【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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(ラスバレめっちゃやってました)


「Let's rise」/「ワタシたちの夢は壊れない」

「────!」

 

 少女が駆ける。

 艶やかな黒髪を靡かせ黄金の剣(ダインスレイフ)を携えた少女が、苔むした建物の間を縦横無尽に駆け巡る。

 今、少女──白井夢結は止まれない。

 足を止める事は、死を意味する。

 

「────っ!」

 

 ()()に気付いた夢結が弾かれるように左へ跳躍した直後、上空から矢のように飛来したアタッシュカリバーが廃ビルを一刀両断した。

 続けざまに3本のグングニルが、廃墟群の隙間に逃げ込んだ夢結を追って宙を舞う。

 

「────っ、また……!」

 

 そう、彼女はアークワンに迫っているのではない。

 ()()()()()()()()()()()()のだ。

 正確には彼が操作する武器の内6つに追い立てられていると言った方がより正しいだろうが、何にせよ夢結が防戦一方であると言う事実が其処に存在していた。

 

(兎に角、隙を作らないと──!)

 

 廃墟の壁を蹴って変則的に機動しながら夢結は思考を巡らせる。

 歴戦の勇士たる夢結でも逃げ回るのが精一杯である位に、武器による攻撃は鋭い。

 加えて彼女が真に相対すべき相手は、先程言葉を交わした位置から一歩足りとも動いていないのだ。

 それどころかアタッシュショットガン、アタッシュアロー、ショットライザーと言った遠距離武器を自身の周囲に滞空させてひたすらに此方の隙を窺っていると来た。

 あまりに完璧な布陣に、夢結の額を汗が伝う。

 

「参ったわね……」

 

 正に鉄壁。

 正に難攻不落。

 これを正攻法で陥落させるとするならば、手練れのレギオンが総力で以て武器群を無力化するしかない。

 だが、この場にいるのはたった1人──即ち夢結だけだ。

 勝手に飛び出してきてしまった以上増援に期待する事も出来ず、手元にあるのもダインスレイフただ一機。

 無論第2世代CHARMの中でも直接攻撃と火力に特化したダインスレイフがアークワンに対して決定打足り得ないと言う事ではないが、武器群を全て捌くには些か物足りない。

 では、夢結には勝機が無いのか────そんな事は無い。

 

「はあぁっ!」

 

 マギによって強化された腕力から放たれた斬撃が前方から迫るサウザンドジャッカーを、後方から再度追い縋るアタッシュカリバーを、上方から振り下ろされるオーソライズバスターを()()()()()()()()()弾き飛ばす。

 その勢いのまま2階建ての住宅に着地し──シューティングモード(射撃形態)に変形したグングニルが取り囲む。

 だが、それも夢結の想定通りだ。

 

「──甘いわね」

 

 諭すような呟きと共に、風雨に晒され老朽化した天井が着地の衝撃に耐えきれず()()()

 それによって左右後ろ(三方向)から僅かに遅れて放たれた銃弾は落下する夢結の髪を掠めるに留まり、直ぐ様窓ガラスを突き破って飛び出した彼女に再び逃走のチャンスを与える事になった。

 

(────やっぱり()()()()なら凌げる)

 

 そう、夢結は防戦一方だが決して成す術が無い訳ではない。

 普通のリリィなら1機にさえ翻弄される筈の武器群を、彼女は()()()()()()同時に捌く事が出来るのだ。

 

「こんな攻撃で私を殺せるものか……!」

 

 夢結からすれば武器群の攻撃など、「鬱陶しい」以外の何物でもない。

 もしこれを操作しているのが二川アルト本人だったら、夢結は当の昔に敗北を喫していただろう。

 だが、赤いアークワンの操作には「意思」が乗らない。

 機械のように正確で、狼のようにしつこいように見えるが──所詮はその程度だ。

 模倣しただけで魂の籠らぬ武器風情に、白井夢結は破れない。

 勿論それは並外れた技巧と豊富な戦闘経験が紡ぎだすパーフェクトハーモニー(完全調和)が成せる技であり、夢結が常時完璧な戦術を導きだしているからこそ儚い「勝利の可能性」を未だその手の内に収めていられるのだ。

 

「しつこい……!」

 

 そしてだからこそ、夢結は焦っていた。

 例えどれだけ優れたリリィであっても、マギの保有量には限界があるのだ。

 跳躍や身体強化を続ければ何れは枯渇するし、そうなってしまえば万が一にも勝ち目は無い。

 なればこそ、短期決戦が夢結に要求される。

 

「この6機さえ撒ければ──!」

 

 疾走する夢結を執拗に追い回す武器群をもし、仮に一瞬でも引き離す事が出来れば彼女はその隙にアークワンに肉薄するだろう。

 勿論其処には3種の射撃兵装が待ち構えている訳だが、前述の通り夢結にとっては然したる問題ではない。

 

(違うわ。アークワンはどう動く────?)

 

 少女にとって重要なのは、赤いアークワンの動向である。

 今も顔だけ夢結の方に向けて静止しているソイツが、一体何れ程の能力を備えているのか。

 もしヒュージが「二川アルトが変身したアークワン」を戦法ごとそのままなら模倣しているのならば、攻略は容易い。

 

(ただ真似ただけならば────)

 

 確かにアークワンは一蹴りで地が裂き、腕の一人振りで廃墟を粉々にするだけのスペックを保有している。

 だが、()()()()だ。

 なまじどんな相手でも簡単に屠れる力を持っているからこそ、彼に戦術の研鑽と言う概念が存在しない。

 夢結の知る限り、アルトの戦い方は良くも悪くもアークワン頼りの──隙だらけな素人同然のモノだったのだ。

 赤いアークワンが何も考えずにそれらを模倣しているならば、必然的に生じる隙を一突きするだけで勝敗は決する。

 

(────助けられる(勝てる)

 

 そう、夢結の勝利条件は武力で以てアークワンを倒す事ではないのだ。

 ダインスレイフで斬る必要も、刺突する必要もない。

 百由のラボから掻っ払ったコードで腰にぶらさげているゼロツードライバーを、彼の肉体に取り付ける。

 ただそれだけで良いのだ。

 そして()()()()を実現するには、どうするか。

 

「────突っ込む!」

 

 己に発破を掛けると同時に、ローファーが地面を蹴る。

 加速、加速──そして更に加速。

 靴底が大地に触れる度に、少女は加速する。

 それは自ら銃口に体を晒す自殺行為だったが、夢結は死中にこそ活を見出だした。

 

 間違いなく、アークワンは夢結を()()()()している。

 

「────遅い!」

「────」

 

 散々追尾してきた剣達が、瞬く間に点になる。

 ショットライザーから放たれた銃弾が、アタッシュショットガンから放たれたスラッグ弾が、アタッシュアローから放たれた矢が()()()

 黄金の残光を引く地上の流星と化した夢結に、アークワンの予測が覆されたのだ。

 

「前提を書き換え、結論を────」

「遅いと言ったでしょう……!」

 

 そうして2射目が装填されるより速く、リリィは何事か呟くアークワンの懐に潜り込んだ。

 今更のように相手は緩慢な動きで防御姿勢を取ろうとしているが──もう遅い。

 既に夢結の左手にはゼロツードライバーが収められている。

 既に夢結はアークワンの腹部にベルトを押し当てようとしている。

 既に夢結は────

 

 

 

『Gun rise』

 

「──────!?」

 

 突如として背後から飛来した光弾が、無防備な体勢の夢結を吹き飛ばす。

 下手人は──変形した()

 そう、白井夢結は知らなかった。

 オーソライズバスターには銃への変形機能がある事を、彼女は一切知らなかったのだ。

 

「予測、完了」

「な────」

 

 何、と言葉にして発する暇さえ存在しない。

 もんどり打って転がる夢結目掛けて銃弾、光弾が雨霰のように降り注ぐ。

 突撃は失敗した。

 ならば夢結は1度距離を置いて仕切り直さなければならないが、彼女にそのようなチャンスは与えられなかった。

 

「────」

「────!?」

 

 転がる勢いのまま立ち上がった夢結の視界一杯に、深紅の髑髏仮面が広がる。

 いつの間にか超至近距離まで接近していたアークワンの右拳がグッと握りしめられ、脇の下まで引き絞られる。

 そして────炸裂。

 

「────」

「ぐ、ぅ────!?」

 

 全身が粉々に砕け散りそうな程の衝撃が夢結を襲う。

 腰の回転と剛腕を最大限活かした模範的な()()()()が、咄嗟に構えたダインスレイフに叩き込まれたのだ。

 

「っ、あ!」

「────?」

 

 それでも耐えた。

 靴底が地面にめり込む程の衝撃を受けながら、夢結は崩れ落ちるのを堪えたのだ。

 そう、()()()()()

 

「しまっ────!?」

 

 激突に耐えきれず左手からすっぽ抜けたベルトが、曇天の空に弧を描く。

 当然だが、ゼロツードライバーは地面に落下した程度で壊れる程脆くはない。

 今すぐこの場から離脱して回収すれば、再度攻撃のチャンスを作る事も可能だろう──回収出来れば、の話であるが。

 

「や────」

「排除────」

 

 ジャキリ、と武器群が鎌首をもたげる

 銃口が、切っ先が、純然たる悪意が無防備なベルトに向けられる。

 砕ける。

 これだけの攻撃を1度に受ければ、如何なゼロツードライバーと言えど砕けてしまう。

 

「止めて──────!」

「開始」

 

 絶望に染まった夢結の制止を塗り潰すように、アークワンが号令を放つ。

 必死になって伸ばした手の先で刃が、銃弾が、落下するベルトに殺到し────

 

 

『JACK RISE』

 

『JACKING BREAK』

©️ZAIA エンタープライズ

 

「!?」

 

 突如飛来した桃色の隼が、その機械の脚でベルトを掴み上空へと退避する。

 

「お姉様から離れなさいっ!」

「梨璃!?」

 

 そして予想外の乱入者に動きを止めたアークワンの横から、桃髪の少女──一柳梨璃が斬りかかった。

 幾らリリィとしては未熟な梨璃の振るうグングニルでも、直撃すればダメージにはなる。

 そう判断したアークワンは刃が食い込む一瞬前に飛び退くが、更にその背後から少女が──二川二水がアークワンを吹き飛ばす。

 

「甘いですよ!」

「二水さん!?」

 

 その手に握られているのは青い柄のグングニルではなく、つい今しがたまで夢結を追尾していたサウザンドジャッカーと全く同一の剣だ。

 何故そんな物を持っているのか。

 いや、そもそも何故此処に来てしまったのか。

 そんな疑問がよろめく夢結の中に湧き上がるが、それを口に出すより速く二水が叫ぶ。

 

「1人で行ってしまうなんて酷いじゃないですかっ!」

「それは──」

「お姉様は、他のガーデンがアルトくんを倒してしまう前に1人で片を付けようとした──違いますか?」

「う……」

 

 確かに、そうだ。

 百合ヶ丘が撤退したとなれば、その穴埋めは他のガーデンがする必要がある。

 だが、そうして鎌倉の奪還を目指す彼女達はゼロツー計画の事を知らない──いや、知ったとして協力する義理が無い。

 二川アルトが人間として扱われるのは飽くまで百合ヶ丘が身柄を保障しているからであり、それが無くなってしまえば彼は討伐対象に成り下がってしまうのだ。

 肩を支える梨璃に、震える声で問い掛ける。

 

「どうして……」

「え?」

「どうして、来てしまったの……?」

 

 無謀だと理解した上で救出に挑むしかない。

 半分自殺染みた行為に梨璃や一柳隊を付き合わせるつもりもない。

 成功しても、失敗しても誰にも迷惑の掛からない最善の選択だと夢結は信じていたのだ。

 だと言うのに、来てしまった。

 2人は来てしまったのだ。

 もう何を言えば良いのか、何を考えれば良いのか夢結には分からなかった。

 

「ふふっ」

「何が可笑しいの……?」

「お姉様、知っていますか────」

 

 だが、そんな彼女に対して梨璃は柔らかな笑みを浮かべて答えを告げる。

 諭すように、労るように、慈しむように────

 

 

 

 

 

「リリィは助け合い、ですよ?」

 

 そう、それは少女達にとって普遍の誓い。

 ヒュージを敵とする限り誰もが心に秘めている願いが、若きリリィ達を動かす。

 1人でダメなら、2人で。

 2人でダメなら、レギオンで。

 レギオンでダメなら──皆で。

 

「夢結様もアルトくんも、同じリリィです。だったら仲間を助けるのが人間って生き物なんですよ!」

「貴女達……」

 

 倒れ伏したアークワンから視線を逸らさぬまま、サウザンドジャッカーを構えた二水が語る。

 人は助け合うから人なのだと。

 群れるだけで助け合わないヒュージとは違うのだと。

 夢結の決意を知り、だからこそそれを無駄にしない為に彼女達は来たのだ。

 なら────夢結も、それに応えるべきだろう。

 

「力を貸して貰っても、良いかしら」

「勿論です!」

「お姉様と一緒なら、何処まででも!」

 

 もう何も奪われない為に、そしてもう何も奪わせない為に運命の少女が今一度ダインスレイフを握り直す。

 

 

 

 

 

「──────行くわよ」

 

 糸で吊られた人形のように奇怪な動作で起き上がったアークワンに向けて、チャームの刃が突き付けられた。

 

 

 

■■■

 

 

 誰もが、()()()を待っていた。

 ひたすらに、沈黙を保って待っていた。

 そして──来た。

 

「よし、梨璃ちゃんと二水ちゃんは夢結の所まで辿り着いたわね!」

「なら────」

「作戦はフェーズ2に移行よ!皆配置に就いて!」

「了解!」

「ほら行くわよ!荷物は全部置いて行きなさいな!」

「壱、亜羅椰!向こうは頼むよ」

「行きましょう、天葉お姉様……」

 

 折り畳み式簡易テーブルの上に置いたパソコンを叩きながら真島百由が歓声を上げ、それを受けた人だかりが待ってましたと言わんばかりに散開する。

 僅か20秒後、その場に残されたのは百由と一柳隊の7人、そして理事代理の高松咬月の9人のみだった。

 

「で、これからどうするんだ?」

「よくぞ聞いてくれたわね!」

 

 両手を頭の後ろで組んだ吉村・Thi・梅の問いかけに彼女は眼鏡をギラギラと輝かせながら返事をする。

 ハイテンションにも程があると誰もが思うだろうが、残念な事にこの手の大掛かりな話になれば最大限()()()()()()のが真島百由と言う人間なのだ。

 

「これより、一柳隊にはノインヴェルト戦術を決行してもらいます!」

 

 そしてノッている時の百由が思い付く事は大体の場合──トンでもない。

 

「救出すればそれで終わりじゃないのか?」

「いいえ、恐らくは終わらないわ」

 

 訝しげな表情をする鶴紗の言葉が間髪入れずに否定される。

 そう、恐らく終わらない。

 確かにアルトの魂を収めたヒュージが変換されれば、それで当初の目標は達成されるだろう。

 

「絶対に()()わ、あのヒュージ」

「そうなると────」

 

 だが、()()のだ。

 アークワンの質量からアルトを作り出した場合、どうあってもその全てを使う事は無い。

 そうして変換が完了した後、残された()()()は何をするか──決まっている。

 

「死に物狂いでアルトくんを取り戻そうとするでしょうね」

「くっ……!」

「だから消し飛ばすのよ。地中に埋まってる奴らも纏めて」

 

 そして敵はアークワンだけではない。

 彼が移動に用いたミサイル型ヒュージ3体は地中に埋没し、そのまま強力なマギの結界を鎌倉一帯に展開しているのだ。

 これによってチャームの起動が妨げられ、リリィ達はアークワンに接近する事が不可能となっている。

 例外はヒュージ由来のダインスレイフ(白井夢結)推定レアスキル「カリスマ」S級(一柳梨璃)サウザンドジャッカー(二川二水)を持つ3名のみであり、彼女達を支援したいのならば結界の外から攻撃するしかない。

 

「救出が完了するまではマギスフィアでヒュージの注意を逸らす……そう言う事ですか?」

「雨嘉ちゃん大当たり!」

 

 故にこそのノインヴェルト戦術。

 前回出現したヒュージがノインヴェルト戦術の対策をした個体であった事からも、アークワンに無視と言う選択肢は無い筈だ。

 結界の範囲外から超長距離でパスを回し、成長するマギスフィアにアークワンの注意を割かせるのが一柳隊に与えられた使命なのだ。

 

「救出が終わり次第フィニッシュショットでアークワンごと地中のヒュージを滅却!っつー訳じゃな」

「そうよー」

 

 それは梨璃達3人でアルトを救出する事を前提とした、あまりにも大雑把で場当たり的な作戦だ。

 だが、今はこれに賭けるしかない。

 他に打てる手など無い。

 リリィ一人一人が成すべき役割を、ただ全力で成し遂げる。

 それだけが何もかもを丸く収める為の、たった1つの解決策だった。

 

「取り敢えず始動は雨嘉さんで、その次は結梨さんですわね」

「わたし?」

 

 きょとん、と首を傾げる結梨に対して楓が髪をかきあげる。

 何せ臨機応変な状況への対処能力に於いて、百合ヶ丘で楓の右に出る者はいないのだ。

 前衛(AZ)中衛(TZ)後衛(BZ)も全て卒なくこなす彼女がカバーに入れば、例えノインヴェルト戦術初心者の結梨であってもし損じる事など先ず有り得ない。

 

「多少のしくじりは私がカバーして差し上げますから、思いっ切りぶちかましてやると良いですわ!」

「うん!」

「後は梅様、ミリアムさん、鶴紗さん、神琳さんと繋いで────」

 

 梨璃達の所に届ければ良い。

 だが、そう上手く行く訳は無いだろう。

 相手はヒュージと言う人間の理では測れない生物であり、何があってもおかしくはない。

 そうなった時は────

 

 

 

「出たとこ勝負、ですわ!」

 

 結界外に散った全校生徒が迎え撃つ。

 それが百合ヶ丘で戦うリリィ達が、その手で選んだ生き様である。

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「────ん?」

 

 気付けば、男は木製の椅子に腰掛けていた。

 見上げた空は青く、所々に綿菓子のような雲が浮かんでいる。

 

「────百合ヶ丘?」

 

 そう、男がいるのは百合ヶ丘女学院だ。

 正確には、戦闘を見学する為に敷地内に建てられた張りぼてのビルだが、今重要なのはそんな事ではない。

 

「何で俺、こんな所にいるんだ……?」

 

 男には、此処に来た覚えが無い。

 それどころか男にとって()()()()最後の記憶は、百合ヶ丘を砲撃せんとする忌々しいヒュージに肉薄した所までである。

 違和感はそれだけに留まらない。

 

「どうなってんだ、これ」

 

 翳した手のひらは幼い少年のモノではなく、「転生」する以前に見慣れた男のそれだった。

 今、彼は「二川アルト」ではなく    であった。

 理由は分からないが、どうやら元の自分に戻ってしまったらしい。

 

「……まぁ、いっか」

 

 男は考える事を放棄した。

 これが死後の世界とやらかもしれないし、或いは何かしらの夢を見ているだけかもしれない。

 だが、考えた所で何かが変わる訳ではないのだ。

 

「良い天気だなぁ……」

 

 あまりにも穏やかで、寧ろリリィ達と過ごした9ヶ月が夢であったかのようにすら男は感じた。

 平々凡々な一社会人であった男にとって、それだけ戦いに満ちた世界と言うのは異常な代物だったのだ。

 端的に言ってしまえば、酷く疲れている。

 

「何だっけかなぁ……何かしないといけない事があった気がするんだけどなぁ……」

 

 何にも、無かった。

 男は仲間を守る為に、恩義に報いる為に必死になって戦っていたが、此処には何も無い。

 善良なリリィ達も、彼女達を脅かすヒュージも、騒がしい掲示板の人々も何一つとして存在しない。

 ただ青い空と、ガーデンセットと、微睡む自分と()()()()()────

 

 

 

「あ?」

「初めまして、    さん」

 

 いつの間にか対面に腰掛けていた「二川アルト」が、にっこりと微笑んだ。




◯白井夢結
 我等がお姉様。
 つよい(確信)
 別にブリューナクからダインスレイフに持ち替えても劇的に強くなる訳ではないのでアークワンを一方的にぶちのめしたりは出来ないけど普通に捌けるし何ならダメージを入れる位全然出来る。

◯二川二水
 ふーみん、戦士になる。
 貰ったのはジャック済みサウザンドジャッカー(withプログライズキー各種)。
 この世界の仮面ライダーサウザーは「人の命を守る為に開発されたレイドライザーが悪用された場合」にそれらを制圧する為に開発されたシステムであり、サウザンドジャッカーは最小限の武力行使で相手を鎮圧する為に製作された。
 なお今回サウザンドライバーが渡されなかったのは再生産が間に合わなかった為であり、もし間に合っていたら普通に天津垓が直接出向いていた。

◯一柳梨璃
 聖母梨璃さん。
 ヒュージにスリップダメージ与えながら味方にバフをかけられる「カリスマ」と思わしきレアスキルを保有している。
 なおBOUQUET本編でカリスマの上位互換である「ラプラス」の存在が示唆されているが、カリスマの研究は全レアスキル内でもトップクラスに遅れているので実際どちらなのかは不明。

◯一柳隊と百合ヶ丘のリリィ達
 リリィの敵はヒュージだけだから助けを求められたら迷わず手を差し伸べる聖人達。
 小説版とか舞台版とかだとそれなりにいざこざがあるけど悪い人はいない。

◯赤いアークワン
 やる気あんのかお前。
 ちょっと喋るけど明確な意思すら存在しないのでアークワンの能力と全く噛み合わない。
 模倣しただけなのも相まってアルトが変身してる時よりも更に弱いし何なら武器の遠隔操作以外見る所無い。

    
 「二川アルト」に憑依していた転生者。
 その意識は未だ夢の中に。

◯「二川アルト」
 本来の彼。
 今になって現れたその意味は何か。

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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