【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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繋ぎ回です。

※5/20 編集中の次話を誤って投稿してしまいました…お騒がせして申し訳ないです。


第11話「DEEP BREATH」

890:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 いやその、ちょっと相談がありまして……

 

891:ご機嫌よう名無し様 ID:XUpbMgeMl

 それならそれで自分でスレ立ててくれや

 他所のスレでするもんじゃない

 

892:ご機嫌よう名無し様 ID:sbjsQ6Tk1

 まぁそんなカリカリしないで

 誰にだって間違いはあるし

 

893:ご機嫌よう名無し様 ID:/Lckxnbuc

 初心者さんかな?

 それならそれでそう言う人向けの板に誘導するけど

 

894:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 いえ、そうではなくて……ええと

 スレ主さんにも関係する事なんですけど……

 

895:ご機嫌よう名無し様 ID:RcxW47YfA

 ?

 

896:ご機嫌よう名無し様 ID:00P8PZxpp

 何かハッキリしない物言いだな

 

897:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 ワイに関係があんの?

 ちょっと今取り込んでる最中だから待って欲しい

 

898:ご機嫌よう名無し様 ID:eqWMjnUR8

 ちょっと(ヒュージとの死闘)

 

899:ご機嫌よう名無し様 ID:zzxYnPMH3

 どんな相手にも油断をしていない+114スキラー値

 

900:ご機嫌よう名無し様 ID:Jnbq0XJfL

 ゼロツーのスペック高過ぎてかなり楽勝ムードだけど何があるか分からんからな……

 

901:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 いや、本当に……重要な事なんです!

 お願いします!

 

902:ご機嫌よう名無し様 ID:UddY3t3T8

 何でもしますから?

 

903:ご機嫌よう名無し様 ID:b2lcXiozL

 お、おぉ……真面目なんやね

 

904:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 そこまで言うなら……でも戦闘中だから返事雑になるかもしれんけど、ええか?

 

905:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 はい

 ありがとうございます

 

906:ご機嫌よう名無し様 ID:lLlXaLq9M

 よし

 それじゃあ語って、どうぞ

 

907:ご機嫌よう名無し様 ID:dBh5DCTGw

 あくしろよ

 

908:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 私バハトなる者に転生してしまったのですが……御存知でしょうか

 

909:ご機嫌よう名無し様 ID:2+mTLrboW

(アカン)

 

910:ご機嫌よう名無し様 ID:Msw2kuUCP

 もうダメそう

 

911:ご機嫌よう名無し様 ID:YV5gO8y5q

 唐突な自分語りは転生者の特権

 

912:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 バハトって誰よ?

 

913:ご機嫌よう名無し様 ID:nPI5c2bPc

 そうかイッチゼロワンまでしか見てないからバハト知らんのか

 

914:ご機嫌よう名無し様 ID:0sR6RICiU

 情報ニキ!(パンパン

 

915:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 はいよー

 

 バハト/仮面ライダーファルシオンはゼロワンの次のライダーである「仮面ライダーセイバー」に登場するキャラクターですね

 超ざっくり纏めると信じていた仲間に妻子を殺され精神が狂った結果「世界を滅ぼす事で苦痛を取り除く」事を目的に活動する不死身の剣士

 封印されてたけど突然解き放たれていきなり世界を滅ぼそうとしたり、やっぱり封印されてたけど解き放たれて主人公達を狙ったりしたぞ!

 

916:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 はえーすっごい物騒……

 

917:ご機嫌よう名無し様 ID:seS4vh6yY

 いつもの事だけどありがとう情報ニキ

 

918:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 良いってことよ

 こっちも趣味だしな

 

919:ご機嫌よう名無し様 ID:j4iFwlM/B

 バハトになるとかイッチ程ではないけど罰ゲーム感ある

 正直可哀想

 

920:ご機嫌よう名無し様 ID:IjeWmmoua

 それで?

 バハトになったのとイッチに何の関係が?

 

921:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 ……怒らないで下さいね?

 

922:ご機嫌よう名無し様 ID:puUJNKseG

 勿体振らないではよ言わんかい

 

923:ご機嫌よう名無し様 ID:jCBYmu78P

 怒らないよ

 

924:ご機嫌よう名無し様 ID:GJOcwDtyv

 怒るよ

 

925:ご機嫌よう名無し様 ID:/5Uq9R3QE

 あくしろよ

 

926:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 多分転生したのスレ主さんの世界……

 

927:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 えっ

 

928:ご機嫌よう名無し様 ID:yA5QH5fHQ

 いかんでしょ

 

929:ご機嫌よう名無し様 ID:ygunvh78m

 んな馬鹿な……

 

930:ご機嫌よう名無し様 ID:jmYU9teUe

 いや冗談だよね?

 

931:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 だって「CHARM」を持った「リリィ」がいて「ヒュージ」と戦ってるんですよね……?

 

932:ご機嫌よう名無し様 ID:b6xUr+ZWG

(頭を抱える)

 

933:ご機嫌よう名無し様 ID:ySwr9OWSJ

 ヤメロォ(建前)ヤメロォ(本音)

 

934:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 え、じゃあちょっと前に四国のネストをぶっ壊した火の鳥は────

 

935:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 私です……

 

936:ご機嫌よう名無し様 ID:7Oyo1gs1F

 あのさぁ……(呆れ)

 

937:ご機嫌よう名無し様 ID:jV6wSt8Pm

 一難去ってまた一難じゃ済まされねーなこの世界……

 

938:ご機嫌よう名無し様 ID:POBpIPuoc

 人類に不利なイベントだけ都合良く発生するクソ世界やめろ

 

939:ご機嫌よう名無し様 ID:nobZjWQfl

 いや……いやでもこれアリかもしれないぞ

 バハトが正気のまま味方になってくれたら最強じゃん!

 

940:ご機嫌よう名無し様 ID:3llMFExoq

 たしかに

 ゼロツーとファルシオンがコンビ組んで勝てない奴とか中々おらんやろ

 

941:ご機嫌よう名無し様 ID:2DwmpFu1U

 スペックの暴力&スペックの暴力

 

942:ご機嫌よう名無し様 ID:ntfd7AESe

 ヒュージ殲滅RTA始められるな!

 ……そうだよな?

 

943:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 転生時に意識逆侵食されました……

 1000年前は半々位だったけど今じゃ無意識に働きかける位しか出来ない

 

944:ご機嫌よう名無し様 ID:kaeHj9WFd

 あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!

 

945:ご機嫌よう名無し様 ID:gKzwxPXBC

 おまっ、お前ー!

 

946:ご機嫌よう名無し様 ID:njP6YfOG1

 やらかしどころの騒ぎじゃないやんけ!

 

947:ご機嫌よう名無し様 ID:/TbPJXBKz

 神様はさぁ……憑依対象の事考えてない神なの?

 

948:ご機嫌よう名無し様 ID:mmnmzmLRU

 てかそもそも何で今復活したんだよ!?

 

949:ご機嫌よう名無し様 ID:DlsW4ovwn

 もっとこう……100年後とかヒュージ関連が全部落ち着いてからにしてもろて……

 

950:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 いや、その……CHARMからほんの少しだけ聖剣味(うまみ)を感じるんですよね(似たような魔術が使われてるのかも)

 でもそれが最近目茶苦茶増えたせいでバハトさんがプッツンして自力で封印破っちゃった

 

951:ご機嫌よう名無し様 ID:q0Ky5YmLS

 えぇ……

 

952:ご機嫌よう名無し様 ID:AwjPRfe62

 うまあじ派は賢いなぁ(現実逃避)

 

953:ご機嫌よう名無し様 ID:/qF1GA/PL

 CHARMって聖剣と関係あるんだ……知らんかった

 

954:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 そう言う訳で本当に申し訳ないのですが後一時間もしない内にバハトさんがそちらに伺うと思います……

 

955:ご機嫌よう名無し様 ID:AXMp8qDRp

 こないで

 

956:ご機嫌よう名無し様 ID:bMVF52tQO

 帰れ

 

957:ご機嫌よう名無し様 ID:qP5W2l/Es

 ちょっと眠ってろお前

 

958:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 いや、無理

 今ヒュージ来てるからマジで無理

 明日辺りにしてくれんか?

 

959:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 ですよねー!

 こっちも今必死になって止めてるんですけどバハトさんがもう凄いそわそわしててヤバいです

 〔添付:男が奇声を上げながら山の中で剣を振り回している動画〕

 

960:ご機嫌よう名無し様 ID:P1HILu+nR

 バハトめっちゃイライラしてて草

 

961:ご機嫌よう名無し様 ID:lS5iuTdI7

 これもうバハトじゃなくて仁さんでしょ

 それもseason2の

 

962:ご機嫌よう名無し様 ID:Yq/0BIuqO

 ラベンダーの香りでどうにか落ち着いてくれんか?

 リラックス効果あるらしいぞ

 

963:ご機嫌よう名無し様 ID:5UreTVZ2p

 我が救世主こんな所で何してるの?

 

964:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 あ、待っ────

 

965:ご機嫌よう名無し様 ID:LgJEJVXoy

 ん?

 

966:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 バハト様バハト様バハト様!!!あーっ!!!困ります!!!変身は困ります!!!あーっ!!!あーっ!!!変身は!!!バハト様!!!あーっ────……

 

 

 

 

 

『 無 銘 剣 虚 無 』

 

967:ご機嫌よう名無し様 ID:dIgw+084Z

 !?

 

968:ご機嫌よう名無し様 ID:KOpOnnc6Y

 うわぁ!?

 どうしたんだいきなり……

 

969:ご機嫌よう名無し様 ID:xX+4KoHbm

 何だよびっくりさせんなよ……ホントコイツなんなの……?

 

970:ご機嫌よう名無し様 ID:Yum4+kGpa

 ひょっとして>>853自身も気付いてないけど実はバハトじゃなくて無銘剣に転生してるんじゃない?

 何か音声読み上げてるし

 

971:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 えっ

 

972:情報ニキ ID:nGM0WRjAT

 えっ

 

973:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 えっ、そうだったんですか?

 知らなかっ────

 

 

 

 

『 抜 刀 』

 

974:ご機嫌よう名無し様 ID:ugLW6rLm3

 もうダメだこいつら……

 

 

 

 

■■■

  11  

 

DEEP BREATH

ᛞᛖᛖᛈ ᛒᚱᛖᚪᛏᚻ

 

 

深く息を吸って

──×──

"Short break in the city"

■■■

 

 

 

『ZERO-TWO BIG BANG』

 

 黒煙立ち上る真昼の都内に、稲妻が走る。

 新宿区域から放射状に放たれた22条の閃光はビル街を、住宅街を、路地裏を余すことなく駆け巡り──道中に徘徊している障害物(ヒュージ)を悉く打ち砕く。

 そうしてかつて東京23区と呼ばれていた地域に存在する中型ヒュージを塵殺した稲妻は、全く勢いを緩める事なく新宿に舞い戻り──ビルの屋上に佇む戦士の装甲へと重なるように帰還する。

 

「────っ、は、ぁ!」

「大丈夫、アルトくん?」

「だ、大丈夫、です。一葉さん……」

 

 仮面の下で少年が呼吸を荒げるまで、僅か1分30秒。

 稲妻が帰還するまで微動だにしなかった少年を護衛する一葉が慌てて駆け寄るが、戦士は肩を上下させつつも鉄柵を掴んで立ち上がる。

 そう、一時的とは言え都内からミドル級を一掃した事を「こんな事」と呼んで良いのかは定かではないが──兎に角こんな事をしている場合ではないのだ。

 

「これ以上は無理ですよ……!」

「そりゃ、もう、しませんし出来ませんよこんなの……でも、ガーデンが準備を整える時間は稼げた筈……」

「それは、そうですが……」

 

 動かねばならない。

 戦わねばならない。

 さもなくば多数の命が喪われるとシステムが叫んでいるのだ。

 そう、仮面ライダーゼロツーの真価は毎秒2兆回にも及ぶ予測にある。

 これによって都内に存在するヒュージの個体数とそれを撃滅する為の行動をシミュレートしたアルトは、しかしあまりの結果に絶句した。

 

「江東区の掃討率は57%、墨田区64%、文京区は……まだ、ダメか……」

「……だからダメですったら!予測はもう終わりにして休憩して下さい!」

「でも、でも……!」

 

 足りない。

 絶望的なまでに戦力が足りない。

 一柳隊とヘルヴォルとグラン・エプレとゼロツーに現在戦っている現地のリリィを足したとて、旧23区に蔓延るヒュージから()()()()()()()戦うには人数が足りていないのだ。

 そして逃げ惑う人々を避難させながら命のやり取りをするリリィ達の危機をゼロツーコアが無慈悲に指摘したからこそ、少年はこのような無茶に踏み切る事を決めたのである。

 

「幾らなんでも22人同時に展開なんて無茶ですよ!理論上は出来るし実際出来てましたけども!」

「無茶を、通さなきゃ、ダメなんだよ一葉さん……」

「何でです!?」

 

 即ち、次元量子跳躍装置「クォンタムリーパー」の限界稼働。

 これによって「各地区にゼロツーが向かった可能性」を同時に顕現させる事で、都内のリリィ達が戦闘準備を整える為の時間を稼いだのだが──到底納得出来るような成果ではない。

 

「このままだと、何も悪い事をしていない人が、いっぱい死んじゃう……!」

「────!」

 

 ミドル級の掃討は自らの限界を見切った少年によって取捨選択を重ねた結果最後に残された、「最善の」選択肢である。

 しかしそれは「最善」であって「完璧」ではないのだ。

 掃討出来たのはミドル級だけ──小型ヒュージや飛行型ヒュージは野放しであり、ケイブの破壊も投影したゼロツーは為せなかった。

 これによって何れあの忌々しい亜空間通路から新たに出現した個体が損失分を埋め合わせ、変わらぬ圧力をリリィ達にかけ続けるだろう。

 

「……今のも、時間稼ぎにしかならなかったと?」

「1人も、死なせたくないのに……!」

 

 つまり、少年の行いは問題の先延ばしでしかなかった。

 例えゼロツーがいなくともヒュージの殲滅自体は完遂されるだろうが、人が死ぬ。

 それも1人や2人ではなく、沢山死ぬ。

 正義の味方(二川アルト)はそんな結末に納得出来ない。

 一文字アルトから託された()()()()()()()()()()()()()()は、どうあっても救えぬ人をこそ守る──そんなヒーローな筈なのだ。

 

 

990:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 止まれ!

 止まれよ!

 いい加減に止まれったらこの破滅バカ!

 

991:ご機嫌よう名無し様 ID:Zi6/5AF8+

 >>853のライブ映像見てるけど今さっき静岡に入ったからそろそろゼロツーコアの感知範囲に侵入しそう

 こっからが勝負だ。

 

992:ご機嫌よう名無し様 ID:AHVng1Kou

 次のスレはこっちで建てとくからイッチは目の前の事に集中しろ!

 

 

 

 そして、来る。

 破滅の剣士がやって来る。

 世界の全ての無に還す為なのか何なのか、転生者の必死の制止を一顧だにせず巨大な火の鳥となって今この瞬間も東京に迫っている。

 

(このまま()ったとして、バハトとやらに何分持たせられるんだ……?)

 

 対策は、幸いにもあった。

 時間も戦力も撃退する術も全てが足りないが、それでも切り札はある──()()()()()()()に。

 夢結経由で連絡を受けた百由に届けるべく奔走してもらっているが、やはりこれも時間が足りない。

 

(────でも、やるしかない)

 

「────一葉さん」

「えっ?ちょっ、ちょっと────」

 

 きょとんとする一葉の肩を掴む。

 相手が年端もいかぬ少年とは言え、大胆なボディタッチに少女は赤面したが──そんな事は気にしている場合ではない。

 本音を言ってしまえばアルトはリリィをバハトと相対させたくなかった。

 足手纏い等と言うつもりはないが、これまでの戦いより「誰かが死ぬ可能性」は格段に跳ね上がる。

 でも、信じるしかない。

 東京を守りたいなら、罪無き人を守りたいなら、仲間を守りたいなら()()バハトに立ち向かう、それしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「お願いがあります」

 

 ────そして少年は、地獄の釜を開けた。

 

 

 

■■■

 

 

 

 思いの外澄んだ空に銃声が響き、力を失った肉塊がべしゃりと崩れ落ちる。

 

「……終わったのか?」

「……そうみたいね」

 

 どこかぼんやりとした鶴紗の呟きに、ゲイボルグ(CHARM)を構える芹沢千香瑠もまた曖昧極まりない呟きを返す。

 誰もが長期戦を覚悟していたエレンスゲ女学園付近での戦闘は、稲妻──可能性として展開されたゼロツーの横槍によってあまりにも呆気なく終結した。

 何しろ大軍の半分を占めるミドル級が5秒もしない内に悉く死体に変わってしまったのだから、残された小型を平らげればそれで終わりだ。

 

(────また、助けられた。力になってあげられなかった)

 

 これで、少年に助けられるのは何度目か。

 折角再会出来たと言うのに何かしようと思う度に空回りをして、何度も庇われて。

 故にこそ今回も「何もしてないのか」と言われれば即座に否定出来るが、「何かしたか」と言われれば口ごもってしまうような己の戦果に千香瑠は唇を噛む。

 

 一体何の為にリリィをやってきたのか。

 守りたい相手を守る事が出来ず逆に守られるとは見下げ果てたモノだ、と千香瑠は不甲斐ない己に溜め息を吐く。

 とは言え、自分を責めたところで何かが変わるでもなし。

 俯いた先で握られた右手は、指が食い込む位に力んでいて────

 

「千香瑠様、一旦学園に戻って梅様達と合流しましょう」

「え?そ、そうね」

 

 気だるげにティルフィングを担いだ鶴紗の姿に、我を取り戻す。

 どうやらスモール級と戦う内に学園からかなり離れてしまったらしく、端末を開けば藍や見学として訪れていた梅達から「早く戻ってきて」だとか「探しに行こうか?」等と言ったメッセージが入っていた。

 

「……」

「……」

 

 瓦礫や乗り捨てられた車等が散乱するエレンスゲへの道を並んで歩くが、2人の間に会話は無かった。

 鶴紗があまり他人との会話を得意としていないのもあるが、それ以上に千香瑠の心が暗澹としているからだ。

 普段であればお節介の1つや2つでもしていたのだろうが、今ではそれをする余裕すら無い。

 

(……凄い。怪我をしていないだけじゃなくて、衣服の乱れすらないのね。流石は百合ヶ丘……)

 

 兎に角この負の感情から逃れたかった千香瑠は横目で鶴紗の様子を観察し──その強靭っぷりに驚愕した。

 エレンスゲ女学園は生粋の実力主義であり生徒は日常的にヒュージと交戦しているが、それでもスモール級相手に苦戦する事だって多々あるのだ。

 勿論それは作戦にミスがあったりだとか不意を打たれたとかだとかが大半だが、鶴紗は違う。

 突発的かつ大規模な襲撃でありながら一切動ずる事無く冷静に対処してみせ、その上ある程度の余裕すら残しているのだから凄まじい。

 

(それに比べて、私は……)

 

 成る程、これが世界有数のエリートガーデンの実力かと感服した千香瑠は再び襲いかかってきた無力感に溜め息を吐いた。

 勿論千香瑠とて彼女は参加した者はある種の伝説扱いされる御台場迎撃戦の経験者であるが、それは何の慰めにもならない。

 自分の名声などそこら辺に転がっている石ころ以下の価値しかないのだ。

 そうして半分だけ2年前に置き去りにしてしまった心に囚われ、何も為せずにいる。

 無力で、滑稽で──そんな自分に腹が立つ。

 

「千香瑠様?」

「あ──いえ、何でもないわ。大丈夫よ」

「……そうですか」

 

 苛つきが顔に出てしまったのか鶴紗は訝しむような声を上げたが、千香瑠が慌てて否定をすれば少し俯き足を動かす作業に戻った。

 

「……」

「……」

 

 またしても、沈黙。

 本当に何をしているのだろうか、と千香瑠は心の中で呻く。

 これではただ不機嫌な雰囲気を撒き散らしているだけの嫌な女だ。

 やる事為す事全てが裏目に出る現状に益々嫌気が差し、堪らず空を見ようとして──そこで漸く紅い瞳が此方をじっと見ている事に千香瑠は気付いた。

 

「……あの、千香瑠様」

「何、かしら」

「ひょっとして、アルトの事で悩んでるんですか?」

「────!」

 

 完全に図星だった。

 気遣われるばかりか悩みの原因まで纏めて見抜かれた事に千香瑠は頬が熱くなるのを感じたが、ギリギリの所で己を抑える。

 恥は恥だが、それより先ずは聞きたい事があった。

 

「……どうして、分かったの?」

「いや、分からない訳ないじゃないですか。だって千香瑠様はアルトの姉みたいなモノだったんでしょう?」

「あ────」

「それにアルトは梨璃や結梨と合わせて一柳隊(ウチ)の三大問題児ですから。まぁ何かするならアイツかな、と」

 

 あまりにも当然な答えに、思わず閉口してしまう。

 なんと、自身とアルトの関係性について一柳隊に説明した事を千香瑠は完全に失念していたのだ。

 しかも()()()()()の姉をやっている二水の前で()()()()()()の姉(のような者)をやっている事を豪語したのだから、鶴紗達が忘れる筈は無い。

 

「はぁ……」

「……」

 

 無力感と焦燥に情けなさまで加わって、千香瑠はいよいよ重苦しい溜め息を吐くしかなかった。

 その様子を横目で見た鶴紗が──ぽつりと呟く。

 

「あの、話聞きましょうか?」

「え?」

「千香瑠様の事情は何も知らないけど、だからこそ気心の知れた相手に話すより気楽になるって事も、その……あると思います」

「────!」

 

 嫌なら聞かなかった事にして下さい、とそっぽを向いて吐き捨てた鶴紗の姿に、しかし千香瑠は救われるような心地を抱いた。

 一葉には、話そうと思っても上手く話せなかった。

 恋花にも、搖にも、藍にも同じだった。

 話そうと思う度に「これを話してどうするのか」、「こんな重苦しいだけの悔恨を聞かせて何になるのか」と言った疑問が湧いてしまうのだ。

 

「────いい、の?」

 

 でも、ひょっとしたら──鶴紗になら、話せるかもしれない。

 彼女が言う通り関係が薄いからこそ、何も知らないからこそ出来る話もあるのかもしれない。

 そんな藁にもすがるような千香瑠の目線に、鶴紗は少し肩を竦めて────

 

 

 

「聞くだけ、ですよ」

 

 ぶっきらぼうで、同時に優しい言葉を投げ返した。

 

 

 

■■■

 

 

 

『 再 界 時 』

 

「あーっ!またあの人瞬間移動してるじゃないですか!神琳さん、姫歌さん、灯莉さん、結梨ちゃん、ブロックお願いします!」

 

「とおせんぼー!」

 

「はい、此処は通行止めです」

 

「別に工事中でも何でも無いけど、先に進みたかったら他の道を使う事ね!」

 

「今ならコッチの方が近道だぞ☆」

 

「──────」

 

「そうそう、その調子です……な、中々聞き分けが良いじゃないですか。何ならアルトくんよりずっと言う事聞いてくれるかも────」

 

『 再 界 時 』

 

「だーっ!?だからそれはダメなんですってー!皆さんブロックお願いしますー!」

 

 

 

 

 

 

 

「高嶺様、雨嘉さん、私達何やってるんしょうか…?」

 

「何って…アルトからの、要請。あのデュランダル(変な人)をどうにかしてエレンスゲまで誘導して欲しいって…」

 

「そうなんですよね…でも、こんな事をしていて良いんでしょうか…」

 

「この辺りの避難はもう完了したし、ヒュージも大体ゼロツーが片付けてしまったから大丈夫よ紅巴ちゃん」

 

「で、ですよね!でも、何て言うか、その────」

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、穏やか過ぎません…?」




◯二川アルト/仮面ライダーゼロツー
へばってるけど1分半で23区内からミドル級ヒュージを消し去ったやべーやつ。
本音を言えばライダー同士の戦いにリリィを巻き込むとかしたくないけどもう形振り構っていられないので皆を頼る。
そういう所やぞ

何やら秘策があるようだが…?


◯>>853/一般転生虚無
本人なのか聖剣なのかベルトなのかよく分からんやつ。
1000年前からちょくちょく復活しててその度に封印されてその度にバハトに意識を侵食されている。
真面目な感じの語調だけど掲示板をあまり知らないからそうなっているのであって本性はアルト寄り。
尚最後に復活したのは300年前であり、その時は炎の剣士に封印された。

◯相澤一葉
何かとんでもなく無茶してるアルトを心配する人。
幾ら恋愛感情ゼロの年下相手でも肩を掴まれたら赤面してしまう程度には初心。
梨璃ちゃんと夢結様と叶星様は下で新宿の残敵をサクッと掃討してる。

◯芹沢千香瑠
メンタルガタガタの人。
何やっても裏目に出るのは1000%アルトが悪い。

◯安藤鶴紗
目茶苦茶強い人。
不器用だしぶっきらぼうだけど優しいんだ。

◯二水ちゃん達
デュランダルを誘導している(超ほのぼの)
取り敢えず目の前に3人で並んで道を塞げば進路を変えてくれる上にひめひめも灯莉ちゃんも(後何故か神琳も)ノリノリなので紅巴ちゃんが「何やってんだろ…?」となるのも致し方なし。

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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