ユウゴには正直、なにが起こったのか分からなかった。無理もない、いきなり現れた自分達より幼い少女は自分達が苦戦していたアラガミを一瞬で倒してしまったのだから。
「独り身って…おまえ、ミナトは?」
ユウゴはユナに問いかける。普通ならば、有り得ないことだから。
「ミナトなら、もうない。」
ユナは静かにそう言った。その目には後悔が垣間見える。
『ユウゴさん、ジークさん、大丈夫ですか?』
オペレーターのエイミーの声が聞こえてくる。
「独り身のAGEを保護した。船で話がしたい。大丈夫か?」
ユウゴは確認を取るようにオペレーターに話しかける。
「行くぞ」
ユウゴはユナの手を掴みながら歩き出す。ユナは少し驚きながらも後について行く。
「ちょっと、待てってば!!」
ジークも遅れながら歩いていった。
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少し歩いたところに泊まっていたのは大型の砂上船だった。そこで待っていたのは1人の女性だった。ユナは眼を疑った。なぜなら彼女は腕輪をしていなかったからだ。
「こんにちは、独り身のAGEさん。私はこの船のオーナーイルダ・エンリケスよ。」
そのオーナー、イルダはそう名乗った。
「私はユナ・クライシス。」
ユナはイルダ二そう名乗った。
「私はこれで。」
ユナはそう言い、イルダに背を向け歩き去ろうとする。
「ちょっと待って!」
後ろからそう聞こえると同時に手を掴みまれる。振り変えるとイルダが手を掴んでいた。
「行く宛てがないんでしょ?なら、ウチへ来なさい。」
ユナは驚いた。まさか、自分のような余所者にそんなことを言ってくれる人がいると思わなかった。
「でも…」
ユナは口籠もる。過去のあの出来事を思い出してしまったから。自分に関わる人を殺してしまうかもしれないともう1人の彼女が自分の中で囁く。
「大丈夫よ。あなたのような境遇のAGEがいるのよ。」
イルダはユナにそういった。
「よろしくお願いします。」
ユナの中で決心がついた。あの頃とは違うと、今の私なら、大丈夫と自分を奮い立てる。
『オーナー!もうすぐ10分たってしまいますよ!早く中に! 』
すると、アナウンスが聞こえてくる。
「もうそんなに…では、中に入りましょう。」
ユナ達はイルダやユウゴに連れられ、中に入っていた。
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灰域踏破船の中に入ると、そこには派手とはいかないが実用性のある空間が広がっていた。
「改めて。灰域踏破船『クリサンセマム』へようこそ。」
周りを見回していたユナにイルダはそういう。気づけば、ユナの周りに皆が集まっていた。
「紹介するわ。こっちがオペレーターのエイミー。」
「はい!この船でオペレーターを務めています、エイミーです。よろしくお願いします。」
自己紹介をした後、ぺこりと頭を下げるエイミー。慌ててユナも頭を下げる。
「で、こっちがルル。」
「ルルだ。よろしく。」
ルルはそう言いった。
「よろしく。」
ユナもそう挨拶をした。
「本当はもう2人いるんだけど、今は医務室で寝ているわ。起きたら挨拶しましょう。」
イルダは、一旦言葉を切る。
「これからよろしくね。」
「よろしくね。」
ユナの新しい生活が始まった。
次回をお楽しみに。