投稿です。次回くらいから本編に入ろうかと考えております。
2079年4月24日ーー日本、山梨県?
「ひっひっふぅー、ひっひっふー」
「深夜さま、もう少しです」
「ふうっ……痛い……」
スイカを出すような痛みと表現される出産時の痛みは痛みに人一倍強い四葉の娘である司波深夜でも思わず声が漏れるほどの激痛だ。
こういう時、一般人であれば愛する夫とやらが部屋の外で応援してくれるのかも知れないが、
彼らは四葉の被害者なのだろうが、彼女にとってはやはり彼らの悲劇などどうでも良かった。多少の憐憫は抱くが、FLTに入ってしまったのが運の尽き。
「うっ……」
ズキズキと陣痛の波が再び襲いかかってきた。気を紛らわせようと時計を見れば、既に破水から五時間ほど経過していた。
魔法で痛みを軽減することも出来るのに、彼女は頑なにそれを拒んでいた。それは妹ーー四葉真夜への贖罪、いや、ただの自己満足に過ぎない。痛みで彼女の痛みを引き受けることなど出来ない。彼女を変えたのは自分自身だから。
「おぎゃあ!おぎゃあ!!」
赤ん坊の元気な声だ。四葉に染まっていくだろうこの男の子も、まだ真っさらだ。
「う、産まれたのね……」
肩で息をする彼女は産まれたばかりの自分の息子を抱いた。濡れた肌には生き物の暖かみが宿っている。
「……母親か」
幾分か落ち着きを取り戻して彼女は呟く。自分は薄情な人間だと思っていたが、自分の息子に対してここまで関心が無いと、逆に笑えてきそうだった。
オギャア、オギャア!
「はぁ……」
彼女は泣き声を煩く思った。
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「……!」
「会さん、どうしたんですか?」
「虫の知らせというべきか。何かが起きた」
彼の演算は唐突に『最大級の脅威』を吐き出した。これが意味することは謎だが、この演算が外れることは無く、やはり何かが起きたのだ。
「はは、気のせい……って訳にもいかないですよね。了解です。伝えておきます」
「感謝する、范」
新たに構成された部隊の相棒と言える存在は駆け足である人の元に行った。
「鬼が出るか蛇が出るか……どのみち厄介なのに変わりない」
その後、緊急会議が夜中に開かれることが端末を通じて伝達された。
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「彼は?」
「それがですね……こ、この手紙を渡すようにと頼まれまして……」
会議がもうすぐ始まると言うのに一向に来る気配の無い彼に言付けを頼まれたという一般職員は会稽弐式という怪物から逃げられたと思ったら、案の定威圧感たっぷりの幹部と出くわして、ゲロを吐きそうになった。
「それでは、失礼します」
出来るだけこの緊張から解放されたいと彼は急き足でこの場を去っていった。
「おや、会稽君は来ていないじゃ無いか?」
「確かに。この手の会議は大体が彼の仕業だからねぇ」
毎度毎度、奇妙なタイミングで通知が届くので彼の仕業と解るのだ。
「彼が我々に宛てた手紙があるらしいと聞いた。読んでみようじゃないか」
先程、職員の一人から渡された手紙を懐から取り出し、皆に見せてそう言った。
「……開けます」
慎重に封を剥がす。ペリペリと捲れる度に不思議な緊張感が高まっていく。
『私は演算結果に基づき、対策を立てる為に暫く部屋に篭ります』
と達者な字で書かれていた。
「そうか……」
「これは長いですな」
以前も別の所で演算の長さを体感した一人はそう呟く。
「では、もう一つの議題について……」
まだ課題はある。始まったばかりなのだ。
「回収した術式の解析が完了したのか?」
「ええ。李、来い」
隣に控えていた白衣を着た男は前に立った。
「研究主任の李です。此方、崑崙方院から回収された術式は古式系統の、名称は朱雀降臨式です。しかし、完成度は四分の一で大変に危険性を孕んだ代物になります。特筆すべき点はこのような完成度であれど、四象の一角である朱雀を召喚出来る点にあります」
「ほお、何をしてくれるんだ?」
興味を惹かれた者は李へ尋ねる。ごくりと唾を呑み込んだ李は問いかけに答えた。
「回収した資料と研究から我々の考察した所によると、膨大な干渉力によるマジック・ジャマーを発生させられます。更に、戦術魔法級のクラスに該当する火炎系の魔法を放つと予想されます」
コンピュータシミュレーターが稼働し、鳥の形を象った朱雀は木偶人形を焼き尽くして、街を灰へと変えていく。
「うーん、本当かね?」
「怪しいな、実験は行ったのか」
「し、信じられない……」
彼らは夢でも見ているのかと思った。存在するだけでサイオン嵐を発生させ、現代で主流となる魔法の悉くを無効化するなんて悪魔そのものだ。だが、心強い。
「早速予算を回す……とは言えないが、これから次第と言ったところか」
「ですね。いかんせんリスクが高そうだ」
「日本は魔法先進国として、我々の先を行っている。我々はようやくスタートラインに立ったに過ぎない。この安定期にどれだけ出来るか。それが大亜細亜連合を左右する。諸君、今が踏ん張りどころだ」
崑崙方院の研究を掠め取ったと言えど、魔法研究の分野は赤子同然のような集団だったのだ。皆が胸に逸物を抱えて、果てしない道へと歩き出して行くのだった。
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「ネクロマンシー、ですか……懐かしい名前ですね。願傑君が、上手だと記憶していますが」
「……」
レコーダーに相手のボイスも記録したいが、どういう訳か全く聞こえない。老人の声は聞こえるが、どうも相手の声の方はノイズがかかって聞こえるのだ。
「おや、20年くらい前に追い出されたと聞いていましたが、元気ですか。……成る程、そう言う事ですか」
俺は「20年前」という言葉で、ある事を思い出した。倫理観がカケラも無いことで有名な崑崙方院で、追放された異端の者たち。危険人物としてマークされている彼はUSNAに弟子たちと亡命したと報告されていた。
まさか?と残された当時の画像が浮かぶが、それを判断するのは自分の仕事ではなく、今はこれを持ち帰るべく、隠密に励もうと意識を切り替えた。
「……」
「しかし、本国も色々としていますからねぇ……一応、出してはおきますが、時間は掛かりますよ?」
「……!」
「君も随分待てるようになりましたね、成長を感じられます。もし、彼らに会う事があれば、体調に気をつけて過ごすように伝えておいて下さい」
「……」
「ああ、アレですか。ちょっかいを掛けるのは良いですが、何事も根は深く、広くです。では、さようなら。また会う日を楽しみに待っています」
「……」
秘匿通信は切れた。
「ふぅ、このような通信は慣れませんね。緊張します。……ああ、貴方に言ってるんですよ?」
思考が掻き乱されるーー
「!?」
次の瞬間、俺の身体の内側から無数の針が飛び出して串刺しになった。
「ガハッ……」
呼吸が出来ない。身体中の痛みで呼吸を忘れているのではなく、気管支が何かに塞がれているのだ。そうしている間も肉体は酸素を求めている。俺は咄嗟に喉のつっかえがある所に孔を開けた。動脈は避けたが、それでも血は流れる。軽い魔法で止血をするが、重症に変わりはない。
「カヒュー、カヒュー……」
空いた孔から冷えた空気が出入りする。逃げ出したいが、突き出た針が体の動きを阻害してくる。そして、目の前に立ち塞がる影が一つ。
「おや、窒息させるつもりでしたが……思い切りが良いですね」
まただ。あの身体から針が食い破って出てくる感覚がやってくる。
「!!」
痛みで声を上げたが、破壊された喉からは軋むような音だけが出るばかり。
「さようなら、と言いたいですが、丁度いい。貴方も手伝って下さい」
視界がブラックアウトする。同時に俺の意識は暗黒へと沈み、二度と浮上する事は無かった。
分解メタを考えてるけど、難しい……
時間が掛かったらそう言うことだと思ってください。
大亜連合軍はどれ主体で戦う?
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ハイパワーライフルなど
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魔法(古式、現代)
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魔法(古式のみ)