***
地下にいるのにも関わらず聞こえるほどの爆音。爆豪君はデクがいる方へ向かって打った。
『爆豪少年!! ストップだ! 緑谷少年を殺す気か!?』
オールマイトは現場の音声が聞こえているのだろうか、装備を構えた為制止が入る。視聴室では爆豪君が何かを口パクする映像が流れている。
「リカバリーガール先生! 止めたほうがいいんじゃないかな! 爆豪のヤツ狂ってるよ!」
金髪の......上鳴くんがリカバリーガールに言った。
「いや、とりあえずは止めないさ。確かに爆豪くんはキレて周りが見えなくなったようにも見えるけど案外に冷静だね。多分緑谷くんがいない方向に打ったのもワザとだろう」
『いや、確かにそうかも知れないが......ともかく、屋内での大規模な攻撃は安易に踏み込ませないようにしている建物の崩壊を招く』
『ヒーローだとしてもヴィランであってもそれは愚策だ。そういう行為は次から大幅減点するからな。爆豪少年は次さっきのを打ったら強制終了でキミ達の負けだ。いいかい!』
こうなったら麗日さんが核兵器を回収するしかない。一体デクくんはどんな風に切り抜けてくれるのだろうか。
***緑谷
「あーあ、じゃぁもう殴り合いしかねぇなっ!!!」
オールマイトから必殺技を封じられたことで再び接近戦が始まる。
『デクくん! すごい音したけど大丈夫!?』
「うん、こっちは平気! そっちは?」
『ごめん、見つかっちゃった! プランAで行こうとしたけど核兵器持って逃げられちゃった』
こうなるとかなりきつい。
「そうだ、なにか物とか投げて気を引いたりは」
『予め読まれてたから物が全部片付けられちゃってる!』
そうだよな。飯田くんが何も対策しないはずがない。
「デェェェェクゥゥゥゥ余所見とは余裕だなっ!!」
くそ、また空中での方向転換、右! 避けられなっ!
「グゥィ」
胴体に右拳がモロに入った、でも。
「ッテんだよクソがぁ!」
肘をカウンターで入ったけど浅
「グッ」
掌での爆発......あつい、考えろ、考えろ!
「オラァ!!」
「ウッ」
駄目だ、考えが追いつかないッ!!! とにかく体制を立て直すのに距離を稼がなきゃ......
「なんで個性を使わねぇんだ! 舐めてんのかテメェ!!」
「ガキの頃からそうやって舐めてたのか! 俺を!」
違う。
「そうなんだろ!? 答えやがれ!」
「君が凄い人だから勝ちたいんじゃないか」
「んだよそれ......意味わかんねぇ」
「君に! 勝って超えたいんじゃないかバカヤロー!!!」
「その面やめろやァァァクソナァァァァァドォォォォ!!!!」
再び爆発で飛んでくる。
「麗日さん行くよ。プランC!」
覚悟は決まった!
麗日さん、あとはよろしく。
***
またしても爆音が鳴り響く。爆豪君はデクの顔面を掴んで爆発し、デクは上に向かって殴った。そう、殴っただけである。
「屋根まで穴開くか? 普通......」
だがこれで物はある。麗日さんは自分の体に見合わない大きさの柱を振って飛んできた瓦礫を飯田くんの方へ飛ばした。
(核兵器が壊れそうな攻撃だけど評価は平気なのか?)
メガネくんは核兵器を持って移動していたが逃げ場を失う。身を挺して核兵器を守るがそのまま麗日さんが核に飛びついた。
「PIIIII」
「ヒーローチームWIN!!!」
***
「キミ達......どうしてこうなっているか分かっているか?」
治療後にオールマイトの前で正座させられている四人。両者大幅減点と書かれたモニターがオールマイトの背後に映し出されている。
「誰も答えないようだからそっちで分かる子はいるかね」
ここで姫と八百万さんが手を挙げる。
「じゃあ、血城少女」
「はい、まず爆豪君が味方である飯田君との作戦会議を聞いておらず独断専行し、自らのヒーロースーツを用いた大規模破壊攻撃を核兵器を保管している拠点内で使用したこと。次に緑谷くんは大規模破壊は良くないと言われている状況且つ、核兵器の正確な位置も分からないのに屋根まで貫くほどのパンチを使ったことです。そして麗日さんは核兵器がどれだけ頑強かも分からないのに緑谷くんの破壊で出来た瓦礫を核兵器ごと飯田くんに向けて放ったことです」
「......あれ、俺は......?」
「うーん、爆豪を止めれなかったことぐらいじゃない?」
姫の言っていることは全て正論だった。
「うん、血城少女が全部言ってくれた通りだ。今回の模擬戦闘訓練では屋内で相手が危険物を持っているのだから当然それに留意しなくてはならない。飯田少年はこの中だとマシってだけで核兵器を持って緊急回避とか普通に危ないからね。あと爆豪少年、訓練であっても本番であっても制御できない殺傷能力を持つ攻撃はあまりよろしくない。その威圧はヴィランを追い詰めて予期せぬ行動に移らせやすくしてしまう。そして緑谷少年、キミもそのパンチは君の腕に莫大な負担が掛かっているんだろう? 今はリカバリーガールが直ぐに治療してくれるけどそんなの現場でやったら駄目だからね」
「あと緑谷くんは保健室に行って精密検査してきてもらいなさい」
リカバリーガールからの追い打ちで完全に萎れてしまったデク。
「それじゃあ、建物が完全に使い物にならなくなったから、別ので再開しようか。とりあえず、Bグループの四人は着いてきて」
こうして戦闘訓練一組目が終わった。
二組目
結果として話し声で耳郎さんが場所を特定、後は蛙吹さんが側面を登り、窓から侵入して核兵器を確保、というあっけない結果だった。峰田くんが後衛となって頭に生えていたぶどうのようなものを地面にばら撒き、切島くんが扉前で警戒する、という割といい感じの布陣だったが隠密侵入されて呆気なく終わった。
「まぁ、うん、隠密行動上手かったよ」
オールマイトもヴィランチームの落ち込み具合にコメントしづらそうであった。
「気を取り直して、次ヒーロー側が瀬呂&轟ペア、ヴィラン側がエリー&想起ペアだ。じゃあ、四人とも案内するからこっちに来なさい」
ようやく俺の出番がやってきた。
「よろしくね、想起くん!」
「こちらこそよろしく」
タンクトップとジーパン姿のエリーさんに比べてコートにブーツ、指ぬき手袋の俺。
「だいぶ季節感違うな」
「まあ、私の個性やるには肌出さないとだからね〜」
オールマイトの元に四人集まった。さあ、相手はどんな風に攻めてくるのだろうか。
***
「じゃあ、まずお互いの個性を教え合おうか。どっちが先に言う?」
「じゃあ、私から。私の個性は触れた動物の力を再現できるっていう個性なの。今朝は猫と虎と犬と梟、犀に鰐......」
「分かった、おっけ、もう大丈夫。力を再現できるってどのぐらい出来る?」
「うーん、この体のままで出来るのは聴力とか腕力とか異形型みたいなことは出来るのは大体できるよ。そっちのは?」
「俺の個性は想像って言って自由に個性を作り出せる個性なんだ」
「すごい個性ね。それでその想像にデメリットはあるの?」
「想像にデメリットはあるけど既につくり出してるものを使うからデメリットはないかな」
「じゃあその作り出した個性の強みとデメリットを教えてくれる?」
「了解。まずは天照、これは体内のエネルギーを使ってありとあらゆる性質の炎を創り出せる。デメリットとして本来の炎が持つ性質から離れれば離れるだけ消費するエネルギーが倍増していくことかな......」
こうしてよく使う個性の詳細をエリーさんに話した。
「恐らく轟って子は炎の個性を持っているから貴方の凍獄で攻撃を防いでね」
? 確か轟くんは氷の個性だったと思うが。
「どうして炎の個性だと思ったの?」
そう質問すると不思議そうな顔をして答えた。
「え、だって轟ってあのナンバー2ヒーローのエンデヴァーの名字じゃない?」
.........エンデヴァーね......
「あーなんで気付かなかったのかなー」
「な、な、なんか、お、怒ってる?」
「いや? 全然怒ってないよ^^」
だからあんな目をしてたのか。なら一択だな。
「この試合完封するよ」
「りょ、了解」
***
三組目
『五分経ったからヒーローチームは行動開始してくれ』
そう、オールマイトの放送が流れた瞬間だった。
「さっっっっっっっっっむ」
アイツ、建物全体凍らせやがった!!!
「さむいー」
「ちょいと待って、今溶かす」
凍獄起動。俺から熱を奪って腕の氷を水に状態変化。
「うぇー濡れたー」
凍獄待機状態に移行、天照起動。炎を出して体に添わせる。ついでにエリーさんの方にも炎を点けて燃やす。
「ふーありがと」
「とりあえずこの部屋だけ溶かすか」
足元が氷まみれじゃ戦いづらい。
「凍獄起動、絶対零度の氷塊」
エネルギーが足りなかったため天照を待機状態にし、凍獄で小さな空気の氷を作り熱を回収する。
「天照再起動、柔らかな風」
「おぉ、全身ドライヤーだ。あったか~い」
俺を中心に半径五メートルに熱を与える。とりあえずはこれでいいはず。
突然ドアの外でゴムのグリップ音が聞こえた。急いで変身するエリー、俺は既に準備はできている。
「来るぞ!」
ドアを貫通して氷が迫ってくる。天照! 神代の火。氷に炎を纏わせたが溶け切らない。これじゃあ当たる! なら目標前方の氷塊! 天照”牡丹一華”!!!
「シロクマちゃんの一撃を喰らえ〜!」
二人同時に攻撃し、なんとか防ぐことが出来た。
「なんでここだけ凍ってねえんだ? お前の仕業か?」
氷を踏みながら轟君が登場した。
「広い部屋に核置いといてくれたから良かった......轟の攻撃で壊れるかと思ったぜ」
その後ろから幸の薄そうな......瀬呂くんも出てきた。
「え、想起の隣は誰?」
瀬呂が思わず口に出す。確かに今のエリーさんは先程とは違い、シロクマのような見た目になっている。
「とりあえず瀬呂を確保するぞ」
「了解!」
地面の氷からエネルギーを奪いつつ、天照を起動準備。
「轟君。相手になってもらおうか!」
頭を狙って炎を飛ばす。
すぐさま氷を出して防御した。
「そんなことしてていいのか?」
出した氷の影に入って接近。
「お前こそ」
隠れた氷から更に氷が伸びてくる。
「天照”芍薬”、天照火炎に呑まれた拳」
右手の”芍薬”で防御し再び攻撃を再開する。左フックを出すが後ろに下がって回避される。
「凍獄裏切りへの制裁」
だけどそれも読んでいる。後ろに下がった瞬間に周囲の空気を凍らせて檻を作る。
「じゃ、俺は向こうに加勢してくるわ。炎の個性があったら抜けれたのにねぇー」
さぁ、出せ! イサナを苦しめたアイツの! ほら、早く出せ! お前と同じ目の!
「ッッ.........俺の負けだ」
...............は?
......なんだこいつ......本気出してないのに負けを認めた? は? は?
「おい、炎の個性......あるんだろ? 早く出せよ......」
「なんでそれを......ッッ」
血が滴る。
「お前、エンデヴァーの息子なんだろ? エンデヴァーみたいに炎で圧倒しろよ」
コイツのせいで......イサナは。心が震える。
『 』
......どこからか姫の声がする。
支配者からの強制停止命令を受理。停止します。狂気による主人格の汚染を確認。一時的に副人格に支配権が譲渡されます。
目の前が真っ黒になっ