【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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(結局普段と変わらないペースで投稿している…?)


第2話「原風景」

432:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 甲州に行きます

 てかもう行ってる最中

 

433:ご機嫌よう名無し様 ID:s6BLpEEpQ

 いきなり行くな

 

434:ご機嫌よう名無し様 ID:CbKcm0MiE

 急にどしたん?

 

435:ご機嫌よう名無し様 ID:g+2IilMt5

 徹夜で作戦会議してたんじゃなかったのか

 

436:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 してたはしてたんだけど

 百由様のお陰で割とあっさり例のクソヒュージの居場所が分かったんだよね

 

437:ご機嫌よう名無し様 ID:gN47x23K1

 百由様ナイスぅ!

 

438:ご機嫌よう名無し様 ID:flojIeYIR

 でも何で分かったんだ?

 気配を消した上でガン逃げしてるとか言ってなかったっけ

 

439:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 それがですね

 クソヒュージは梨璃ちゃんに毒電波的なサムシングを発信する事で負のマギを増幅してる事が判明したんですよ

 

440:ご機嫌よう名無し様 ID:/4r+O4mqi

 フフフ……

 

441:ご機嫌よう名無し様 ID:9BWtzPCEI

 >>440

 止めないか!

 

442:ご機嫌よう名無し様 ID:/OS3F8MMw

 まだ何も言ってないじゃん!

 

443:ご機嫌よう名無し様 ID:vEYmOAbRw

 メタルジェノサイダー……

 

444:ご機嫌よう名無し様 ID:2KP+Z+gwY

 デッドエンド一族も帰れ!

 

445:ご機嫌よう名無し様 ID:o6PfWYflR

 揃いも揃って話の腰を折るんじゃないよ

 

446:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 それで発信源が甲州だから、外征として此方から出向いてやろうと言う訳なんですよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 電車で

 〔添付:車窓から覗く田園都市の写真〕

 

447:ご機嫌よう名無し様 ID:lqiHS6Zc2

 え、電車?

 

448:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 そう、電車

 

449:ご機嫌よう名無し様 ID:JFZjXd7hW

 こう言うのって普通車とか出して貰えるんじゃないの?

 

450:ご機嫌よう名無し様 ID:ZTz08kaHx

 てか結構前に夢結様がラムネ買いに行った時も思ったんだけどさ

 普通に人住んでない?大丈夫?

 

451:ご機嫌よう名無し様 ID:82dewR2un

 陥落したってのに随分穏やかだよなぁ

 

452:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 あーそれね

 ヒュージって無駄にデカイから一時的に制圧出来ても長期的な占領とかあんまり出来ないらしいのよ

 

453:ご機嫌よう名無し様 ID:XmI5/cLCY

 へー

 

454:ご機嫌よう名無し様 ID:1z/gsZWjZ

 沢山攻めてくるって言っても面制圧とか絶対出来なさそうな数だもんな

 

455:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 だから危険を承知で戻ってくる人もいるし、ほぼ無人駅の上にワンマンの二両編成だけど電車も運行してると

 

456:ご機嫌よう名無し様 ID:XT42VGrjj

 あっそっかあ……

 

457:ご機嫌よう名無し様 ID:v7dOQFh+I

 態々車出さんでも近くまで電車通ってるならそっち使わせるよな……

 

458:ご機嫌よう名無し様 ID:btzlfAZ+v

 交通網も大分貧弱になってるんすね……

 

459:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 後、交通費は百合ヶ丘が負担してくれるとの事です

 

460:ご機嫌よう名無し様 ID:Ko19J/4QP

 当たり前でしょそんなん……

 もし外征費用が自己負担だったらリリィはサボタージュしても許されるで

 

461:ご機嫌よう名無し様 ID:7qAZ5hQkq

 重要なのそこじゃないよね絶対

 

462:ご機嫌よう名無し様 ID:yBl51edzZ

 もっとこう……何かないのか

 

463:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 うーん……

 あ、今回もゼロツーはダメだって

 

464:ご機嫌よう名無し様 ID:uxLyYa86r

 ファッ!?

 

465:ご機嫌よう名無し様 ID:dRp2gT98I

 えー!?

 

466:ご機嫌よう名無し様 ID:S35i410Om

 またゼロツーダメなのか……

 

467:ご機嫌よう名無し様 ID:WhzGvffb/

 此方が言い出した手前アレだけど、いきなりクソ重要な話題に移られると温度差で風邪引くわ

 

468:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 ガーデン存亡の危機とかエリアディフェンスが破られたとかじゃないから許可は下ろせないって髭親爺が言ってた

 

469:ご機嫌よう名無し様 ID:urIJs6uX9

 酷い言い方になっちゃうけど、別に百合ヶ丘全体の危機とかじゃないしな……

 

470:ご機嫌よう名無し様 ID:ZVlqlpFs8

 流石の髭親爺も出し渋るか

 

471:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 まぁ或人社長が何か持ってきてくれるらしいし

 今ある手札で出来る事をやるしかないね

 

472:ご機嫌よう名無し様 ID:35S0XUIfj

 そうだよ(便乗)

 

473:ご機嫌よう名無し様 ID:UeG7l7MDr

 孤立無援って訳じゃないし一柳隊の皆もいるんだから行ける行ける

 

474:ご機嫌よう名無し様 ID:X2KBNRzUg

 サクッとクソヒュージ倒してサクッと帰って来ればええねん

 俺が見たいのは濃密な百合なんだよ

 

475:ご機嫌よう名無し様 ID:R0S+I/LT4

 >>474

 正体現したね

 

476:ご機嫌よう名無し様 ID:4Te9kSlcP

 そう言えば梨璃ちゃんの具合はどうなん?

 

477:ご機嫌よう名無し様 ID:72Zpci/L8

 確かに気になる

 

478:ご機嫌よう名無し様 ID:BA3uZ4b2B

 夢結様も付いてるんだし、流石に1日や2日でどうこうって事は無いだろうけど……

 

479:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 そこそこ元気そうだし今回の外征にも普通に付いてきてるよ

 これ2時間位前の梨璃ちゃんね

 〔添付:カフェテラスで照れ臭そうな笑みを浮かべる梨璃の写真〕

 

480:ご機嫌よう名無し様 ID:sgiJ9DGID

 あら可愛い

 

481:ご機嫌よう名無し様 ID:TbeeEgvE1

 はい保存

 

482:ご機嫌よう名無し様 ID:XMYVhk5j1

 やっぱ梨璃ちゃんの笑顔を……最高やな!

 これを曇らすヒュージ君は今すぐ死んで♡

 

483:ご機嫌よう名無し様 ID:6Hn0vArX3

 梨璃ちゃんの笑顔を見れた喜びとヒュージに対する怒りが頭の中でぐるぐるしている

 

484:ご機嫌よう名無し様 ID:bXyUXuEP2

 美少女を曇らすのは、百合の間に挟まるのと同じ位重い罪だからな……

 

485:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 と言うか、さっきから何でこんな統一性の無い話をしているのかと言うとですね

 

486:ご機嫌よう名無し様 ID:fHdiP7sX/

 はい

 

487:ご機嫌よう名無し様 ID:ZpO6j2j+w

 何や

 

488:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 今皆寝てるからめっちゃ暇なのよ

 この写真をネタに一時間半位駄弁らせてくれや

 〔添付:一柳隊の皆がシートに背を預けて寝ている写真〕

 

489:ご機嫌よう名無し様 ID:7nnu3bIDq

 あら^~

 

490:ご機嫌よう名無し様 ID:SmhDXgX/L

 アッ(即死)

 

491:ご機嫌よう名無し様 ID:+eXLDYXqY

 肩を寄せ合ってるしぇんゆー良いですわゾ~コレ

 

492:ご機嫌よう名無し様 ID:UpJhyPlLD

 すんげぇ尊い……

 それに梨璃ちゃんと夢結様と梅先輩が着てる服カッコいいね……

 

493:ご機嫌よう名無し様 ID:x+r1B3dpy

 肩マントが滅茶苦茶イカしてるんだが?

 

494:ご機嫌よう名無し様 ID:c/OceLzLw

 こう言うのがコスプレじゃなくてガチで様になってる辺りやっぱり美少女なんやなって

 

495:ご機嫌よう名無し様 ID:nfPs37tzG

 二水ちゃんが首からコルク瓶ぶら下げてるな

 新しいファッション?

 

496:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 >>492

 アルトラ級討伐したレギオンは制服を改造して良いんだってさ

 取り敢えず今は3人分しかないから梨璃ちゃん達が着てるけど何れ皆のも来るらしい

 

497:ご機嫌よう名無し様 ID:i+/aagOnN

 ほえー

 

498:ご機嫌よう名無し様 ID:Be8IIcqEQ

 ええやん!

 

499:ご機嫌よう名無し様 ID:pZ1pvzEam

 とするとさ

 ゆーじあさんは何であんな破廉恥な格好してるん?

 あれ明らかに制服じゃないよね

 

500:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 ……留学生だから?

 ワイにも分からん

 

501:ご機嫌よう名無し様 ID:SaR86AHnS

 えぇ……(困惑)

 

502:ご機嫌よう名無し様 ID:4jkDfL1qz

 確認して、どうぞ

 

503:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 嫌だよエロガキだと思われるじゃん

 

504:ご機嫌よう名無し様 ID:DOCIjx6Mz

 関係ない、行け

 

505:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 ……

 

507:ご機嫌よう名無し様 ID:HTX9qFAK2

 ?

 どうした?

 

508:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 いや、何でもない

 

 

 

 

■■■

{ 第  話 }

 

原 風 景

landscape of the heart

 

 

ノスタルジアに誘われて

──×──

There is nothing unknown to his eyes

■■■

 

 

 

 鎌倉から鈍行を何本も乗り継ぎ、実に二時間半もかけて一柳隊が降り立ったのは、深山幽谷を背後に背負う寂れた無人駅であった。

 かつてはぶどうの産地として名を馳せていたらしいこの地も、陥落地域に指定された今では全く人の気配を感じない。

 伽藍堂の市街地と所々舗装を突き破って生い茂った雑草だけが、訪れる者に時の流れを伝えている。

 

「……暇」

「暇ですね」

「暇だぁ……」

「アルト、暇ー!」

 

 そんな無人駅の待合室で安藤鶴紗、郭神琳、二川アルト、一柳結梨の4人はただぼんやりと時間を浪費していた。

 革張りのソファーに腰掛け、テーブルを囲んでラムネをちびちびと飲むその様は、ファミレスに集って駄弁る学生が如き「緩い」光景だ。

 だが、それは決してサボりや昼下がりのシエスタではない。

 

「……来ないな、飛電の社長」

「まぁ、迂回して来ると仰っていましたし……」

 

 そう、現地で支援物資を渡す予定だった飛電或人が未だに到着していないのだ。

 何でもヒュージの破壊活動によって道路が陥没してしまったらしく、どうにか迂回路を探そうとしているようだが──その連絡を受けてから一時間半、未だに飛電製作所の社用車が姿を見せる気配は無い。

 

「夢結たち、大丈夫かな……」

「まぁ梅先輩に楓さん、二水ちゃんと雨嘉さんにやたら元気なぐろっぴまで付いてったんだから大丈夫だと思うよ」

 

 或人は来ず、だからと言ってずっと駅前に屯する訳にも行かず梨璃の状態から鑑みて外征を長引かせるのも宜しくない。

 故に、先行してヒュージを捜索する集団と戦力を温存して後から合流する集団の2つに部隊を分けたのだ。

 それなりにリスクのある選択だが、今は他に選べる術など無かった。

 

「そろそろ行きます……?」

「まだ早いのでは?梨璃さん達からは何の連絡もありませんし……」

 

 そうして残されたのがこの4人なのだが、如何せん暇なのである。

 外に出れば昼下がりの日光に肌を焼かれ、屋内に退けば自販機のラムネを飲むしかない。

 アルトからすれば別に何と言う事も無いのだが、うら若きリリィ達からすれば降り注ぐ紫外線は美容の大敵だ。

 どちらにしてもあまり得る物の無い二択を迫られた少女達は屋内を選び、少年もそれに合わせた──それだけの話だった。

 しかし。

 それにしても、だ。

 

「静かだなぁ……」

「そうだね……」

 

 静かだ。

 この地域に住んでいる人はもう殆どいないのだから当然の話だが、百合ヶ丘のような活発さは此処には存在しない。

 木々のざわめきと、吹き抜ける風と、生活感を失った家屋──それが窓の外に広がる全てだった。

 そのあまりの静謐さに、時間が止まってしまったのかと少年は感じた程である。

 

「穏やかだなぁ……」

「うん……」

 

 此処には何も無い。

 喧騒も、クレーターばかりになった市街地も、人々を襲うヒュージも、何もかも。

 ゆっくりと雲が流れ、壁に掛けられた時計の針が回るのをただ眺めているだけだ。

 それが良い事なのか悪い事なのか、アルトには分からなかった。

 梨璃を傷付けた特型ヒュージが見付からないのは悪い事で、でもリリィの皆が戦わなくて済むのは良い事で──寝不足からか鈍る少年の思考を2年前から止まったままの景色が撹拌する。

 

「ずっとこのままが良いなぁ……」

「え?」

「梨璃ちゃんが元気になって、ヒュージもずっと来なくってさ、皆でこう言う風に何でもない時間を過ごすんだ。戦いの事なんて忘れて、ゆっくり……」

 

 それは少しずつ微睡みに誘われる少年から漏れた、偽らざる本音だった。

 戦わないで欲しい、傷付かないで欲しい、健やかでいて欲しい。

 そして大切な仲間が、まだ酒の味も知らない子供がヒュージに殺される等    は絶対に認めない。

 仮面ライダーであるのと同じ位一人の人間として仲間を守りたいと少年は願い、それ故に苦難に耐え忍んで戦ってきたのだ。

 

「梨璃ちゃんが言ってた。正確な場所は分からないけど、甲州にはとっても綺麗な──誰の手も加わってない、すごい花畑があるって」

「────」

「ヒュージがいなければ幾らでも探せるのに……違うか。そもそもヒュージがいなかったら、外征なんてしなくても此処に来れるもんな」

「──えぇ、そうですね……」

 

 だが、そんな    だって弱音を吐きたくなる時もある。

 如何な転生者であっても人間(凡人)である以上常に気を張ったままではいられないし、繰り返される戦闘に対して気疲れもするだろう。

 そうして今回のように緊張の糸が切れてしまえば、現れたのはただ仲間の平穏を願う男の内面だった。

 

「安藤さんはさぁ……成人したら何になりたい?」

「……何の話?」

「リリィのマギって大人になる頃には衰えるんだろ?そしたらいつまでもリリィって訳にはいかないじゃん」

「まぁ……そうね」

「だから、その後はどうしたいのかなって」

「今は、特に……考えた事もなかった」

「そっか」

 

 天井を見上げながらうつらうつらとする男の話題が、突如将来の話に変わる。

 現在(いま)が苦しいのなら、未来に希望を託すしかない──等と悲観的な事を考えている訳ではなかったが、百合ヶ丘を卒業した後の皆については予てより興味があったのだ。

 一柳隊で知っているのは二水だけだったが、暇な時はリリィ達に聞いて回っていたりもしていた。

 

「アールヴヘイムの天葉さんは、花屋をやりたいって言ってた」

「へぇ……」

「ヒュージと戦う時はあんなに鋭い表情をするのに、将来の話をする時はとっても穏やかで……()は何か、良いなって思ったんだ」

 

 思わぬ相手と親交を深めていた事実に3人は目を丸くするも、    がそれを気に止める様子は無い。

 きっと誰が聞いていなかったとしても、男は語り続けるだろう。

 吐き出してしまわねば、やっていられなかった。

 

「二水ちゃんもきっとワールドリリィグラフィックの編集長になる。才能あるしね」

「アルトくんは?」

 

 神琳の問いに、男の表情が暗くなる。

 そう、彼がしているのは()()()()前に広がっている無限大の可能性についてだ。

 決して()()()()()の、ではない。

 

「──多分、()はずっと仮面ライダー(このまま)だと思う」

「な、何で……?」

「ごめんな、結梨ちゃん。こんな事言ったって何にもならない事位()が一番よく分かってる。でも──」

 

 二川アルトは仮面ライダー(正義の味方)だ。

「二川アルト」が託した願いを忘れぬ限り、死ぬまでずっと正義の味方であり続ける。

 自分で選んだ道である以上、そこに後悔はない。

 寧ろ彼の夢を引き継げた事を誇らしく思っている。

 しかし────

 

「皆が卒業して、独りぼっちになるのは嫌だなぁ……」

「────!」

 

 正義の味方であろうとする限り、戦いからは逃れられない。

 例え隣で戦う仲間が誰一人としていなくなったとしても、孤独に立ち向かわねばならない。

 それが    にとって何より恐ろしかった。

 

()、ずっと皆と一緒にいたいよ……」

「アルト……」

 

 女々しいと言われようが、それが弱りきった「転生者」である    の本心だった。

 掲示板の人々は男が望む限り共にあるだろうが、異世界と言う高く分厚い壁がある以上彼らと直接交流する事は叶わない。

 それに加えて、心の拠り所にしている一柳隊が解散した後、自分が何に背中を預けて戦えば良いのか分からないのだ。

 そうして孤独に対する不安とシャイニングホッパーを満足に使いこなせない苛立ちがない混ぜになってとぐろを巻き、らしくもない弱音を二川アルトに吐き出させる。

 

「──大丈夫。皆いるよ」

「結梨、ちゃん?」

 

 一柳結梨に出来るのは、少年の小さな手を握ってやる事だけだった。

 しかし、結梨には分かる。

 アルトが他者との途切れぬ繋がりを欲している事を、彼女は誰より理解していた。

 

「アルトは独りじゃない。卒業したって皆ずっと側にいる」

「────」

「梨璃が、百合ヶ丘の皆が教えてくれたの。絆が人を強くするって」

「────!」

 

 そう、何も隣に立つ事だけが繋がりではない。

 例え離れ離れになっても、この手の温もりを覚えている限り固く結ばれた絆が解ける事は無いのだ。

 だから手を繋ぐ。

 絆は此処にあるのだと最も分かりやすい形でアルトに示す為、結梨は手を差し伸べた。

 

「っ、あ────」

 

 ぼろぼろと溢れ出す涙が、少年の視界を濡らす。

 乾いた喉が、言葉にならない声を漏らしてしまう。

 そして、心の奥底から湧き上がる得体の知れない感情に少年は硬直するが──繋がれた手の上に、更に2人の手のひらが重ねられる。

 

「私が貴方を忘れる事など、決してありません」

「えと、何、その……仲間でしょ。だから鶴紗で良いよ」

「────!」

 

 花のような笑みを浮かべる神琳に、照れ臭そうに頬を掻く鶴紗に、いよいよ感極まった少年が顔を伏せる。

 もう嬉しくて、恥ずかしくて──どうにかなってしまいそうだったのだ。

 

「──う」

「?」

「ありがとう……!ありがとう……!」

 

 それが咽び泣く少年が絞り出せた、唯一の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────普通なら、このまま「めでたしめでたし」で物語は終わりを迎える。

 だが、この世界は優しくもなければ甘くもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん大変です!夢結様が────!」

 

 右手に小さなコルク瓶を握り締め、勢い良く扉を開け放った二水の叫びが二川アルトを戦場に呼び戻した。




◯二川アルト/    
転生者だけどメンタルは凡人。
本来訳も分からずいきなり異世界に放り出されてやっていける程強い人間ではない。
一柳隊(を含む百合ヶ丘の皆)と「二川アルト」の願いを支えに戦ってきたが、今回のようにゆっくり考える時間があれば落ち込みもする。
折角託されたシャイニングホッパーを活かしきれていない事も相まって実はメンタルブレイク寸前だった。

でも、仮面ライダーは絆があれば戦えるんだ。

◯安藤鶴紗さん
ぶっきらぼうだけど優しいし一柳隊の暖かさに救われている人。
別にアルトを嫌っている訳ではないし寧ろ境遇から同情的ですらあるが上手くコミュニケーションを取れていなかった。

◯しぇんりんさん
多分一柳隊の中でもトップクラスにメンタルが強い人。
劣等感だとか故郷(台北)をヒュージに制圧されたせいで知らなかったりだとかで苦しんだ事もあるけれど、そう言った葛藤を全て乗り越えた真の強者。

◯結梨ちゃん
誰よりも少年の心が分かる人。
言動は幼いがヒュージと人間の間で揺れたりと同じような境遇にあるからこそ適格な行動を選べる。

◯二川二水ちゃん
ちょこっとだけ登場
お土産屋でたまに見掛ける星砂が入っているようなコルク瓶を首から掛けている。
中に入っているのは…?

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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