バトルフロンティアが廃人の施設とか言った奴出てこい   作:麦わらぼうし

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正規の方法で聞くことのできない鳴き声って、使っていいんですかね?


やり込み要素を全て終えると、次はバグ技を試してみたくなる

『アトリエのあな』

 

 この名前を聞いて、即座に何処か分かる人はどれだけいるだろう?

 

 名前だけ見れば、どこかの洞窟か、もしくは遺跡であるということは何となく想像できるかもしれない。

 

 だが街の名前ならともかく、ゲームの土地の名前を全て覚えている人は少ない筈だ。

 

 ポケモンのシリーズでも、エメラルドバージョンにしか登場しない場所。その中でも、ここがバトルフロンティアにある場所だと覚えている、というか知っている人は遊んだ経験のある人だけだと思う。

 

 いや、遊んだことがある人でも分からないかもしれない。それぐらい、バトルフロンティアでは目立たない場所だ。

 

 その人たちには、こういえば伝わるだろうか?

 

 

『ドーブルが出現する洞窟』

 

 

 と。

 

 ここは、バトルフロンティアの地下にある洞窟だ。ゲームでならば、ウソッキーが道を塞いでおり、秘伝技の『なみのり』を使わないと行くことができない場所にある。

 

 だと言うのに、特別な設定やシナリオがある場所でもない。ただ、他では現れないドーブルが出現するだけの洞窟。

 

 現在、俺が居るのはそんな洞窟の中だ。

 

 なんでこんなところに居るのか?

 

 まぁ、順を追って説明すれば簡単な話なんだけど……。

 

 俺がバトルピラミッドの救護室で目を覚ましてから少しして、先輩とジンダイさんがお見舞いに来てくれた。

 

 ジンダイさんは俺が無事なことを理解すると、一度謝罪してから「良かった」と豪快に笑っていた。

 いや、倒れたのは俺が無理してバトルを続行していただけだから、謝られるようなことじゃないけど。この対応を見る限り、他にも熱で倒れた人が居たのかな……。

 

 まぁ、そっちはどうでもいい。問題なのは先輩の方だった。

 

 案の定、先輩には「滅茶苦茶心配した!」と物凄く怒られた。

 そうですよね……俺としては、意識を失って倒れるのは珍しいことではないけど、他から見たら心配どころじゃないですよね。すみません……。

 

 担当医の人から聞いたけど、やはり俺が倒れた原因は熱中症だった。

 

 先輩曰く、受け身も取れていない危険な倒れ方だったらしいが、幸いなことに後遺症らしきものは無いそうだ。その点はひと安心である。

 

 そして改めてジンダイさんから、金色のブレイブシンボルを貰い、バトルフロンティア制覇!

 

 ……となったんだけど。

 

 ちょうどその時、俺が全ての施設を突破したことを知らされたエニシダさんが現れて、とんでもないことを告げられた。

 

 

 アニメでサトシ君が全ての施設を突破した後、フロンティアブレーンへの内定を貰ったことを知っているだろうか?

 

 

 そう……。

 

 

 現実でのバトルフロンティアの施設は―――増えるのだ。

 

 

 つまり、ゲームでのバトルフロンティアは制覇したが、現実となったこの世界のバトルフロンティアは制覇出来ていない、ということである。

 

 さて、ここまで言えば分かったかもしれないが、ではその増えた施設はどこにあるのか? という疑問への答えが、この『アトリエのあな』があるバトルフロンティアの地下なのだ。

 

 ゲームでの、あの謎のスペースが新しいバトルフロンティアの施設になるとは完全に予想外だった。

 

 もっとも、その新しい施設は、まだ名前すら無いけどね……。

 

 それというのも、バトルフロンティアの施設が増えるには、全てのフロンティアブレーンに認められる必要があるので、必然的にバトルフロンティアを制覇できる実力が求められる。

 

 だが、この魔境のようなバトルフロンティアを制覇できるような実力者は、すでに何らかの立場を持っていることが殆どだ。

 ここに招待されるような主人公は、基本的にチャンピオンになってからだしね。

 

 なのでバトルフロンティアを制覇しても、新しいフロンティアブレーンを引き受けるような人物は居なかった……今までは。

 

 つい最近、バトルフロンティアを制覇したトレーナーが、新たなフロンティアブレーンになることを了承したのだ。

 

 なので新しい8番目の施設は作ることになったばかりであり、その前にバトルアリーナの修復作業を優先させていたこともあって、まだ施設としては完成していない。

 

 ということで一応、現在の挑戦できる施設を全て突破した俺は、バトルフロンティア制覇という扱いになる。

 

 では、なんでまだ挑戦できない施設の洞窟に俺が来ているのか?

 

 まぁ簡単に言ってしまえば、エニシダさんにテスターを頼まれたからである。

 

 8番目の施設は、この洞窟にあまり手を加えないで使うつもりらしく。現状で挑戦者がどのような道順を進むのかを見て細かい調整をしたいのだとか。

 

 もちろん、危険が無いように最低限の整備は終わっている。

 

 病み上がりではあるけど、俺も少し体を動かしたかったし、俺の他にも エニシダさん に声を掛けられたトレーナーが何度かテスターをして安全が保障されているらしいので引き受けたのだ。

 

 え? バトルピラミッドが終わったら先輩と一緒にガラルに行くんじゃなかったのか、って?

 

 あぁ……うん。

 

 バトルフロンティアの外に行くには、1日1回だけある定期船に乗らないといけないんだけど、今日の船は俺が寝ている間に出港しちゃったんだ……。

 

 だから明日の出港時間までは暇なんだよ……。

 一応、ゲームの時みたいに飛べるポケモンに乗って出ることもできるけど、バトルフロンティアの周辺は挑戦中のトレーナーが『ひこう』ポケモンの訓練を良くしているので、流れ弾に当たりそうだからやりたくない。

 

 まぁ、そんな感じでテスター 兼 将来的に挑戦するであろう施設の下見をしている訳である。

 先輩に心配されたけど、バトルフロンティアに連れて来てくれた エニシダさん に恩返しできるなら、俺に引き受けない選択肢はなかった。

 

 流石に洞窟なので視界は薄暗いけど、今回はテスターということでバトルする必要もないし。ここに来る前に立ち寄ったモニター室から、監視カメラで見られている筈なので迷子になる心配もない、とても気が楽である。

 

 なので思う存分、ここの情報を覚えさせてもらうことにしよう。

 

 そう思って周囲を見渡せば、確実にLv100までは育てられているポケモンたちが大量に徘徊している。その数は確実に、100種類を超えているだろう。

 

 何でも、この新しい施設は、フロンティアブレーンのポケモンを徘徊させて、挑戦者に突破させるというバトルピラミッドのような方式の施設らしい。

 

 ただ、こちらで徘徊しているポケモンは殆どが一般のポケモンだ。当然、最終進化まではしているけどね。

 

 さて。これを聞いて「ピラミッドの劣化版?」なんて思うかもしれないけど、当然そんなことはない。

 

 確かに準伝説、伝説、幻のポケモンだらけのピラミッドに比べて、ここに居るポケモンは殆どが一般ポケモンだ。

だけど、ここのポケモンたちは同じトレーナーのポケモンという仲間関係なのである。

 

 今はテスターということで襲ってはこないが、実際に挑むことになった時は連携して襲ってくるようになる。

ゲーム的に言うと、ダブルバトルや、トリプルバトル、群れバトルみたいになるのかな?

 

 全員がトレーナーのポケモンなので、死ぬようなことをされはしないだろうが、トレーナーがLv100まで育て上げたポケモンたちが連携するというのは、危険度はともかくバトルピラミッドの難易度に決して引けを取らないだろう。

 

 特に、あの人が育てたポケモンならば尚更だ……。

 

 

 新しいフロンティアブレーン。

 

 

 さて

 

 それは、いったい誰でしょうか?

 

 

 ………………居たよね?

 

 

 全てのシンボルを集め終えているのにバトルフロンティアに残っていた人が、居たよね?

 

 

 主人公でありながら、次の世代の主人公がポケモンリーグに挑戦する頃には、なぜかチャンピオンではなくなっていた裏ボス的な立ち位置に居た人が、居たよね?

 

 

 ……まぁ、そういうことだよ。

 

 

 バトルフロンティアの第8番目の施設。

 

 

 そのフロンティアブレーンの名前は「レッド」である。

 

 

 そのことを聞かされた時は、戦ってもいないのに目の前が真っ白になった……。

 

 

―――いや、どうしろと?

 

 

 そう思ったのが、素直な感想だ。

 

 だが、それと同時にもう一つの感情が湧いてきた。

 

 

―――今度は、ちゃんとバトルすることはできるかな?

 

 

 レッドさんは、今の俺では絶対に勝てないと思っているトレーナーだ。

 

 しかし、それはバトルをしない理由にはならないし、勝利を諦める理由にもならない。

 

 少なくとも以前の、バトルとも呼べないような不甲斐ない結果のままにしておくことに、俺は耐えられない。

 

 実は以前に戦った時。俺は気分が最悪だったために「ポケモンバトルとして出して大丈夫な技の威力」の配慮を一切させずにバトルしてしまったのだ。

 

 要するに、準伝説が持っている本来のスペックでバトルした。

 

 まぁ、相手があのレッドさんだったから「大丈夫だろう」という、半ば八つ当たり気味だったのは否定できないけど。

 

 

 ……だけどレッドさんは、そんな状態のラティアスたちに本気を出してはくれなかったのだ。

 

 

 やる気がない……というより、ラティアスたちで何かを試しているようだった。

 要するに、俺たちはバトルをする対戦相手ではなく、ただポケモンの調子を整えるための練習相手ぐらいにしかなれなかったのである。

 

 そうじゃなければ『プテラ』と『リザードン』がバトルする時と『ピカチュウ』がバトルする時とで、バトルの方法が違い過ぎたのだ。

 

『プテラ』と『リザードン』を使っていた時は、俺でも分かるぐらいの大きな隙を何度も見逃していたのに対して、最後の『ピカチュウ』を出してきた途端に、何もできずに3タテされた。

 

 そのあまりにも絶対的な実力差に、気分が一周まわって変な笑いが出たよ……。

 

 

 これが「原点にして頂点」

 

 

 人間でありながら「伝説」と呼ばれるトレーナーの実力を目にして、今のままでは絶対に勝つことができないと思い知らされた。

 

 そういえばそこから、俺はバトルフロンティアに全力で挑もうと思い始めたんだったかな?

 

 ラティアスたちの基礎は、前世の時点で既に完成している。

 

 故に、スペック自体が力不足だったなんてことは絶対に無い筈だ。

 

 ならば、なぜあんなバトルにすらならない結果になったのか?

 

 その理由なんて分かり切っている。

 

 

―――俺だ

 

 

 当時の俺が、ラティアスたちがLv100だからと、実力が頭打ちであると決めつけて、育成をしていなかったからだ。

 

 現実となったこの世界では、ポケモンの強化方法は多岐にわたると以前に言ったが、それでもLv100の準伝説に勝てるようなポケモンなんて早々居ない。

 

 だから、勘違いしていた。

 

 全ての強化を終えた状態が、潜在能力を全て引き出したLv100なのだと、当時は思っていたのだ。

 

 だけど、そうじゃなかった。

 

 Lv100とは、ポケモンだけで出すことができる限界値であり、トレーナーを含めた総合力とは別物だと気づけた。

 

 だからこそ、今度はレッドさんとバトルする時までには、最低でも「本気を出さざるをえないような強さ」になると、俺は目標に決めた。

 

 

 そこが、ある意味、この世界での俺の始まりだった。

 

 

 それまでは、前世の状態で停滞していたのだ。

 

 あまり言いたくはないが、ラティアスたちは、前世の俺がゲームを操作して捕まえて育てた子たちだ。

 

 つまり厳密に言えば、この子たちの『おや』は俺ではなく、その遊んでいたゲームの主人公なのである。

 

 

―――俺は、そこからこの子たちを掠め取ったに過ぎない。

 

 

 だから、まずは証明しなくてはならなかった。

 

 俺は、君たちの『おや』に足りえるトレーナーである、と。

 

 君たちを捕まえ育てた主人公と同じように、主人公勢なら突破できるバトルフロンティアの施設を制覇する。

 

 きっとそこが、俺のスタートラインとしなければならない場所だと、思ったからだ。

 

 ラティアスたちを本格的に育成するのは、それからである。

 

 まずは、この子たちに認めて貰わなくてはならない。

 

 これが、俺のトレーナーとして力量である、と……。

 

 それでも、俺についてきてくれるか? と……。

 

 

―――これがきっと、ポケモンとトレーナーの、正しい関係の始め方だと思ったから……。

 

 

 まぁ、そんな感じでバトルフロンティアを進めて行ったら、だんだんポケモンバトルが楽しくなっていった訳だ。

 

 だからこそ、レッドさん打倒は最終目標であるが、バトルフロンティア挑戦中は戦う以前の問題だとしていたんだけど……。

 まさかフロンティアブレーンになっているなんて、予想できる訳ないよッ!

 

 なにッ!? ここも洞窟だからって、第二のシロガネ山にでもするつもりなんですかねぇッ!?

 

 出現するポケモンが全てLv100のマップとか、ポケモンのゲームであったかなッ!?

 

 野生の伝説のポケモンだって、実際に戦う際には3~7割までの実力しか出さないから、本気の殺し合いにでもならない限り、野生ではLv70までと扱われているんだよッ!?

 

 まぁ、普通に考えれば当たり前だけどね。100%の全力を出せば疲れるし、野生の場合はバトルが終わっても回復してくれる誰かが側に居る訳じゃないから、ある程度の余力を残してバトルするのは当然だ。

 

 だからLv100の実力を出してくる野生ポケモンって普通は居ないんだけど、ここのポケモンたちは全員が仲間だから『ひんし』になっても、誰かが回収してくれるだろうし、ゲームで出したら間違いなく最難関のマップになるのではないだろうか?

 

 基本的に徘徊しているのはカントー地方のポケモンだけど、エーフィ とか エレキブル とかの進化先のポケモンも居るし、たぶんだけど 3鳥 と ミュウツー と ミュウ は確実に居るだろう。

 

 いずれ挑戦する時のことを考えると頭が痛くなりそうだ……。

 

 ようやくバトルフロンティアを制覇したから自信もついて、これからラティアスたちを育成しようと思った時に、この育成能力差を見せられると心が折れそうになるよ……。

 

「あれ?」

 

 なんか普通に歩いていたら、突然に辺りが真っ暗になった。

 

 

―――なにこれ?

 

 

 いや、マジでナニコレ? シロガネ山(金銀バージョン)の再現でもしているのか、ってぐらい真っ暗になったんだけど?

 

 いや、暗いと言うより……黒い? あたり一面が真っ黒で、明るいのに暗いような変な場所になった。

 

 

「…………………………」

 

 

 …………………………。

 

 

 いや、まて。

 

 

 待て待て待て待て。

 

 

 落ち着くんだ俺、流石にコレは在り得ないだろ……。

 

 

 いくら レッドさん だからって、このポケモンをゲットできるとは思えない。

 

 だからきっと、今 目の前に居るポケモンは何かの見間違いの筈だ。そうに違いない。

 

 

「ドドギュウウーン!!」

 

 

 だが、俺のそんな現実逃避は、他ならぬ目の前のポケモンが鳴き声を上げたことで否定された。

 

 なんでアナタが、ここにいるんですかねぇ……。

 

 なに?

 

 レッドさんは、このポケモンまでゲットしたの? 嘘でしょ……?

 




ORASで新しくなったバトルフロンティアを遊べると思ったのに……。

きっと『アトリエのあな』に新しい施設が出来ていて、エメラルド主人公がブレーンとして出てくると妄想していたのは私だけですかね?

いつも誤字報告ありがとうございます。
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