疑心暗鬼提督 If   作:ライadgj1248

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 そろそろアンケート一位の加賀Ifを書こうかと思っていたら、いつの間にかぼのたんが逆転してました。なので曙Ifを先に仕上げました。


曙If

 どうやら今日はバレンタインデーらしい。日頃の執務が忙しくて忘れていたが、今朝一番に金剛姉妹がやって来て、重厚感溢れる巨大なハート型チョコを持って来たので思い出した。どう考えても人間の胃に収まるサイズでは無いのだが・・・金剛曰く『提督へのloveはこんなものじゃ伝えきれないネ!!』との事だが、チョコの大きさで表現するのは勘弁して欲しいものだ。これは後で解体して鎮守府の皆で食べるしかないな・・・

 

 そう考えていたが1日を過ごしていると、どんどんとチョコが増えて山になっていく。その多くは日頃の感謝をと言って義理で渡してくれたものだが、中には好意で渡してくれた者もいたので、無駄には出来ないのだが・・・とにかく数が多くて困ったものだ。

 とりあえず問題を先送りにして執務を続け、昼食を食べて執務室へと戻ろうとしていた時に、曙から声をかけられた。

 

「ちょっと提督!これ落としてたわよ!」

 

 そう言って曙は綺麗にラッピングされたハート型のチョコを差し出してくる。ん?見覚えが無いものだが・・・今日はチョコを多く貰ったから分からなくなっているだけだろうか?

 

「すまない、助かった。」

 

「こういうのは作った娘の思いが込められてるものなんだがら、もっと大事にしなさいよね!」

 

「ああ、気を付けよう。」

 

「ん、そう。分かれば良いのよ。それで?午後からの予定はどうするつもりかしら?秘書艦補佐として何か仕事はあるの?」

 

「そうだな、哨戒部隊が何も発見しなければ、今日は演習の様子を見ておきたい。先日建造した者の様子も確認しておきたいからな。大淀には書類仕事を任せているから、曙は有事の際に備えて一緒に来て貰おうか。」

 

「ええ、そういう事なら任されたわ。」

 

 なんだか曙はご機嫌のようだな。昔に秘書艦補佐の仕事を罰として与えて以来、曙は真面目に取り組んでくれている。最初の頃は緊張感と言うか自分自身を追い込んでいるような印象だったが、最近は秘書艦補佐の仕事に誇りを持って取り組んでくれているような気がする。だから秘書艦補佐としての仕事を任せると、少し機嫌が良くなるのもいつもの事ではあるか。

 

「ちょーっと待ったぁ!!」

 

 突然の大声に振り返ると、そこには第七駆逐隊が揃っていた。

 

「ん?漣、どうかしたか?」

 

「ぼのたん!!さっき提督に渡したチョコは、昨日第七駆逐隊の皆で作った奴でしょ!!渡すのをぼのたんに任せたのになにやってんのさ!?」

 

「ちょ!?バカ!!」

 

「ん?そうなのか?」

 

「そうですともご主人様!!このハート型のチョコは第七駆逐隊からの気持ちを込めているものでありますぞ!!」

 

「うん、私達皆で作った物だよ。」

 

「そ、そうですね、潮もお手伝いしました。」

 

 第七駆逐隊からの攻撃によって曙は顔を真っ赤にして、完全に狼狽えているな・・・

 

「あー、曙、なんでこんな渡し方にしたんだ?」

 

「べ、別に良いじゃない!!ちゃんと渡したんだから!!」

 

「ちゃんと渡せてないぞ~!!ぼのたんには説明責任がある!!秘書艦補佐としてちゃんと説明しろ~!!」

 

「秘書艦補佐は今関係無いでしょ!!」

 

「曙ちゃん?せっかく皆で作ったのに・・・」

 

「ちょ!潮!泣かないでよ!」

 

「朧は皆とチョコ作り楽しめたから満足なんだけど、落とし物扱いはちょっとねぇ。」

 

「甘いですぞおぼろん氏。あんな渡し方では漣は満足出来ませんなぁ!もっとラブコメ展開キボンヌ!!」

 

「さ、漣!!あんたラブコメ展開とかあるわけ無いでしょ!?ふざけすぎよ!!」

 

 だんだんと収集がつかなくなってきたな。もうどうして曙があんな渡し方をしたのかと言う話からかなり脱線してしまったな。

 

「と言う訳でご主人様、こちらのチョコは一旦お預かりします。ぼのたんにもう一度だけチャンスをあげて下さいな。」

 

「あ、ああ。分かった。」

 

「はい、ぼのたん、今度は漣達も見てるから、ちゃんと渡してね。」

 

「はぁ!?そんなの出来るわけ無いでしょ!?」

 

 しかしジト目の漣と朧と泣きそうな潮に見つめられて、曙もやはり後ろめたさを感じてしまったようだ。

 

「な、なによ・・・あーもう!ちゃんと渡せば良いんでしょ!!分かったわよ!!」

 

 そう叫ぶと曙は漣からチョコをひったくったけれど、その場でモジモジし始めてなかなか渡して貰えない。

 

「ぼのたんビビってるぅ!ヘイヘイヘイ!!ぼのたんビビってるぅ!ヘイヘイヘイ!!」

 

「うっさいわね!ビビってなんか無いわよ!!」

 

 漣に煽られた曙が反撃とばかりに、漣に蹴りを入れ始めた。まあ、これもよく見る光景なのでもう慣れたものだ。

 

「おっふ!!ちょ、ぼのたん、八つ当たりで蹴らないで!!てか今日のはマジ蹴りじゃん!!」

 

「あんたが茶化すからでしょうが!!八つ当たりじゃないわよ!!まったく・・・」

 

 しばらく朧と潮の後ろに隠れた漣を睨んでいたが、数回大きく深呼吸をしてこちらを向く。顔を真っ赤にしながらそっぽ向いて、あらためてハート型のチョコを差し出してくる。

 

「んん!その、提督、これ第七駆逐隊からよ。皆が提督に感謝してるから準備してたわ。だからちゃんと食べてあげてちょうだい。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

「その言い方だとぼのたんの気持ちを伝えられてないぞ~!!ハート型にしたのは、ぼのたんの愛情表現ですぞ~!!」

 

「ちょ!!漣!!あんたさっきから何言ってんのよ!!べ、別にそんなんじゃ無いわよ!!これはその・・・そう!型がこれしかなかったからしょうがなくよ!!変な勘違いしないでよね!!」

 

「犯人はこのような証言をしておりますが、検察のおぼろん氏は何か反論はありますかな?」

 

「あー、曙ちゃんが用意した型はハート型しかなかったかな?」

 

「お、朧まで!?と、とにかくちゃんと渡したんだからこの話はもうおしまいよ!!あんた達は早く演習の準備をしなさいよ!!」

 

「おっとこれは失礼!これ以上提督との愛の語らいを邪魔するのは無粋ですな!では提督、ぼのたんを末永く宜しくお願いしますぞ~」

 

 最後の最後までニヤニヤと曙をからかっていた漣だったが、激怒した曙から逃げるように第七駆逐隊の仲間と逃げ去っていく。

 

「漣は相変わらずだな。」

 

「本当にあの性格には困ったものよね。あれは漣の冗談だから、提督も本気にしないでよね?」

 

「だが第七駆逐隊からの感謝の気持ちって事は間違いは無いのだろう?もちろん曙も含めてだ。」

 

「・・・そうね。提督には感謝してるわ。漣があんなバカ出来るのも、潮や朧と一緒に過ごせるのも提督が助けてくれたおかげだから・・・皆感謝してるわ。」

 

「そうか、ならこのチョコはありがたく頂くとしよう。今後も秘書艦補佐として宜しく頼む。」

 

「ええ、私が引き受けた仕事だもの、しっかりと務めてみせるわ!」

 

 良い笑顔で宣言する姿は、頼もしさを感じる。今後も頼りにさせて貰おうか。

 




 なかなか素直になれないぼのたん可愛い。そんなぼのたんの背中を押してくれる第七駆逐隊も尊いものです。

次回のタイトルは?

  • 青葉If
  • 曙If
  • 加賀If
  • 川内If
  • 瑞鶴After
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