疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 今回は年末特別編です。クリスマスはやる気が起きなかったのでスルーしましたが、年末の賑やかな雰囲気が書きたかったので、思い付きで書いてみました。


年末If

「報告!第1班、執務棟及び周辺の清掃完了しました。」

 

「第2班、艦娘寮、入渠施設の清掃完了しました。食堂の清掃は先日完了済みです。」

 

「第3班、工廠及び倉庫区画や出撃港の清掃完了しました。艤装の整備もバッチリです。」

 

「第4班、年末の宴会用の食事及び、年始用のおせちの準備整っております。」

 

「第5班、広域哨戒部隊、全員帰投済み。敵影ありませんでした。」

 

「了解した!これにて我が鎮守府は年内の業務を終了する。各自入渠を済ませフタマルマルマルに食堂に集合せよ。解散!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

 今年も残すところあと数時間。今年は何事もなく年末年始を迎えられそうだ。清掃関係や食事の準備などは、予定を立てて終わらせるだけなのだが、深海棲艦の動きだけはこちらで管理は出来ないからな。まあ、この日の為に哨戒範囲を広げて、片っ端から深海棲艦の拠点を潰していたからこその安寧とも言える。さて、自分も風呂を済ませて忘年会に備えるか。

 

――――――――――――――――――

 

「総員、提督に敬礼!!」

 

「今は業務時間外だ。楽にしてくれて構わない。まずは今年一年お疲れ様。誰一人欠ける事なく今年を終える事が出来て安心している。これも皆が力を合わせて勝ち得た結果だ。また来年も様々な困難が待ち受けていると思うが、全て乗り越えてまた一年の無事に感謝出来るように頑張ろう。その為にも今日は多いに食べ、多いに飲み、多いに騒ぎ、日頃の疲れを癒して来年への活力にして貰いたい。では諸君、乾杯!!」

 

「「「「「乾杯!!」」」」」

 

 乾杯の音頭と共に歓声が爆発して、ワイワイと大騒ぎになる。こうした宴会では恒例の立食形式で準備をしているので、まずは駆逐艦達がその機動力を生かして、各所で料理集めに奔走している。十分な量は用意しているはずだが、空母や戦艦等の大食艦を警戒しているようで、特に人気がある料理は忽然と姿を消す事もあるので要注意らしい。次は巡洋艦や軽空母達の順番でこちらはあまり慌てた様子は無いが、後ろで涎を垂らしながら待っている赤城を筆頭に、そわそわしている空母や戦艦達が待っているので、手際よく料理を取っていく。中にはある程度のつまみを確保して、即座に居酒屋鳳翔へと駆けて行く飲兵衛達の姿もあった。鳳翔には年末年始くらい休みを取ってはどうかと提案したが、「皆さんの笑顔が一番の楽しみですので、お店を開けさせて頂けませんか?」との事だった。一応食堂にもお酒は置いているのだが、飲んで騒ぎたい者達には居酒屋鳳翔が一番居心地が良いらしい。そして最後に空母や戦艦達の登場だ。私が命令した訳ではないのだが空母や戦艦達が自発的に、こういう宴会では先に駆逐艦や巡洋艦達に料理を取る時間を与えているようだ。場合によっては皿の上の料理が消えてしまうので、他の艦娘達に気を使っているようだ。発案者の一人でもある赤城は、頭では分かっているようなのだが、いつもフラフラと無意識に料理を取りに行こうとするのを加賀に抑えられている。巡洋艦達の順番が終わると解放されて、猟犬の如く料理に駆け寄り、満面の笑みで大量の料理を食べ始める。以前間宮も「あそこまで喜んで頂けるなら、作ったかいがあると言うものです。」と喜んでいたな。もちろん大食艦は赤城だけではなく、赤城に勝るとも劣らない大和や、冷静な顔で大量の料理を確保する加賀など、他の者達も大皿を手に豪快に食べている。

 

「よぉ提督!いつも言ってるけどよ、ぼさっとしてたら料理が無くなるぜ?」

 

「天龍か、料理はしっかり準備してあるから心配するな。いくつか無くなったとしても、どれも美味いから他の物を食べれば良いだけだ。」

 

「ったく、ノリの悪い奴だぜ。もうちょっとその場の雰囲気って言うかよぉ。提督の悪いところはそういうところだぜ?こういう楽しむ場なんだから遠くから眺めるじゃなくて、もっと積極的に参加しろよな!」

 

「天龍ちゃん?」

 

「あ、龍田!」

 

「天龍ちゃん提督を呼んで来てくれるって言ったよねぇ?いつまで立ち話するつもりなのかなぁ?いつまで私達を待たせるつもりなのかなぁ?」

 

「あ、いや、あれだよ、今誘おうとしてたところだからそんなに怒るなよ・・・ってことで提督、準備してるから一緒に喰おうぜ!」

 

 ニコニコと黒い笑顔を絶やさない龍田に叱られて、天龍が少ししょんぼりしていたが、すぐに気を取り直して誘って来た。まあ、あれだ。宴会のたびに毎度毎度艦娘達が誘ってくれるのは嬉しいものだな。これも上司と部下のコミュニケーションと言うものだろうか?

 

「ああ、感謝する。一緒に食べようか。」

 

「おう!そう言うと思ったぜ!こっち来いよ!」

 

 そう言って肩を組んで引っ張る天龍と、あらあら~と言いながらニヤニヤしている龍田に連れられて、準備している席へと向かう。

 

「あ、提督!早く早く!夜は始まったばかりなんだからいっぱい楽しもうよ!!」

 

「もう、姉さん!大声出して・・・はしたないですよ!」

 

 席には満面の笑みで手を振る川内と、その妹ながら保護者みたいな存在になっている神通がいた。既に日が沈んだ後だからか川内は絶好調のようだ。放っておいたらいつの間にか夜戦をしてそうなくらい元気だな。

 

「待たせて悪かったな、さっそく頂くとしよう。」

 

「天龍ちゃんがもたもたしたせいだけどねぇ~」

 

「いや、あれだぜ!提督が悪くてだな!?」

 

「はぁ~い、皆改めてかんぱ~い!」

 

「「「乾杯!!」」」

 

「あ、おい!無視すんなよ!か、乾杯!!」

 

 間宮が準備した料理に舌鼓を打ちつつ、楽しく食事を始める。最近の龍田は以前のような暗さはあまり感じず、天龍を可愛がりながらも玩具にして楽しんでいるようだ。たしか天龍の方が姉だった気もするが、川内と神通の方も妹のほうがしっかりしているので、珍しい事でも無いかも知れないな。

 

「それにしても天龍ちゃんはずいぶんと丸くなったわよねぇ~昔の提督に噛みついてた天龍ちゃんからは想像つかないなぁ~」

 

「そんな事はねぇだろ!?俺だって文句言う時はちゃんと文句言ってるじゃねえかよ!?」

 

「そうは言ってもねぇ~さっきも肩を組んじゃうくらい仲良しさんじゃない?ああいうの妬けちゃうなぁ~」

 

「そ、そんなんじゃねえよ!そんな事言うなら龍田も肩組めばいいじゃねぇかよ!」

 

「そう?天龍ちゃん私とも肩組んでくれるの?」

 

「俺かよ!?提督相手じゃねぇのかよ!?」

 

「私は提督相手にそんなはしたない真似は出来ないわぁ~出来れば女性らしくエスコートされてみたいけれど、どうかしら?」

 

 龍田が流し目でこちらを見てくるが、これは絶対からかってきてるな。

 

「エスコートねぇ・・・そんな紳士的な振る舞いは得意ではないから期待されても困るぞ?」

 

「あらあら~?私達艦娘と出掛けた事何度もありますよねぇ?皆笑顔で帰って来たの知ってるんだけどなぁ?それに私達だけじゃなくて、北条提督と小森提督とも出掛けてたわよねぇ?それなのに私はダメなんて言うつもりかなぁ?」

 

 ニコニコ笑顔なのに目が笑って無い。龍田は相変わらず怖い雰囲気を纏っている。さっきまで楽しそうにしていた周囲の艦娘達も箸が止まっているじゃないか・・・川内以外。

 

「はぁ・・・エスコートはともかく、一緒に出掛けるくらいならば時間を取ろう。」

 

「やったぁ!ちゃんと約束しましたからねぇ?飲みの席での事だから忘れたなんて言わせませんからねぇ?」

 

 圧は凄いがニコニコ笑顔の怖さが半減した雰囲気だな。最近はわりと余裕もあるし、部下とのコミュニケーションも大事だろう。

 

「あ、じゃあさ!じゃあさ!私はまた提督と夜戦がしたいな!夜戦!!」

 

 その瞬間食堂の空気が止まった気がした。龍田の圧から解放されて、楽しい雰囲気を取り戻そうとしていたのに、川内の一言で一気に静まりかえってしまった。

 

「ちょ!姉さん!!こんな公の場で・・・」

 

「ん?神通どうしたの?そんな顔を赤くしてさぁ?あ!もしかして神通も一緒にやりたいの?一緒にやる?」

 

「ええ!?いや、それは!?」

 

「はぁ・・・それで川内、今度は何をするんだ?トランプか?将棋か?それともゲーム機でも持ち出すか?」

 

「う~ん、この前卓球台を設置したじゃん!あれやろうよ!?」

 

「卓球かぁ・・・艦娘の身体能力はかなり高いからなぁ・・・まあ、良い。この後は休みなんだから相手になろう。」

 

「さっすが提督!!夜戦が待ち遠しいなぁ!」

 

 明るい川内の様子に誤解が解けたようで、周囲の艦娘達も徐々に賑やかさを取り戻していくが、神通は顔を真っ赤にして俯いたままだ。龍田はニコニコしていて、天龍はよく分かっていない様子だな。

 

「おいおい、夜戦に行くなら俺を外すなよ?天龍様の力を見せてやるぜ!!」

 

「良いじゃん!良いじゃん!夜戦は皆で楽しまないとね!!」

 

「あらあら~天龍ちゃん大胆ねぇ~なら私も一緒に夜戦しようかしらぁ?神通も一緒にやる?」

 

「あ、はい・・・私も参加します・・・」

 

「よっしゃあ!!誰が一番強いか勝負だな!!」

 

 天龍がチキンを持って立ち上がり、こちらに突き付けて宣戦布告をする。お互いに睨みあってニヤリと笑う。その背後から夕立がこっそり近づいて、天龍のチキンを咥えてかっさらう!!

 

「あ、おい!!俺のチキンに何しやがる!?」

 

「ふっふっふっ、夜戦では油断大敵っぽい!油断してる方が悪いっぽい!!」

 

「言うじゃねぇか?なら夕立も今日の夜戦に参加するよな?力の差を見せてやるぜ!」

 

「望むところっぽい!!夜戦なら夕立も負けないっぽい!!」

 

 そうやって天龍と夕立がやりあってる隙に、今度は睦月がこっそりやって来て、天龍のお皿を拝借して行った。龍田はそれに気が付いていたにも関わらず、嬉しそうにニコニコしているな。

 

「なんにせよまずは腹ごしらえだなっておい!俺の皿がねぇぞ!?」

 

「天龍さん!油断大敵にゃしぃ!!」

 

「上等だ!!お前ら全員かかって来やがれ!!」

 

 今夜の夜戦は賑やかなものになりそうだ。年越しの祝いも兼ねて派手にやるか!




 皆さん今年もお世話になりました。来年も応援を是非宜しくお願いします。
 と言いつつも今年は残り僅かなので、皆さんが見る時には来年になってるかも?

次回のタイトルは?

  • 青葉If
  • 曙If
  • 加賀If
  • 川内If
  • 瑞鶴After
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