【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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どうか、対話を諦めないで。


第12話「不死鳥の剣士と泪の少女」

65:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 ダメだ……全く止まらない……

 ごめんなさい、スレ主さん……

 

66:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 気にしないで

 割とこの手の荒事には慣れてきたし……

 

67:ご機嫌よう名無し様 ID:miNUwGv5z

 まぁ幾ら転生者だからってどうにもならない事はあるさ

 

68:ご機嫌よう名無し様 ID:75V0+chtl

 止めようと努力してるのは伝わってくるし相手がバハトだからしゃーない

 あれは言葉で止まる類いのヤツじゃないだろ……

 

69:ご機嫌よう名無し様 ID:mCxdIepvK

 強いて誰が悪いか言うならゼロワンとセイバーをこの世界にぶちこんだ神様が悪いからな

 

70:ご機嫌よう名無し様 ID:2ZRBPDzMn

 うん

 いつも通り博打が過ぎるけど対策はあるから、ガチで蒸発してた時期よりかは全然マシよ

 

71:ご機嫌よう名無し様 ID:RDp1X1NjX

 で、結局の所バハトの狙いはエレンスゲの聖剣で確定なの?

 

72:監視マン(虚無担当) ID:UGgtWgyp

 静岡市通過

 

73:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 >>71

 ほぼ間違いなく

 長い付き合いですけど彼が世界の破滅以外でこんなに執着するのは剣士に関する事だけです

 

74:ご機嫌よう名無し様 ID:xXxNYxtMy

 だから六本木に聖剣があるなら先ず其処を目指すだろう、と

 

75:ご機嫌よう名無し様  ID:mskjdhnse

 うーん……取り敢えず初手世界滅亡目指さなかっただけマシか

 聖剣を気にしてる内は世界は安心って訳だ

 

76:ご機嫌よう名無し様 ID:uQjJB9DvN

 しかし聖剣つっても何なんやろなぁ

 イッチなんか聞いてないの?

 

77:ご機嫌よう名無し様 ID:eRiD5HQ3k

 前スレで西洋剣って言ってたから少なくとも風双剣では無さそうだけど

 

78:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 分からん

 一葉さんも人伝で聞いただけで直接見た訳じゃないから……

 

79:ご機嫌よう名無し様 ID:jG6L/3rJV

 ふーむ……闇黒剣か火炎剣だと助かるんだけどなぁ

 誰か選ばれそうじゃない?

 

80:ご機嫌よう名無し様 ID:SDeFGWgfs

(選ばれたらヒュージ以外とも戦う事になりそうだから)ダメです

 

81:ご機嫌よう名無し様 ID:LqEG57FeE

 戦力は欲しいけどリリィの皆をこれ以上余計な事に巻き込むのはちょっとね……

 

82:ご機嫌よう名無し様 ID:gOPeqvkQM

 こうなっちゃうともう何が潜んでるか分からんしな

 

83:ご機嫌よう名無し様 ID:79zdEYgiB

 魔化魍とかならリリィでもどうにかできそうだけどグロンギとかオルフェノクとかスマッシュとかは流石にね……

 

84:ご機嫌よう名無し様 ID:kvCmYewpw

 リリィに人は斬れんでしょ

 

85:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 ……オルフェノクとか出てきたら俺が殺るしかない

 人殺しはかなり抵抗あるけどこればっかりは皆の手を汚させる訳にはいかない

 

86:ご機嫌よう名無し様 ID:uDaRMeWQ4

 お、たまにはカッコいい事言うじゃん

 

87:ご機嫌よう名無し様 ID:m1QpWzn7W

 よう言うた!

 それでこそ漢や!

 

88:ご機嫌よう名無し様 ID:fmo7KTVIs

 その気持ちを秘めてないでちゃんと伝えたら二水ちゃんとかも色々考えてくれるだろうに……

 

89:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 話を戻すけど

 取り敢えずバハトがエレンスゲに来るのは殆ど確定しているから、何故か郊外にいたへんな仮面ライダーっぽいのをぶつけます

 誘導も始めてもらってる

 〔添付:二水達に付き纏われて鬱陶しそうにしているデュランダルの動画〕

 

90:ご機嫌よう名無し様 ID:v6w0uIC1L

 !?

 

91:ご機嫌よう名無し様 ID:TTket8SIx

 話逸らしたなって言おうと思ったけどこれデュランダルじゃん……

 

92:ご機嫌よう名無し様 ID:g9LusabEE

 野生のデュランダルやめろ

 

93:ご機嫌よう名無し様 ID:d+IQQERLZ

 デュランダルもそうだけど一体何してんの二水ちゃん達……

 

94:ご機嫌よう名無し様 ID:hzRA0ucIl

 分からねぇ……しかし何かトンでもないゆるふわ空間が形成されている……

 

95:ご機嫌よう名無し様 ID:0bV0hhxwz

 灯莉ちゃんと結梨ちゃんが周りをピョンピョンしてるのかわいい

 

96:ご機嫌よう名無し様 ID:HV98swkUo

 デュランダルが急に出てきた理由とか虚無ニキは御存知ではない?

 

97:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 心当たりはあります

 と言うか300年前の知り合いですね

 

98:監視マン(虚無担当) ID:UGgtWgyp

 熱海通過

 

99:ご機嫌よう名無し様 ID:kPZT5tP9D

 へー

 本編だと仲悪い以前に狂犬と噛み付かれた人位の関係性だったのにね

 

100:ご機嫌よう名無し様 ID:/uaulYqlC

 バハトさんはユーリ飛羽真以外じゃそもそも意味のある会話とかしなさそうなのに意外だわ

 

101:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 ちなみにどういう関係だったんすか?

 

102:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 煽り煽られ殺し合う仲でしたね

 

103:ご機嫌よう名無し様 ID:YDTvMlV2u

 えぇ……(困惑)

 

104:ご機嫌よう名無し様 ID:KoK4zFXzL

 仲……仲か……?

 

105:ご機嫌よう名無し様 ID:ze2Wr5+Qn

 いや丁寧な感じ装ってるけどやっぱコイツもイッチ寄りのあっぱらぱーやんけ!

 

106:ご機嫌よう名無し様 ID:HyO2g9oBq

 バハトも煽りとかすんのね……

 

107:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 最初は真面目にやってたんですけど粛清剣士なカレがあまりにしつこいからイラっと来たみたいで……

 最後の方は

「こんっっっなに何度も何度も戦ってるのに未だに封印出来ない(勝てない)とかお前恥ずかしくないのか」「負けてないが?(即答)」

 みたいなやり取りが日常になってましたね

 

108:ご機嫌よう名無し様 ID:rax/1ZCUf

 草

 

109:ご機嫌よう名無し様 ID:KtACF2a2m

 青春かな?

 

110:ご機嫌よう名無し様 ID:bKyw9f2Co

 誰も彼もふざけてんなこの世界……

 

111:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 まぁ

 だから炎の剣士に封印されちゃった時バハトさんちょっと寂しそうにしてたし粛清剣士くんも「次復活したら必ず俺が封印してやるからな!」って言ってた

 つまりはそういう事なんだと思う

 

112:ご機嫌よう名無し様 ID:Va2kWY7YL

 あっ……

 

113:ご機嫌よう名無し様 ID:rF378H4Qn

 笑い話じゃなかった……

 

114:ご機嫌よう名無し様 ID:eo/Wlf02C

 何でこの世界の人皆悲しみ背負ってるん……?

 幾ら何でも辛すぎるやろ……

 

115:ご機嫌よう名無し様 ID:b6XcVjqt4

 時代……ですかねぇ

 まぁそれで納得出来ないから方向性は違えど皆頑張ってるんだろうけど……

 

116:ご機嫌よう名無し様 ID:vtkpp29u9

 そういうモンか……そう言えばイッチは今何してんの?

 結構余裕な感じ醸し出してるけど

 

117:ご機嫌よう名無し様 ID:6besS05jO

 割と切羽詰まってるんじゃなかったっけ

 ココ覗いてて大丈夫か?

 

118:一般転生悪意01 ID:ARK01+02

 ああ、それは大丈夫

 今の所間に合いそうだし、一葉さんが背負ってくれてるから

 

119:ご機嫌よう名無し様 ID:o/3wOWH1P

 は?

 

120:ご機嫌よう名無し様 ID:cR1SziqUp

 許さない

 

121:ご機嫌よう名無し様 ID:fIStvYyrV

 いっつも言ってるんだがそういうとこやぞ

 

122:ご機嫌よう名無し様 ID:l4uN3NSM8

 常に百合ヶ丘の道徳に挑戦し続ける男

 

123:ご機嫌よう名無し様 ID:939h8kuwp

 しんみりした空気が一瞬で消し飛んだんだが?

 どうしてくれるん?

 

124:ご機嫌よう名無し様 ID:YcjjoEqbE

 この流れも慣れてきたななんか

 とすると……

 

125:ご機嫌よう名無し様 ID:HlMGH/BwH

 あーあーいーなー!

 俺も女の子と仲良くしたいなー!

 何でむさいオッサンしか周りにいないんだろうなー!

 

126:ご機嫌よう名無し様 ID:5ESXRkC4x

 むさいオッサンでも話通じるだけマシだろ……

 ワイの周りにはいあいあうるさくて頭おかしい信者達しかいないぞ

 

127:ご機嫌よう名無し様 ID:3OxXoFVf+

 邪神兄貴は帰って、どうぞ

 

128:ご機嫌よう名無し様 ID:gUhQ+pXBv

 こわいなーとずまりしと────

 

129:監視マン(虚無担当) ID:UGgtWgyp

 世田谷区到達

 

130:ご機嫌よう名無し様 ID:gUhQ+pXBv

 ────え?

 

131:ご機嫌よう名無し様 ID:F1tWDehKh

 ほれ見ろ……

 

 

 

 

■■■

  12  

 

不死鳥の剣士と泪の少女

ᛏᚺᛖ ᚠᛖᚾᚲᛖᚱ ᚨᚾᛞ ᛏᚺᛖ ᚷᛁᚱᛚ

 

 

ブーステッド・フレンド

──×──

"Deciding the fate of a battle like a Valkyrie."

■■■

 

 

 

「────嫌な、戦いだったわ」

 

 2年前、「甲州撤退戦」と呼ばれる戦いがあった。

 それは苛烈で、熾烈で、絶望的で──撤退戦の名の通り最初から敗北が決まっていた戦いである。

 

 切っ掛けは、富士五湖にケイブが発生した事だった。

 別にそれ自体は珍しい事象ではない。

 そもそもケイブとはヒュージネストが遠隔地に尖兵を送り込む為に使用される悪空間通路であり、それが山梨に現れた事そのものは残念ながらこの世界では()()()()()緊急事態の1つでしかないのだ。

 

「────ありふれた問題だと思っていたそれが、気付いた時には手遅れになっていたの」

 

 ──ところが、そのケイブは発生するや否やネストへと変貌を始めた。

 言ってしまえば建てたばかりの無人駅が翌日東京駅になっていた位の異常事態である。

 勿論、リリィ達は指を咥えて見ているばかりではなかった。

 当時甲州市を国定守備地域としていた甲斐聖山女子高等学校は速やかに調査隊を組織しケイブの調査と破壊を命じたが、その結果は失敗に終わる。

 悪空間通路の周囲を徘徊するヒュージの規模は、既に1ガーデンの戦力では撃滅する事が不可能な領域に到達していたのだ。

 此処に至って事態が最悪の方向へと傾き始めた事を悟った政府は山梨全体を陥落地域に指定し、初動を潰された甲斐聖山女子を救援すべく周辺のガーデンに協力を要請して──地獄が顕現する。

 

「────皆行き急いで、いなくなって……それどころかまだあの場所で戦っている人もいるわ」

 

 死んだ。

 沢山死んだ。

 あまりにも急な避難命令に身一つで飛び出した者が、既に破壊された人員輸送のバスを待つ者が、ゲームか何かみたいに死んでいった。

 それどころか彼らを救うために奔走するリリィ達も容赦なく命を刈り取られていった。

 特に現2・3年生は損耗率が高く──その中には、白井夢結のシュッツエンゲルである川添美鈴も含まれていた。

 兎にも角にも「悲惨」の一言に尽きる戦いだったのだ。

 

「────きっと私も、その1人」

 

 ────そして、芹沢千香瑠は中等部の予備隊として地獄を生き延びた者の1人であった。

 即ち、かつての夢結のように心をあの戦いに囚われたリリィの1人でもある。

 

「千香瑠様は……戦ったのか」

「ええ。リリィとして人々を守りたいと思っていたし、一人の人間として家族や親しい人を守りたいと思って……その通りにしたわ」

 

 その結果がコレだけれど、と千香瑠は空を見上げながら呟いたが、隣を歩く鶴紗は肩を竦めてその後悔を聞かなかった事にする。

 最初から反故にするつもりではあったが、名目上だけでも「聞くだけ」と言う建前を守る必要があるのだ。

 そうして無言で続きを促せば、彼女は探るようにして再び口を開いた。

 

「バスが襲われる傾向にあるって情報があったの」

「バスが?」

「そう、バス。まだ本格的に戦闘が始まった訳でもないのに、避難民を乗せたバスが何台も行方不明になってるって……」

 

 その言葉から想起されるのはヒュージの襲撃だが──実際どうだったのかは定かではない。

 確かに、ヒュージによって乗客諸共無惨に破壊された()()()()()バスは幾らかあったが、その数は当時千香瑠が知らされていたモノとは一致しないのだ。

 恐らくは混乱によって発生した配車状況を把握出来ていない(行方不明の)バスが相当数存在したのだが、人の口から口へと伝わる内に「行方不明」の部分だけが誇大化されたのだろう。

 

「だから、お母さん達に連絡しちゃったの。『バスは危ないから徒歩で避難した方が良い』って」

「……」

「卑怯な事をした、とは今でも思っているわ。撤退戦の準備で猫の手も借りたい状況なのに家族に連絡を取って、本当かどうかも分からない情報を流して……」

 

 千香瑠は己の行いを責めているようだが、鶴紗はこれを叱責しようとは思わなかった。

 だって鶴紗自身は既に両親を亡くしていて、だからこそ家族を大切にしたいと思う気持ちを理解しているのだから。

 もし──もし父が生きていて、同じような場面に直面したら鶴紗もきっと同じ事をする。

 きっと、鶴紗の父は納得しないだろうけれど。

 

「……でも、結局私の両親はバスに乗っていたわ。あの時はお父さんの体調があまり良くなくて、何時間も歩かせるなんて到底出来なかったから」

「……良かったじゃないですか。無事に生き延びられたんでしょう?」

「……そうね」

 

 千香瑠も、彼女の両親も──生き延びたのは運が良かったの一言に尽きる。

 歴戦のリリィ達が多大な犠牲を払いそれでも守りきれなかった人々がいる中で、五体満足のまま防衛軍の基地に避難出来たのは本当に幸運な事なのだ。

 だからこそ鶴紗は嫌味でも何でもなく心の底から「良かった」と言ったのだし、千香瑠もそれを素直にそれを受け止めた。

 そう、本質はこれではない。

 

「────一文字さんは、私の言葉に従ったわ」

「……」

「私の両親と一文字さんはとても仲が良かったから……避難する時もお父さんを心配して様子を見に来てくれたの」

 

 一文字夫妻とその息子(アルト)は、芹沢千香瑠のアドバイスの通りに徒歩で避難し──そして無惨な結末を迎えた。

 1人は原型も留めぬ程破壊された肉塊に変わり、1人は何が起こったのかも分からぬまま真っ二つになって絶命し、そして最後の1人は実験の末人としての全てを破壊され尽くした。

 それが全てだ。

 他の見方などありはしない。

 直接殺したのがヒュージなのだとしても、其処へ彼らを誘導したのは他ならぬ千香瑠なのだ。

 

「電話越しに『千香瑠ちゃんありがとう』って、『ご両親と一緒に都内で待ってるよ』って、『千香瑠お姉ちゃん頑張って』って、言ってくれたのに……!」

「……」

「それなのに、あんな酷い目に遭わされて……探しても探しても見付からなくて、ひょっとしてアルトくんも死んじゃったのかもしれないと思うようになって……!」

「……それは」

「それなのに、今更どの面を下げてアルトくんに会おうって言うの……!?私があの子の親を殺したようなモノなのに……!」

 

 千香瑠はぼろぼろと涙を流して、幼子のように泣きじゃくる。

 けれど、エレンスゲへと向かうその足は止まらない。

 時の流れを止められないのと同じように進む事だけは止められず、どれだけ自分自身が憎かろうと少年を想う気持ちは変わらない。

 リリィとしての誇りが、仲間を思う愛が、例え恨まれようともう一度少年を守りたいと願う勇気が彼女を無理矢理に突き動かしていた。

 

「わたし……私は……!」

「千香瑠様……」

 

 今の彼女は、誰がどう見たって限界だ。

 この2年間笑顔の裏で抱え続けてきた後悔は千香瑠を押し潰さんばかりに肥大化し、目に見えない苦役を課している──それも彼女自身の望みとして。

 これを投げ捨ててしまえば自分が自分でなくなると言わんばかりに。

 

「────千香瑠様、聞いて下さい」

 

 だからこそ、言わねばならない。

 最前線で共に舞う戦友として、大切な仲間を想う一人のリリィとして、絶対に言わねばならない事が鶴紗にはあるのだ。

 そう────

 

 

 

「アルトと、話しましょう」

「え……?」

 

 大切なのは心と心を繋ぐ事なのだと。

 苦しみを背負うのが正しい選択なのだとしても、1人ではダメなのだと。

 当然、千香瑠がそれに納得する筈は無い。

 ポカンと呆けたのも束の間、瞳に涙を湛えたまま鶴紗に食って掛かる。

 

「そんなの……そんなの無理よ!私にアルトくんと話す資格なんて無いわ!だって一文字アルト(あの子)は私を恨んでいるもの!」

 

「そんなの、話してみなければ分からないでしょうが!」

 

 胸ぐらを掴んで悲痛な叫びを上げる千香瑠に負けないように鶴紗も叫び返す。

 答えは最初から分かっている。

 千香瑠と形は違えど強化リリィと言う暗い過去を背負っているからこそ、此処で彼女に圧し負ける理由は無いのだ。

 

「──!?」

「まだ何も話していない内から勝手に決め付けて……そんな事したって誰も救われない。一文字アルトも、二川アルトも、千香瑠様も!皆も!誰も救われないんですよ……!」

 

 例えば一葉がそうだ。

 殆ど関わりの無い鶴紗ですら分かる程、明らかに彼女は千香瑠を心配していた。

 しかしどこまで踏み込んで良いのか悩み、千香瑠の「大丈夫」を信じて待っていた。

 一葉だけではない。恋花も、搖も、藍も、一柳隊やグラン・エプレのリリィ達でさえ皆千香瑠を想っているのだ。

 

「わたしは、救われようなんて────」

「千香瑠様が思っていなくても!千香瑠様を想っている人はいるんですよ!貴女は聡明なんだから、それ位分かれ……!」

 

 だから、千香瑠が救われないなんて事は全員が許さない。

 後悔の沼に沈みたいなら好きなだけ沈めば良いが、それなら引き上げようとするのだって勝手にやらせてもらう──それだけの話だ。

 

「それに……!人と人とが話すのに一体何の資格が要るって言うんです!?」

「え……」

「そんなモノ誰にも無い!私にも、千香瑠様にも!だから────」

 

 そう、そうだ。

 それが全てだ。

 勝手に恨んでいると思い込んで、話もしないで後悔だけ募らせ、挙げ句の果てに資格と来た!

 ふざけるなよ、と鶴紗は煮え滾った胸の奥底で呟いた。

 でも、それ以上に────

 

 

 

「自分を傷付けるのは、もう止めましょうよ……!」

「鶴紗、さん……」

 

 鶴紗も泣いていた。

 深紅の瞳を涙で潤ませ、千香瑠の為に泣いていた。

 ぶっきらぼうで、無愛想で──誰よりも他人に優しい少女。

 それが鶴紗だ。

 けれど結局全てを決めるのは千香瑠なのだから、彼女に出来るのは共感する事しかないのだ。

 

「アルトは千香瑠様を恨んだりなんかしません……っ。私は二川アルトしか知らないけど、アイツが千香瑠様を恨むような奴じゃない事は分かります……!」

「……」

「そりゃ千香瑠様の知ってるアルトとは違うと思いますけど、アイツもアルトなんですよ……!だから、だからアルトを見てやって下さい……お願いします……!」

 

 お願いします、お願いしますと鶴紗は泣きながら懇願し続けた。

 他者と繋がろうとする事を止めないで欲しいと、大した成果が得られないとしても少年と会話を試みる事だけは止めないで欲しいと、そう思って────

 

 

『 無 限 一 突 』

 

「────危ないっ!」

「────!?」

 

 咄嗟に鶴紗を引き倒した千香瑠の背後に、突如巨大な火柱が噴き上がる。

 そして、耐熱性に優れた制服越しでもじりじりと肌を焼く業火に耐えつつ路上を転がった少女達は「それ」を見た。

 

 

「何処だ────」

 

 

 炎を引き裂いて歩み出た禍々しい戦士を。

 橙と黒の2極のみで構成された、威圧感に満ちた装甲を。

 狂気と攻撃性を象徴した、異形の仮面を。

 腰に巻かれた()()()()()()の証であるベルトを。

 

 

「炎の剣士は、何処にいる────」

 

 

 その名は仮面ライダーファルシオン。

 何もかもを破壊し無に還す為に封印から復活した、虚無の剣士──即ちこの世界に生きとし生ける全ての生命体の、敵である。

 

 

 

■■■

 

 

 

「────?」

 

 剣士が、俯いていた顔を上げる。

 仮面越しに広がる視界には、透き通った青い空を焦がす炎の不死鳥。

 

 ────ああ、其処にいたのか

 

 300年前から、虚無の剣士はいつもいつも神出鬼没だった。

 抹消された時間への潜航と言う搦め手を持たないにも関わらず、何時何処から現れるかまるで想像もつかなかった。

 だが、今度はもう逃がさない。

 殺して、殺して──自分諸共抹消された時間の底へと叩き落とす。

 

『次は──次に貴様が復活した時は、俺が必ず封印してやるからな!覚悟しておけ!』

『ハ、ハハハハハ──やってみろ、無知で無謀で愚かな剣士が』

 

 約束したのだ。

 誓ったのだ。

 必ず──例えどれだけ時間が掛かったとしても必ず封印すると。

 何度挑んでも勝てなかった相手に、2度と遅れは取らないと。

 故にこその300年。

 ソードオブロゴスが衰退するのを傍観し、ヒュージの出現を無視した意味はそんな極めて個人的な執着を発端に行われた。

 それらを全て無価値にしない為にも、剣士は決戦の地に赴かねばならない。

 

「────」

 

「……動きを、止めた?それにあの火柱、あれはまさか────」

 

 つい先程まで剣士を取り囲んでいた少女達も呆然と火柱を眺めている。

 これまでにも虚無の剣士の暴威を目にして驚愕しないモノ等いなかったから、当然と言えば当然の話だが。

 しかし、少女達が剣士を何処かへと誘導しようとしていた理由はこれでハッキリした。

 彼女らは剣士と虚無の剣士を戦わせようとしていたのだ。

 

 ────なんだ、そう言う事か

 

 利用するつもりだったのか、と少し悲しさを覚えつつも剣士は納得した。

 幾らこの騒々しい少女達がCHARM(聖剣擬き)を持っていたとしても、強大な力を振りかざす虚無の剣士に対抗するにはかなり厳しいモノがあるのだ。

 そう言った時に個の力を極限まで高めるのではなく、集団の力で以て当たる。

 きっとそんな時代になったのだ。

 ならば──その期待にも応えねばなるまい。

 

『 界 時 抹 消 』

 

 少女達に通告する事なく、何の前触れも無しに剣士は抹消された時間に潜航する。

 短い付き合いとは言え、年若い少女達を虚無の剣士と対峙させるのは気が引けたからだ。

 

「────」

 

 ぴたりと静止した少女を振り返る事もなく、戦士は進む。

 ただひたすらに、己の因縁に決着を付ける為に。




◯芹沢千香瑠
全部ヒュージが悪いし何なら事故みたいなモノなのに全てを背負い込んでしまう人。
一文字アルトが生きていたら自分を恨んでいるだろうなと思っているし、二川アルトの方とは初対面の時にうっかり声をかけてしまったけれど本当はそんな資格無いと思っている。
初登場以降殆ど絡みが無かったのはこれが理由であり、そのせいで不調や無力感を抱えていた。

◯安藤鶴紗
誰かの為に泣ける少女。
例え血が繋がっていないのだとしても、一文字アルトにとって今や唯一の家族であり二川アルトにとって大切な仲間である千香瑠を心配している。


──まだ直接聞いた訳でもないのに、全てを諦めたりなんて、しないで欲しい。
例え良くない結果に終わるのだとしても、先ず話す事を試みて欲しい。
それによって救われたのが、他ならぬ鶴紗自身なのだから。

◯仮面ライダーファルシオン
転生者が混じってるのでやっぱり百合の間に挟まろうとする(風評被害)
炎の剣士を…殺す!

◯仮面ライダーデュランダル
文中で示された会話、それが全て。

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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