英雄となる執事の物語   作:古地刃海星

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11話

「み、みんな午後の授業の前にちょっといいかな」

 マスコミが警察に補導された後、昼飯を食べれていない生徒のために午後イチの授業を無くしてもらった。ただ一年生は食い終わっても何もすることがない為みんなクラスに戻っていた。

「みんなも食堂にいたと思うから見たと思うけど、委員長はやっぱり飯田くんがいいと思います。あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ、僕は飯田くんがやるべきだと思う」

 

 

「そうだな、見たけど咄嗟にあんなことが出来るやつがなった方がいいよ!」

「率先して動いたのはとても素晴らしいと思うわ」

「あの、わたくしの意見は......?」

「いいと思うよ☆」

「いいじゃん! お昼のあれ、かっこよかったぞ! ......見た目はアレだけど」

 クラスの半数以上が賛成したことで飯田くんが委員長になった。八百万さん、ドンマイッ!

 

***???

 

 どうやってマスコミは侵入したのか。

「ただのマスコミがこんな事出来る?」

 セキュリティ2用の配線も風化したように壊れている。

「そそのかしたものがいるね」

 けれどどうやってセキュリティ2用の監視センサーの配線だけを壊せたのだろうか。

「邪なモノが入り込んだか......」

 まさか。

「もしくは宣戦布告のつもりなのか......」

 

***

 

「想起、いや翔さん。なんでここで正座させられているか分かってますか?」

 現在は放課後、談話室にて相澤先生に詰め寄られています。

「いやー心当たりはないですねー」

「裏声になってますよ」

 いや、もう半ば分かってるけどね。

「お前、いや隊長、もう個性の同時使用は出来なくなってるんじゃないんですか?」

 

 

 

 

「うるせぇ、俺はもう彼処から離れて一学生になったんだ。その職で呼ぶな」

「なんかすいません」

 くそ、思い出しちまった。レパードとはもう決別したんだ。

「でも、レパード隊のみんなに言わずに辞めたのはなんでだったんですか」

「諸々の事情だよ。で、心配だから呼んだわけじゃねえんだろ。何があったんだ」

 左頬を掻きながらタブレットを出す。

「実は今日のマスコミ突入の騒ぎでセキュリティ3が発令されたじゃないですか。その理由がこれなんです」

 そこにはセキュリティ1の緊急遮断壁がボロボロに風化されている写真とセキュリティ2用の配線も風化されている写真が写っていた。

「これがどんな個性で壊したのかと警戒を高めて欲しいっていうのを言うためにも来てもらいました」

「了解、じゃあちょっとその壊れた破片とかは?」

「ここにあります」

 ハンカチの中から小さな破片を取り出した。

「玉操”麦藁菊”」

 瓦礫から記憶を読み取る。

 

 明るい。暗い。温かい。浮いた。離れた。徐々に壊れていく。ヒビが入ってきた。誰かが触った。動いた。

 

「これは......誰だ?」

 無機物の記憶は薄い。そのため顔の詳細は分からない。

「なんで顔に手なんか付けてるんだ?」

 

 

***

 

 昨日あれから要注意人物の顔写真や触れることで壊す個性持ちの顔写真を見せてもらったが全員違った。

『とりあえず隊長か姫様かオールマイトは狙われやすいから気をつけておいたほうがいいですよ』

 そう言われても姫に伝えることは出来ない。どうしたものか。

「......ぇ! ねぇってば!」

「ん? 何?」

「遅刻するわよ」

「あぁ、ごめん」

 普段よりかは周りに意識して登校するが特にそういった気配も感じない。

「あ、あれオールマイトじゃない!?!?」

 そっちを見るとオールマイトが空を飛んでいた。

「本当に雄英の教師なんだよなぁ」

「本当、学校にいるかも知れないってだけで毎日の登校が楽しみ......オールマイトなんか遅くなった?」

 それよりも手元の時計を見て焦る。

「姫やばい、もうすぐで40分になる! バスに遅れる!」

「えっうそ! 急がなきゃ!」

 

 

***

 

「今日のヒーロー基礎学は俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見ることになった」

「センセー! なにするんですかー!」

「ヒーローが行うのはヴィラン退治だけではない。ヒーローが相手をするのは自然災害もある。つまり災害水難なんでもござれ、レスキュー訓練だ!」

 確かにヒーローにとってはそれも大事なことだ。

「今回のコスチュームの着装は各自自由で構わない。コスチュームによっては災害救助活動の制限をしてしまうものもあるだろうからな」

 俺のコスチュームは耐熱仕様だから逆に着ていったほうがいいな。

「訓練場は少し離れたところにあるためバスで向かう。1:15には出発するからそのつもりで行動しろ。以上」

 

***

 

「バスの席順はスムーズに乗るために番号順で二列に並ぼう!!」

 飯田くん張り切っているな。

「緑谷ちゃん、私思ったことがあるのだけど貴方の個性って凄くオールマイトに似ているわね」

「そそそそうかな!? いやでも僕のはその、えーっと」

 確かに言われてみたらオールマイトのように肉体で問題を解決している。

「でもオールマイトはケガしてねぇから似て非なるもんだぜ」

 確かに上鳴くんの言い分も納得できる。だとしたらオールマイトはどのようにしてあのパワーを出しているのだろうか。バスに乗った後で雨が降り始めた。

「しっかし特殊型とか増強型のシンプルな個性はいいよなぁ。派手で出来ることが多い」

 錆色の髪の毛の彼は......切島くんか。

「俺の硬化は対人じゃあ強えけどいかんせん地味なんだよなぁ」

「僕はカッコイイと思うよ。プロにも十分通用する個性だよ」

「そ、そうかぁ?」

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み☆」

「でもお腹壊しちゃうのはヨクナイよね」

「......♧」

「でもプロかー。プロも結局人気商売みたいなとこはあるぜ!? だとしたらやっぱ派手さはないと!」

「でも派手で強えぇぇっていったら血城さんと想起じゃね?」

「いやー上鳴くん俺よりも轟の方が派手だろ? 建物一個凍らせてたし」

「そうかぁ〜......確かに爆豪も見た目の派手さは凄いよな!」

「もってなんだてめぇ!」

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなそう」

「出すわゴラァ!」

「ほらね」

 比較的にゆったりした雰囲気が流れている。

「姫、大丈夫?」

「ダイジョ......うっ」

 隣はぐったりした雰囲気だが。

「こんなことなら飛んでいけばよかっ......うっ」

「はいもう喋らなくていいから」

 背中を擦っていたが到着するまでブツブツと文句を言っていたのだった。

 

***

 

「着いたぞ。ここがUSJだ」

 そこには滝や山、市街地に海まである。

「「USJみたいだぁー!!!」」

「ようこそ。ここは”ソの害や故を再現したルーム”!!」

(((マジでUSJだった!)))

「スペースヒーロー13号だ! 災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーロー! そんな13号の個性はブラックホール! どんなものでも飲み込んで全てチリにしてしまう能力だけどその吸引力を使って瓦礫の撤去や取り残された人の緊急避難、さらに火災現場では火災そのものを飲み込んで消火する! 特殊型と間違えられやすいが本当は個性が常時発動してしまうため異形型に分類されているんだ! さらには個性発現時には......」

「まぁまぁ緑谷くん落ち着いて、そこら辺は僕から話させてよ」

(((ヒーローヲタクやべー)))

「えー始める前に皆さんにお小言を一つ、二つ......三つ、四つ」

 ふ、増えてってる......

「皆さん、ご存知だと思いますが僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまう個性です。確かに僕は救助ヒーローとして有名ですがこの個性は人を簡単に殺せる危険な力です。皆の中にもそういう個性はあるでしょう」

 一通りクラスを見てからまた話が再開する。

「この超人社会では個性の使用を資格性にすることで厳しく管理することで一見成り立っているようにも見えます。しかし、一歩間違えれば容易に相手を殺せる力を周りの人が持っているというのを忘れないでください。相澤先生のテストで自身の可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体感したかと思います。この授業では心機一転、人命の為にその力をどう使うのかを学んでいきましょう」

 皆の顔が良くなる。

「君達の力は人を傷つけるためにあるのではない。助ける為にあるのだと心得て帰ってください。以上、ご清聴ありがとうございました」

パチパチパチパチパチ

 みな自然と拍手を始める。それだけいい話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? 拍手されてるけど俺ら歓迎されてるのカナ!?」

 

「ひとかたまりになって動くな!!!」

ざわざわ

「13号! 生徒を守れ! お前ら動くな! あれは」

『ヴィランだ!!!!』

 

 

 

「イレイザーヘッドと13号だけですね。先日頂いた教師側の時間割ではオールマイトもここにいるはずなのですが......」

「どこだよ......せっかくこんなに大勢ひきつれてきたのに平和の象徴オールマイトがいないなんて......」

 顔面に、手をつけた男!!!

「子どもころせばくるのかなぁ?」

 手越しの男の顔が歪む。

「先生、侵入者用センサーはあるのですか?」

「一応ありますが......」

 鳴っていないという事は計画的犯行か、内部スパイがいるか。

「現れたのはここだけなのか、それとも学校全体なのか」

「いや、轟それはない。今奴らがプロヒーローを何人も相手できるような集団であるなら態々ワープ系の個性で来たりはしないだろう。恐らくこの校舎と離れた隔離空間でクラスが孤立するのを狙った用意周到な奇襲だろう」

 イレイザーヘッドは捕縛布を、13号は徒手を構える。

「13号避難開始、学校に連絡を。上鳴も個性使って連絡を試せ。俺は彼奴等の相手をする」

「一人で戦うんですか!? あの数じゃ無茶だ! 貴方の戦闘スタイルは個性を無効化してからの捕縛だ! 正面戦闘は!」

「ヒーローは一芸だけじゃ務まらん。13号、後は任せたぞ」

 そう言って消太がヴィランの大群の方へ走っていく。

「みんな、避難します! 僕についてきてください」

「させませんよ」

 突如として黒い雲のようなヴィランが現れる。

「成程、アナタがワープ持ちか」

 13号が再び徒手を構える。

「どうも、皆さん初めまして、我々はヴィラン連合。この度ヒーローの巣窟である雄英高校に入らせていただいたのは平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思いまして。本来ならここにいるはずなのですが、急遽何か変更があったのでしょうか」

「オラァ!」「死ネェェェェ!!」

 爆豪と切島が13号の前に飛び出てしまう。

「よっしゃクリーンヒット!」

「! 君達下がって!」

 バカどもが前に出たせいで13号の個性が使えない。

「おっと、危ない危ない。流石は金の卵、私は私の役目を果たしましょう!」

『散らして! 嬲り殺す!』

 いきなり黒い靄が周囲を覆い、気付けば山岳のようなところにいた。

「へっへっへやっとガキが来たぜ」

「殺してやんよ金持ちのガキが!」

「血を見せてくれぇ! ヒャッハー!!!」

 周りには姫は見当たらない。

「おいテメェなんとか言ったら......」

「煩い」

 玉操”磔刑”

「ぎゃあああああああああああ足ぃぃぃぃ」

「うっ腕がァァァ!!!」

「いてぇぇぇぇ!!!!」

 とりあえずは姫の匂いがする方へ向かってみるか。

 

***血城

 

 不味い。黒い靄に包まれたと思ったら高いところから水の上に落とされてしまった。

「モガモガモガッ!!!(私、泳ぎ苦手なのに!!!)」

 水中に入るといつもよりも抵抗が大きくなる。つまり空気中でふとした時にフルパワーを出してもなんとかなるのに水中だとフルパワーを出せないのだ。

「モガブクブク」

 しかも流水は未だに慣れていない。今は再生と釣り合っているが万が一朝の想起の血が切れてしまったら終わりだ。

 

 

 ......少し......意識が......朦朧と......

 

「......け...さん! 血城さん!」

「ゴホッゴホッ......緑谷くんに蛙吹さん? ありがとう、助かったわ」

 ここはどうやら船の上のようね。

「どうやって助けたの?」

「それは私の個性が蛙だからよ、血城さん」

 蛙吹さんはカエルの個性なのね。

「それよりもここをどうにかしないと」

 船の周りには蛙吹さんのように水が得意そうな個性持ちがこちらを狙っている。

「さっき緑谷ちゃんと話し合って決めたのだけどここは既に学生として待っているだけでは助からない。だから学生だと油断している間に足止めを目標にして戦うけどそれでいいわよね」

 確かにこのままでは不利だけど水中戦が得意な蛙吹さんがいるということは個々の力は把握していないはず。その油断を逆手に取って反撃するということね。

「いいわやりましょ」

 この私に戦いを挑んできたことを後悔させてあげるわ!

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