演習の管理をしてくれて、物凄く助かっているのだが。」
「鹿島はエロスの権化なのね♪イクもエロスに関しては並々ならぬものがあるけど、鹿島にだけは勝てる気がしないのね・・・提督が少しでも隙きを見せたら、すぐに食べられてしまうのね・・・」
「・・・・・・なんの話をしているのだ?」
「え?イクはさっきから皆の魅力とエロスについて語っているのね♪提督も興味津々で聞いてくれるから、イクもすっごく頑張ったのね♪」
「・・・・・・そうか。」
「この調子でもっと艦娘に興味を持って欲しいのね♪そしてイクとも激しい夜戦を繰り広げるのね♪イクはいつでも大歓迎なのね♪」
多角的に物を見るという考えは悪くないが、どうやら人選を間違ってしまったようだ・・・イムヤでも呼んでイクを引き取って貰うか・・・
以上イクと提督のすれ違い回でした。
イクちゃんは完全にエロス&ギャグ要員になってしまいました。