【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】 作:イナバの書き置き
133:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
あっ
〔黒煙立ち上る市街地でポカンと口を開けて固まっている千香瑠と鶴紗の動画〕
134:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
あっ
〔酷いブレの中、遠方のビル街から雲に届くほどの火柱が渦巻いている動画〕
135:ご機嫌よう名無し様 ID:LmNUybW2/
あっ
136:ご機嫌よう名無し様 ID:0RMrPGhJd
……えっと、その、あの
137:ご機嫌よう名無し様 ID:AsLLCajar
……なぁ
138:ご機嫌よう名無し様 ID:3cN5w0SAd
……おい
139:ご機嫌よう名無し様 ID:Hj0oTVw4N
────ほれ見ろとか言ってしまって、本当に御免なさい!
140:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
ほああああぁっ!?止まれぇぇぇっ!
〔橙と黒に彩られた剣を構えた男が少女達に斬りかかる動画〕
141:ご機嫌よう名無し様 ID:YBYy39jHq
ウワーッもうバハトが都内にいるよ!?
何でぇ!?
142:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
私にも分からん
誰か教えてクレメンス
143:ご機嫌よう名無し様 ID:exShKescf
そんな事よりこの状況への対策をだな!?
バハトをだな!?
144:ご機嫌よう名無し様 ID:oQx/ZPhvr
うわぁぁぁぁ千香瑠様たちが襲われてる!?
しかも割り込むように!?
コイツも百合の間に挟まろうとしてるじゃねーかクソ!
145:ご機嫌よう名無し様 ID:eF3//980m
許してください何でもしますから!
146:ご機嫌よう名無し様 ID:ox3Aroi+x
ライダー助けて!
147:ご機嫌よう名無し様 ID:m1sxGn6iU
襲ってるのも助けようとしてるのもライダーなんだよな……
148:監視マン(虚無担当) ID:UGgtWgyp
>>142
報告は10分おきと言う事だったのですが
今から凡そ8分程前にファルシオンは突如加速を始めました……申し訳ないです
149:ご機嫌よう名無し様 ID:oXZa9lQkO
いや仕方無いよバハトが全部悪い
それより現状どうすんだこれ
150:ご機嫌よう名無し様 ID:Wv0V9B9Iy
イッチ何してんの?
出番だぞー!?
151:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
ゼロツープログライズキーもベルトも、クソ!夢結様が、あぁもう!返してくれないし!
一葉さんも……っとと、背中から下ろしてくれないし!
152:ご機嫌よう名無し様 ID:zfVLSpV3t
イチャイチャしとる場合かこのド阿呆────っ!
153:ご機嫌よう名無し様 ID:Mv7B/OHKP
この非常事態に何やってんだボケが────っ!
154:ご機嫌よう名無し様 ID:gU2pIuK1e
百仮面ライダー合はさぁ……
155:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
ゼロツーで無茶した反動がそこそこ重くて体が上手く動かないのもそうなんだけど、千香瑠様達を信じろ、そんな簡単にやられたりはしないって夢結様が言ってる……
いやマジで今回は洒落になってないから
156:ご機嫌よう名無し様 ID:msq/mjJnC
夢結様の言う事は分かるけど!
仲間を信じるのとかマジで仰る通りだけども!
157:ご機嫌よう名無し様 ID:gd14h0+13
相手がやべーんだって本当に!
殺意の塊だから!
158:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
あ、ヒュージ
〔添付:ケイブから次々に現れるヒュージの動画〕
159:ご機嫌よう名無し様 ID:U5sSMnwhK
ほあああああああああああ!!!(発狂)
160:ご機嫌よう名無し様 ID:eFt7H++cI
八方塞がり過ぎる……
161:ご機嫌よう名無し様 ID:MwO00+6Sl
デカいの優先してケイブをリリィに任せたツケが回って来てますねクォレハ……
162:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
動くな!
動くなっつってんだよこの焼き鳥男!
スレ主さんの友達を殺す気かアンタは──!
〔無銘剣の剣圧に押されるようにしてじりじりとエレンスゲの方へと後退し始める千香瑠と鶴紗の動画〕
163:ご機嫌よう名無し様 ID:fDOjgo5du
死ぬぅぅぅぅぅぅ!?(モスキート音)
164:ご機嫌よう名無し様 ID:m5omlBUk5
(真正面から挑んだら)ダメ!ダメ!
165:ご機嫌よう名無し様 ID:eBfqEMYfN
あぁぁぁぁぁぁ目茶苦茶圧されてんじゃんどうすんだよこれぇ!
166:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
後10……いや5分で間に合わせるから持ちこたえてくれ……頼む……!
167:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
お、おぉ!?
増援だー!
〔次々と駆け付けるリリィ達に吹き飛ばされる動画〕
168:ご機嫌よう名無し様 ID:6/MX1XBvr
梅先輩!
ぐろっぴ!
Jの者!
恋花様!
瑶様!
藍ちゃん!
うぬら6人か……
169:ご機嫌よう名無し様 ID:4lDubbRrV
いや思ったより多いな
170:ご機嫌よう名無し様 ID:gigUvcGoD
多けりゃ多い程良いよ今は
バハトは囲んで袋叩きにするしかねぇ
171:ご機嫌よう名無し様 ID:1foiYzryM
優雅に!
華麗に!
殺さない程度に殺すんだ・J・よ!
172:ご機嫌よう名無し様 ID:a5NeJ3Z8c
やれー!やっちまえー!
173:ご機嫌よう名無し様 ID:Y7ra0taf3
ヨツンヴァインになるんだよ
あくしろよ
174:ご機嫌よう名無し様 ID:4KDeycx2R
一 転 攻 勢
175:ご機嫌よう名無し様 ID:NpPs4lURh
攻 撃 戦 だ
176:ご機嫌よう名無し様 ID:Q5s+y4uum
急に蛮族とホモ増えてて草
177:ご機嫌よう名無し様 ID:s9KYPRygv
何だこの手のひらドリルは……たまげたなぁ
178:ご機嫌よう名無し様 ID:oz/ALXtx5
勝ち目が見えた途端に調子に乗り出すホモの鑑
179:ご機嫌よう名無し様 ID:4IJziPSkx
今の内に消耗させておかないと後が辛いからな……
180:ご機嫌よう名無し様 ID:JrJxKzGSU
殺せなくても疲れさせたりは出来る……筈
不死身系に対抗するならありがちな手法だ
181:ご機嫌よう名無し様 ID:q4SklwBiV
今北けどリリィだけでも結構やれてんじゃん
案外イッチの言う切り札が来るまで保たせられるかもよ?
182:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
お、おおー!
良いですよそのままそのまま!
どうせ死んでもすぐ生き返るんで遠慮なくボコボコにしちゃって下さい!
183:ご機嫌よう名無し様 ID:6vkmuhIil
草
184:ご機嫌よう名無し様 ID:WsQ2/qfcJ
正直目茶苦茶助かってるけどアンタリリィ応援してて大丈夫なんか……?
185:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
良いんですよそんなの
女の子達が笑顔でいられる方がよっぽど重要じゃないですか
186:ご機嫌よう名無し様 ID:2/8YS5S5L
カッコよ
187:ご機嫌よう名無し様 ID:Us/T6+xM4
えらい
188:ご機嫌よう名無し様 ID:WZSRo+0qE
やさしい
189:ご機嫌よう名無し様 ID:7L+3TxySF
これが真の転生者だぞ
聞いてるか百合の間に挟まる大罪人
190:ご機嫌よう名無し様 ID:m/EYiUdmb
イッチはいつも誰か泣かせてるからな……
191:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
はい……反省してます……
192:ご機嫌よう名無し様 ID:SX9eEPbGM
嘘つけ絶対また無茶して誰か泣かせるゾ
193:ご機嫌よう名無し様 ID:N8Y0BbR4i
そうだよ
194:ご機嫌よう名無し様 ID:CsBAtrUwm
全く信用出来ませんね……
195:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
皆酷くない!?
196:ご機嫌よう名無し様 ID:gSYjneRNj
残当
197:ご機嫌よう名無し様 ID:AjrQJ0cQA
これまでの行動が行動だから諦めて受け入れろ
198:一般転生悪意01 ID:ARK01+02
そんなぁ……
199:監視マン(虚無担当) ID:UGgtWgyp
ん……?
200:ご機嫌よう名無し様 ID:HZhJcIvwb
お、どうした?
何かあった?
201:監視マン(虚無担当) ID:UGgtWgyp
いや……何かCHARMの根元辺りチカチカしてません?
すっごいブレてて見辛いですけど
202:ご機嫌よう名無し様 ID:7KJSTqMY3
確かに
あの位置だと……マギクリスタルコアかな?
203:ご機嫌よう名無し様 ID:aH5QW1sRG
そうかもしれんが何でマギクリスタルコアが点滅を……?
204:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
あ
205:ご機嫌よう名無し様 ID:bcoohYQKZ
どうした虚無ニキ
206:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
これ超ヤバいですね……
207:ご機嫌よう名無し様 ID:4fnuuH/j3
Why?
208:ご機嫌よう名無し様 ID:CUwU0RTBK
いやもう十分に堪能したよ
これ以上は勘弁してくれ
209:ご機嫌よう名無し様 ID:iWzE2zYYt
またすんなり終わらないパターンですか……
210:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????
無銘剣の効果でCHARMが停止しかかってます。
打ち合ったらダメだこれ。
211:ご機嫌よう名無し様 ID:8ygJJXm5v
は?
212:ご機嫌よう名無し様 ID:BslJrnWFy
マジ?
213:ご機嫌よう名無し様 ID:tky7k6Tfc
え、でも無銘剣の力って「聖剣の無力化」であってCHARMを停止させる効果なん────あっ
214:ご機嫌よう名無し様 ID:OxaRRFacG
オイオイオイ
215:ご機嫌よう名無し様 ID:OvdvQbOrf
おいマジか
マジかそれ
216:ご機嫌よう名無し様 ID:3OHCAmvLi
CHARMって
217:ご機嫌よう名無し様 ID:Vn6MZrYVW
(アカン)
斬っても。
斬っても斬っても斬っても──終わりが見えない。
振り翳すブルトガングは羽根のような軽さを失い、顎から滴る汗は制服の裾で拭っても次々に噴き出してくる。
「はぁぁぁぁぁっ!」
それでも、相澤一葉は挫けない。
車道の真ん中に我が物顔で開いたケイブを破壊すべく、ヒュージを押し退け邁進する。
「無茶は駄目でしょ一葉さん!」
「アルトくんこそ……!」
そんな彼女の周囲を駆け巡るのは、幾何学的な軌道を描く黄色い稲妻──仮面ライダーゼロワンである。
兎にも角にも体を酷使する事を全方位から懸念された彼は何と夢結にゼロツーユニットをひっぺがされた上、一葉の護衛と言う名目でただのライジングホッパーに変身する事を強要されたのだ。
勿論彼は不服の声を上げたがこれまでの
「ちょっと前出過ぎてませんか一葉さん!梨璃ちゃん達結構後ろなんですけど!?」
「それは、そうでしょうけど!早くケイブを破壊しないと、エレンスゲが……!」
寧ろエレンスゲ付近に立ち上った火柱を見た一葉が先行すると言うあまりにも本末転倒過ぎる事態に陥っていた。
アルトは──いや、梨璃達も彼女の気持ちはよく分かる。
帰るべき場所にして友情を育んだ仲間がいるガーデンに異常が発生したとすれば、誰だって居ても立ってもいられない。
例えば梨璃ならがむしゃらに突っ込むだろうし、夢結と少年は暴走する事間違いなしだ。
だが────
「貴女の気持ちは分かるけれど、少し落ち着きなさい一葉さん!」
そう、事態は1人で解決出来る範囲を当の昔に越えているのだ。
誰か1人が頑張って終わるのなら、そもそもからしてこんな事にはならない。
ゼロツーを突っ込ませればそれで終わりだ。
でも、それが出来ないからリリィ達は連携を取る必要がある。
集団の力でヒュージに対抗する必要がある。
「────!」
それに一葉も気付いているから、夢結の呼び掛けに思わず足が止まる。
逸る感情を、束の間の間理性が上回る。
そして少女は──後悔を抱いた。
(私は、何を────)
そうだ、一体何をしているのだ。
ただ猪突猛進な戦闘を行っても何も解決しない。
孤立して、疲弊して、動けなくなった所をヒュージに狩られるだけだ。
それを理解していながらカッとなって突っ走るなど、我ながら呆れ果てた──思慮深さは備えつつも直情的な気質であるが故に己を見失った事に、一葉は心の中で溜め息を吐いた。
「まったく……一葉さんも全然人の事言えないじゃないですか!ほら、戻りますよ!」
「あはは、そうですね……。ちょっと頭を冷やします」
続いて一葉を打ち据えたのは、5歳も年下の少年からの説教であった。
スモール級を蹴り飛ばしつつ呆れたような口調のゼロワンに、一葉も思わず苦笑いを返しながら振り向いて────
「あ……」
3年前からずっと大切にしていた白紙のカードが、スカートのポケットから零れ落ちる。
「っと、と────」
ひらひらと舞い落ちるそれをすかさずキャッチしようとするも──掴めない。
ブルトガングを持っている以上片手で掴むしかないのもあるが、まるでカードそのものが意思を持っているかのように一葉の手を避わし、そして──地面に着く直前、吹き抜けた一陣の風に浚われて飛んで行く。
「あーっ!?」
「うわぁ何ですか一葉さん!?」
「カ、カード!カード飛んでっちゃいました!」
「ええ!?何のカードですか!?ブラックロータス!?」
「何ですかそれ────!」
周囲のヒュージを纏めて掃討したアルト共々騒ぎ始めるが、もう遅い。
一気にビルより高く舞い上がったカードはそのまま風に流され、瞬く間に雲の白に紛れ、そして─────
強い。
圧倒的に強い。
数百年振りの本気の死合に酔う不死鳥の剣士は、文字通り「尋常ではない」剣技で以てリリィ達を圧倒していた。
一言で表すならば──彼は
とても人の喉から出ているとは思えないような咆哮と共に斬りかかってくる様は恐怖の一言に尽きる。
その上獣性の中にフェイントや搦め手として卓越した技巧を混ぜてくるのだからもう始末に終えない。
つまり何が言いたいのかといえば──歴戦のリリィである筈の千香瑠達8人がかりでも、この化け物染みた剣士を相手には見かけ上の優勢を保つのが精一杯なのだ。
それどころかその場その場で優位を保つ為に、集団は少しずつ都市部へと流され始め──そして、今。
「い、いやぁっ!?」
「ひぃっ!?」
粉々に砕けた自動扉と共に吹き飛ばされた千香瑠達の姿に、エントランスで出撃の準備を整えていたエレンスゲ女学園のリリィ達は混乱の極致に陥った。
しかし、彼女達を責める事は出来ない。
幾ら都市部での戦いが中心であり、幾ら屋内戦を経験していたとしても敵対勢力が直接ガーデンに侵入するなど滅多にある話ではない。
況してやこれから害敵を殲滅するのだと士気を高めようとするその最中に攻撃を受けるなど、不幸以外の何物でもないのだ。
そして、そんな若き少女達に追い討ちをかけるように不死鳥の剣士──仮面ライダーファルシオンが学舎に足を踏み入れた。
そう、此度の相手はヒュージではなく人の形をした悪鬼だ。
その悪鬼はまるで勝手知ったるなんとやらと言う言葉がこれ以上ない位に適切な程ずけずけとエントランスに侵入し、逃げ惑ったりCHARMを構えようとする少女達に視線を向け──その横っ面に銃弾が突き刺さる。
「アンタの相手はあたし達でしょうが……!」
「絶対に皆はやらせない……!」
立ち上がる事すら出来ずに何とか上体だけ起こして銃撃を行ったのは、エレンスゲ女学園2年生の
正面からファルシオンの斬撃を受けた2人は既に満身創痍であったが、その身に宿る闘志は衰えず。
だが────CHARMは少女達の再起を許さない。
ブルンツヴィークとクリューサーオールの柄に埋め込まれたマギクリスタルコアは不規則に点滅しており、機構のそこかしこからも歪な機械音が騒ぎ立てている。
「っクソ!マギクリスタルコアに干渉されたって言うの……!?」
「……ダメ。上手く動いてくれない……!」
そう、CHARMとはリリィがリリィとして圧倒的な力を振るう為の根幹だ。
彼女らはマギクリスタルコアによってマギを増幅させられる事によって初めて尋常ならざる怪力や跳躍力、果てはレアスキルに至るまでの一切合切を行使可能となるのである。
つまりCHARMを持たないリリィなど少し身体能力が高いだけの人間と変わらず、ヒュージや剣士に敵う存在ではない。
これこそがファルシオンの振るう「無銘剣虚無」の能力。
無を司る聖剣にして、聖なる力を無に帰す能力を持つ「聖剣殺しの聖剣」なのだ。
「う、嘘じゃろ……!?完全に停止しとる……!」
「っ……!まさかあの剣にこんな能力があるなんて、不覚を取りましたわ……!」
「ヤバい……!このままだと押し切られるぞ……!」
「あれー?なんでうごかないのー?」
そしてその能力は僅かながらに聖剣の技術が含まれるCHARMにも如何なく発揮され──まともに切り結んだミリアム、楓、梅、藍はCHARMそのものを完全停止させられてしまい、そもそも戦力として数える事すら出来ない状態にまで追い込まれていた。
これによって無力化は4人。
満足に戦えない負傷者は2人。
つまり残りは────
「当たり前だろ……!」
「これ以上貴方の好きにはさせない……!」
芹沢千香瑠と安藤鶴紗の、2人のみ。
彼女らは偶々側面からの支援に回っていた事で直接剣を交える位置にいなかったのだが、それは何の慰めにもなりはしない。
逃げ惑う生徒達を背後に抱えたまま、限り無く勝ち目の薄い戦いに挑まねばならないのだ。
あまりにも無謀過ぎる少女達を一瞥したファルシオンは、不満気に溜め息を吐き──
「何で、こんな事をするんです」
千香瑠の呟きに、虚無の聖剣を振り翳したままピタリと硬直する。
だが、それは千香瑠とて同じだ。
ただ深く俯き、手が真っ白になる程に力強くCHARMを握り締める彼女の表情は隣に立つ鶴紗ですら窺い知る事が出来ない。
「──何で、こんな事をするんですか」
ただならぬ気迫を放つ少女が、再度問う。
それは一般生徒達が避難するまでの時間稼ぎであると共に、心の底から湧き上がった疑問でもある。
────何故こんな事をするのか
千香瑠はファルシオンの事など知らない。
聖剣の由来も、全知全能の書の破片たるワンダーライドブックの存在意義も全く知らない。
況してやその変身者であるバハトがどのような人生を辿って来たのか等知る由も無い。
だからこそ、彼女の疑問はたった1つに収束するのだ。
────何故その力を人を守る為に使わないのか
そう、それだ。
精鋭リリィ8人を纏めて返り討ちにする程の強さを持っていながら、何故それを誰かを守る為ではなく傷付ける為に使ってしまったのか。
それを知りたい──否、知らなければならない。
あの日少年を守れなかった少女は、力の使い方を履き違えた者の末路を知らねばならないのだ。
そんな千香瑠に対して、ファルシオンは躊躇う事なく言い放った。
「は────?」
あまりにも想定外な答えに、誰もが思考を停止し──その隙を突いた不死鳥の剣士が構える剣から、どす黒いエネルギーの奔流が溢れ出る。
横一閃──振り抜かれた剣からエネルギーが光波となって飛翔し、咄嗟に飛び退った千香瑠と鶴紗へと殺到する。
「ぐっ……あぁっ!?」
「鶴紗さん!?」
跳躍中に千香瑠を庇おうとした鶴紗が盾代わりのティルフィングごと吹き飛ばされ、壁に背中から打ち付けられて崩れ落ちる。
剣士が吼える。
混乱の極致に陥るエレンスゲ女学園の中で今や唯一戦える者となった千香瑠の眼前で、天を仰いで獣のように叫び散らす。
「っ、そんな事……!」
反論しようとした千香瑠は、その一言目を突然冷えた声音へと変わったバハトに叩き潰された。
心当たりは幾らでもある。
G.E.H.E.N.A.から非道な人体実験を受けたアルト。
受精卵の段階から全てを弄くり回された藍。
そして一文字家に誤った情報を伝えた千香瑠自身。
それら全てが方向性は違えど、誰も望まぬ悲劇の当事者であるという点では共通している。
──彼の言う事も、正しいのではないか。
本来相手にするべきでない者の言葉を、しかし千香瑠はすんなりと受け入れられた。
だって、彼女の16年間には嫌な事や苦しい事が沢山あったから。
この世界から消えて失くなりたいと思った事など、数えるのすら億劫になる程繰り返してきたから。
何もかも消えてしまえば苦痛もまた存在しない──例えそれが素性も何も全く分からない相手の口から飛び出た言葉だとしても、一笑に付す事は千香瑠には出来なかった。
「そんなの────」
だが。
だとしても────
千香瑠はこの世界を見捨てない。
他の誰でもない、自分自身の意思で命尽き果てる時まで戦い抜くと決めたのだ。
だって、苦しい事と同じ位楽しい事もあったから。
生きていて良かったと、諦めないで良かったと感じた時があったから。
そしてヘルヴォルの仲間達に出逢えた運命、互いに大きく変われど少年と再会出来た奇跡があるのだから全てを無かった事になんてしたくない。
「────」
1歩。
戦闘用のブーツに包まれた右足が、1歩前に出た。
それは世界にとっては取るに足らない程小さく、しかしながら少女にとっては何より
「────ぅ」
1歩踏み出せれば、後は早い。
2歩目、3歩目、4歩目──しっかりと踏み締めるような足取りが蹴りつけるような動きに変わり、少女の姿勢が前に傾く。
それ即ち疾走。
此処にある全てを抱えたまま、リリィが駆ける。
「うああああああああああっ!!!」
剣士の咆哮に押し負けぬよう少女も叫ぶ。
同じ時代に生きる仲間の為に、「今」と言う吹き抜ける風に背を向けぬ為に、喉が枯れるまで叫んで────
「!」
突如として融解する天井から落下した「それ」が、丁度少女と剣士の中間地点に突き刺さった。
「あれは──確か、エレンスゲが研究するとか言ってた……!」
「でも、あの形ってまさか……!」
それは何日か前にエレンスゲ女学院に運び込まれた古代の剣だ。
とても日本国内で発見されたとは思えない、黒い鞘のようなモノに覆われた西洋式の直剣──初めは何とも思わなかったけれど、今ならそれが何なのかハッキリと分かる。
「
恋花の度肝を抜かれたような叫びと同時に千香瑠と剣士が駆け出す。
1人は真っ直ぐに手を伸ばして。
1人は剣を振り上げて。
ほんの僅か、少女の歩幅にして10歩にも満たぬ距離に命を賭ける。
(──────ぁ)
しかし、千香瑠は己の敗北を悟った。
僅かに──0.1秒にも満たぬ差で僅かに不死鳥の剣士の方が速い。
誰かを救うためにあるリリィとしての身体能力を以てしても、1000年間にも亘って熟成された執着に打ち勝てない。
そうして、一瞬先に聖剣の下へと辿り着いたファルシオンが無慈悲にも無銘剣を振り下ろし────
突如として横合いから現れた「もう1人の剣士」が持つ三又の槍によって吹き飛ばされ、千香瑠は聖剣に辿り着く。
黒銀のグリップを掴み、勢いのまま引き抜いたそれを掲げつつも少女の目線はその黒い装甲に釘付けだ。
「えっと──ありがとう、ございます」
しかし「もう1人の剣士」は、聖剣の柄を握ってペコリと頭を下げた少女に見向きもしなかった。
寧ろ「やりたいようにしろ」とでも言いたげに肩を竦めて、奇しくも先程鶴紗がされたのと同じように崩れ落ちる不死鳥の剣士を睥睨する。
そう、今はただ為すべき事を為す時であり言葉など不要なのだ。
だから、千香瑠は────
ベルトを──否、聖剣ソードライバーを腰に装着する。
その異常事態に、瓦礫の中から跳ね起きたファルシオンが呻く。
聖剣を扱うには特別な資質が必要だ。
ただの人間にはそれを手にする事すら出来ず、聖剣自身に選ばれし者だけが振るう事が可能な究極の力なのだ。
────少女が、詠う。
「世界は────人の祈りが創る物」
しかし、千香瑠はそれを装着している。
資質も無ければ血筋も無いのに、ただ
「『人生』と言う名の物語を束ねて、次世代に繋ぐ尊い輝き」
それだけではない。
すっかり瓦礫の山と化し、所々から青空が覗くエレンスゲ女学園のエントランスに純白のカードが舞い落ちる。
高く掲げた千香瑠の右手に触れた途端──それは赤い装丁の「本」に変わり、ベルトのスロットに
「その最期を決める資格は──貴方には無い」
そう、無い。
如何に悲惨な理由があったとして、世界を滅ぼす権利など誰にも存在しない。
ファルシオンにも、エデンにも、ヒュージにもありはしないのだ。
故にこそ────
「だから、私の物語の結末は────」
さぁ、叫べ。
世界に蔓延る理不尽に、未来を奪う悪逆に、勇猛果敢な叛逆を────
剣を引き抜くと同時に、ベルトにセットされた「本」が勢い良く開き──飛び出したるは3種の神獣。
白き龍──人の持つ愛情を司るドラゴンが、頭上から千香瑠に食らい付いて気高い志を示す騎士服と化す。
その清廉さ、正に荒野に咲き誇る一輪の花の如し。
赤き龍──正道を往かんとする者の勇気を司るドラゴンが、千香瑠の右半身に纏わり付いて装甲と化す。
その鋭さ、正に邪悪を討ち祓う剣が如し。
深緑の龍──誰もが守るべき誇りを司るドラゴンが、千香瑠の左半身を覆って漆黒の盾と化す。
その威容、正に難攻不落の城塞が如し。
それ則ち三位一体のド強い戦士──或いは愛、勇気、誇りを秘める少女が至った覚悟を超える希望の剣士。
しかし、想像を越えた現実に対応出来ぬ者が1人いる。
死を超越した事で人の摂理から外れた、救うべき異形の剣士が其処にいる。
ならばお前に伝えよう。
そしてしかと刻み込め。
仮面ライダーファルシオンを討たんとする、楯の乙女の名は────
「仮面ライダーセイバー エモーショナルドラゴン」と言う。
※今回「仮面ライダーセイバー」が登場したので仮面ライダーセイバーのタグが増えました。
◯芹沢千香瑠/仮面ライダーセイバー
現代を生きるリリィにして最新の剣士。
実は前話で「リリィとしての誇りが、仲間を思う愛が、例え恨まれようともう一度少年を守りたいと願う勇気が彼女を無理矢理に突き動かしていた」とある通り聖剣が選ぶだけの心構えは最初から持ち合わせていた。
倫太郎曰く普通のホモサピエンスに聖剣は抜けないらしいけどリリィは人型ヒュージ説もある訳だし適性があるか無いかで言えばある方。
つまり血筋以外は完璧なので聖剣に選ばれてなければ逆に可笑しい。
ついでに言えば色々な事に絶望していたがアルトを守ると言う一点では1ミリ足りともぶれていないので聖剣を手にしたのも当然と言えば当然である。
でもエモーショナルドラゴンライドブックが降ってきたのは千香瑠的には偶然(本当は変身せずにCHARMと火炎剣の二刀流で戦うつもりだった)
そもそもからしてこの世界では全知全能の書も破滅の書もごく一部のライドブック以外全て失伝しているので新しいライダーが生まれる余地は殆どなく、今回の変身はディケイド経由と言う裏技中の裏技。
◯仮面ライダーファルシオン/バハト/一般転生虚無
世界から一切の苦しみを取り除く為世界を滅ぼす仮面ライダーとそのベルト(?)
ベルト(?)が目茶苦茶必死になって「かつて自分を封印した炎の剣士の末裔(か火炎剣烈火)を滅ぼしてから世界滅亡させようぜ!」と働きかけているので割と手を抜いていると言うか火炎剣以外眼中に無い。
でも炎の剣士が出現してしまったので…?
実はまだ1回も死んでない。
◯仮面ライダーデュランダル
助太刀してきた人。
「あ、何だ炎の剣士いるじゃん…ひょっとしてロゴスも亡んでないのか?」と考えてたりしてる。
正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)
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二水
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結梨&梨璃&夢結
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ぐろっぴ&百由様
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一葉
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恋花&瑶
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千香瑠&藍
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灯莉
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ひめひめ&灯莉&紅巴
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叶星&高嶺
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その他一柳隊メンバーなど