【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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第14話「Gothic Adventure」

220:ご機嫌よう名無し様 ID:+AjqA6lez

 う、嘘ぉ……!

 

221:ご機嫌よう名無し様 ID:ckZwK9lWt

 これマジ?

 

222:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 うわーっ!セイバーだーっ!

 しかも300年振りのセイバーだーっ!

 

223:ご機嫌よう名無し様 ID:Ex4IyGEju

 しかも変身してるの千香瑠様だしエモーショナルドラゴンじゃん!

 

224:ご機嫌よう名無し様 ID:9ehYHTvtU

 >>222

 虚無ニキめっちゃ喜んでて草

 

225:ご機嫌よう名無し様 ID:NcFGuvVQ/

 いやでも何で変身出来てるん……?

 

226:ご機嫌よう名無し様 ID:VLKnWDUDf

 聖剣って確か普通のホモ・サピエンスには抜けないんじゃ……?

 

227:ご機嫌よう名無し様 ID:0Vx7k0n14

 しかも千香瑠様覚悟ガン決まってない?

 何あの凛々しいお顔惚れる

 

228:ご機嫌よう名無し様 ID:bktm7dYrV

 覚悟を越えた先に希望があったんでしょ(適当)

 

229:ご機嫌よう名無し様 ID:tgVmYIZTj

 リリィは普通のホモ・サピエンスじゃないから……(G.E.H.E.N.A.並感)

 

230:ご機嫌よう名無し様 ID:nRvGPX+JL

 ゲヘカスくん可愛いね

 今すぐ死んで♡

 

231:ご機嫌よう名無し様 ID:vs8M1ElJl

 申し訳ないが百合に人体実験したり政治挟んだりする奴はNG

 

232:ご機嫌よう名無し様 ID:FFzE+gIj5

 まぁ虚無ニキが最初に襲いかかった時鶴紗ちゃんと何か話してたみたいだし

 そこで何かあったんじゃない?

 

233:ご機嫌よう名無し様 ID:vJQ+Uv7iv

 つまり百合告白を……?

 流石は安藤さんだぜ

 

234:ご機嫌よう名無し様 ID:6dar5hbN7

(秘められた本音を)直接狙える距離だったんすね……

 

235:ご機嫌よう名無し様 ID:K/vVlNOFa

 梅様と仲良いのに一向にシュッツエンゲルの誓約結ばないから私心配してたんすよ……いやぁ良かった

 

236:ご機嫌よう名無し様 ID:NHnEA3DeC

 千香瑠様もずっと曇ってたし漸く吹っ切れたんやなって……(感涙)

 

237:ご機嫌よう名無し様 ID:sM9R5tKxO

 百仮面ライダー合のせいでもう本当に曇りっぱなしだったからな

 これからは仮面ライダーとして心機一転してもろて……

 

238:ご機嫌よう名無し様 ID:woSCZRO7k

(千香瑠様が元気になって)ウレシイ……ウレシイ……

 

239:ご機嫌よう名無し様 ID:Gxro0Bi1A

 元気じゃなくてこれもうこれ女傑でしょ

 

240:ご機嫌よう名無し様 ID:8TTU3agKv

 てかこれデュランダルは助太刀してくれるって事で良いんすかね?

 

241:ご機嫌よう名無し様 ID:dmg7FzXoq

 まぁ……そうなんじゃない?

 最初に助けてくれたし特に敵対する理由も無いし

 

242:ご機嫌よう名無し様 ID:q/xOqKh1Z

 千香瑠様殺すなら界時抹消からの背後からサクッとやって終わりだしこれは味方でしょ

 

243:ご機嫌よう名無し様 ID:xc1j67civ

 状況がゴチャゴチャしすぎて何も分からんけど兎に角良し!

 

244:ご機嫌よう名無し様 ID:vMMINrmwT

 ……あれ?

 

245:ご機嫌よう名無し様 ID:v+RhonimU

 ん?

 

246:ご機嫌よう名無し様 ID:MvFaEr+6I

 どした?

 

247:ご機嫌よう名無し様 ID:fCGChiTJW

 何か2対1なのに互角……に見えるのは私だけでしょうか

 

248:ご機嫌よう名無し様 ID:aK+eLi7ai

 ……え?

 

249:ご機嫌よう名無し様 ID:zwJpO2Jtz

 ……嘘やろ?

 

250:ご機嫌よう名無し様 ID:WGXKyD6j6

 マジか……

 いやマジだ……

 

251:ご機嫌よう名無し様 ID:mkc8FyLP1

 何か寧ろ圧されてる気すらするが!?

 どうなってんのこれ

 

252:ご機嫌よう名無し様 ID:i+g0qdIsh

 あっれー可笑しいなぁ

 これ勝ち確な雰囲気じゃなかったか?

 

253:ご機嫌よう名無し様 ID:t/o27QFrd

 華麗な一転攻勢の筈がどうしてこうなった

 エモドラなら封印出来る算段あるんじゃ……

 

254:ご機嫌よう名無し様 ID:QEW/W1/FL

 火炎剣烈火の能力は「心正しき者を癒し、邪悪なる者を焼き尽くす」力。

 エモーショナルドラゴンの力は炎、光、闇の3属性の合わせ技による封印術。

 序でに言えばソードライバー系共通っぽい「邪悪とそれ以外を切り分ける能力」もある。

 

 つまり殺しても即座に生き返るファルシオン特効みたいなモンなのにどういうこった

 

255:ご機嫌よう名無し様 ID:o7Omm4zZW

 教えてベルトなのか剣なのか知らんけど多分変身アイテム虚無ニキ!

 

256:ご機嫌よう名無し様 ID:MUe7XvhPz

 虚無ニキベルトならまだしも剣だったらすげぇ乱暴に振り回されてて可哀想だと思う

 聖剣じゃなかったらここまでで二桁回折れてるでしょこれ

 

257:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

(いやぁ何て言うか、本体は剣かもしれないけどバハトさんと精神が一体化してるので振り回されてる感覚とか)ないです。

 

 >>255

 バハトさんは今もう超ハッスルしてます。

 てかようやくエンジンかかってきた位?

 まぁ、それもこれも私が「YOU人類滅ぼすのは炎の剣士に復讐してからにしちゃいなYO!」って無意識に働きかけてたからなんですけどね、初見さん

 

258:ご機嫌よう名無し様 ID:KNmxYWU+H

 おいいいいいい何してんのぉぉぉぉぉぉ!?

 

259:ご機嫌よう名無し様 ID:ZkaP7O1xn

 ファインプレーが最大クラスのやらかしに変化してて草

 

260:ご機嫌よう名無し様 ID:l2G4ViHTK

 つまり千香瑠様やられたら人類終わりやんけ!

 どうしてくれんの?(憤怒)

 

261:ご機嫌よう名無し様 ID:XdP6wxXv3

 あぁ……虚無ニキまでイッチみたいにノリが軽くなって来てる……

 生真面目な虚無ニキを返して(切実)

 

262:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 バハトさんと精神同調してるせいでかなりあっちのテンションに引き摺られてるんですよね……

 千香瑠様がんばえーバハトさんもがんばえーみたいな

 

263:ご機嫌よう名無し様 ID:JgRAQL9G+

 幼稚園児かな?

 

264:ご機嫌よう名無し様 ID:g8iFANQ46

 デュランダルは応援しないのか……

 

265:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 いや全然応援してはいるんだけど

 何か動き鈍いし体調悪いん?ちょっと休んだら?ってなってます

 

266:ご機嫌よう名無し様 ID:wARf9etEB

 動きが鈍いって……アレで?

 界時抹消使って毎秒後ろ取ってるじゃん

 

267:ご機嫌よう名無し様 ID:E6hSYp6L1

 千香瑠様ともバッチリ連携取れてるように見えるけど

 

268:荳?闊ャ霆「逕溯劒辟。 ID:????????

 うーん……気のせいかなぁ

 300年前に比べると挙動1つ1つがもっさりしてるし……今は千香瑠様優先してるからノーガードだけど多分その気になれば防げる気もするんだよなぁ

 

269:ご機嫌よう名無し様 ID:DxTR4r9q4

 今でも大体の転生者に勝てそうなのにこれで弱体化してる方とか300年前こわー

 

270:ご機嫌よう名無し様 ID:g6Nvb7rTr

 ……そう言えばイッチは?

 何か静かじゃない?

 

271:ご機嫌よう名無し様 ID:Ae0IPaLOv

 言われてみればそうだな

 普段は結構ピンチの時でも書き込んでるのに

 

272:ご機嫌よう名無し様 ID:+1ohgSS81

 ガチで音信不通だったの木っ端微塵になった時とこないだのアーク堕ち(今年度通算2度目)の時位だもんなぁ

 ちょっと心配

 

273:ご機嫌よう名無し様 ID:qgtEgCtPV

 live配信しててくれたらサクッと状況が分かるんだが……

 

274:ご機嫌よう名無し様 ID:oduT91Zgh

 おーい!百仮面ライダー合ー!

 

275:ご機嫌よう名無し様 ID:z9EZXPzD+

 いっつも思ってたんだけどその「百仮面ライダー合」ってどう読むのよ

 

276:ご機嫌よう名無し様 ID:oWMRkjv9j

 ……ゆりかめんらいだー?

 

277:ご機嫌よう名無し様 ID:dACGeZDTv

 ……まぁなんでもええやろ

 兎に角今はイッチが心配やな

 

278:ご機嫌よう名無し様 ID:o1v2MMKJE

 ゼロツー使えるんだし大丈夫だとは思うけど

 

279:ご機嫌よう名無し様 ID:dVrGRaMqz

 千香瑠様達が(そこそこ)危ないからなるべく早く来てくれ~!

 

 

 

 

■■■

  14  

 

G o t h i c A d v e n t u r e

ᚷᚩᛏᚻᛁᚳ ᚪᛞᚢᛖᚾᛏᚢᚱᛖ

 

 

あなたは誰も守れない

──×──

"Can’t save anyone."

■■■

 

 形状は酷似しながらも決定的に性質の異なる2本の剣が、激突しては弾き返される。

 ほんの数十分前まで学舎だった筈の瓦礫の山に火花が飛び散り、甲高い金属音が響く。

 それは正しく超常の剣舞。

 都内を代表するガーデンの1つであるエレンスゲ女学園のエントランスにて、人間の領域を超越した激突が繰り広げられていた。

 

「どうした、こんなモンかぁ?」

「────っ、そんな事!」

 

 突き出された切っ先を火炎剣の腹で受け流したセイバーが、インファイトの間合いに乗じ左手の「滅壊の盾」でシールドバッシュを試みる。

 剣とはただ振れば斬れるようなモノではなく、押すか引くかしなければ装甲を裂く事は不可能だと知っているからこその肉弾戦。

 しかし、不死鳥の剣士がそんな事を許す筈も無く。

 セイバーの胴に蹴りを入れ距離を取ったかと思えば強烈な踏み込みと共に無銘剣が振り下ろされる。

 

「────」

「お前もだ、粛清剣士。この300年で随分と鈍ったらしいな」

 

 そして、背後からの奇襲。

 界時抹消によって()()()()()()()()()()()()()()不死鳥の剣士の隙を突いたデュランダルが、その手に握った三又の槍をがら空きの背中に突き立てる──が、無意味。

 背骨を砕いて心臓を貫き、果ては胸まで貫通したと言うのにファルシオンの動きが止まる様子は見られない。

 それどころか槍が引き抜かれたその瞬間には傷が綺麗さっぱり消失している始末である。

 

「再生能力……!?」

「違うなぁ、炎の剣士。俺は死なない。斬られても、撃たれても、砕かれても、決して死に至る事の無い不死身の剣士だ────!」

 

 そう、ファルシオンの力はただの再生能力に非ず。

 神獣「エターナルフェニックス」の発するエネルギー「永久の灯」を覇剣ブレードライバー経由で供給された彼は、撃破された場合直ぐ様完全な形で蘇生する事が出来る──それが例え即死に至るような攻撃だったとしても。

 如何なる攻撃を受けようとも即座に「復活」するその異能は、最早「不死」と呼ぶのが正しい。

 それに加えて、無銘剣虚無が持つ「聖なる力(マギ)」を無に変換する事で聖剣を無効化する能力。

 僅かながら聖剣の流れを汲むCHARMに対しても有効なそれは、対人戦闘に特化したほぼ無敵の殺人剣と評するべきだろう。

 

「──貴方のそれは不死身であっても、無敵ではないわ!」

「ほぉ?」

 

 しかし、何事にも例外はある。

 千香瑠が持つ火炎剣烈火は幾度となく無銘剣と鍔迫り合いを演じているが、その刀身から迸る炎は全く衰える様子を見せず、隙あらばファルシオンの装甲を灼かんと猛っている。

 これこそがエモーショナルドラゴンの真価──封印の力。

 ワンダーライドブックに宿った3種のドラゴンはそれぞれ炎、光、闇の3属性の封印術を千香瑠に授け、剣が打ち合ったその瞬間のみ無銘剣の能力を封印しているのだ。

 

「はぁッ!」

 

 不死鳥の剣士を襲うは、大振りの一撃。

 上段から振り下ろされた肉厚の刃をファルシオンは鍛え上げられた剣技で以て、受け止めるのではなく受け流す。

 だが、守勢に回ったと言う事は攻勢が加速すると言う事。

 デュランダルの戦法に倣って斬撃から刺突へと切り換えたセイバーの追撃が、ファルシオンにたたらを踏ませる。

 

「ほら──避けた!もし貴方が本当に何の欠点も無い不死身なら、避けたり防いだりする必要なんて無いもの!」

「────!」

 

 反撃の薙ぎを後方に跳躍して回避しながら千香瑠が叫んだ。

 そう────彼女の言う通り。

 もしバハトが完全無欠に不死身で、何をしても一切の効果を受け付けないと言うのであれば態々回避したりする必要など無い。

 況してや剣舞など、ただの遊びにしかならない。

 終わらせるならば、全てのダメージを省みずに真っ直ぐ進んで斬る。

 ただそれだけで事が済む筈だ。

 

 ところが、だ。

 今、ファルシオンは旧き因縁のあるデュランダルを無視してまでセイバーと斬り結んでいる。

 それも口調こそ挑発的だが、確かな殺意と危機感を剣に乗せて。

 つまり────

 

「恐れているのよ!私を……いいえ!聖剣を!」

「恐れているだと……!」

 

 巫山戯るなよ、とバハトが吼え全身から放たれた圧倒的な気迫が千香瑠を襲う。

 しかし剣筋は言葉以上に雄弁だ。

 突き、斬撃の構えではなくその剛性を頼りに剣そのものを盾にするような構えは火炎剣を遠ざけようとする意思の顕れに他ならない。

 

『 必 殺 読 破 』

『 黙 読 一 閃 』

 

 

「やぁぁぁぁぁぁっ!」

「おぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 初めて人類がその手で造った聖剣と、出所も何も不明な聖剣。

 聖剣であると言う事以外全く相関が無いにも関わらず何故か形状が酷似する2本の剣から放たれた光波が激突し、絡み合い、込められたエネルギーを使い果たして雲散する。

 

「互角────!?」

「互角だと────!?」

 

 即ち、互角。

 両者の実力は完全に拮抗している。

 だが、その言葉に秘められた意味は一見同じように見えてまるで違う。

 

(互角──馬鹿な。成り立ての剣士が、ひよっ子以下の餓鬼が俺と互角だと……!?)

 

 バハトは、少女が変身したセイバーの強さに驚愕した。

 そもそもからして、バハトはセイバーを一蹴して然るべきだ。

 剣士には成り立て、リリィとしては後方支援に回る事が多く近接戦闘に目立った所は無い。

 鬱陶しくはあるが、逆に言ってしまえば鬱陶しいだけ──それがバハトから見た千香瑠の評価だった。

 剣技で劣る。

 気迫で劣る。

 経験で遥かに劣る。

 だと言うのに、互角。

 エモーショナルドラゴンだけではない、不死鳥の剣士が知らぬ「何か()」が彼女に力を与えているのだ。

 

「おぉぉあアァッ!」

「くっ、ぅ……!」

 

 そんな筈は無い、と困惑する自分を振り切って剣をセイバーに叩き付けるが──そこまで。

 苦悶の呻きを漏らしつつも一撃を受け流したセイバーが、直ぐ様怒濤の反撃を試みる。

 突き、薙ぎ、フェイント。

 それら全てを難なく往なして────

 

「────!」

「そこっ!」

「ガッ────」

 

 頬に走る、鈍い痛み。

 デュランダルが右足を刎ねると同時に、燃え盛る剣による刺突がファルシオンの右頬を削ったのだ。

 勿論仮面の損傷と皮膚に刻まれた傷は一瞬の内に消え去り──血の代わりに冷や汗がバハトの頬を伝う。

 これがもしベルトを狙っていたら。

 これがもし必殺技だったら。

 バハトはそれで終わっていた。

 

(互角……!?このままだと、此方が押し切られるかもしれないのに……!)

 

 しかし、千香瑠の中にもまた隠しきれない焦燥が渦巻いていた。

 体が思うように動かないのだ。

 

(圧倒出来なければ勝てない、のに……っ!どうして……!)

 

 決意に満ちていながらも、切っ先にはブレがある。

 勇気に満ちていながらも、時折勝手にたたらを踏んでしまう。

 端的に言ってしまえば、セイバーの剣技は少しずつ精細を欠きつつあった。

 

(腕も足も、全部重い……!でも、まだ…!)

 

 その根元は──疲労。

 それもどこぞの転生者であれば既にへばっていても可笑しくない位の重圧に抗って千香瑠は戦っているのだ。

 尤も小型ばかりとは言えヒュージとの戦闘を終えた直後にファルシオンに襲われ、圧倒されたかと思えば仮面ライダーへの変身を遂げたと来れば、積もり重なった疲れが身のこなしに顕れてしまうのは致し方無いと言えるだろうが。

 

「はっ!」

「ぬぅ……っ!」

 

 渾身の薙ぎが無銘剣に絡め取られる。

 1度、2度、3度──何回打ち合ってもファルシオンの鉄壁が揺らぐ様子は全く無い。

 先程頬を掠めた一撃もただのまぐれでしかないのだ。

 

「っ、ぁぁぁあぁああっ!」

「ぐ、おおおおおお!?」

 

 気迫の籠った叫びと共に、聖剣を火炎剣ごとバハトにタックルをして壁に叩き付けたセイバーが左手の盾で重なった刀身を殴り付けた。

 尽きぬ勇気を込めて、少年を守らんとする意思を込めて、おまけに執拗に。

 だって、此処で押しきれなければ千香瑠は負けるのだから。

 それもセイバーに変身しておきながら。

 何処の誰とも知らぬ者から願いを引き継いでおきながら。

 それは──それだけは嫌だった。

 

「んぬぁぁぁぁっ!」

「ぐっ、あ……!」

 

 しかし、尚も圧倒する事は叶わず。

 腹部を蹴り飛ばされ瓦礫だらけの床を転がった千香瑠とボコボコに凹んだ壁から体を引き剥がしたバハトが、10m程の距離を置いて睨み合い────納刀。

 示し合わせたかのように聖剣をベルトに戻す。

 

「────」

「────」

 

 だが、それは停戦の合図ではない。

 寧ろ極限まで高めた戦意を一気呵成にぶつける為の準備であり、天下無双の必殺技を放つ為の予備動作である。

 続いて「瞬間移動」を用いて千香瑠の隣に出現したデュランダルも、構えた槍の根元にあるトリガーへと指を伸ばす。

 

『 必 殺 黙 読 』

『 必 殺 読 破 』

『 ──── 』

 

 心が弱い者が負ける。

 力が弱い者が負ける。

 迷いを振り切れぬ者が負ける。

 なればこそ、決着を────今、此処で。

 

 

 

■■■

 

 

 

 人の気配が失せ、瓦礫やガラス片の散らばった市街を1台のバイクが駆け抜ける。

 その外装、流麗にして剛健。

 ディーラーで取り扱っているバイクとは大きく異なるデザインをしているが、スマートかつ機能的なフォルムは見る者が見れば手放しで絶賛するだろう。

 その動力、強力にして無比。

 特殊タービンによって圧縮された外気を噴射し反作用によって推進する機構と、超伝導モーターによって得られた機動は静粛でありながら既存のどんなバイクよりも迅速な移動を可能としていた。

 そして────

 

「いやぁ、本当にありがとうございます或人さん!」

「いいのいいの、気にしないで!」

 

 このバイク──ライズホッパーに乗っているのは飛電製作所代表の飛電或人と、彼の背中にしがみつく百合ヶ丘女学院のマッドサイエンティスト真島百由だった。

 つまりは2人乗りである。

 掲示板に集う人々が聞けば「幾ら社長でもそれは許されない」だとか「イズはどうしたイズは」と紛糾する事間違いなしのシチュエーションだが、生憎そんな事を気にしている程彼らに時間は残されていない。

 

「しかし、その──『マギディヴァイダー』?を持ち出さなきゃいけない「ヤバい奴」ってどんなんだろうな。百由ちゃんには心当たりとかない?」

「さぁ……想定されるのはギガント級以上か、或いは高い再生能力を持つ特型でしょうけれど。ヒュージって割と何でもアリですからね!」

 

 2人が危険を冒してまで都内にライズホッパーを走らせる理由は、百由が背中に背負った大剣「マギディヴァイダー」にあった。

 マギディヴァイダーは百由が開発した新型試作兵装であり、そのコンセプトは「大火力によるヒュージの殲滅」──つまりは一撃必殺だ。

 兎に角火力を追求した結果として取り回しと制御は破滅的に難しくなり、加えて使用者との過剰シンクロが発生する可能性まで秘めた曰く付きの代物だったが、少年は何故かこれを持ってくるように百由に「お願い」をしたのである。

 

(うーん。どうもおっかしいわね……ホントにコレ要るのかしから……)

 

 しかし、百由の中には「本当にマギディヴァイダーが必要なのか」と言う疑念があった。

 何しろ少年には()()ゼロツーがある。

 百由が設計した以上の出力を軽々と弾き出し、およそ無敵としか言い様のないゼロツーに変身出来て尚マギディヴァイダーが必要とされるのならば、求めているのは──

 

「……アルトくん。まさか、『アレ』に気付いてた?」

「アレ?」

「由比ヶ浜ネストを破壊する時、夢結のダインスレイフに残されていた『バグ』を利用したのって知ってますか?」

「ああ。夢結ちゃんのシュッツエンゲルが遺したモノだって聞いてるけど……」

「マギディヴァイダーにはそれのコピーが仕込んであります」

「!」

 

 そう、マギディヴァイダーに搭載された「ヒュージ殺しの術式」に他ならない。

 川添美鈴がレアスキル「ラプラス」によってダインスレイフの術式を書き換えた際に生まれたバグのコピーを、百由は「絶対ヒュージ殺す剣」と銘打ってちゃっかり大剣に仕込んでいたのだが──一体いつの間に見られていたのか。

 確かに最近は少年に与える予定のCHARM関連で彼と話し込む事は多かったが、よもやそこまで看破されているとは流石の百由も思いもしなかった。

 

「……なるほどね。つまり相手はアルトラ級か」

「その可能性が一番高い……と思います」

 

 しかし、それなら事情も分かる。

 恐らく少年が相対しているのはアルトラ級──即ちネストを作成する能力を持つヒュージ最大の個体であるに違いない、と或人は推測した。

 如何にゼロツーが強力無比と言えどアルトラ級が相手であれば苦戦は免れず、撃滅するには時間がかかるだろう。

 そしてその間に市街地は粉々に砕け散り、少なくない数の犠牲者が出る。

 そのような事態を避ける為に彼は()()()一手を打ったのだ。

 

「だったら、尚更急がないとな」

「あ、はい。でも安全運転でお願いしますねー!」

 

 ならば此方も急がねばならない。

 助けを求められたのならば、頼られたのならばそれに応えるのが年長者と言うモノだ。

 そう、未だ「若者」の範疇にある或人だがその精神性は成熟した大人と何ら変わらない。

 甲州撤退戦やゼロワン計画の後始末など過酷な経験を乗り越え一皮も二皮も剥けた彼は、責任ある立場の人間として飛電を率いるまでと成っていた。

 

 故にこそ、或人の前線で誰かを守りたいと言う気持ちは日に日に肥大化していった。

 マギが使えるからと若き少女が戦場に駆り出され、そして1人また1人と散っていく。

 ノインヴェルト戦術の考案によって多少はマシになってもやはり死人は出てしまう。

 それが嫌で、嫌で嫌で堪らなくて、或人はこうしてバイクを走らせているのだ。

 

(もう、見ているだけなんて御免だ)

 

 少年の救援に躊躇いは無い。

 ヒュージに打ち倒されるのだとしても、それでリリィを守れるのなら何の後悔も無い。

 硬く熱い決意を胸に、スロットルを全開にして────

 

「────」

 

「────は?」

 

 飛電或人は()()を見てしまった。

 本当に偶然、進路上にいる所を見かけてしまったのだ。

 

「え、どうしたんです或人さん?」

「え、エデン……?」

「何ですって?」

 

 ()()は仮面ライダーエデンであった。

 つい先日百合ヶ丘女学院を襲撃し、二川アルトやA.I.M.Sとの共同戦線により撃退した悪意の権化が、右手に黒い袋のような物を引き摺って数十メートル先から2人に向かってゆっくりと歩いていた。

 

「……気付いてないのか?」

「……みたいですね。ひょっとしたら何か深刻なダメージを負っているのかも」

 

 エデンからすれば2人は既に交戦距離に侵入しているだろうに、彼が此方を気にする様子はない。

 特に損傷の無いように見える赤黒い装甲を日の下に晒し、袋を引き摺りながらゆらゆらと歩いて────袋?

 

「────」

 

 いや、違う。

 悪意が引き摺っているのは断じてただの袋ではない。

 袋から飛び出た肌色の棒切れは、エデンの足下に広がった赤い水溜まりは人のそれに他ならない。

 では、つまり、まさか()()は────

 

 

 

「アルト、か?」

 

 

 

 仮面ライダーエデンに敗れ、半死半生に追い込まれた二川アルトにしか飛電或人には見えなかった。




◯芹沢千香瑠/仮面ライダーセイバー
エモドラとか言うファルシオン特効装備使ってるけど本人が目茶苦茶疲れてるし対人戦闘経験皆無なので結果的に互角になってる人。
愛は足りてる、覚悟も足りてる、力だけがちょっと足りない。

◯バハト/仮面ライダーファルシオン/一般転生虚無
滅茶はしゃいでるけど中身の転生者が全力で止めてくるし何かエモドラ出てくるししかも思ったより強いしで結果的に互角になってる。
覚悟は足りてる、力も足りてる、愛だけが明確に足りない。

◯仮面ライダーデュランダル
実は単独でバハトを封印する手段がある(自分ごと界時抹消して失われた時間にバハトをボッシュートする)けどセイバーが頑張ってるしやろうとすると周囲を巻き込むので取り敢えず支援に徹してる人。
内心ではバハトくんさぁ…何で俺の事無視するの…?(全ギレ)ってなってる。

◯真島百由
直近のイベントのネタを持ってきた人。
今回出てきたマギディヴァイダーは「超越のアーセナルハート」で破壊されたモノから再設計された2号機。
これによってbouquet編とラスバレ編の間に最低でも「守護天使の誓い」「ブーステッドフレンド」「超越のアーセナルハート」が詰まっている事になった。 
最早ギチギチとかそう言う次元じゃない。

◯飛電或人
仮面ライダーではなく「責任ある大人」としての出番が多い。
まぁでも社長なら絶対リリィ助けるし…

◯二川アルト/仮面ライダーゼロツー
普通にゼロツーでエデンに負けた。
そもそもからしてアークゼロワンで(ほぼ)相討ちまで持っていけたのは転生者としての知識による「逆初見殺し」なので普通に2度目は対策されて負けるしかない。
でも観察力全一の二水ちゃんが後衛にいたら完勝してた。
それ位のパワーバランス。

◯仮面ライダーエデン
奇襲からのエデンインパクト連打でゼロツーには勝ったけどまたもやナノマシン使い果たして満身創痍。
アルトを引き摺っているが梨璃ちゃん達は…?



※大変申し訳ないのですが諸々の事情で執筆のモチベーションを破壊された上最近忙しいので更新ペースを大幅に落とします。
何卒ご了承下さい。



次 回




■■■

  15  


聖剣を束ねる、百合の花

ᛏᚻᛖ ᛚᛁᛚᚣ ᚢᚾᛁᛏᛖᛁᚾᚷ ᛋᚹᚩᚱᛞᛋ



その悪意、誰の為に

──×──

"The final conclusion."

■■■

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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