項羽(偽)、未来で生きる   作:凧の糸

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まあ、ガバガバなのはいつもなんで大目に見てもらえると嬉しいです。


それではどうぞ


作戦開始

 

 

 

「了解、任務を把握した。確認するが、情報端末の奪取および崑崙法院の人員の殺害だな?」

 

「ああ、やれるか?」

 

「私の演算はほぼ確実だ、成してみせよう」

 傲慢でも、虚勢でもない。ごく自然な口調でそう断言した。彼が情報を得てから5分。演算など情報伝達が発達を遂げている世の中なので会稽弐式にとって赤子の手を捻るより簡単な事だ。

 

 じっとしている彼にスーツ男は不信感を抱いたが、彼が脳内で演算をしているのは何となく察する事が出来た。

 

 

「頼もしいな」 

 サングラスの奥にあるスーツ男の目は薄く細められる。

 

 

「頼むぜ、救世主」

 

「私にそんな機能はない」

 

「真面目かぁ?」

 彼の四角張った態度を優秀な演算で何とかならないかと思い、口に出そうとすると彼は先んじて「不可能。簡単にリソースを無駄遣いはできない」とこれまた真面目に返された。

 

 

「……」

 ぐうの音も出ない正論と自分の言うことを先取りされて、彼は面食らったが、襟を整え、初任務へと送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

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「ぐわあっ!!」

 

「ガハッ!!」

 警備の人間は冗談みたいに吹き飛ばされて壁にめり込んだり、歩みを止められずに蹴散らされていく。彼自身が人造人間として最高峰に座することに加えて、そこから繰り出される馬力は段違い。例えるならアリとブルドーザーが押し合いをするような物だ。

 

 

 

「くそっ、バケモノがッ!!」

 おぼつかない手つきで汎用型CADを抜き、魔法を放つ。ドライブリザードやら何やらを撃つが、研究メインの彼らに戦闘用の人間に立ち向かえという方が酷だった。会稽弐式の剣で白衣は赤く染められる。

 

 

 

「……効かんな」

 神秘はより強い神秘にかき消される。失われた仙術で構成された肉体を持つ会稽弐式は神秘の塊。対して神秘のカケラも無い『魔法』では彼の肉体を傷つけることは出来ずに霧散してしまう。

 

 

 ならばと敵は物理的な物をぶつけるなどの方策を取るが、彼の尋常ならざる力の前には塵芥に等しい。悉くを粉砕してしまう。

 

 

 

 

 

「応援を……チッ!」

 あまりに大き過ぎる彼だが、決して一人で乗りこんだ訳では無い。彼は強すぎるので大体ワンマンか、後方から距離を置いて着いてくるという形で活動しているので他の場所でも人員が工作を働いている。

 

 

 実際、崑崙方院側が応援を呼ぼうとしても妨害をされて叶わないので、孤立無援のままにこの基地では戦闘を継続することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「目的地を確認、侵入する」

 セキュリティは味方の手で既に解除されたので、堂々と侵入する。彼の演算は部屋内に人間など自分を害する物はないと結論を出しているので敵を憂う必要など無いのである。

 

 

 

「ふむ、これを差し込むのか」

 彼はUSB型の装置を研究施設のパソコンに差し込んだ。自動的にシークエンスが開始され、情報をどんどんと吸い出していく。一分ほどで作業は完了した。

 

 

 

「吸い出しの完了を確認。これより脱出する」

 会稽弐式はUSBをシールド用ケースに収納し、自慢の脚力をもって走り出す。自己加速術式を併用して嵐のような速さで駆け抜ける。

 

 

 

「セイッ!」

 隔壁を一撃をもって金屑にして強引にその上を駆けていく。おまけにいくつかの通路も破壊して最短効率で合流地点に到着した。

 

 

 

 

 

「揃ったな、脱出を開始する」

 既に高速輸送艇は到着しており、乗り込んでいく。

 

 

 

 

 

ーー第一次作戦、成功

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!!」

 拳は鋼をも砕きーー

 

 

 

「トウッ!!」

 一撃は天を落とすーー

 

 

 神話の光景が眼前に再現されるとなると味方を鼓舞させ、敵は萎縮した。

 

 

「あ、あんな怪物が連合にいるなんて……聞いてない……」

 へたりこんで、失禁してしまっている。あの重瞳。全てを喰らわんとする覇王の眼は、兵士たちの心を根本から折るくらい容易いことであった。

 

 

 両手には剣が握られ、振るたびに首が勢いよく宙を舞う。ブツン、と脊髄を丸ごと切断する際に出る骨の死ぬ音は聞く者を恐怖に陥れるには十分。会稽弐式の表情は喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも無い。能面のようなのっぺりした表情で淡々と事務的に処理を続けた。

 

 

 

 

 

 一際大きい研究室に入る。調整体魔法師やクローンを作り出す機関のやうだ。人間らしき物体や胎児モドキがあるが、上手くいってないようで、もうじき廃棄される予定だったらしい。

 

 

 データ回収に精をだしていると、全裸の少女が台の上で放置されていた。

 

 

「……少女、名前は何という?」

 身体的特徴から四葉真夜と認識したが、子供相手の対応をすべきと考え、丁寧に質問した。

 

 

「……」

 ダンマリだ。仕方がないのでもう一度質問しようとすると、肩を掴まれた。

 

「やめておけ、精神が死んでいる。……データを確認するに四葉の娘っ子だな、触らぬ神に何とやらだ」

 それでも見かねた一人がそこら辺にあった服を渡した。彼には同じくらいの娘がいたからだろうか?

 

 

 

 

 

 

 その時、通信機に恐ろしい悲鳴が響いた。中央から侵入した第二部隊からだろうか。スピーカー越しからも生命が消える音がする。

 

 

「……マズイ!逃げろ、死神がッ…………」

 

 それ以降、第二部隊から返事も何も返って来なかった。

 

 

 

「……面倒だな、四葉は精神系魔法だ。見つからず、火急速やかに……」

 

 

「返して貰おう、我々に」

 

 

「!」

 フェイクか!そう気づいた瞬間に周囲の三人が抹殺された。

 

 

 

 精神干渉系魔法、死神の鎌(グリム・リーパー)。怒れる四葉元造(死神)会稽弐式(神秘の遺物)が相見えた。

 

「私が何とかしよう。逃げろ」

 

「無事を……」

 数少なくなった仲間の殿を務める。ここで負ける気など彼には毛頭無かった。

 

「……」

 

 四葉元造が逃げる者へと魔法を放ったので、会稽弐式はそうはさせまいと死神の鎌をへし折った。

 

 

「……むぅ」

 

「貴君の目的は四葉真夜だろう、彼女はそちらに寝かせている。この状況で我々が争う理由などないだろう」

 

 

「……ふむ」

 四葉元造は一瞬考え込んだ。

 

 

 

「では死……ね?」

 四葉元造は混乱した。視界が後方にゆっくりと流れていく。そうして、自分の首と胴体が切断されていることに気がついた。減速していく時の中で敵が剣を握り、自分に向かって振り上げた。

 

 

 

 十六分割され、細切れの肉塊になった。

 

 

 

「演算終了」

 精神に作用する系統外の魔法への演算が一瞬必要だった。味方をどういう理屈か分からないが、即死させるとなると自分も慎重に動くべきと判断したからだ。自分に命中しない道を演算で導き出し、刹那で接近して一太刀を入れる。

 

 

 

 彼の身体能力から見れば圧倒的に鈍い死神を冥府に送り返すことなど雑作もない。念には念を入れて脳みそも脳髄も全て細切れに変えておいた。

 

 

 

 

「……」

 会稽弐式は合流すべく、その場から駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

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「ご苦労だった。完全にデータ等が消滅するところだったが、四割でも回収出来たなら十分。……にしても、けし粒ほどは感謝したいくらいだ。たかが、一人でここまで騒げるとはな。余程仲良し家族らしい」

 徹夜だったのか目に隈を浮かべ、一つ欠伸をした。

 

 

「私はまだ、日本の事を理解していない。何故彼らは攻めたのだ?」

 会稽弐式は一民間人でしか無い彼らが堂々と崑崙方院に突撃した理由が分からなかった。詳細を聞くところによると、一人娘を拐われただけであり、彼女に国を敵に回しても奪回したい大きな秘密があるのだろうと思われたが、演算で彼女にその価値が無いことは知っていたし、回収できた情報にも特筆すべき情報は無かった。強いて言えば珍しい魔法を使え、魔法師の母体として優秀くらいである。

 

 

 

「さあ? 価値はそれぞれだからね」

 どうでもよさそうに投げやりな口調でそう言った。彼にとっては研究データの方が大切で、全部回収できていたのにそれを破壊した四葉に腹を立てていた。

 

 

 

「そう言えば、武器はどうなっている?CADとやらはやはり相性が良くない」

 彼は武器を注文していた。彼は神秘の塊だ。だからこそ、科学の結晶のCADとは相性が悪い。動かなかったり、バグを起こして破壊してしまうからだ。そもそも、CADは補助機械。優れた演算能力で無しでも軽い物なら使えるのだから必要が無く、魔法が無くとも彼は十分に強かった。

 

 

 

「出来てる……とは言えないな。お前の要望通りに作るともう少し時間がかかるらしい。代替機なら出来たからそちらでしばらく我慢してくれ、とさ」

 彼が目をやると、デスクの上に梱包された約60センチ程の段ボールがある。

 

 取扱注意!!と書かれている箱を慎重に開封すると文字がびっしりと刻まれた鋼の色の直剣が納められていた。

 

 

 

「……悪くない」

 

 「そりゃよかった。代替って言えど、開発部は手間をかけただろうからな。眼はいいアンタが言うなら安心だろう」

 内心、会稽弐式がどう評価を下すのかヒヤヒヤしていた。それも杞憂に済んだ為、スーツ男は小さく溜息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大亜連合軍はどれ主体で戦う?

  • ハイパワーライフルなど
  • 魔法(古式、現代)
  • 魔法(古式のみ)
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