2022/04/27 ルビの追加
***血城
「そしたら血城さんの個性を詳しく教えてくれる? 常人外れな身体能力と再生能力、そして自分の血をなにかの形に固定できる力、他に何かある?」
緑谷くんにほぼ全て言われた。
「それでほぼ全部よ。あとは魅了があるけど相手の意識が散乱してないと掛けられないから今は無理かな」
「なるほど......だとしたら僕らが目指すべきゴールとしてはヒーロー達が来るまで耐久することがベストな気もするけどここで耐久をするには船という牙城は余りにも貧弱過ぎる。さらに相手が痺れを切らして船を破壊して水中戦にされるとこっちは蛙水さんがいるとはいえ、強制的に有利なフィールドにされた場合倒す事は疎か耐久することも出来ない。それらを踏まえると......」
個性の内容を伝えたらいきなり緑谷くんが顎に手を当ててぶつぶつと何かを呟き始めた。
「ど、どうしたの?」
「緑谷ちゃんは多分自分の世界に入っているんだと思うわ。さっき私の個性を教えた時もそうなっていたし」
な、なるほど。ブツブツと言う姿は怖いけど一応頭の中で色々シュミレーションしているのかな。
「やっぱり無理だよぉ! あいては雄英に侵入してオールマイトを殺せるという確信があったから侵入してきたんだろ! そんな奴らに勝てるわけがねぇよ!!!」
突然蹲って震えていたぶどう頭くんが悲観し、叫ぶ。
「君、随分と意気地なしね。本当にヒーロー志望なの?」
「うるせぇ! こんな状況でそこまで冷静なやつのほうがおかしいだろ! ナンバーワンヒーローを殺せるような実力だからわざわざプロヒーローがめちゃめちゃいるこの雄英に入ってきたんだろ!!! そんなのヤバい奴らしかいないじゃないかよ!」
確かに奴らは平和の象徴を殺しに来たと宣言していた。だが相手は最強のヒーロー。何かしら殺す算段がついていなければこんなに大胆に攻めてこないだろう。ぶどうくんはある意味この状況を冷静に見ている。
破壊音が鳴り、船が揺れた。
「何の音だよコンチクショウ!!!」
これは!
「奴らこっちを水中戦に持ち込む気だわ! 緑谷ちゃんはまだ思い浮かばないの!?」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
こうなったら暴走覚悟の操血で全員を倒すしか......
「ごめん、一個思いついたことがあるんだ」
***???
「あぁ、もう焦れったいだけだ! 壊すぞ!」
隣のやつがそう言って個性で掬った水をガキどもが乗っている船にぶつける。全壊とまではいかないが船にひびが入る。
「へへっあと少しで船は壊れちまうぞ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
するとガキがボールを投げつけてくる。焦っているのだろうがそれは悪手だ。やはりガキだと思うがかと言って油断はせずに行動する。死柄木さんには経験や度胸がないからと言って油断するなと言われている。
「なんだやっぱりクソガキじゃねぇか」
「おいおい、死柄木さんに言われただろ! 油断だけはするなって。未知の個性なんだ、用心するのに越したことはない!」
一応手持ちの銛でぶどうを突いてみる。銛にくっついたソレはどんなに振っても離れない。
「おい、お前らそのぶどうにさわるな! くっついたら離れないぞ」
「うわマジかよ! おれ背中にくっついたんだけど」
これで一人の個性は分かった。ぶどう頭についているボールのようなものはかなりの粘着力がある。恐らく剥がせない為、剥がせない事で行動を制限されないように注意しておこう。
「おし、じゃあ、もう一発行くぞ!」
どうやら今ので完全に壊れたようだ。船は真っ二つになって沈んでいく。
「ふふふっふ! これでテメェらは終わりだ!」
!! 少年と少女が真上に跳んできた。危険だ。一旦離れよう。
『SMASH!!!』
バカでかい音が水中からでも聞こえてくる。どうやら馬鹿力で水を退かし、穴を開けて渦を発生させたようだ。
「うぉあぁ!」
油断していた奴らは渦の目へと飲み込まれ、ぶとうで仲間同士でくっつけられて身動きが取れなくなった。残ったのは俺を含めて四人。
「一網打尽ね!」
相手は油断している。その隙を見せたのが命取りだ!
「アンタたちの方が油断してるわよ」
「なっ!」
突如として赤黒い鎖で捕縛される。逃げようと藻掻くが。
「眠りなさい」
少女の目がひ、か、って......
***血城
最後に混乱してくれて助かったわ。
「血城さん、助けてくれてありがとう」
「私からもありがとうね」
「いやいや、私は最後の仕上げをしただけだから」
むしろあの状況でこんなに大勢を捕縛できる作戦を立てた方が凄いと思うけどね。
「緑谷はデコピンの威力もあんなことになるのか......すごいな」
「まぁ、指がボロボロだけどね」
緑谷くんの指を盗み見ると右人差し指が真紫になっていた。身を破壊するほどの力か......
「いや、すげぇよ、俺なんか......」
とりあえず仲間と合流しなきゃ。
「「とりあえず出口に行こう」行きましょう」
「「あっ」」
「二人がそう言うなら行きましょうか。きっとそこに相澤先生もいらっしゃるわ」
***
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!???」
全く。こいつらゴキブリか? 倒しても倒しても湧いてきやがる。
「四肢を凍傷にしているだけだ。安心しろ」
「髪の毛の色が変わってるこいつ! もしかして死柄木さんが言っていた!」
「あぁ! 間違えない! 早く報告おっ!!」
凍獄裏切りへの制裁
「その話、詳しく聞かせてくれるかな?^^」
「うぉぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
凍獄絶対零度の氷塊。極限まで冷やした氷を相手の手に押し当てる。
「熱い!! 冷たい!? 熱い!!! いてぇ!!!」
このままだと悲鳴しか鳴けないから一旦離してあげる。
「あぁっ!!!」
「話してくれるかい?」
「はぁはぁ、だ、誰が話すか!」
一度凍獄を停止。天照。相手、弱点部分、探知。あった。
「凍獄絶対零度の氷塊」
「な、何をっっっっっっっっっ!!!!」
神経を鈍感にさせる機能を燃やした。これによって痛みへのブレーキが無くなる。
「!?!?!?!?!? わがった! ひゃなす! はなすから! やめて! はなしてくれ!」
再び押し付けていた氷を皮膚ごと引き剥がす。
「イッッッッッ!!!!」
「離したぞ。ほら話せよ」
うわーなんか駄洒落みたいなこと言っちゃったー。
「っっはぁはぁ......今回ここを襲撃したのは死柄木さんがオールマイトを殺すたっっめ??」
突然首が落ちる。
「裏切り行為やで......敵に情報を渡しちゃぁ〜」
下駄の音を響かせながら着物姿に刀を腰に刺した奴がやってくる。
「てめぇ! なんで生きてる!」
「お久しゅうございます。犬の旦那♡」
「赤羽ぇぇぇぇぇ!!!!」
なんで姫を殺したこいつが!!! あの時殺したこいつが!!! まだ生きてるんだよ!!!
「あぁん♡あちきのことは名字じゃなくて翠と名前で呼んでくださいまし♡」
殺すっっっっっ!!!
「あらあら怖いわぁ......まぁ今日は挨拶しに来はっただけですしここらへんでさようならですぅ〜」
「っっ! 待ちやがれっ!」
飛び出そうとするも”左足が無かった”。
「あ、これは貰っていきますわね♡」
いつの間に取られたんだ。くそ、再生しても間に合わねぇ!!!
「それじゃあ、黒霧はん、目的は終わりましたから帰りの道を用意してください」
黒い靄の中に入っていく。自身の股を着物の上から撫でながらこちらに振り向く。
「くそがぁ、待ちやがれ......」
「ホンマ健気で可愛いわぁ♡それじゃあ、また今度」
黒い靄と共に痕跡を一つも残さず消え去った。
「ああああああああああ!!! くそがぁぁぁぁ!!!」
***
......くそ、意識を失っていたのか。既に足は回復している。とりあえずは状況を確認せねば。
「天照道の知らせ」
中央に大勢いて、後はそれぞれの災害訓練場所に散らばっている感じか。一番近い火災には二人? 山岳近くには八百万さん、上鳴くんともうひとり、水難の方はどうだろう。
「見つけた」
だが寄りにもよって水難か。濡れていなければいいが、どうやら中央に向かって進んでいるようだ。だとしたら合流の為にも。
「とりあえず相澤を手伝いに行こう」
アイツは奇襲からの短期決戦が最も得意だ。あれだけの熱源反応を見る限りかなり苦労しているのだろう。
「くっそ」
それにしてもなんでアイツが生きてるんだ。
「次に会ったら殺す」
そう思いながら中央につ、い、た。
血まみれの相澤がシラナイ大男二捕マッテ......
「あれ? 君ってもしかして元レパードの隊長さんじゃない?」
顔に手をつけた男、頭を握る大男。
「確か相澤くんの元上司だよねぇ! ねぇ、今どんな気持ちかなぁ!」
「ッッッッ!!!!!!!」
「脳無、やれ」
大男の腕に力が入り、相澤の頭が。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!」
覚醒状態を起動。並列起動準備、天照と凍獄を起動。
***緑谷
やっと中央まで戻ってこれた。けど相澤先生は脳がむき出しになっている怪人二人に捕まってしまっている。
プロヒーローでも敵わないヴィラン、どうするべきか、どうすればいいのか。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!」
突然翔くんの声が聞こえた。
「あ、あれは!?」
なんの個性を使っているのか額に紋様のようなものが浮かび、髪は赤と白が部分部分で混ざっている。体は業火を纏っているのに彼の足元は凍っている。相澤先生を助けようと飛び出したのか! 想起くんならあの怪人に勝てるかも知れない! ムキムキで脳が剥き出しの怪人に襲いかかった。しかし攻撃が届く前に細身の方が間に入って翔くんを吹き飛した。
「あんのバカ!!!」
血城さんが物陰から飛び出す。
「うちの彼氏をよくも蹴飛ばしてくれたね!」
「血城さん!!!!」「姫ちゃん!!」
血城さんが細身の怪人にドロップキックを食らわせた!
「あれ? ここに学生が隠れてたのか」
(僕の手はボロボロで何回打てるか分からない)
でも、そんな状態であっても!
「オールマイトなら助けに行く!」
「緑谷ちゃんまで!?」
相澤先生、ごめんなさい。腕を犠牲にしてワンフォーオールを人に向けて使う。
「SMAAAASH!!!!!」
相澤先生を助けなきゃ!
0ポイントヴィランも、5階の天井全ても破壊できるほどの力だ。なのに……
「ど、どうして?」
「U?」
「SMASHってもしかして君、オールマイトのフォロワー? それが死んでたらオールマイトの顔も歪むかな」
軽く拳を掴まれる。
「ッッッッッッガァァァ!!!」
痛い! 痛い! 痛い! 拳にヒビ?が入った! なぜ? コイツの個性?
「死ね、雄英生……」
「もう、大丈夫」
それはナンバーワン。
「何故って......」
それは僕らの目指す頂点。
「私が来た」
「オールマイトだぁ!!!」
「コンテニューだ……」
***
「やめて!」
何かが聞こえる。
「止まってよ!」
誰かの声が。
「お願いだから!」
泣き叫ぶ誰かの声が。
『目を覚まして。貴方の護りたいもののために』
「かける!」
「ひ、め?」
一気に反動が来る。
「だ、大丈夫!?」
頭に血が昇って思わず使ってしまったが本来人の身には一つの個性のみ。違う個性を同時に使えばそれだけ反動は大きくなる。
「あぁ、平気、多分大丈夫」
それよりも早く相澤を助けなければ。
「SMAAAASH!!!」
デク!! 確かあのバカ飛び出して!?
「もう、大丈夫」
それはナンバーワン。
「何故って......」
それは僕らの目指す頂点。
「私が来た」
入口を見るとナンバーワンが立っていた。誰かが呼んでくれたのか。
「姫、あれいける?」
「まさかアレやるの?」
恐らく主力級はあの手だらけ男、デクの拳を食らった怪人、目の前にいる怪人、雲みたいなやつの四人。
「オールマイトが来てくれたけどこいつは俺が倒す!」
「UGYAAAA!」
「了解だ、くれぐれも無理しないでくれよ、元隊長くん」
「え?」
いつの間にか入口に居たはずのオールマイトが隣に居た。
「それじゃあ! 頑張ってくれよ!」
そのままオールマイトは行ってしまった。
「嵐のような人ね」
「そうだね……」
細身が動く。向こうの戦闘が始まった音がする。見ていたかったが仕方がない。
「姫!」
「あぁ! もう分かったわよ!」
姫が俺の手を取る。
「「共鳴!!!」」
俺が俺で無くなり、やがて赤い光の粒子に変わる。粒子はゆっくりと加速しながら姫の体を包んでいく。段々赤かった光は黄色へ、黄色の光は白色へと移り変わっていく。
「左眼より生まれ日に仕えし巫女よ」
「光を切り裂き顕現せよ!」
『天照坐皇大御神!』