【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】 作:イナバの書き置き
「────よぉし」
赤黒い蒸気を噴き上げる黒金の戦士が──否、黒いスーツに蛍光色の装甲を纏った仮面ライダーが、鬱蒼と茂った森を背後にその姿を晒す。
名を仮面ライダー
偶然と必然の奇跡的なマッチングにより生まれた、あらゆる意味で規格外の戦士である。
「……無事ね?」
此方を捉えたまま微動だにしない
彼女の目的は梨璃と梅の救出であり、誰かにエデンを止めて貰わねばならない。
アルトの目的はエデンの悪意に囚われた二水の救出であり、梨璃の救出を誰かに任せる必要がある。
つまりは役割分担だ。
001がエデンを説き伏せ、夢結達が特型ヒュージを殲滅すれば万事解決となる。
その為の
二川アルトが仮面ライダーに変身出来なければ、ヒュージを打倒するにしても二水を救出するにしても作戦は始まらない。
「勿論。何てったって俺は
「そう」
そして今、
肩は呼吸の度に大きく上下し足下も時折覚束ないが、其処に立っているのは間違いなく不可能を可能にする仮面ライダーだ。
「あの仮面ライダー──二水さんと戦える?」
「戦えます…って言ったら?」
「…そうね」
即答だった。
そう、本来「二川アルト」に変身するだけの体力は残されていない筈なのだ。
しかし立っている。
如何なる反論を以てしても敵わない程に、大地に立っている。
それがイマイチパッとしないと教導官に判断された戦闘技能の中で唯一ずば抜けている忍耐力の賜か、はたまた「仲間に頼る」事で生まれた心の余裕がそうさせたのかアルトは知らない。
今は原因など重要ではないし、考えている場合でもないのだ。
必要なのは、二水を止められるだけの力とそれを絶対に成し遂げるという覚悟。
────その2つが揃った今、残りの賭けに勝てる可能性にも手が届くかもしれない。
少なくとも少年少女の目に希望は写っているのだ。
「どれくらい戦えるかしら」
「後20……いや、15分は保つ筈です」
「なら10分で片を付けましょう。二水さんもヒュージも……長期戦になると私達が不利よ」
「ですね!」
戦闘が長引けば苦しくなるのは一柳隊だ。
マギ交感で皆に分配したとはいえ「負のマギ」は未だ夢結の中に残留し、今この瞬間だって梨璃の体内でも増殖しているだろう。
少年の肉体も001への変身に耐え続けられる程壮健ではなく、強烈な負荷に曝された肢体は徐々に動きが鈍っていく。
つまりエデンとヒュージ、そのどちらも止めるには全力での短期決戦が求められているのだ。
「それなら──始めましょうか」
「はい!」
此方の事情を知ってか知らずか、ただ静止し続けるエデンと攻め込む気配を見せないヒュージに向けて、少女の
その切っ先、正しく剛刃。
その戦意、正しく勇壮。
この世界のどんな相手でも震え上がるような気迫が籠る視線を異形らに注がれ────
「行くわよ!」
001だけを残して、CHARMを構えた7人のリリィが一斉に駆け出す。
ただ
「二水さん────!」
リリィ達が迫る。
色とりどりの花が咲き乱れる花畑に足を踏み入れ、花弁を散らしながら突き進む。
ただ
そして────夢結は
「……また後で」
「────」
絞り出したような夢結の囁きにも、仮面ライダーエデンは反応を示さない。
それどころか楓も、ミリアムも、雨嘉も、神琳も、鶴紗も、結梨も──真横を通過し頭上を飛び越えて行く仲間達に全く反応せず、寧ろ行きたいのなら行けば良いとでもいいたげに
そうして7人が通り過ぎた後、花畑の端には2人の戦士だけが残されていた。
「────」
「────」
背後でにわかに響き始めた戦闘音を無視して、
両者ともセンサーアイの色は赤く──それでいてどこまでも対照的だ。
エデンの赤は憎悪の赤、もしくは悪意の紅、そして憤怒の朱。
非道と残酷な世界を憎み、泣き腫らした瞳の色である。
「二水ちゃん────」
「────」
対峙する001の赤は勇気の赤、或いは勇壮の紅、そして覚悟の朱。
残酷な世界に生きる仲間を救わんと、情熱に燃える瞳の色である。
2人とも、その根底にあるのは同じだ。
その為だけに起ったのだ。
だからただの言葉では折れられない。
最早ただの力では潰せない。
即ち────喧嘩だ。
言語を、拳を、信念を、人が持ち得る全てをぶつける究極の姉弟喧嘩が今、始まろうとしていた。
「はぁぁぁぁぁッ!」
斬り込む。
鬼神の如きCHARM捌きを見せる白井夢結を先頭にに、一振りの剣と化した一柳隊がヒュージの群れを真っ正面から2つに切り裂く。
「あー、えーと、うーん……ここかな?えいやっ!」
「お前達に梨璃と梅様は殺させない……!」
その背後で繰り広げられているのは、あまりにも「奇怪」な戦闘だった。
結梨と鶴紗が何も無い虚空にチャームを振るったかと思えば、吸い寄せられるように飛び込んで来たヒュージが真っ二つに切り裂かれるのだ。
それはレアスキル「ファンタズム」による限定的な未来予知が成せる技だった。
攻撃のタイミングも、軌道も分かるのだから深く考える必要は無い。
ただ
「────っ!」
「ふッ!せいッ!」
更にその後ろ、一柳隊7人で構成された剣の中央からは銃弾の暴風がヒュージに対して吹き荒れていた。
雨嘉の狙撃だ。
異常とも取れる程に正確無比な照準を可能とするレアスキル「天の秤目」を保有する彼女の射撃が、飛行するスモールと地上のミドル級を悉く射抜いているのだ。
一方の神琳も、的確に雨嘉に直撃する攻撃だけを選びマソレリックで叩き落としている。
たゆまぬ努力によって鍛え上げられた戦闘技術と、優れた「勘」が防壁となって剣に振り下ろされる槌を弾き返していた。
「なーっはっはっはァ!何だか知らんが今日のワシは絶好調じゃ!」
「あまり調子に乗ってると痛い目見ますわよ、ちびっこ2号!」
「だーれが2号じゃ、じゃかあしい!」
そして最後部、剣で言う所の柄に相当する部分ではこれまでに比べれば地味ではあるが、やはり信じられない位に息の合ったコンビネーションが展開されていた。
ニョルニールの薙ぎが追い縋る小型を纏めて刈り取り、生まれた隙に飛び掛かったヒュージをジョワユーズの刺突が片っ端から突き穿つ──つまりそれは鎧袖一触。
並大抵のヒュージでは、楓とミリアムを貫く事など万が一にも出来はしない。
無敵だ。
仲間を守る為なら、一柳隊は完全無欠の無敵になれるのだ。
「くっ……!?」
「梅、様……」
そんな少女達の進軍は、特型の眼前で包囲されつつある梨璃達にも確かに伝わっており──だからこそ、花畑の真ん中で膝を突いた彼女を庇って縦横無尽に駆け回る吉村・Thi・梅を焦らせていた。
確かに彼女達の奮闘は見える。
徐々に薄くなりつつあるヒュージの壁も、撃ち落とされたり吹き飛ばされたりする小型の群れも見えている。
だが、
後少し、今一歩間に合わないかもしれないと梅は白熱した思考の中で呟いた。
「梨璃、しっかりしろ梨璃!もうすぐ夢結達が来るぞ!」
「……っ、はい、梅様……!」
所々土に塗れた戦闘服を翻しながら叱咤するが、梨璃の反応は芳しくなかった。
グングニルこそ両手で保持しているがその手足は時折痙攣するかのように震え、顔色も今では蒼白に近い。
「っ、ごめん梨璃!梅が先走ったせいで……!」
「そんな事ありません!それを言うなら私が──っ、う」
己の失策に、梅は唇を噛み締めた。
ただ2人でヒュージを殲滅するなど土台無理な話ではあったが、今回は輪にかけて状況が悪かった。
(──戻るべきだった、か)
判断ミスを悔いつつも、梅はヒュージを斬り伏せる。
梨璃の体内で絶えず増幅され続けた負のマギは肉体を侵し、最早彼女には立ち上がる程の気力すら残されていない。
故にこそ、今梅が倒れる訳にはいかないのだ。
「──っ、梨璃じゃなくて梅の方に来い!」
執拗に
梨璃を──大切な仲間を守る為に戦う。
当然と言えば当然だが、戦う理由は誰もが皆同じだった。
梅も、梨璃も、夢結も、
「■■■■■■」
「────っ!」
そんな覚悟をいつも胸に秘めて梅は2年以上戦い抜いた。
甲州撤退戦を、御台場迎撃戦を、房総半島解放戦を生き抜いた。
だと言うのに──
「■■■■■■■」
「こ、のぉ──!」
笑っていた。
感情を表現出来る器官等一切存在しないのに、そもそもヒュージにどの程度の知能があるかすらハッキリしないのに、それでも確かに特型ヒュージは笑っていた。
疲弊した梨璃と、そんな彼女を庇って必死の抵抗を続ける梅を攻撃の届かない場所から巨体を揺らして笑っているのだ。
「逃げれば良いとか思ってんだろ……!梅には分かるぞ!」
特型ヒュージからすれば幾ら小型が蹴散らされようと別に構わないのだ。
初戦で梨璃にしたのと同じように甚振るだけ甚振って、自身に危機が迫った時はその優れた隠蔽能力と逃げ足を活かしてより山奥へ逃げてしまえば一柳部隊に後を追う術はない。
そう言う卑劣で姑息な戦法が特型の動向から透けて見えた。
「■■■■」
「なっ────!?」
そして今、梅の予想通りに特型は後退を始めた。
許し難い──如何なる理由があろうとも絶対に許せない、「悪意に満ちた」所業である。
だが梅には止める術がなかった。
梨璃を庇ったままでは肉薄など不可能なのだ。
出来るのはありったけの怨嗟を込めて睨み付ける事だけであり────その横っ腹に、弾丸と化した少女が激突する。
「■■■■■■!?」
「────甘い」
そう、夢結だ。
ミリアムが投擲したニョルニールに
「────ふんっ!」
そのまま特型を蹴り飛ばした夢結が、切りもみ回転しながら梨璃の真横に着地する。
表情に翳りは無く、着衣の乱れも見られない。
「お姉様!」
「ゆ、夢結────!」
「待たせたわね」
いつ如何なる時であろうと、白井夢結は完璧であった。
「……?」
仮面ライダーエデン──二川二水は困惑した。
数ヶ月前からそうだが、どうにも様々な事柄が自身の思った通りには行かないのだ。
思い返せばアルトの「死」を看取る事すらかなわなかったり、再び戦いに赴こうとした彼の制止に失敗したり、挙げ句の果てに気絶させたと思ったら危険なベルトを持ち出したりと踏んだり蹴ったりである。
とは言え、それは己の力不足として納得した。
どれだけ強い精神を持っていても、それに釣り合うだけの力が無ければ意味は無いのだと二水は気付いた。
「……?」
だが、今回は取り分け異常であった。
全く以て想定外なのだ。
少なくとも、二水とエデンのシステムが想定した範囲で
何故なら、エデンは「無敵」だからだ。
この戦場で武器を振るう者は、誰一人としてエデンの装甲に傷を付ける事すら出来ない。
例えノインヴェルト戦術を用いたとしても、気色悪い程に溢れ返るヒュージが一斉に攻撃したとしてもエデンの変身を解く事は出来ない。
二水が望んだ通り腕力で、スピードで、正確性で、戦術で、有りとあらゆる要素に於いてエデンは比類無き能力を手にした筈なのだ。
なのに────
「ど、どうしてですか……!?」
「────」
──何故、
異常だ。
可笑しい。
有り得ない。
エデンのスペックは確実に001を凌駕しているのに。
それら全てを纏めた「理解不能」の4文字がエラーとなって二水の脳内を駆け巡る。
「ふくっ、へ、へへ────」
一方、突き出されたエデンの右腕を左手で掴んだ二川アルトは仮面の下で口の端を吊り上げた。
ただ一撃、残像すら残らない高速移動から繰り出された掌に彼は確証を得たのだ。
即ち────
「さては二水ちゃん、最初から俺を傷付ける気なんて無かったな?」
「────っ!?」
「流石に拳も握んないでベルトを取ろうとしたら分かっちゃうよ」
図星だった。
端から二水にアルトを害しようという意図など存在しなかった。
何も殴って変身を解除させる必要は無いのだ。
狙いは彼を仮面ライダー足らしめるフォースライザーただ一点であり、それを剥ぎ取ってしまえば無力化は今度こそ完遂される筈だった。
「それにさぁ、俺
「何をですか……?」
「二水ちゃんとエデンの相性が、実はそんなに良くないの」
「な、ぁ────!?」
──だからこそ、「仮面ライダーシリーズ」に親しんできた者達の読みは外れない。
やっぱりな♂
901:ご機嫌よう名無し様 ID:iDhCiyGfT
>>900
申レN
902:ご機嫌よう名無し様 ID:lnzFu4QMB
まぁベルト剥いで変身解除は鉄板だからな
特撮初心者の二水ちゃんに負けてられんよ
903:ご機嫌よう名無し様 ID:WKD2017+
幾らコイツがへっぽこだとしても、私達がサポートしてる以上そう簡単には負けないワケダ
「目的が分かってて、その為に
「そ、そんな……!?」
二水は知らない。
アルトが転生者であり、転生者専用掲示板と接続している事を。
この掲示板には転生者の視点を
当然ながら転生者は強い。
元より才能を秘めていた者や、アークワンプログライズキーしか渡されなかったアルトと違って「戦闘技能」を特典として得た者がそれこそ五万といる。
もしも、そんな彼らの戦術眼を言葉として借りられるとしたらどうだ。
無敵だ。
エデンがその反則染みたスペックによって無敵であるように、アルトもまた反則そのものな手法で無敵になったのだ。
そして今、
「ふんっ!」
「痛っ……!?くないですよそんなの!」
ガツン、と鈍い音を立てて鉄拳がエデンの胸板に叩き付けられる。
ダメージは無く、内側に衝撃が伝わる事も無い。
(ホンっとにアルトくんはぁ……!)
001の拳ではエデンの装甲を貫く事など万が一にも有り得ず、それを知っていながら無意味な攻撃を行った事に二水は苛立ちを爆発させた。
どうにも──彼を前にしていると二水は平静を保てないのだ。
「ああもう!」
「ぐぅっ……!?」
グングニルを投げ捨てたエデンの左手が001の胸元を掴むや否や、花畑に押し倒す。
殴り付けるつもりなど無かったが、無鉄砲で無謀な分からず屋にはこうでもしないと分からないのだ。
「私の事を馬鹿にして──いえ、どれだけ心配かけさせれば気が済むんですか!」
「二水ちゃんがそれを言うのかよ……!?」
「言いますよ!私はお姉ちゃんなのに、言う事なんかいっつも聞かないで!無茶ばっかりして!どれだけ心配してるか分からないんですか!?」
絶叫。
それは二水の心の叫びだ。
つい数十分ほど前の気絶した少年に呼び掛けた時とは違い、勢い任せの激情から迸った気迫を押し倒した少年に叩き付ける。
「体がボロボロなのに何度も変身して!そんな事するから死んじゃって!折角生き返ったのにまた戦うって言って!そうやって私を置いて行くんでしょう!?」
「置いてく訳ないだろ……!」
「置いてったじゃないですか!『何かあったら先ず私に相談する』って約束したのに、困ったら梅様頼りでしたよねぇ!?」
其処だ。
先ず其処が許せない。
全くもう、エデンを顕現させる糧になる位に許せないのだ。
それをこの
「はぁ……!?」
「惚けるんですか!?上手く戦えないからって縮地のコツを聞きに行ってたのに!?」
「そりゃそうでしょ!全然戦い方が違うのに二水ちゃんに相談したって意味無いでしょうが!」
「そう言う事言ってるんじゃないんです!」
「じゃあどういう事だよ!?」
いつの間にか自由になっていた右手でも胸元を掴み、あらん限りの力でジタバタともがく
だがそれは、腹の底から湧き上がる嫉妬を誤魔化す為のまやかしだ。
……あのさ
905:ご機嫌よう名無し様 ID:CKrMDGn9w
皆まで言うな
906:ご機嫌よう名無し様 ID:Plp0xU1zC
てっきり過保護が原因だと思ってたのに嫉妬もしてるとかこのエデン可愛くない?
907:ご機嫌よう名無し様 ID:vQbewpq4J
>>906
言うなっつってんだろ!
「え!?何!?嫉妬してんの梅先輩に!?」
「なっ、ばっ……してないですよ!」
「へぇー、ふぅーん。俺の事で嫉妬してるんだぁ……」
「何を照れ臭そうにしてるんですか私は嫉妬してないですったら!」
必死になって否定するが、時既に遅し。
非常に残念な事だが、アルトの背後にはとんでもなく喧しく他人をおちょくる事が好きで好きで堪らない掲示板の人々がいるのだ。
「────隙あり!」
「あーっ!?卑怯ですよ!」
「卑怯もラッキョウもあるもんか!」
「何悪ぶってるんですか10歳の癖に!」
故に、今回のように001がエデンの圧迫から抜け出し体勢を立て直す隙を作らせる事など朝飯前だった。
息を整え、拳を握り直し────今度は
勝機を逃すな!掴みとれ!
909:ご機嫌よう名無し様 ID:zVRCN+NSf
……これ言う程勝機か?
仕切り直しただけだよな?
910:ご機嫌よう名無し様 ID:P/qOAUBs9
細かい事は良いんだよ別に
押し切っちゃえばええねん
911:ご機嫌よう名無し様 ID:Lep0wtuBT
001の性能的に勝ち目は無いけど……行けるか?
912:ご機嫌よう名無し様 ID:WKD2017+
作戦通りなら行けるワケダが、果たしてどうなるやら……
「おりゃぁぁぁぁぁッ!」
「だから効かないんですって!」
拳。
手甲に覆われた拳のラッシュが二水を襲う。
しかし届かない。
ジャブが、ストレートが、アッパーが、有りとあらゆる軌道がエデンに解析され、逸らされ、弾かれる。
基本性能に差があり過ぎるのだ。
そんな事はアルトとて百も承知だが──止めない。
ひたすらに鉄拳を打ち込み続けるのは、何故なのか。
「大体なぁっ!二水ちゃんだって全然人の事言えないんだよぉっ!」
「は?いやいやいや、私はアルトくん程頑固じゃないですよ!」
「じゃあ何で悩んでた事を話してくれなかったの?」
「────っ」
確信を突いた質問にエデンの腕が一瞬止まり、その内側を潜り抜けた001の拳が再び胸部装甲を叩く。
勿論二水にダメージは無い。
無いのだが────ぐらりと「心」が揺れた。
(────え?)
何かが可笑しい。
何故戦っている。
何の為にアルトからベルトを奪った。
こんな筈じゃない、と二水の思考は突然冷水を浴びたように温度を失う。
「相談したかったんだろ」
「っ、ぐ」
「本当はもっと頼って欲しかったんだろ」
「ぅ、うぅ……!」
「頼ってもらえない位に弱いと思い込んでる自分が嫌いだったんだろ!」
「────」
そう、そうだ。
言いたいことも、相談したい事も沢山あった。
どうすれば綺羅星の如きリリィ達の強さに近付く事が出来るのか、何故アルトが戻ってきたにも関わらず悪意の欠片を捨てる事が出来なかったのか、何故──「姉」である筈の自分が「弟」を守れず思い悩ませてしまう程に弱いのか。
それら全てを今日に至るまで抱え続けて、彼女は最悪の形で爆発させてしまったのだ。
……ここからはイッチ次第だな
916:ご機嫌よう名無し様 ID:2vTk+m7Gb
暫く黙っとくから、その……頑張れよ
「ごめん」
「────なに、が?」
「俺は……俺は不器用だから、こんな風にしか受け止める事が出来ない」
だから、
001は両手を目一杯広げて、その痛々しい装甲服をエデンに晒した。
防御も、回避も一切行う気配は見られない。
ただならぬ空気に訝しむも、彼はただただ花畑の端っこに突っ立っている。
「今だけは絶対に耐えきるから──全部、吐き出してよ」
「────あっ、あぁっ!?」
たった一言で、二水の心は決壊した。
この善良過ぎる少女には、元より悪意の器など無理だったのだ。
そうして仮面ライダーエデンは──否、自ら変身を解除しただの二川二水に戻った少女は、その碧い瞳から大粒の涙を零しながら001の胸元に飛び込む。
「う、うぅぅぅぅ……!」
「二水ちゃん……」
「なんで、なんでですかぁ……!」
少女の小さな拳が、001の黒い胸部装甲に打ち付けられる。
何度も、何度も──まるで駄々っ子のように。
それは少年の代わりに全てを成し遂げようとする決意ではなく、善意をねじ曲げる悪意でもなく、ごくありふれた哀しみだ。
「戦って欲しくないのに!幸せに生きて欲しいだけなのに!なんでぇ……!?」
「……」
「もう嫌なんですよぅ!アルトくんが戦う背中を後ろから見てるだけなのも、無理して戦う術を磨こうとするのを止められないのも、全部……!だからアルトくんの代わりに仮面ライダーをやろうとしたのに!アルトくんや梨璃さんを傷付ける奴ら、皆倒しちゃおうと思ったのに……」
「ごめん、ごめんな……」
最初から、
もし本気で二水と
胸部装甲を殴ったのもエデンの全身でそこが一番硬いからであり、「喧嘩」しつつも絶対に彼女を傷付けないようにと言う少年と掲示板の配慮だった。
「やっぱり帰ってさ、ちゃんと話そうよ」
「でも……」
「大丈夫、これ位皆黙っててくれるよ」
少年は正義の味方だ。
「二川アルト」が託した通りに正義の味方であり続ける。
だが、泣いている少女1人の味方に成れずに正義の味方でいられるものか。
アルトの願いは最初からただ1つ。
「それに二水ちゃんがいない百合ヶ丘は嫌だ。もしエデンを捨ててくれるなら仮面ライダー辞めたって良い」
「え……」
「二水ちゃんがどうしても嫌だって言うなら、それ位全然構わない」
──この世界の誰よりも何よりも、先ず君を守りたい。
「だからその……帰ってきて、くれない?」
「……」
それは、それはあまりにも卑怯だと二水は心の中で詰った。
史上最強の殺し文句だと罵倒した。
だって、そんな事を言われてしまったら────
「──────はい」
もっともっと、エデンの事なんてどうでも良い位に好きになってしまう。
◯仮面ライダー001/二川アルト
正義の味方である以前に二水ちゃんの味方でありたい男。
ただそれだけに尽きる。
言い方は悪いけど二水ちゃんの為ならゼロワンドライバーを叩き割る位は普通にする。
なお戦うつもりが無いのに冒頭で「戦う」と言ってるのは目の前で二水ちゃんが話を聞いてるからである。
◯仮面ライダーエデン/二川二水
今までは「一番大切な仲間」だったけど今回からは「ヒロイン」。
なので百合の間に挟まる仮面ライダーのタイトルを返上する時が来たかもしれない。
アークのせいで思考能力がガタガタなので、いきなり怒ったり悲しんだりとても情緒不安定だった。
◯一柳隊
全員結構強いし半分以上が困ってる時に相談しない族。
多分ちゃんと相談するのはゆーじあさん、しぇんりんさん(はひょっとしたらしないかも)、ぐろっぴ位だと思う。
◯どっかの光明結社にいそうな錬金術師(本人ではない)
掲示板にちょこっと出てきた人。
重ねて言うが本人ではない。
ただ転生特典として「そいつ」の容姿と力と性格と記憶を与えられてしまった哀れな一般転生者。
なので「殆ど本人なのにどうあがいても別人」という状況に苦しんでいるワケダ。
正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)
-
二水
-
結梨&梨璃&夢結
-
ぐろっぴ&百由様
-
一葉
-
恋花&瑶
-
千香瑠&藍
-
灯莉
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ひめひめ&灯莉&紅巴
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叶星&高嶺
-
その他一柳隊メンバーなど