無惨様しか美しく見えなくなった鬼狩りの恋 作:029
「ん……」
微睡みから醒めると、男性の姿に戻った無惨が、寝台に腰掛けて煙草をくゆらせているのが目に入った。
半身を起こすと、紅梅色の眼差しがこちらを向く。
「――起きたか」
「お、おはよう」
彼と寝室で目覚めを迎えるのは初めてではないが、昨日の本心をぶつけ合った遣り取りや、その後のことを思い出すと、ひどく気恥ずかしい。
おまけに裸の肩に女物の着物を引っ掛けた格好の無惨がなんとも蠱惑的で、視線を彷徨わせながら、思いつくままに言葉を紡ぐ。
「やっぱり、男の状態が本来の鬼舞辻無惨……ってことで良いのかな? 女の人の姿は擬態?」
「そうだ。主に芸妓として情報収集をする際に使っている」
「ふうん、流石だね。えっと、その……すごく良くできてた」
鬼が姿形を変化させるのは珍しくないが、無惨の擬態の精度は桁違いで、女そのものとしか思えなかった。
それはもう、どこもかしこも。
「……お前、まさかそちらの趣味だったのか?」
昨夜の艶めかしい女体を思い出して顔を赤らめていると、無惨が胡乱な目つきで睨んできた。
「はっ? ち、違うよ! ただ、ほら、あの、なんていうか、嬉しかったから」
ぶんぶんと首を振って否定する。
恥ずかしながら、これまで彼と過ごした夜の中で最も燃え上がった自覚はある。
けれどそれは、相手が同性の体だったからではなく、真に心が通い合った交わりであったがゆえだ。
無惨も同じ気持ちでいたからこそ、擬態を解く間も惜しんで一晩中絡み合ったものと思ったが……偽りの姿の方を好んでいるように見えたなら、やはり面白くあるまい。なので、これ以上誤解を招かぬようはっきりと告げる。
「私は、あなただったらどんな姿でも好きだよ。女でも子供でも」
「ふむ?」
私の言葉に、鬼の始祖は何事か考え込む素振りを見せたあと、こちらに手を伸ばしてきた。
「無惨? あのう……」
まだ熱を残して気怠い体が強引に横たえられ、人の悪い笑みを浮かべた白皙の美貌を見上げる体勢になる。
「では、どの姿が一番か確かめさせてやろう」
……これは、「男のあなたが一番良い」って言わないと納得しないんだろうな。
◇◆◇◆◇◆◇
その人物に声をかけられた時、胡蝶カナエは妹とともに、鬼の情報を求めて町中で聞き込みをしている最中だった。
「こんにちは。花柱様、しのぶさん」
先日聴いたのと同じ声、しかしあの時とはうってかわって柔らかな調子が、カナエを戸惑わせた。
振り返ると、数ヶ月前に失踪した鬼殺隊の隊士・匂坂真実が道の真ん中に立っていた。
「匂坂さん!? あなた今までどこに――」
以前任務の帰りに遭遇したカナエと違い、失踪後初めて彼女の姿を見たしのぶがぎょっとして声を張り上げる。
「しのぶ、落ち着いて」
それを宥めながら、カナエは静かに匂坂を観察した。
身なりは前回会った時とそう変わらない。本人が話したとおり、鬼殺と関係のない場所で、不自由なく暮らしている様子が見て取れる。
――しかして、発する気配は、前よりも一層妖しさと危うさを増しているように感じられた。
そのことに名状しがたい不安を覚えつつ、カナエはずっと気にかかっていたことを質問する。
「匂坂さん、津久見くんを知らない? 少し前から、連絡が取れないらしいの」
津久見瑶佑の消息が途絶えたのは、カナエが匂坂と会ってから数日後のことだった。
隊内では鬼に殺されたか、逃亡かまだ判断をつけかねているが、カナエには彼が想い人を探していたことと無関係とは思えなかった。
匂坂はその問いを予想していたのか、落ち着き払って答える。
「ええ、瑶佑ならこの前会いました。今も私と一緒にいます」
「そ、そうなの……?」
津久見は想いを寄せる女性を見つけ出していたらしい。先の邂逅ではあれほどこちらを拒絶していた彼女が、自分から声をかけてきたのも、彼によって何かしら心境の変化があったからなのか。
(でも、どうして津久見くんまで黙っていなくなったのかしら……)
疑念に胸を騒がせるカナエの思考を、わずかに咎める響きを含んだ匂坂の声が断ち切る。
「やっぱり、花柱様が瑶佑に教えたんですね。急に家に来たから、びっくりしましたよ」
そう言われると、津久見に同情したとはいえ、口止めを反故にしてしまった罪悪感が湧いた。
「ごめんなさい、でも……」
「良いんです。おかげで気持ちの整理がつきました」
カナエの謝罪を制し、晴れ晴れとした面持ちで言葉を続ける。
「花柱様にももう一度会いたいと思っていたから、ちょうど良かった。……これからのことを相談したいんですが、立ち話もなんですし、ついて来てくれませんか?」
「どこに?」
「万世極楽教。事情があって行き場のない人を多く受け入れている宗教施設です。しのぶさんも是非一緒に」
「ちょっと、私と姉さんはこれから任務が――」
「すぐ近くだし、そんなに時間は取らせませんよ」
異を唱えるしのぶを軽くいなして、さっさと歩きだしてしまう。
「どうするの? 姉さん」
「……」
勝ち気な妹は、一方的な匂坂の態度に顔をしかめて問うてくる。
日はまだ高く、晩秋の空気はほどよく暖かい。
穏やかな昼下がりの往来で――匂坂真実の後ろ姿だけが、周囲から切り離されているようにカナエの目に映った。
先日会った時は終始頑なな様子だった相手が、微笑みを浮かべて話しかけてきた。
この世界の誰も頼れないと言っていた相手が、これからのことを相談したいと誘ってきた。
客観的に見れば、実に喜ばしい変化だ。しかし……
カナエが逡巡している間にも、匂坂との距離は開き続けている。
ついて来てと頼んでおきながら、彼女がこちらを振り返る気配はない。
その迷いのない足取りは、他人の思惑などいっさい関係ない次元で、すでに決定づけられたたった一つの結論だけを見据えているような――
そう、今の匂坂真実は「完結」している。
上辺だけは当たり障りなく、だが芯の部分は誰にも触れない、そんな強固な態度を予感させるのだ。
「――行きましょう。あの人はまだ、私達の患者よ」
蝶屋敷で療養していた時の彼女を思い出す。
重傷を負って運び込まれた隊士の中には、傷の痛みや治療の辛さから、看護役の少女達に八つ当たりする者も少なくない。
けれど匂坂は、そういった粗暴さとはまるきり無縁だった。
機能回復訓練が始まってからも弱音一つ零さず、いつも穏やかに周囲の者に接していた。
それゆえに、突然失踪するほどに追い詰められていた彼女の内面を、カナエをはじめ蝶屋敷の誰も察することが出来なかった。
今もまだ、匂坂真実は己の裡にあるものを秘め隠している。
津久見に彼女のことを話したのは、彼なら匂坂の心を開けると思ったからだ。
しかし津久見と再会を果たしながら変わらず――あるいはいっそう本心を隠す仮面を分厚くした印象の彼女を見ると、その判断も無責任なものであったように感じられた。
(蝶屋敷の主人として、しっかり患者に向き合わなくちゃ……!)
カナエは、あの日見送るばかりだった背中を、妹ともに小走りで追いかけた。
万世極楽教の寺院は、町外れの鬱蒼とした山の中にあった。
匂坂に案内され、本殿から地下に続く階段を降りると、広大な池に蓮の花が咲き乱れる空間に行き着く。
釣燈籠の明かりが水面に反射する光景は幻想的で美しいが、匂坂が持ちかけたような相談事をするには向かない場所に思われた。
むしろ極楽を連想させる意匠の地下殿と彼女の取り合わせは、匂坂真実がこの世の人ではないようで、カナエはますます不吉な感覚を覚えた。
曲がりくねった橋の、池の中央付近まで差し掛かった所で、ようやく匂坂が立ち止まり、カナエたちと相対する。
「まず私は、鬼殺隊として働くことはもうありません。そして――花柱様としのぶさんにも、鬼殺隊を辞めてもらえたらと思っています」
「……どういうこと?」
彼女の辞意に関しては、さほど驚くものでもない。しかしなぜ、自分たちにまでそんなことを言うのか。
眉をひそめて問い返すカナエに、匂坂はあでやかな笑みを浮かべる。
限りない愛情と、幸福と、決意を湛えた――胡蝶カナエが初めて目にする、心からの笑顔だった。
そのことを喜ぶ間も無く、彼女の続けた言葉にカナエは混乱の只中に突き落とされた。
「私はこれから、鬼狩りを滅ぼすために戦います。ですから、その前に二人には鬼殺隊と縁を切ってほしい」
それは、鬼殺の剣士としてありえないはずの裏切り宣言。
あまりにも予想外の言葉に目を瞬くカナエと対象的に、即座に激高したのはしのぶだった。
「あ、あなた――自分が何を言ってるかわかってるの!? 人を喰う鬼の味方をする気!?」
怒りに頬を紅潮させて詰め寄るしのぶの糾弾にも、匂坂は鷹揚に頷く。
「そうです。あなた方も既に私の敵ですが、蝶屋敷での治療のおかげで今の私がある。殺したくありません。だから、普通の女性として幸せな人生を……」
「ふざけないで! 私たちは目の前で父さんと母さんを殺されたのよ!? あなただって大切な人を奪われて鬼殺隊に入ったんじゃないの!?」
「たしかに私の家族は皆、鬼に食べられました」
「だったらどうして――」
今更、正義感も復讐心もかなぐり捨てる選択をするのか。そんなしのぶの問いに匂坂真実は――
「でも、私も人間を食べちゃったから」
あっさりと、人としての禁忌を語った。
「……は……?」
しのぶの横顔が、眦を釣り上げた表情のまま凍りつく。おそらく自分も、同じような顔をしているのだろう。
「匂坂さん、今、なんて……?」
強張った舌を無理やり動かして、どうにか言葉を絞り出す。
「いえね、流石に初めから人肉だってわかってて食べたわけじゃないですよ? でも一度美味しいものを知っちゃうと、もう他の物は食べる気になれなくて」
ほんの些細な失敗を弁解するような、気安い口調。
「瑶佑も、ちょっと硬かったけど美味しかったです。赤ん坊の肉のほうが柔らかくて食べやすいんですけど」
照れ笑いと共に、軽く腹を擦って見せる。
その悪びれない所作と、話す内容の悍ましさがあまりに不釣り合いで、理解が追いつかない。
匂坂真実は半年前の任務で死亡して、ここにいるのは彼女の皮を被った鬼だと言われたほうがまだ納得がいく。
しかし目の前にいる女は、間違いなく人間の、鬼殺隊甲隊士・匂坂真実その人であった。
不条理な悪夢にも似た、異様な状況に背筋が寒くなる。
(――寒い?)
そうだ。ここはひどく……
「! 姉さん……ゴホッ……!」
不意にしのぶが苦しげに咳き込む。カナエもまた、気管に刺すような冷気を感じた。
「これは――血鬼術!」
微細な氷が、霧状に拡がって来た方角を覆い隠している。
(なんて迂闊……最初から罠だったのね……!)
匂坂との会話に気を取られて、血鬼術の発動を察知できなかった。その事実に臍を噛む。
彼女はといえば、カナエが妹の方へ視線を向けていた隙に大きく距離を取り、血鬼術の効果範囲から逃れている。
「残念だけど、やっぱり二人とも私の提案を聞き入れるつもりはないんですね」
あらかじめその場に隠していたのだろう、氷でできた刀を爪先で蹴り上げると、正眼に構えてカナエを見据えた。
その眼差しを受けて、花柱・胡蝶カナエも日輪刀を抜き放つ。
(匂坂さん、あなたは本当に、もう……)
呼吸すること自体に危険が伴う、冷気の血鬼術。後方から仕掛けられたおかげで多量に吸い込むことはなかったが、それは自分たちの前に立つ匂坂真実を巻き込まないための配慮。
この場に隠れ潜んでいる鬼は、カナエとしのぶを術で弱らせた上で匂坂に殺させようとしている。
すなわち、彼女は完全に鬼と協力関係にあるということだ。
仲間を、同じ人間を斬ることへの怖れも迷いも、今この瞬間は置き去りにして、胡蝶カナエは剣を振るう。
花の呼吸 肆ノ型 紅花――……
銀閃が、薄闇を駆け抜けていった。
「え……?」
「――言い忘れてましたが」
赤い水滴が匂坂の頬を彩る。
それは、氷の刃の一閃で切り落とされたカナエの腕から噴き出した返り血であった。
「今私、何だか凄く調子が良いんです」
囁きと同時に、ズン、と重い衝撃が胸を貫く。
「…………さ、きさか、さん……っ」
自らの血溜まりに崩れ落ちながら、カナエはかつての仲間を見上げた。
「どうして……私たちが、鬼殺隊が……憎かったの……?」
その問いに女は一瞬目を丸くした後、苦笑してかぶりを振る。
「なるほど、そういう風に思うのも無理はないかもしれません。でも、私は助けてくれたお二人に感謝してますし、人々を守るために戦う鬼殺隊の在り方を尊敬しています。それは本当です、ただ――」
言いさして、温度のない眼差しをカナエに向けた。
「――ただ、
悪意も敵意も削げ落ちた、これまでに遭遇したどんな鬼より非人間的な視線を受けながら、貫かれた心臓が鼓動を止めるまでの刹那の時間で、胡蝶カナエは回顧する。
(人も、そして鬼も救いたいと……思ったのに……)
鬼を一体倒せば、その鬼がこの先、殺すであろう人を助けられる。そして、その鬼自身もそんな哀れな因果から解放してあげられる。そう信じて戦い続けた。
けれど、匂坂真実という人間を救うには、全てが遅すぎた。
彼女の精神は遥か遠くに去り、向き合うことなど叶わなくなっていた。
カナエが彼女を救う機会があったとすれば、それは半年前、まだ彼女が病室のベッドに横たわっていた頃にしか無かったのだろう。
……元は人でありながら人を喰らい、美しいはずの朝日を恐れる鬼は、悲しい生き物だと思っていた。
しかし、人のまま人を喰らい、鬼に与する道を選んだ匂坂真実に対して、どんな感情を抱けば良いのか、胡蝶カナエは最期までわからなかった。
◇◆◇◆◇◆◇
「今日は良い日だなあ、鬼狩りの姉妹の食べ比べができるなんてね。姉は華奢だけど上背があって、妹は小柄……さて味はどう違うかな」
花柱・胡蝶カナエが事切れるのを見届けていると、ウキウキとした童磨の声が聞こえた。
「肉の味ってそんなに違います? どれも同じな気がするけど」
「それはマミちゃんが味音痴なんだよ」
「……否定できませんね。でもせっかくだから、しのぶさんも食べてみたいです」
「あはは、君と二人きりで食事なんて、あの方に怒られそうだ」
切断したカナエの腕から滴る果汁……もとい血で喉を潤しながら近づく。童磨の足元で体液を流して蹲っていた肉塊が頭を上げた。
血鬼術で肺胞が壊死したのにくわえて、おそらく鎖骨も肺も肋も斬られている。
そんな瀕死の状態でありながら、裏切り者の私を睨んでいるのだろう。眼球から垂れている体液は、涙なのだろう。
耳障りな鳴き声が、怨嗟の言葉を投げ掛けてくる。
「……
「……」
横薙ぎの一刀で首を刎ねる。毬のように肉塊の頭が転がった。
拾い上げて、その血も飲んでみる。……やっぱり違いはよくわからなかった。
(地獄、か)
ぼんやりと胡蝶しのぶの最期の言葉を反芻する。
周囲のもの全てが醜悪に歪んで認識され、受け付ける食物は人肉のみ……今の私の状況こそが、生きながら地獄に堕ちているようなものだろう。
しかし、自分が不幸だとは、決して思わない。
鬼殺隊にいたころは、人を喰らう鬼を嫌悪していた。同じ人間だったのに、人を傷つけ殺すことに罪の意識はないのかと、正義漢ぶって憤っていた。
……食事にいちいち罪悪感など、抱くわけがないのに。
現に私は、命を救われた大恩ある姉妹をこの手で殺し、その血を啜りながら、微塵も心が痛まない。
鬼殺隊を辞めて欲しい、という言葉は本心だったが、それは世話になった相手に対する最低限の義理にすぎず、実際に彼女らが頷くことなど、まったく期待していなかった。
あとに残ったのは、窓を開けても逃げなかった不快な害虫を予定通りに潰した、というささやかな達成感だけ。
鬼と人が、同じ世界で生きていると捉えること自体が間違いだ。
人にとって、人の命は尊く、太陽の光は美しい。
鬼にとって、人は食料で、太陽の光は恐ろしい。
それは善悪や幸不幸の次元で語るものではなく、認識している世界が違うのである。
家族と静かに暮らすことのみを望んで叶わなかった誰かは、「鬼がこの美しい世界に存在しているために」と憤るだろう。
大切な人を病気で亡くした誰かは、「病がこの美しい世界に存在しているために」と嘆くだろう。
この世の誰もが、己の主観の中で生きている。己の思う“美しい世界”を求めている。
「それにしても、マミちゃんの階級は甲だったんだろ? 柱に勝つなんてすごいよね。これが愛の力というやつなのかなあ」
胡蝶しのぶの亡骸を吸収しながら、童磨が言った。
「……そうかも知れませんね」
私にとっての“美しい世界”は、鬼舞辻無惨がいる世界だ。
彼がいてくれたらそれでいい。彼さえいてくれたら、たとえ他の全てが狂った世界でも、私は幸福だ。
(だから、彼の邪魔をする
胡蝶カナエの日輪刀を拾って握りしめる。
花の呼吸の特徴である美しい桜色の刀身も、研ぎ澄まされた刃の輝きも、今の私にはわからない。
それでいて意識はかつてなく冴え渡り、自分の体――筋肉の繊維一本一本、血管の一筋一筋まで全て認識できているのを感じる。
これはきっと、一人だけ生き残った罪悪感に衝き動かされて戦いながら、死を恐れる生存欲を捨てられない……そんな半端者の鬼狩り・匂坂真実のままであったなら、決して辿り着けなかった境涯だ。
鬼舞辻無惨。
その名を想うだけで、心は炎と燃え盛り、心臓は張り裂けんばかりに脈打って血潮を熱くする。
死の淵から戻った世界で出会った、私が生まれて初めて恋をした相手。一切の欺瞞も虚飾も無い、戦う理由。
私は、確固たる自分を見つけたのだ。
鬼の始祖に恋する女として、この世の全ての人間が彼を許さなくとも、私が彼の全てを許す。彼の命を狙う敵は、虎だろうが龍だろうが食べてやる。
(――この命が尽きるまで)
さて、ここから一番近い藤の花の家紋の家はどこだったか。
「ええ、瑶佑ならこの前会いました。今も私と(お腹の中で)一緒にいます」