【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】   作:イナバの書き置き

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第24話「【悲報】 ワイ、百合の間に挟まる改造人間になってしまう 【どうしてこうなった】」

「────ぅ」

 

 ガタゴト、と深く腰掛けた座席が震動する感触で白井夢結は目を覚ました。

 ただしぼやけた視界に映っているのは百合ヶ丘の質素な自室ではなく、無機質な鉄の壁面とタクティカルスーツに身を包んだ屈強な男達であり──他ならぬ夢結自身もゴテゴテとした装備を纏っている。

 頭を軽く振って思考にかかった靄を払い、乾燥にひりついた喉に顔を顰めて──ぼそりと呟く。

 

「ガンシップと違って、陸路での移動は堪えるものね……」

 

 普段の外征とはあまりに異なる雰囲気に思わず独り言を漏らしてしまったが、それも仕方方ないだろう。

 何せ夢結は今内閣官房直属の対テロ特務部隊A.I.M.Sが保有するトレーラーに揺られ、甲州市に向かっている最中なのだ。

 

 この状況に至るまでには──それはもう、色々あった。

 先ず昨晩、少年からと思わしき電話を受けた夢結はこれまで閉じ籠っていたのは何だったのかと思う程に駆けずり回り、夜も遅いにも関わらず一柳隊を召集し甲州への外征許可を貰おうとした。

 しかし電話1本、それも具体性を欠いたあまりにも「雑」過ぎるSOSに生徒会は許可を出さず一触即発の空気が出来上がる。

 しかししかし捨てる神あれば拾う神あり、見かねた理事長代行は政府に協力を要請し、A.I.M.Sの調査に同行する形で夢結の行動を認めた──と言うのが此処までの話だ。

 控え目に言って混沌とし過ぎている。

 

 しかしその混沌さに夢結は救われてもいた。

 何故なら──このむさ苦しい環境に置かれたリリィは、彼女1人ではないからだ。

 

「そ、そうですね……!でもこういう経験って中々無いと思いますし、新鮮ですぅ……!」

「夢結、まだまだ着きそうにないから寝てても良いんだぞ?」

「それも、そうね……」

 

 サイズからしてもう既に似合っておらずコスプレっぽくなってしまっている二水と思ったよりも様になっているがどうにも特殊部隊っぽくは見えない出で立ちをしている梅の言葉に、夢結はゆっくりと息を吐く。

 

(本当にこの2人で良かった……)

 

 調査に当たって、作戦行動を阻害しない為に一柳隊から派遣するのは3人まで。

 それがA.I.M.Sの出した条件だ。

 しかし、これが基本的にいざこざの少ない一柳隊では非常に珍しい争いの火種となる。

 

『わ、私が行きます!アルトくんがいるならきっと結梨ちゃんがいる筈ですし、迎えに行ってあげないと!』

 

 梨璃が。

 

『拳を握り締めて決意を固める梨璃さんの姿、何と凛々しいのでしょう……!ですが梨璃さんは責任ある隊長の身。ガキンチョ共の捜索はこの楓・J・ヌーベルにお任せ下さいませ!』

 

 楓が。

 

『珍しく殊勝な事を言っておるようじゃがお主何をやっても目立つじゃろ。今回はリリィである事がバレたら終わりなんじゃから、まぁ例えばワシとか────』

 

 ミリアムが。

 

『そ、それを言ったらミリアムだってかなり目立つと思うよ……?その点、私だったら地味だし……』

『何じゃとー!?』

『別に地味とか目立つとかはそんなに関係ないと思いますけれど、雨嘉さんも存在感は十分あるでしょう?』

『し、神琳……!』

 

 雨嘉と神琳が。

 

『イチャつくなら他所でやってくれ……でもまぁ、あの2人を迎えに行くなら私が適任だと思う。強化スキルがあればCHARMを持っていなくても特殊部隊にだって遅れは取らない筈だから』

 

 そして鶴紗が、と誰もが救出メンバーに立候補した結果、実に恐るべき──敢えて形容するならばブラックホールの如き混沌が深夜の一柳隊控え室に発生したのだ。

 しかも(SOSを受け取った張本人である夢結を除いて)全員自分が行くのだと信じて疑わなかった事が悲劇の始まりだった。

 やれ討論だの協議だのとそこそこ不毛な争いを2時間近く繰り広げた挙句に、最後は夢結以外の全員でじゃんけんを行い──相手が出す手を完全に読み切った二水と普通に勝ち抜いた梅がこうして同行する事になったのである。

 

 しかし結果として考えればやはりこの2人が適任だったと言えるだろう。

 あの無茶しかしない少年の姉を自称する二水は勿論、一見おちゃらけているように見えて誰よりも周りを思い遣っているいる梅が傍に付いているならこれ以上心強い事はない。

 だって梨璃が隣にいたら、必ずどこかで()()()()()()しまうだろうから。

 

「……」

「……」

 

 それにしても──視線が辛い。

 両隣に座っているその2人からの心配するような視線が兎に角夢結は辛かった。

 いや、散々引きこもった挙句にいきなり復調し、「愛しの」シュッツエンゲルの付き添いも無しに飛び出してきたのは他ならぬ夢結自身だし、当人もそれは理解しているつもりだ。

 だが、これ程か。

 こんな「親がやんちゃな子供を見守るような目線」を左右から向けられ、座席から立ち上がろうものなら「いいから座ってろ」と肩を掴まれそうな気迫を感じねばならない程なのか。

 

(……気まずいわね)

 

 これが後どれだけ続くのか、と居たたまれない気持ちを抱いて──結局、夢結は再び目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……仲悪いのかな、あの子達」

「いや、そんな事はないと思うが」

 

 そんな少女達の様子を、運転席からトレーラーの天井に備え付けられたカメラで監視する者達がいた。

 1人は怜悧な雰囲気の女──ZAIAから出向したA.I.M.S技術顧問、刃唯阿。

 そしてもう1人は特殊部隊には似つかわしくないハイブランドなスーツで上下を固めている男──同じくA.I.M.Sの部隊員「(じん)」である。

 彼は先行しての強行偵察や工作等を得意としているのだが、今日この日に限ってはトレーラーの運転を任されていた。

 

 と言うのも、今回の作戦が始動するに当たりA.I.M.S隊長である不破諌が「いつものように」先走りバイクを駆って1人飛び出したのは別に良いのだが、迅が所属する部隊4人の内、彼と百合ヶ丘に連絡役として残した「(なき)」を除いた2人が一緒に飛び出して行ってしまったのである。

 そんな訳で残された迅は手持ち無沙汰となってしまい──こうしてドライバーを買って出ていたのだが。

 

「いや絶対不仲だってバルキリー」

「だからそんな事はないと言っているだろう」

 

 しかし、暇。

 ヒュージが来るでもなく暴徒に襲われるでもなく、ただひたすらに罅の入った道路を進むのは中々に退屈であり──要するにこの2人は運転中暇だからと言って、出歯亀に興じているのだ。

 不真面目な事この上ない。

 

「でも、あんまり会話も弾んでないみたいじゃない?」

「確かにそうかもしれない。だが、百合ヶ丘では特に生徒間の関係を重視すると聞くし……案外喋らなくてもいいのかもしれん」

「……そう言うモノかな」

「たしか……シエルリントだったか。名前を明かさず花や宝石の名前で互いを呼び合うガーデンもあるらしい。()()()()()()なんだろう」

「そっか……」

 

 所謂「お客様」であるリリィについて注意を傾けている、それ自体に嘘は無い。

 ただ──迅はリリィに関する知識が然程多くないのだ。

 別にそれが悪いと言いたい訳でもない。

 大っぴらに言えたモノではない「ある事情」から彼は一般常識が所々歯抜けになっており、興味が湧いたなら例えそれが何であっても接触を試みようとする幼児性が偶々発露してしまった、それだけの話である。

 

「でも……やだな」

「何がだ」

「来るんでしょ、シンクネット」

「あぁ」

 

 リリィへの心配は一時的とは言え特殊部隊に参加させただけではなく、交戦()()()()()()相手による心理的な影響も含まれる。

 何せ相手はシンクネット、A.I.M.Sが1年以上に亘って捜査し続けた()()()()カルト宗教だ。

 その施設から脱出したと思わしき少年が「無事」とは限らないし、下手をすれば「死んだ方がマシ」な状態である可能性も高い。

 

 それを見て、彼女らは耐えられるのか。

 正気を保てるのか。

 いや──少女達が嘆く姿を見て()()()()()()()()()()()

 

「まぁ、なるようにしかならない……と思う」

「……そうだね」

 

 悶々とした思いを抱く()()()()()()達をも乗せてトレーラーは早朝の峠道を往く。

 罅の入ったアスファルトを蹴り飛ばし、所々に生い茂った雑草を踏みつけ────一路、陥落指定地域甲州へ。

 

 

 

■■■

  24  

 

【悲報】

ワイ、百合の間に挟まる改造人間になってしまう

【どうしてこうなった】

 

 

1000%と行く!春の甲州アバドン狩り

──×──

"The elevation increases as the bullet is fired."

■■■

 

 

 

1:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 さぁ張り切って行きましょー!

 〔添付:殴打され吹き飛んでいくアバドンの動画〕

 

 事の発端→【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる仮面ライダーだった【ゆるして】

 

【悲報】ワイ、転生したら百合の間に挟まる改造人間だった【どうして】

 

【悲報】ワイ、転生したら百合の園に監禁される仮面ライダーだった【何故】

 

【上位互換】ワイ、転生したら百合の園で入院生活を送る仮面ライダーだった【爆誕】

 

「>>■」

 

【速報】ワイ、転生したら百合の隣で戦う仮面ライダーだった【変身】

 

【悲報】ワイ、百合の間に挟まる仮面ライダーではなくなったかもしれない【朗報】

 

 

 

2:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 人物紹介

 〔添付:投擲したアタッシュカリバーがアバドンの顔面を貫通して壁に突き刺さる動画〕

 

 ・ワイ(現二川アルト/元一文字アルト)

 仮面ライダーに変身出来る以外特徴の無い記憶喪失ショタ(にinした転生者)

 最近アークと接続(物理)した事で肉体改造に着手し始めた

 このままだとグロンギ一直線だけどアークが思ったより悪いヤツじゃないからどうにかなりそう

 現在は旧甲州市の郊外辺りにいる。

 

 ・一柳結梨ちゃん

 控え目に言って聖人

 多分善意の塊だと思うんですけど(名推理)

 それはそれとして対人戦なんて絶対にさせられないから隠れてようねぇ……

 

 ・天津垓さん

 エデンに頼まれて助けに来てくれた白スーツの変な1000%おじさん(自称24歳)

 行動や言動が奇抜なだけで多分皆が言う程悪い人ではない

 それはそれとして俺みたいに肉体改造してるワケでもないのに生身でアバドンと戦えるのヤバくない?

 

 ・一柳隊の皆さん

 昨日取り敢えず救援要請出してみたけど届いてるか分からん

 巻き込むのは気が引けるけどアバドンはそう簡単には振り切れなさそうなので来てくれる事を祈るしかない

 

 ・アバドン

 一般クソ雑魚飛蝗スーツ軍団

(その程度の強さと信念の無さで仮面ライダーを名乗るのは)止めて下さい!

 

 

3:ご機嫌よう名無し様 ID:JgDHLRNBE

 いや突っ込み所しかないが

 

4:ご機嫌よう名無し様 ID:tsGPygQnh

 何やってんだコイツ……(困惑)

 

5:ご機嫌よう名無し様 ID:P4iTWbhK7

 アバドン振り切ったんじゃなかったのかよ……

 

6:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 いやまぁ普通に信者の執念甘く見てたよなって

 まさか夜通し探してるとは思わなんだ

 

7:ご機嫌よう名無し様 ID:gy1zNhp8e

 あーまぁネットに接続出来る環境さえあれば誰でも操作出来るみたいだし交代でやってたんじゃない?

 アイツらにそんな熱意があるかは知らんけど

 

8:ご機嫌よう名無し様 ID:6Vm9RMwI0

 てっきり一色さんが止めてくれてるモンかと思ってたけどそうでもないのかな

 

9:ご機嫌よう名無し様 ID:iTK5PxGwg

 止まれって言われて止まるような人間はそもそもシンクネットになんか入信しないし……

 アイツら選民思想拗らせてるだけだからな

 

10:ご機嫌よう名無し様 ID:ihrDh9iXt

 で挙げ句に世界終焉を良い事に好き放題したいだけでしょ?

 そりゃまあ邪魔されたら怒って追い掛けてくるよなぁ

 

11:ご機嫌よう名無し様 ID:B+v2Vr1qh

 ゼロワン本編ですら同情の余地は無いのに此方はさぁ……

 こうしてお前らが楽園創造ごっこしてる間もリリィと防衛軍の皆さんは頑張ってるんやぞ?

 人の心とか無いんか?

 

12:ご機嫌よう名無し様 ID:V/xlYZv8M

 無いでしょ普通に

 てかイッチもなんで隠密行動せずに普通に交戦しとるん?

 危ないやろ

 

13:ご機嫌よう名無し様 ID:Fkn+7UXev

 そう言えばそうだな

 イッチ1人だけの時ならまだしも周りに仲間がいるならそこそこ落ち着いてるイッチにしては珍しい

 

14:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 >>12

 いや普通にこんなゼロワン計画の貴い意志を汚す汚物共を頑張ってるリリィの皆さんには見せられないでしょ

 どうせまた出てくるにしても此処にある分はちゃんと処分しないと

 〔添付:アバドンの腕を捻じ切って無造作に投げ捨てる動画〕

 

15:ご機嫌よう名無し様 ID:w74ar0MMF

 ヒェッ……

 

16:ご機嫌よう名無し様 ID:VfP487yUL

 イッチ滅茶苦茶キレてるじゃん

 こわ……

 

17:ご機嫌よう名無し様 ID:HVOgbBTEE

 レッドファイッ!もびっくりの残虐ファイトを生身でしてるのもビビるし何か普通に1000%も生身で戦ってるのもビビる

 

18:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 そう?

 こんなもんじゃない?

 〔添付:独りでに戻ってきたアタッシュカリバーがアバドンの後頭部に直撃し、その隙に垓が振り下ろしたサウザンドジャッカーが首を刎ねる動画〕

 

19:ご機嫌よう名無し様 ID:/EhcBfei+

 いやいやいや

 普通の10歳児は片手で原寸大アタッシュカリバー振り回したりぶん投げたりしないから

 

20:ご機嫌よう名無し様 ID:21BEZB5om

 てか素手でアバドンの装甲砕いてんの何なの?

 イッチ人間辞めちゃったの?

 

21:ご機嫌よう名無し様 ID:8RRKJ7wiw

 それはその……大分昔に……

 

22:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 アークワンが最低限の生命維持しかしてくれないのは相変わらずなんで取り敢えず負荷を跳ね除けられる位体を頑丈にしようとした結果ですハイ

 意図して生まれた産物ではない

 〔添付:蹴りでアバドンの足先を踏み抜いて転ばせている動画〕

 

23:ご機嫌よう名無し様 ID:gk5RThCFE

 うわエッグ……

 相手がナノマシンの集合体だから許されてるけど生身だったら規制入るよこんなん

 

24:ご機嫌よう名無し様 ID:4uTKCaPIp

 間違いなく日曜朝にお出し出来ない類いのファイトスタイル

 

25:ご機嫌よう名無し様 ID:2cioqMofy

 こんなん意図して生まれて堪るか

 

26:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 まぁ後はアレですよ

 衛星経由で救援に来てくれてるっぽいA.I.M.Sのトレーラーを1時間前に確認したけど到着まで時間掛かりそうだし露払いしとくかー、みたいな?

 

27:ご機嫌よう名無し様 ID:WlAdcOPje

 それ救出される側がする配慮じゃないと思うんだけど

 

28:ご機嫌よう名無し様 ID:10jb2WTts

 その気になれば普通に百合ヶ丘まで帰れそうじゃん……

 

29:ご機嫌よう名無し様 ID:TbNiGTKDK

 この前みたいに電車に乗って帰るんじゃダメなんですかね

 

30:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 いやアイツら電車乗ってても問答無用で来そうじゃん……やだよ俺逃げ場が無い所で戦うの

 もしそうなったら結梨ちゃんも危ないし……

 

31:ご機嫌よう名無し様 ID:eWN28VX8C

 それはそうなんだが……何か釈然としねぇな……

 

32:ご機嫌よう名無し様 ID:whIGSRzo3

 イッチに正論言われるとか負けた気がする

 

33:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 酷くない!?

 いくら俺だってそれくらい考えるよ!

 

34:ご機嫌よう名無し様 ID:aUZUL7NwW

 考えてるか……?

 

35:ご機嫌よう名無し様 ID:MPIKDpRk1

 多分考えてるには考えてるけど方向性が明後日の方向に向いてると思うんですけど(名推理)

 

36:ご機嫌よう名無し様 ID:BqbFf1ocQ

 毎回思い付く解決策が斜め上かつ自己犠牲前提なのは流石にどうにかした方が良いと思うよ

 

37:ご機嫌よう名無し様 ID:mluw2/2cM

 隙あらば死にに行くのを止めるのは疲れるからいい加減止めてくれ

 

38:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 はい……以後気を付けます……

 

39:ご機嫌よう名無し様 ID:HFX2a2+za

 絶対気を付けないヤツじゃん

 

40:ご機嫌よう名無し様 ID:0gyT64RnC

 どうせすぐ破るぞ

 

41:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 あっ

 

42:ご機嫌よう名無し様 ID:X5jmV5SMb

 ほら来た

 

43:ご機嫌よう名無し様 ID:L4Kgm/hln

 せめて舌の根乾かそうとする努力はしてくれませんかね

 

44:一般転生悪意(復活) ID:aRKs01+???

 あいつ結梨ちゃんのいる方狙いやがった

 殺す

 

45:ご機嫌よう名無し様 ID:pAe62A557

 あっそれは行って良いよ

 

46:ご機嫌よう名無し様 ID:2oGS4JpSF

 殺せー!

 

47:ご機嫌よう名無し様 ID:rvpvH9yaD

 ナノマシン1つ残すな

 塵殺しろ

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「オイオイ……冗談じゃねえぞ」

 

 仮面ライダーバルカン シューティングウルフ──不破諌はその狼を想起させる仮面の下で頬をひきつらせた。

 勇敢で同時に猪突猛進な()()()()()()失態を指摘する者は、しかし誰もいない。

 今まさに彼の背後でフォースライザーを腰に当てて変身しようとしていた和装の男()強面の男()も、不破と同様に頬をひきつらせるばかりであった。

 

 だが、仕方ない。

 これは誰だって「そう」なる。

 例えこの場にいるのが迅だったとしても、二水だったとしても、ひきつった表情で硬直するのは先ず間違いないのだ。

 何故なら────彼等の目の前に広がっているのは、紛争地帯もかくやと思われる程の惨状なのだから。

 

「いたいぃ……いたいよぅ……」

「ぁ……が、ぎげ……」

「パソコンでアクセスしてるのに、どうしてフィードバックが……!?」

 

 どろどろに溶け落ちた深緑色の「人らしき何か」が呻き声を上げながら転がっている。

 それが人だと判断出来るのは形状が辛うじて人型に見えるからであり、砂場遊びで作られた山のような何かから飛び出した手足は何れも曲がってはならない方向に捻れていた。

 そうして合間を生き残りと思わしき装甲服が右往左往しているものの、空中に赤黒い稲妻が走ったかと思えばぐちゃぐちゃに崩れ落ちて「何か」の仲間入りを果たす。

 

『パ ー フ ェ ク ト コ ン ク ル ー ジ ョ ン』

 

 

86:ご機嫌よう名無し様 ID:3tFPxnZvm

 おいバカ止めろ!

 ちょっとやり過ぎだぞ!

 

87:ご機嫌よう名無し様 ID:d+Kjln6kN

 あーそういや今のコイツ常時暴走してるようなモンだったなぁ!

 煽ればそりゃ加減出来なくなっちゃうよー!

 

 

 何の前触れも無しに眼前の廃ビルが爆ぜ、中にいたと思われる数体のアバドンが手足をばたつかせながら吹き飛ばされていく。

 その爆心地から──黒い噴水。

 間欠泉のように10メートルも吹き上がったどす黒い液体が雨のようにして逃げ惑うアバドン達に降り注ぎ、体を溶かし、数秒の内に形を喪失させる。

 

「どうなってんだ一体……これは()()()がやった事なのか!?」

「分からん……いや、信じたくないのかもしれん」

 

 不破諌と、滅、雷の3人に少年との直接の面識はない。

 エデンによる百合ヶ丘の際に自爆覚悟の攻撃を仕掛け気絶した姿を不破が目撃した程度である。

 だが、不破は知っている。

 彼が誰よりも自己犠牲を躊躇しない男である事を。

 誰かの為に泣ける、義に篤い男である事を。

 そして仲間の為ならどんな無理無茶無謀でも押し通す男である事を。

 

 だからこそ信じられないのだ。

 状況証拠からして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、その事実を受け入れられずどうにかして彼が絡まない屁理屈を捏ね繰り回すしかない。

 そんな男達の前に──「絶望」が浮上する。

 

 

 

「こんにちは」

「────ッ!?」

 

 

 

 それはいつの間にか、男達の背後に立っていた。

 音も無く、気配も無く、歴戦の勇士たる仮面ライダー達の後ろで仮面ライダーアークワンはぐったりと脱力したアバドンの首を締め上げていた。

 

「おい、何をしてる」

「何って……その、苦痛を与えているんです」

「何だと……!?」

 

 そのあまりにも異常な光景に雷が疑問を飛ばすも返事は簡潔、苦痛を与えるの一言のみ。

 それで足りるだろうと言わんばかりに彼はアバドンへと向き直り、再び力を入れ始める。

 

「コイツは結梨ちゃんを撃とうとしたんだから、当然の報いでしょう?」

 

 ────いや、違う。

 地獄絵図は地獄絵図だが、少年はこれまでと一切変わらず仲間を守る為に戦っている事実に依然として変わりはない。

 手段が最大限過激化しているだけで、相変わらず何より尊い命を守る為にその身を戦火に晒しているのだ。

 つまり少年はシンクネットの投薬によって正気と狂気の狭間をさ迷っているだけであり、まだ()()()事を如実に示していた。

 

「っ……ぎ、ぃ、くぅ……」

「聞こえていますかー、『ベル』さーん?これから貴方の首を少しずつ捻じ切って行こうと思いまーす!勿論現実の貴方にフィードバックされるのは痛みだけですし、ショック死しないように調整しますからこれに懲りたら2度と────」

 

 無邪気な──それこそ外見年齢そのまま、変声期に入る前の幼い声音で少年が囁く。

 しかしそれはアバドンを操作している「ベル」にとっては死刑宣告に等しい。

 これより彼は圧倒的な力で以て頚部が無理矢理切断される痛みを、気絶する事すら許されないまま流し込まれるのだ。

 何とか逃れようと必死に折れた手足をばたつかせ首を掴む右手を振り払おうとしているが、白い手甲に覆われたアークワンの指は深く食い込んだまま。

 

「────」

 

 フィードバックを最大限にして殺してしまえ、と少年の脳裏でアークが嘯いている。

 こんな悪意の塊は世界に必要ない、消してしまえ、と彼なりの義憤で肉体の主に諭している。

 だが、今やアークとは悪意そのもの。

 例え当人にその気が無かったとしても彼の言葉は人を破滅へと導き、彼の行いは他者への危害に直結してしまう。

 それは()()()()()()()()()()()()()()()にも勿論適応される。

 

(────こんなの、やだなぁ)

 

 よって──少年の内心は言葉にならない。

 おぞましい悪への憎悪は、リリィと少年の精神的な分断にいつしか刷り変わった。

 そう、この光景をリリィが見たらどう思うだろうか。

 例えば梨璃が、例えば夢結が、例えば百合ヶ丘の皆が惨殺劇を目撃してしまったなら──彼にとって全ての「終わり」だ。

 

 その絶望に向かって、「少年であって少年でない何か」は突き進む。

 アバドンを掴む手に力を込め、指の1本1本が装甲(皮膚)を突き破り始め────

 

 

 

 

 

「これ以上は冗談じゃ済まねぇぞ」

「……済ませたくないとしたら?」

「ぶっ潰して、百合ヶ丘に連れ帰る!」

 

 

 

 男の掟は単純明快。

 少年が憧れる本物のヒーロー(仮面ライダーバルカン)の放った銃弾が、彼の手を撃ち抜いた。

 




◯二川アルト(っぽい何か)/仮面ライダーアークワン
百仮面ライダー合とアークの意識が悪魔合体した結果生まれたそれっぽい「誰か」。
両者の根幹はそのままに悪い所だけ最大限強調した性格をしており、なまじ根幹が変わっていないだけ掲示板の連中も変化に気付けていなかった。
その上アークワンに変身している時の彼は「悪意」そのものの代弁者であり、その一挙手一投足全てが事態を悪化させる、若しくは解決の先送りにしかならない。
要するに口を開けば不和を生み、戦えば後から何倍にもなって返ってくる最低な性質を持つ(しかも百仮面ライダー合もアークもこの性質を正確には把握していない)
とは言え愛情超えるような誠実さがあれば多分元に戻るし所謂「正義の仮面ライダー」が4倍弱点なので頑張れ二水ちゃんと不破さん。

◯不破諌
は?仲間の為に命を張るガキがこんな事するワケ無いだろ…で全てを看破する孤高の一匹狼()
多分「自分の」言葉では元に戻らないのでボコボコにしてから説得をリリィに任せようとするのも最適解。
後滅茶苦茶強い。

◯夢結様
百仮面ライダー合からのあまりにも罠っぽい電話を受けてしかし大復活を遂げる。
いつもの夢結様だな、ヨシ!
でも実際夢結様のメンタル万全なら大体の話が終わっちゃうから仕方ないんだ。

◯迅
ゼロワン計画とは無関係ではないけどそこまで深い関係はない「ある計画」によって改造人間にされてしまった人。
その為ヒューマギアではない。
なお彼を含めた滅亡迅雷4人組がその名前を名乗っているのは身バレによって本来の家族に被害が及ぶのを防ぐ為であり、全員偽名。
先行偵察が得意なのに滅と雷が先走ったせいでトレーラーの運転をする羽目になった。

◯刃唯阿
A.I.M.Sでは技術顧問の筈なのに不破さんが不破さんなので実質隊長な苦労人。
いつも辞めたい辞めたいって言ってるけど結局辞められない。
正直今回の1件には色々不安があるのでモヤモヤしている。

正直に言って戦闘無しで考えたら誰との絡みが見たい?(あくまで参考である事をご了承下さい)

  • 二水
  • 結梨&梨璃&夢結
  • ぐろっぴ&百由様
  • 一葉
  • 恋花&瑶
  • 千香瑠&藍
  • 灯莉
  • ひめひめ&灯莉&紅巴
  • 叶星&高嶺
  • その他一柳隊メンバーなど
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