【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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来週更新出来るか分からないので文量マシマシです。


第2話「雨中邂逅」

753:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 雨 天 決 行

 〔添付:雨露に濡れた樹木の画像〕

 

754:ご機嫌よう名無し様 ID:4RcAyZRGc

 お前変身してるから濡れないだろ

 

755:ご機嫌よう名無し様 ID:hADUzOfnZ

 天気が何だってんだコノヤロウ

 

756:ご機嫌よう名無し様 ID:Oyltf6yjb

 寧ろ二水ちゃんか結梨ちゃん辺りにベルト譲ってやるべきやろ

 

757:ご機嫌よう名無し様 ID:MI8mVn5AZ

 女の子を雨ざらしにして自分はぬくぬくとか恥ずかしくないのかよ

 

758:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 いやゼロワンドライバーにプロテクトかけ直されたんで無理ッス

 特型の1件でワイしか使えないのはどうなん?みたいな話にはなってたらしいが

 

759:ご機嫌よう名無し様 ID:nHwJ1uL3N

 二水ちゃん変身してたからな

 

760:ご機嫌よう名無し様 ID:BvUw48J4R

 いやまぁイッチが使うより他のリリィが使った方が絶対強いのは間違いないし

 1000%断言出来る

 

761:ご機嫌よう名無し様 ID:XkCdZwKdK

 運動能力女の子以下へなちょこ相談0ショタ野郎(住所:百合の間)

 

762:ご機嫌よう名無し様 ID:lrcxHGSqJ

 判断力とかで中の人の性能がクソ程足引っ張ってる

 多分二水ちゃんと合体したら最強

 

763:ご機嫌よう名無し様 ID:fAN8m984R

 未だ嘗て無い位ボロクソに言われてて草

 

764:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 ぐぎぎ

 悔しいけど全く否定出来ねぇ……!

 

765:ご機嫌よう名無し様 ID:Z1VGOLvfb

 元が一般社会人の割にはよくやってると思うけどね

 アークワン持たされただけで本人には何の特典も付いてないワケだし

 

766:ご機嫌よう名無し様 ID:ZbF+MIAaY

 ショタだから許されてる側面はある

 

767:ご機嫌よう名無し様 ID:N1uyA9+Bp

 人類の存亡賭けて日夜バリバリ特訓してる連中と比べるのは酷だしな

 体の作りはアルトくん(本来)のショタボディだし責めるのは酷だろ

 

768:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 そりゃ外見大人でこのザマなら恥ずかしくて生きてられんよ

 

769:ご機嫌よう名無し様 ID:7V8cUn0rD

 >>768

 介錯しもす!

 

770:ご機嫌よう名無し様 ID:KVZMPNW5M

 >>769

 笑うたこと許せ

 

771:ご機嫌よう名無し様 ID:7C2fepFpu

 >>770

 合掌ばい!

 

772:ご機嫌よう名無し様 ID:PwFK1cmoT

 うわ突然チェストするな

 

773:ご機嫌よう名無し様 ID:3hw2X+t3w

 申し訳ないが薩摩はNG

 

774:ご機嫌よう名無し様 ID:7R4OfsYYi

 何か今日は奇天烈な連中ばっかり沸いてきますね

 

775:ご機嫌よう名無し様 ID:KTor7mUg1

 復権派と言いそれっぽい言い回しを見付けたらどこからともなく現れるのやめーや

 

776:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 まぁそんな訳でエレンスゲのリリィを救出しに行ってるワケなんですよ

 

777:ご機嫌よう名無し様 ID:lUbbe7d3w

 エレンスゲ?て言うと一葉さんがいる所だっけ

 

778:ご機嫌よう名無し様 ID:We4e76V4T

 そうだよ(便乗)

 六本木のガーデンって聞いたけど態々鎌倉の方まで来て何やってるんだろうな

 

779:ご機嫌よう名無し様 ID:RVyCwe3rF

 そう言えばそうだな

 普通に考えたら外征なんだろうが、一柳隊が出てる辺り何かありそう

 

780:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 あーそれなんだけどな

 どうもエレンスゲって出撃中心の武闘派(?)ガーデンで凄い頻度で外征してるみたいなんだよ

 まぁそれが評判を下げてるとも聞くけど

 

781:ご機嫌よう名無し様 ID:Ejwhv1v3g

 ?

 

782:ご機嫌よう名無し様 ID:OP1ICD7Px

 と言うと?

 

783:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 基本的に他ガーデンの管轄地域に外征するならちゃんと通告しないといけないじゃん?

 

784:ご機嫌よう名無し様 ID:B2Rj0QHM1

 そりゃそうだな

 

785:ご機嫌よう名無し様 ID:iB19ZmoQi

 やりたい放題したら軋轢が生まれるし連携も出来ないからな……

 

786:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 でもエレンスゲは無通告で外征したりとかを結構やるらしくて

 基本的に他のガーデンと仲が悪い

 

787:ご機嫌よう名無し様 ID:1EKXFWjW1

 報連相しないとか頭イッチじゃん

 

788:ご機嫌よう名無し様 ID:gtsOs/rVm

 一葉さんは良い人っぽかったけど随分柄の悪いガーデンなんだな

 

789:ご機嫌よう名無し様 ID:7f69TKCsT

 社会人の風上にも置けない組織運営ですねこれは……

 政府がガーデンに干渉し辛くする法律の悪い所出てる

 

790:ご機嫌よう名無し様 ID:aYPoJJ9cY

 >>788

 個人単位で見れば皆普通の人なんだろうけど組織の体質が悪さしてるんじゃない?

 そう言うのよくあるやろ?

 

791:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 親G.E.H.E.N.A.ガーデンらしいですよ(爆弾投下)

 

792:ご機嫌よう名無し様 ID:4EeQyJYei

 はいアウト

 

793:ご機嫌よう名無し様 ID:gZKUY9sVF

(アカン)

 

794:ご機嫌よう名無し様 ID:SiZMVi5YF

 ゲヘカスくんさぁ……

 

795:ご機嫌よう名無し様 ID:siHRKr6j8

 相変わらず凄まじい嫌われ方で草

 

796:ご機嫌よう名無し様 ID:Dl0E0+c2i

 そりゃそうでしょ

 結梨ちゃんの件で皆カンカンよ

 

797:ご機嫌よう名無し様 ID:KLoYTGHse

 百合の間に政治問題を挟んだゲヘナを許すな

 

798:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 エレンスゲの名前聞いた瞬間に史房様がめっちゃイライラし始めたから、取り敢えず無通告常習犯に関しては間違いないと思われる

 今回はちゃんと通告してるから許されてもええと思うけどなぁ

 

799:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 史房様はそうなるよ絶対

 生徒会長としてもそうだし本人の性格からしてもそうだけどルール守らないの駄目だもん

 

800:ご機嫌よう名無し様 ID:828QfJDS5

 すげーナチュラルに理解者面してるけど情報ニキは史房様の何なんです……?

 

801:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 ファン

 

802:ご機嫌よう名無し様 ID:Pg6fk3tr0

 そ、そう……

 

803:ご機嫌よう名無し様 ID:Ku92AGz3a

 あんた程の人がそう言うなら……

 

804:ご機嫌よう名無し様 ID:J25oQugoI

 即答過ぎる

 

805:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 て言うか普通に百合ヶ丘は推せるリリィが多すぎて困りますね

 皆可愛いし皆格好いい

 

806:ご機嫌よう名無し様 ID:6tKd7Xz6g

 分かる

 天葉様良いよな……

 

807:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 いや一柳隊除けば一番推せるのは日羽梨様でしょ

 普段はすごい毒舌なのに二水ちゃんと仲良くオタクトークしてるの見てるだけで1週間終わるわ

 

808:ご機嫌よう名無し様 ID:mGUbl7NAk

 はー

 雪陽ちゃんと紗癒ちゃんの幼馴染みコンビを真っ先に挙げないとは節穴だなオイ

 

809:ご機嫌よう名無し様 ID:3DPu3qzdu

 アカン話が逸れるぅ!

 

810:ご機嫌よう名無し様 ID:bHX70lriH

 それで今何してんの(必死の軌道修正)

 

811:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 二水ちゃんがエレンスゲのリリィを発見したらしいので戦闘準備中

 ワイはもう変身してるから皆がポジションと作戦決めるの待ってるだけや

 

812:ご機嫌よう名無し様 ID:9ki5B/MtT

 二水ちゃんがって事は鷹の目か

 やっぱ便利なレアスキルだね

 

813:ご機嫌よう名無し様 ID:95+oPmyxa

 おうこんな所で油売ってないではよポジション決めに参加しろや

 これでエレンスゲの娘泣かせるような事になったら大問題やぞ

 

814:ご機嫌よう名無し様 ID:PAS0G+u49

 イッチは女の子泣かせる事に定評があるからな……

 

815:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 そうね

 皆も呼んでるしそろそろ行くぜ

 普段通り戦闘中はライブ機能オンにしとくから見たい人は見てってくれや

 

816:ご機嫌よう名無し様 ID:P4onSvp4v

 有能

 

817:ご機嫌よう名無し様 ID:3HrfDQEHk

 助かる

 

818:ご機嫌よう名無し様 ID:nqh0UKUIg

 にしても森かぁ……幾ら仮面ライダーつっても足取られるよなぁ

 

819:ご機嫌よう名無し様 ID:gejIifEbn

 あんま瞬発力を活かせなさそうな地形ですね

 シャインクリスタ使おうにも木が邪魔だ

 

820:ご機嫌よう名無し様 ID:5bLKhswX7

 これからフレイミングタイガーで森を焼こうぜ?

 

821:ご機嫌よう名無し様 ID:nxxC97w2y

 申し訳ないが環境破壊はNG

 

822:ご機嫌よう名無し様 ID:6nBNlCsFX

 雨降ってるし燃えないでしょそもそも

 

823:ご機嫌よう名無し様 ID:W59iixWaX

 クゥーン(子犬)

 

824:ご機嫌よう名無し様 ID:YOSKLt4ck

 いや普通に木を使って跳べば良いんじゃねーの?

 シャイニングホッパーなら小回り利くしイッチのガバ技能でもやれるでしょ

 

825:ご機嫌よう名無し様 ID:fvJVvdFWB

 天才か……

 

 

983:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 どうも一葉さん達が来てたっぽいから合流したけど……

 

984:ご機嫌よう名無し様 ID:K4pLvSyo5

 けど?

 

985:一般転生ゼロツー ID:Rider01+02

 やばい初対面の人に久し振りって言われた

 どう返せば良いんだ助けてくれ

 

986:ご機嫌よう名無し様 ID:S251q1pHR

 草

 

 

 

■■■

{ 第  話 }

 

雨 中 邂 逅

Encounter in the rain

 

 

ナンジ、リリィと手をとれ!

──×──

"Stung with fear by the power claws."

■■■

 

 

 

「──待て。ヘルヴォルにはまだ待機命令が出ている筈だ。何故此処にいる」

「傷付いた仲間がいるからです。彼女達を救うのが我々に与えられた使命だと認識しています」

 

 到底承服出来ない話であった。

 相澤一葉は愚直と言い換えても何ら差し支えない程に真っ直ぐで、信じられない位曲がった事が嫌いな少女である。

 そんな彼女からしてみれば、如何なる理由があろうと前線で奮闘している仲間を見殺しにするなど言語道断と言う他ない。

 

「応援要請は出した。だが、作戦指揮はこの司令部で行う事になっている。ヘルヴォルは後方で待機せよ」

「その説明では納得出来ません。トップレギオンである我々に同胞を見捨てろと?」

「ヘルヴォルの損耗は極力避けねばならない」

「教導官!」

 

 確かに教導官の言う事は正しい。

 常識的に考えて、共同で作戦に当たる際は混乱を避ける為に司令部の指揮下に入り命令を遵守するのが道理である。

 況してやエレンスゲ女学園が誇るトップレギオンのヘルヴォルを無為に消耗させるなど愚策の極みであり、他部隊に露払いを任せるのは至極当然と言えるだろう────だが、本当に()()()()か。

 

()()、ある。これはただの戦場じゃない)

 

 そう、不可解な戦況や教導官の言動から聡明な一葉は既に勘づいていた。

 苦境に追いやられた部隊を見殺しにしてでもヘルヴォルを温存しなければならない()()がある。

 そこで一葉が真っ先に思い付いたのは、ギガント級の出現だ。

 異次元ワームホールであるケイブを使った大型ヒュージがこの森を闊歩しているのだとすれば、部隊を下手に動かせないのにも納得がいく。

 

「────」

「────はぁ」

 

 兎に角事態の全容を掴むまでは絶対に引かないと意思を籠めて睨み付ける事数十秒、教導官は深い溜め息を吐いた。

 何も言わずに暴走を招く位なら全部吐いて大人しく命令に従わせよう──合理主義で冷徹な教導官にすらそう思わせる程、一葉の気迫は凄まじいモノだ。

 

「……作戦地域にて通常のヒュージと異なる特徴を持つ個体が目撃された」

「それは……特型ヒュージですか?」

「今、その情報収集に当たっている。出撃中のレギオンが何らかの情報を持っている筈だ」

 

 特型ヒュージ──それはヒュージの中でも不可解な行動を取る個体に付けられる名称である。

 即ち未知の未知。

 全く何も分からない相手に挑むならば、情報と言う武器を手にする所から始めねばならない。

 例えば外見、例えば攻撃方法、例えば特殊能力──どれだけ些細で下らない情報であっても、時と場合によってはそれが未知に対して突破口となる可能性を秘めているのだ。

 

「特型が……この作戦区域に?だから我々は出し惜しむと?」

「そうだ。ヘルヴォルの出撃は情報の収集が終わってからとなる」

 

 なるほど、ヘルヴォルを出し渋る理由としては申し分無い。

 外見的特徴すら不明な相手に最初から一葉達を当ててしまえば、()()()が起こる可能性も否定出来ないのだ。

 その理屈は理解出来る。

 大いに理解出来る。

 だが──納得は出来ない。

 

「わかりました。では現地にて情報を持ったレギオンに接触して保護します。それでは──」

「待て、相澤一葉」

「……なんでしょう」

「今、最大戦力であるヘルヴォルを消耗させる訳にはいかない。自分達がエレンスゲに所属するリリィだと言う事を忘れるな」

「了解しました」

「後方で待機しろ、と言っている。分かったな?」

「はい、勿論」

「ならば良い。行け」

 

 返事は簡潔で、論議を拒絶した冷たいモノだ。

 故に、行き場の無い感情を抱えて一葉は仲間達の元に戻った────かのように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

「で、私達どうしてこんな所にいるんだっけー!?」

「此処が最前線だからに決まっているでしょう恋花様!」

 

 語調とは反対に生き生きとした表情を浮かべブルツヴィーク(テクニカルCHARM)を乱射する茶髪の少女──飯島恋花(いいじまれんか)に対して、一葉は己のCHARM(ブルトガング)を振るいながら叫ぶ。

 そう、今一葉達ヘルヴォルが駆け巡っているのは最前線の、それもド真ん中である。

 いっそ清々しい程の命令無視をぶちかまして、苦戦するリリィ達の救援に赴いたのだ。

 

「でも命令無視……ではないし。大丈夫」

「ええ、そうね。私達は()()()()()()()後方に移動しているだけよ」

 

 後方から狙撃によって援護する初鹿野瑶(はつかのよう)芹沢千香瑠(せりざわちかる)も悪知恵を用いて命令無視に荷担したリリィだ。

 今彼女達が敢行しているのは、()()()()()()()()()()()後方に移動しようと言う正気を疑うような試みである。

 なるほど、たしかに教導官の命令通り移動しているし、その過程でヒュージと遭遇してしまったのなら戦うしかない。

 ついでに言えばその過程で苦戦する前線のレギオンを救出してしまっても、偶然なのだから()()()()──そんなふざけきった理屈だ。

 寧ろ屁理屈と言い換えても良い。

 しかし、今ヘルヴォルに必要なのはその「ふざけきった屁理屈」に他ならない。

 

「邪魔だっ!」

「■■■!?」

 

 ブルトガングの剣閃がミドル級ヒュージを一刀両断し青色の雨を鬱蒼とした森林に降らせるが、一葉はそれに構う事なく駆け出した。

 そう、一葉達の目的はヒュージの撃滅ではない。

 知らず知らずの内に「捨て駒」、或いは「鉄砲玉」にされたリリィの救出こそが本懐であり──滑り込むようにして、目標に辿り着く。

 

「あ、貴女達は……!」

「此処は我々ヘルヴォルが引き受けます!司令部まで後退出来ますか?」

「で、出来ます。でも、特型が──」

「先ずは自分の命を大切にして下さい!ほら、走って!」

 

 これで8人目。

 会話もそこそこに立ち上がらせたリリィを見送りながら、一葉は内心で呟いた。

 

(この区域に展開しているレギオンは2つ──やはり、2人足りない)

 

 エレンスゲは基本的に5人で1つのレギオンを作る。

 にも関わらず8人しか救出出来ていないと言う事は、残りの2人は未だヒュージと──それも特型が徘徊している危険極まりない森の中で戦っているのだ。

 当然ながら見捨てる等と言う非情な選択肢は存在しない。

 しないのだが──一葉を含むヘルヴォルの4人は前線で暴れまわる小柄なリリィ(佐々木藍)に、半ば引き摺られるようにして進軍していた。

 

「……っ!藍、あまり先行し過ぎないで!」

「らん、ヒュージいっぱいたおす!たおして……もっとたおす!」

 

 彼女が一葉の呼び掛けを聞き入れる様子は無く、出会う端からヒュージを粉々に叩き潰している。

 平時は睡眠と食事を好むヘルヴォルのマスコット的な存在だが、1度戦闘に入ればヒュージを殲滅するまで止まらない正真正銘の暴走特急。

 それがレアスキル「ルナティックトランサー」を保有する佐々木藍というリリィなのだ。

 もし彼女を制止したいと考えるならば動き出す前に抑えるか暴れる時間も与えずにヒュージを殲滅するしかない。

 

「っ!はああっ!」

「■■!?」

 

(……マズい、藍は目的を忘れている)

 

 そんな藍を追いかけ、飛びかかってくるスモール級を袈裟斬りで返り討ちにする一葉の中には焦りが渦巻き始めていた。

 敵味方が入り乱れ混沌と化した戦場に突き刺さったヘルヴォルと言う槍は、あまりにも鋭利過ぎたのである。

 今や戦線を作り上げていた筈のヒュージは異常なスピードで前進するヘルヴォルに誘引され、彼女達を仕留める為だけに包囲網を形成しつつあった。

 それは駄目だ。

 人命を何より重視する一葉にとって、万が一に備えた退路を確保出来ない事は最大の不安要素なのだ。

 

「一葉!」

「っ!」

 

 恋花の叫びにハッと顔を上げれば──いつの間にか眼前に迫ったミドル級が顔面目掛けて「足」を振り下ろす。

 思考に耽った一葉への完璧な不意打ち。

 

「そんなもの……!」

「■■■!」

 

 だが、エレンスゲ女学園序列1位を誇る一葉を屠らんとするならばミドル級の不意打ち程度ではあまりにも()()

 少女の頭蓋を叩き割る筈の一撃はブルトガングの腹で受け流され──()()()()()()()()()()()()()4つに切り裂かれる。

 

「なっ……!?」

「何?」

「あれは……!」

「なにあれ?びりびり?」

 

 困惑するヘルヴォルの面々の前に、眩い雷が走った。

 草むらに伏せていたスモール級が、樹上から奇襲のタイミングを窺っていたミドル級が、真っ向からヘルヴォルに立ち向かおうとした集団が──樹間を縦横無尽に駆け巡る雷に等しく弾き飛ばされ、お手玉のように打ち上げられる。

 そして──────

 

 

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

『シャイニングメガインパクト』

 

 何事かと警戒する一葉達の頭上を飛び越え、電光を纏ったシャイニングホッパー(仮面ライダー)がヒュージの群れを一網打尽に蹴り砕き──着地に失敗してごろごろと転がる。

 

「ゼロワン──アルトくん!」

「どうもおおおぉおぉっ!?」

 

(仮面ライダーが……一柳隊が来てくれた!?)

 

 草むらに突っ込み引っくり返るその様はあまりにも無様だが、確かにゼロワンだ。

 そして仮面ライダーゼロワンが──百合ヶ丘女学院高等部の生徒で2番目に幼い彼がこの場に現れたと言う事は、つまり彼の仲間(一柳隊)が救援に駆け付けたと言う事だ。

 そんな一葉の予想を裏付けるように、雨霧の中から次々と少女が飛び出す。

 

「アルトくん、ちょっと速すぎ──って一葉さん!そっか、ヘルヴォルの皆さんが戦っていたんですね!」

「梨璃、此処は戦場よ。話すのは後でも出来るから、今は戦う事に集中なさい」

「あ──はい、そうですねお姉様!」

 

 先ず最初に包囲を突き抜けたのは、梨璃と夢結のシュッツエンゲルだ。

 高い身体能力を持つ2人のコンビネーションが、ヒュージの壁を瞬く間に抉り取る。

 

「とか何とか言っちゃって、夢結様は梨璃さんが自分以外のリリィに夢中なのが気に食わないだけでしょうに……それよりちびっこ1号2号!貴女達司令部の場所を訊いてきなさい!」

「えーっ、私達ですかぁ!?そんなエレンスゲのトップレギオンにお話を伺うなんて、畏れ多いですよぅ──と、ミリアムさん後ろです」

「ほいさっ!任せろー!」

 

 続いて現れたのは楓・J・ヌーベル、二川二水、ミリアム・ヒルデガルド・V・グロピウスの凸凹トリオである。

 全く以て緊張感は感じられないが、先行した2人の足元を掬わんとする小型ヒュージを素早く打ち倒していく様は「超協力プレイ」と呼ぶ他ない。

 

「ふむ……雨嘉さん、二水さんの代わりに訊きに行ってあげたらどうです?」

「え、あ……神琳は、一緒に来てくれないの?」

「じゃあ私が一緒に行くー!」

「あはは、なら梅も行くぞー!」

「梅様……今は此方に集中してくれ」

 

 最後に現れたのは王雨嘉、郭神琳、一柳結梨、吉村・Thi・梅、そして安藤鶴紗の5人だ。

 アステリオンで正確無比な射撃を行う雨嘉を神琳が護衛し、その周囲を結梨と梅と鶴紗が薙ぎ払う光景はさながら台風だったが──それだけではない。

 

「貴女達は……無事だったんですか!」

「怪我はしましたけど、何とか……」

「は、はい……百合ヶ丘のリリィに助けて貰いました」

「良かった……本当に良かった……っ!」

 

 バッタバッタとヒュージを薙ぎ倒す一柳隊の後ろから現れたのは、傷付いたエレンスゲのリリィ──つまり前線の混乱で行方不明になっていた2人だ。

 ヘルヴォルとは反対側から進行した一柳隊によって、既に保護されていたのだ。

 

(何としても──この2人を守る。いや、()()()()!)

 

 ほんの少しだけ溢れた涙を拭い、ゆっくりと顔を上げる。

 その表情に憂いは無く、また焦燥も無い。

 同胞の無事に安堵した一葉の心に、再び使命の薪がくべられたのだ。

 

「取り敢えず2人は司令部に戻って、特型ヒュージについて報告してきなよ」

「し、しかし……」

「他のレギオンメンバーも既に後退を始めていますから、早く彼女達を安心させてあげて下さい」

「分かりました……では、健闘を!」

「うん、後は任せて」

「らん、まだまだがんばる……!」

 

 互いに肩を支えながら歩き出した少女達を見送る4人も、己のCHARMを改めて強く握り直す。

 託されて、受け取った。

 なればこそ、気高き少女が剣を掲げ再動の刻を宣言する。

 

 

 

 

「ヘルヴォル────状況再開!」

 

 アルトラ級討伐の実績を持つ一柳隊とエレンスゲ女学園の最高戦力であるヘルヴォルが共同作戦を始めた以上、哀れなヒュージに生き残る術は残されていなかった。

 

 

 

■■■

 

 

 

 芹沢千香瑠と一文字アルトの出会いは、彼女が6才の時の事であった。

 隣同士だった芹沢家と一文字夫妻は、それなりに──たまに互いの家にお邪魔して茶を飲む程度には良好な関係を築いていた。

 幼い千香瑠からしても会う度にお菓子をくれる一文字夫妻を好ましく思っており、毎日彼らが来ないかと楽しみにしていたものだ。

 そんなある日──一文字夫人が妊娠したと言う。

 

『妊娠って、なぁに?』

『新しい命を授かる事──赤ちゃんが出来たのよ』

 

 赤ちゃん。

 それは幼く無知な当時の千香瑠にとっては、得体の知れない「何か」だった。

 未だ自分と言う個を形成する過程を歩み始めたばかりの少女からすれば、自分より未熟な生命体をどう捉えれば良いのか、或いはどう接すれば良いのかまるで分からなかったのだ。

 そうして一文字夫人のお腹が膨らみ始め、「そう言う現象」に苦しみ、10ヶ月が経って──千香瑠にとって運命の日が訪れた。

 

『一文字さん、えぇと、その……』

『抱いてあげて、千香瑠ちゃん』

『は、はい……!』

 

 千香瑠の腕の中に、小さな命があった。

 未熟で、脆くて、儚い命を千香瑠は抱き抱えていた。

 無事に出産を終えて退院した一文字夫人が、「アルト」と名付けた赤子を偶々親族以外で1番に抱かせてくれたのである。

 

(これが、赤ちゃん。だからこれが──命?生きてるって、こう言う事?)

 

 それは単なる庇護欲か、母性か。

 得体の知れない「何か」が見知った命に変わったからなのか。

 どちらにせよ、この穏やかな寝顔を見せる赤子を何がなんでも守らなければならないと千香瑠は思ったのだ。

 ほんの数分赤子を抱いただけの事で、少女の人生が一変した。

 

『こんにちは、一文字さん。アルトくんはどうですか?』

『ええ、ちょっと前に肺炎に罹った時はどうなるかと思ったけど……今は大丈夫。それより、今日も上がっていくの?』

『はい。もし大丈夫そうでしたら、アルトくんの顔を見たいです』

『そう、アルトも喜ぶわね……』

 

 千香瑠はアルトの側にいた。

 下校するなり玄関にランドセルを投げ捨て、一文字家に走ると言った事を何日も、何ヵ月も続けた。

 首が座るのも、玩具箱を支えに立ち上がるのも、何もかも一文字夫妻の横で見ていたのだ。

 

『千香瑠おねーちゃん!一緒に遊ぼー!』

『えぇ。お菓子を持っていくから、もう少し待っててくれる?』

『うん!』

 

 それは──アルトの口から放たれる音が明確な意味を持つようになってからも変わらない。

 一文字家に足繁く通う千香瑠は、いつの間にかアルトから「姉」として見られるようになっていた。

 

(私は──お姉ちゃん。そう、アルトくんのお姉ちゃん)

 

 千香瑠はそれを快く受け入れたし、寧ろ自称すらしていた。

 だがそれも当然の事だ。

 膝を擦りむいたアルトに、千香瑠は絆創膏を貼ってあげた。

 千香瑠はアルトと一緒にピクニックに行って、手作りの弁当を食べた。

 サッカーの試合に負けて屈辱に震えるアルトの涙を、千香瑠は拭ってやった。

 そう、一文字夫妻以外で1番アルトと触れ合った期間が長いのは千香瑠だ。

 まるで本当の姉弟のように仲睦まじい2人の間柄を疑う人間など、甲州市に1人もいないだろう。

 

 

 

 

 

 

「この間振りですね、アルトくん!助かりました!」

「いやぁ、僕なんてそんな……殆ど二水ちゃん達がやってくれたようなモンで……」

「何を言うんです!アルトくんの突破力が合流を早めてくれたんですから、もっと自信を持って!」

「いや、はは……ホントに照れるなぁ……」

 

 ────だからこそ、この現実に適応出来ない。

 

「着地も失敗して、もうお恥ずかしい限りで──ちょっと恋花様!?痛い痛い……!」

「なーに言ってんだか。カッコ良かったんだから胸張りなっての!」

「……恋花、その辺りにしてあげて」

「えー、ちょっと位いーじゃないの。周りにヒュージもいないんだし息抜きはちゃんとしないと、ね?」

「そう、かな。そうかも……」

「瑶様!?いや幾ら何でも丸め込まれるの早……藍ちゃん助けて!」

「らん、ねむい……」

「藍ちゃん!?いや藍ちゃん寝ないでくれ、頼む……!」

 

 ヒュージを一掃し、一柳隊と合同で特型の捜索を開始するまでのほんの一幕。

 恋花に絡まれるアルトとその周りではしゃぐヘルヴォルの面々を、千香瑠は1歩離れた位置から静観していた。

 いや、正確に述べるならば静観などと言う穏やかなモノではない。

 

(アルトくん……っ、どうしてこんな所に……!)

 

 貼り付けた微笑の仮面の下で千香瑠は静かな怒りに震えていた。

 こんな事──一文字アルトが戦場にいるなど、あってはならない事なのだ。

 

 一文字アルトの夢は()()()()()()だ。

 普通サッカー選手が戦場で武器を振るうか?振る訳がないだろう。

 一文字アルトは年がら年中半袖半ズボンで野山を走り回る、天真爛漫な少年だった。

 しかし今目の前にいるのは特注と思わしきブレザーを見事に着こなす、落ち着きのある少年だ。

 だからアルトがこんな所にいる筈が無い、此処にいるのは()()()()()()()()()()

 そう思い込もうとして、二川アルトは他人の空似なのだと信じようとして────

 

「恋花様、髪の毛わしゃわしゃするの止めて下さいよぉ!癖っ毛なんですから、直すの大変なんですよ!?」

『千香瑠おねーちゃん、髪の毛わしゃわしゃするの止めてくれよ!癖っ毛だからいつも直すのが大変なの知ってるでしょー!?』

 

「……っ!」

 

 一挙手一投足が、千香瑠の思考を叩き潰す。

 2年と言う時間が、G.E.H.E.N.A.の過酷な実験が彼を別人のように変えてしまったのだとしても、一目見れば分かってしまう。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 これが絶対不変の、揺るぎなき真実。

 千香瑠の心をズタズタに引き裂き、ミンチになるまで叩き潰すただ1つの現実。

 

「あーっ、もう無理!マジで無理!えーっと、えっと、千香瑠様でしたっけ?兎に角誰か助けて!」

「────」

 

 故に、思考停止に陥った千香瑠の頭はアルトの無邪気な救援要請に()()()()()()言葉を返してしまった。

 返してしまったのだ。

 

 

 

「久し振りね、アルトくん」

 

「へ……?」

 

 

 ──それが如何なる事態を招くかなど、想像もせずに。




◯二川アルト
肉体の方は生まれた時からおねショタをやってたショタ。
折角必殺技決めたのに着地に失敗するとか恥ずかしくないのかよ(辛辣)
恋花様に何されてたのかって言うと後ろからハグするみたいな感じで締められてた。
つまり密着している。
これは良くない。

◯芹沢千香瑠
一言で説明するなら「どいて!私はお姉ちゃんよ!」
一文字アルトくんの事なら大体知ってる。
好きなモノも嫌いなモノも得意な勉強の科目も何でも知ってる。
そう言う関係だった。
(二川)アルトが記憶喪失なのは知ってるし久し振りとか言っちゃったのは当人にとっても想定外なので実は目茶苦茶テンパってる。

◯一柳隊
何度でも言うけど百合ヶ丘は名門だからあんなにふざけてても他ガーデン基準なら強者揃いなんだ。

◯山梨日羽梨
†サングリーズルの魔術師†
アニメ8話にチラッと出てた人。
毒舌だけど二水ちゃんの事を入学当初から気にかけてあげる良い人。
なのでアルトが一柳隊以外で推しを挙げろって言われたらこの人になる。

◯相澤一葉
目茶苦茶イケメンでカッコ良くてちょっと(当社比)過去が不安なヘルヴォルのリーダー。
今回は純粋に使命に燃えて仮面ライダーにファンガールするだけ。


グラン・エプレの面々に関しては後何話か出番が無いかもしれません。
でも必ず出すから許して…

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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