疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 なかなか話が思いつかないうちにもう12月・・・時間が経つのは早いですねぇ・・・


秋刀魚祭り(中偏)

コンコンコン

 

「失礼します。加賀と赤城です。」

 

「入れ。」

 

 秋刀魚漁支援艦隊を編成して送り出す前日の夕方に加賀と赤城が執務室を訪れた。加賀が書類を持っているということは、例の秋刀魚祭りの企画書だろうか?

 

「提督、お待たせしました。秋刀魚祭りの企画書をお持ちしました。」

 

「ではまずは見せて貰おう。」

 

 ふむ、表題は秋刀魚祭りカッコカリか。場所は鎮守府ではなく海沿いの大きな公園か。ここは新年祭が開催された場所だし、お祭りをするには充分な広さはある。あるのだが・・・

 

「この公園は会場としては広すぎないか?秋刀魚を焼いて販売するだけだろ?」

 

「いいえ、せっかくのお祭りですから色々な企画を用意しています。資料の続きを読んで下さい。」

 

「ふむ・・・・・・ちょっと待て。これは流石に規模が大き過ぎるだろ?なんだこの大量の出店は?それにメインステージで歌やダンスの披露まであるのか?どれだけの人員を突っ込む気だ?秋刀魚を焼いて販売するだけならば設備投資も少なくて済むし、人員もさほど必要ではないだろうが、本格的な祭りをするとなると時間も人員も足りる訳がない。」

 

 これは加賀と赤城を買い被り過ぎていたか?祭りの企画でやりたい事があるのは構わないが、実現不可能なプランを持って来るとは思わなかった。

 

「提督、きちんと読んで下さい。出店やステージの設営などは私達の仕事ではなく、一般の方々が設営から全てやるものです。私達が使えるのはここの一角だけですから、提督が懸念される程の負担はないかと。」

 

「・・・・・・確かによく読んでいなかったが・・・何故一般人を巻き込む話になっている?そんな協力をお前達が取り付けてきたのか?」

 

「いえ、秋刀魚祭り開催の為に色々と情報を集めていましたが、その話が綾瀬市長の耳に入ったようで・・・それで街の方で秋刀魚祭りを開催するので、是非とも鎮守府の皆さんにも参加して欲しいから、提督を説得して欲しいと言われてこの資料を頂きました。」

 

「・・・・・・綾瀬さんも何故直接話を持ってこないのやら・・・」

 

「・・・直接交渉するよりも私達が交渉する方が成功する可能性が高いと判断したのではないですか?」

 

「そもそも秋刀魚祭りは鎮守府が参加しなくても開催する予定だったそうですよ?ですから秋刀魚を焼くスペースを一般の方が使うか私達艦娘が使うかの違いしか無いそうです。秋刀魚を調理する為の設備も街で用意して下さるそうです。それと私達からの希望があれば他の調理設備も手配して下さるとの事です。」

 

「なるほど・・・話は分かった。では次の問題だが、北九州鎮守府として参加するとして、人手の問題をどう考えている?通常の業務を滞らせるわけにはいかないのは当然だし、非番の奴等もわざわざこんな面倒な仕事に参加したがるだろうか?」

 

 そう言うと赤城と加賀が揃って溜め息を吐く。

 

「はぁ・・・どう思います加賀さん?」

 

「提督は私達の事を理解していないようで残念です。」

 

「ほう?」

 

「提督、これを。」

 

 赤城が手渡してきた資料には艦娘達の名前がズラッと書いてある。

 

「これは署名か?」

 

「はい、北九州鎮守府の秋刀魚祭りへの参加を希望する娘達による署名です。提督を説得する為に必要だとお話したら皆さん協力してくださって、9割以上の艦娘の署名を集める事が出来ました。」

 

「・・・そんなに集まるものなのか?」

 

「そんなに集まるものなんです!!というより集めたものなんです!!」

 

 確かに実際に集めて来たという事実は変わらないか。

 

「・・・そうだな。それにしても理解出来ん。何がそこまでお前達を駆り立てるのだ?祭りの準備や運営なんてものは面倒な仕事だぞ?トラブルも起きやすい。」

 

「それはもちろん出店でたくさんの美味しいものが、じゃなくて多くの人を笑顔に出来る素晴らしいお仕事だからです!!」

 

「赤城さん・・・大事なところだからきちんと締めて貰いたかったのですが・・・まあいいです。私達は人々を護る為に日々深海棲艦と戦っています。だからこそ私達が護ってきた成果としてお祭りが開催され、人々の楽しそうな姿を確認することは士気の向上に繋がります。」

 

「もちろん私達だって楽しみますよ♪そうやって艦娘も人間も一緒に楽しんでこそのお祭りですから♪ですから鎮守府や大本営のイメージ向上とか、鎮守府の資金稼ぎとかは一旦置いて、私達の士気向上の為にも是非参加を検討して頂けませんか?」

 

「士気の向上か・・・確かにたまには息抜きも必要か。」

 

「「では!?」」

 

「ああ、鎮守府として参加しよう。」

 

「「ありがとうございます!!」」

 

 赤城はともかく加賀がここまで感情を表に出すのは珍しいな。艦娘達がここまで祭りへの参加を望んでいた事に気が付かなかったのは私の認識不足だな。

 

「だが参加するからには半端な真似は出来ない。綾瀬市長と打ち合わせをして、私達が使えるスペースで何をするかを決めよう。それとシフトの調整だな。流石に全員一度に参加させる事は出来ないが、交代で哨戒任務をすれば希望者の参加は可能なはずだ。もちろん事前に出来る限り深海棲艦の拠点を潰す事も重要だ。忙しくなるから覚悟しろよ。」

 

「「はっ!!」」

 

―――――――――――――――――――――

 

 そこからは本当に忙しい日々が続いた。市長の綾瀬さんや秋刀魚祭り実行委員会との打ち合わせ、使う機材の手配や会場の設営と確認、秋刀魚漁支援任務の戦闘指揮と平行して鎮守府近海の哨戒。そして人員の管理が最も大変だ。

 

「それでこれが出店を希望する者達のリストか。」

 

「はい、目を通して頂ければと。」

 

「ふむ、秋刀魚を塩焼きだけではなく刺身と蒲焼でも提供するのか。」

 

「はい。メインは塩焼きですがせっかくなので他の食べ方でも提供したいとのことで。」

 

「ふむ。蒲焼の調理は難しくなく特別な設備は必要ないし、普段から調理の手伝いをしている翔鶴が担当か。刺身に関しては技術が必要だと思うが、担当者が鳳翔なら大丈夫だな。塩焼きは間宮監督の元で駆逐艦達が調理するのか。」

 

 まあ、間宮が監督するなら問題ないか。塩をかけて焼くだけならそこまで問題は起きないはずだ。

 

「はい、流石に大量の秋刀魚を焼くのであれば、どうしても人手が必要ですから。それと別の屋台の出店希望も4件あるのですが・・・・・・」

 

「ふむ・・・・・・お好み焼きはわかる。カレーもまあ理解は出来る。だが鮭の塩焼きと神戸牛のステーキって何を考えているんだ?」

 

「球磨さんと熊野さんですね・・・おそらく二人共ただ単に食べたかっただけかと・・・一応希望を出された以上、提督には伝えなくてはと思ったのですが、流石に無理ですよねぇ・・・」

 

「当然だ。鮭も神戸牛も高級食材だぞ。そんな予算はかけられん。というかそもそも球磨と熊野は料理なんて出来るのか?食堂を手伝っている話は聞いた事ないが?」

 

「球磨さんは焼くだけなら大丈夫だと思いますが、鮭を捌くのはちょっと難しいのでは・・・熊野さんに関しては私も料理している姿を見た事は無いですね・・・姉の鈴谷さんはたまに間宮さんの手伝いをされているようですが・・・」

 

 そんな状態でよく提案が通ると思ったな・・・こいつらは祭りで浮かれ過ぎだ。

 

「なら論外だ。それでお好み焼きは龍驤か。龍驤は料理出来るのか?」

 

「はい。粉物なら任せときって言ってましたし、実際にお好み焼きは居酒屋鳳翔でたまに作っています。味に関しても評判が良いですよ。」

 

「なら問題ないな。ではカレーの方だが・・・希望人数が多くないか?」

 

「そうですね。やはり海軍とカレーは縁が深いものですし、カレーならば自信があるって娘も多いですから。」

 

「だがカレーばかりにそんなに人数は割けないぞ?」

 

「では候補の艦娘達にカレーを作って貰って、提督が審査をしてカレー担当を選ぶのはどうでしょうか?」

 

「まあそれが無難か。参加希望者は大和・高雄・北上大井ペア・金剛比叡ペア・鹿島・羽黒か。今夜にでも作らせてみるか。」

 

「分かりました。そのように手配しましょう。」

 

 とりあえず出店に関してはこれで問題ないだろう。あとはどれだけ秋刀魚が手に入るかと、当日のシフト調整だな。祭りの仕事だけでなく鎮守府としての仕事もあるのだが、これだけ祭りに参加したがる艦娘が多いのだ。時間の調整をして希望者全員が祭りに参加出来る状況を作ってやらないと、不平不満が出てしまう。本当に厄介な話だ・・・

 

――――――――――――――――――――――――

 

 その日の夜、提督はカレーの審査をした事を後悔することになったが、それはまた別のお話・・・・・・




 食中毒ダメ絶対!!
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総合評価:10119/評価:8.13/連載:240話/更新日時:2024年12月22日(日) 03:19 小説情報


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