本作の事でも、オーズの事でも良いので是非みなさんの意見を聞かせてください
感想お待ちしています。
零司には過去が無かった。
零司は新たな記憶を手に入れた
零司は未来を目指した。
寝静まった夜、工場地帯の一角で見慣れぬ怪人が暴れていた。
カマキリのような鎌を持った怪人、カマキリエグザスだ。
自然発生したのか、研究所から逃げ出したのか、定かではないが、
少なくても、奴が人々にとって危険な存在なのは確かだ。
カマキリエグザスは次々と暴れ付近の建物を破壊し続けている。
まるで何かを求めるかのように。
零司はそんな中エグザスをただ見つめていた。
鴻上との取引を終え、物を受け取った所でエクザスの出現の知らせを聞き、
飛び出してきたのだが、どう言うわけか傍観に留まっていた。
エクザスの出現にイクスが関係しているのは確実だ。
しかし、まだ何かが零司の心を踏み留めていた。
待ち望んだはずの復讐の機会、今その手にはわざわざ鴻上からもらった力もある。
目の前に敵がいて、それを倒す力を持っている。
そのはずなのに、なぜか、自分にも分らない何かが零司を止めている。
「クソっ! なんでだ!」
手にした双眼鏡を投げ捨てる。
ふと手を見ると手が小さく震えている。
本来ならさっさと奴の元へ行き、イクスに繋がる手掛かりを手に入れるか、それが不可能なら奴を始末するはずだった。
今の零司には何故かそれが出来ないでいる。
「キャァー!」
突然少女の物とみられる悲鳴が響いた。
エクザスの方を見ると何処から迷いこんだのか、一人の少女がエクザスに
追いまわされている。
(エクザスがあの少女を狙ってるだと!? 奴に意思があるはずが……)
そういつも通り分析してたが、なんだか調子が狂う。
一体俺は何をしているんだ?
復讐?
……違う、結局姉さんの言葉が引っ掛かって怖気づいている。
なら人助け?
……違う、現に俺はあの少女を見ている事しか出来ない。
なら俺はなぜここにいる?
イクスを潰すために鴻上と取引し、やっと得た機会。
それを見す見す棒に振るのか…!?
ダメだ、行動の目的が見つけ出せない。
(俺は何の為に戦えば……)
『手が届くのに、手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。
それがいやだから手を伸ばすんだ。』
それは、いつかか父さんが話してくれた言葉。
昔の俺にはそれを理解することが出来なかった。
「俺はっ!」
俺は白紙だ。過去も無ければ家族もいない。明日だって真っ白だった。
でも父さんや、姉さん、兄さんがいてくれた。
彼らが俺の真っ白だった心を満たしてくれた。
俺は白紙だ。
だからこそ何色にでも染まることが出来る。
何のために戦うかじゃない、誰の為に戦うのか。
理屈なんてどうでも良い、俺は父さんのように……
「目の前の手をつかむ為に!」
一直線にエクザスに向って突っ込む。
戦略?作戦?そんなのは無い。
ただ今は彼女を助ける。それだけだ。
「変身!」
バースドライバーにメダルを入れダイヤルを勢いよく回す。
瞬時に体がエネルギーに包まれ、銀色の装甲が装着される
‥‥ハズだった。
『エラー』
一瞬光ったベルトはエラー音を吐きそのまま沈黙する。
どうなってるんだ? まさかあいつ‥‥
「くそが! 不良品掴ませやがったな!」
鴻上のことを信用し過ぎたようだ。
あの鴻上が素直に俺の言うことを聞くとは思えない。
つまりはまんまと騙されたという訳だ。
「だとしてもっ! 俺は!」
この程度ではあきらめない。
決めたんだ、誰かのために戦うと。
俺はいつまでも白紙じゃない。
だから俺は
「戦う!」
エクザスを蹴り飛ばす。
辺りどころが良かったのか、そのまま転がっていき瓦礫の山に突っ込んでいく。
少女は驚いた表情でこちらを見る。瞬間、少女と目があっった。
青と緑の宝石のようなオッドアイに、長い金髪、拘束服に似合わない綺麗な体。
一目見ただけで忘れられないような不思議な雰囲気、そこになぜか何処か懐かしいものを感じた気がした。
「あっあなたは……?」
「話は後だ、今は黙って俺の手をつかめっ!」
戸惑う少女に手を差し伸べる。
少女は少し迷った末、零司の手をしっかりと握る。
零司はその手の感触を確かめるように、今一度握り直す。
『Gyaaaa!!!』
瓦礫の山からエクザスが飛び出してくる。
蹴られた事に怒ってるのか、こころなしかさっきよりも気性が荒い気がする。
少女の手を引き、そのままエクザスから背を向ける。
今は逃げるのが先決だ。
「……とりあえずここまでくれば安全か。
クソっ、通信妨害か救援は望めないな…」
工事現場の中の仮宿舎の一室に零司と少女は隠れていた。
エクザスは闇雲に周囲を破壊し、相変わらず少女を捜している。
助けを求めようも、謎の電波妨害のせいで外部との通信は遮断されてしまっている。
恥を忍んで鴻上にバース部隊の要請をしようとも思ったが、こうなってはどうしようもない。
「あなた……なんで?」
「……そんなもの俺が知るか!
ドライバーが使えれば、こんな事しなかったはずだ。」
何故か使えないバースドライバーを床に投げ捨て、吐き捨てるように言う。
零司自身が一番衝動的に動いたことに動揺していたのだ。
「ふーん、で、それであなたがゼロなの?」
『ゼロ』それはイクスに居た時の零司のかつてのコードネーム。
イクスによってつけられた忌々しきもの、一般人が知りえる情報ではない。
この少女はなぜか、零司を見て突然その名を口にした。
それも、先ほどのような怯えた様子ではなく、何処か期待してるような声で。
「お前…! それを何処で!」
「やっぱり…… あなたがゼロなのね!
あの人の言った通りだ……」
話しがかみ合わないまま、変な空気が部屋に流れる。
少女に追求したいことは山ほどあるが、あのエクザスをどうにかしない限り、2人の命は無い。
どうしたものかと不図窓の外を眺める。工事現場と言う事もあり、周囲には誰もいなくとても静かだ。
ここまで静かならば、奴が近づいてくればすぐわかるだろう。
「っ!? 伏せろ!」
「キャッ!」
その瞬間、風を切る鈍い音が響く。
エクザスの放った鎌の一撃が、宿舎の支柱ごと壁を切り裂き
一瞬にして瓦礫の山へと変える。
仮宿舎とは言え2階建てのしっかりとした作りの物だ。
こう簡単に崩れ落ちるわけが無い。
それをたったの一撃でいともたやすく行うエクザスはまさしく化け物だ。
宿舎の骨組みが崩れ次々と雨のように振ってくる。
(クソっ! 間に会え!! )
ふと零司は少女の方を見ると、今まさに割れた鉄パイプが少女に降り掛かろうとしていた。
それを見逃す事は零司には出来なかった。
咄嗟に少女に飛びかかり、鉄パイプを自身の背中に受ける。
「……だい…じょうぶ…か…」
「あなた……それ……」
とっさに少女を庇い、瓦礫を受けた為か、零司の背中にはいくつもの破片が突き刺さっていた。
体を貫通した鉄パイプから血が垂れ落ち、少女の頬を濡らす。
その鉄パイプは零司の「心臓」の位置を貫いている。
本来なら声を出すどころが即死の筈だ。
しかし、零司は鉄パイプを無理やり引き抜くと、それを杖代わりにゆっくりと立ち上がる。
胸からあふれ出た血はいつの間にか止まっていた。
「あなた……まさか……」
「そうだ……俺は人間じゃない。奴と同じ化け物だ。
人間なんかじゃない、ただの兵器。」
虚ろな目でエクザスを見つめながら語りだす。
それは、少女に語っているのか、自分に言い聞かせてるのか、
あるいは両方か。
「違うっ!」
少女が声をあげる。
さっきまでとは違う真剣な眼差しで零司の目を見つめる。
「あなたは私を助けてくれた、だから……」
「あんな事所詮は真似ごとだ! 結局俺はお前を助けた意味が分からない。
理由も無い。ただ借り物の言葉に従っているのに過ぎない!」
あの時零司を突き動かしたのは父さんの言葉、決して自分の意思ではない。
父さんの真似をすれば、人間らしくなれるかも、
ふとそう思っただけだ。
借り物の言葉に作られた体、零司自身の意思はそこには存在しない。
ただ、与えられた言葉に従い、作られた体を振るう。
それはまるで、プログラミングされたロボットのようだ。
「でもさっきはとっさに体が動いたんでしょ。」
エクザスと零司の間に割って入り、零司の傷後をそっとなでる。
血は完全に止まっているがその傷は零司が無意識に動いた証拠だ。
「これは、あなたが自分の意思で動いた証拠。
決して誰かの言葉に従ったわけじゃない。あなたがあなたの意思で私を守ってくれた。
あなたは決して化け物じゃない。あなたは……」
『Gyaaaaa!!!!』
しびれを切らしたエクザスが突っ込んでくる。
しかし少女は逃げない。
強く握られていた零司の手を開けそっと握り返す。
「あなたは化け物じゃない、『仮面ライダー』でしょ」
零司の手に握られたのは1枚のメダル。
一角獣が描かれたそのメダルは光り輝き、真っ黒だった表面が鮮やかな白に変わる。
「俺は……俺は……」
握られたメダルを見つめ、零司は前を見据える。
確かに零司は作られた存在だ。
でも、今の零司は違う。
(まったく……俺らしくない。そうだ、誰が何と言おうと俺は俺だ。
化け物でもロボットでも無い。)
ポケットから、父さんから預かった例の物を取り出す。
それの名はオーズドライバー、それを使うには3枚のコアメダルが必要となる。
しかしここにはコアメダルは一枚もない、……そうコアメダルは。
少女から受け取った一角獣のゼロメダルをベルトの右に装填する。
鴻上から強引に借りた、魚のような怪物が描かれたメダルを左に装填する。
そして、零司の胸から飛び出した不死鳥のメダルを真ん中に装填する。
腰にある円形のスキャナーを握ると胸の前に持ってくる。
出来るのか?と言う不安よりもやって見せると言う気がした。
ぶっつけ本番、これを使えばどのようになるかは零司には分からない。
それでも零司は戦うとそう決意したのだ。
「変身!!」
『ユニコーン!』
『フェニックス!』
『リヴァイアサン!』
『ユー二フェーリヴァー!』
奇怪な歌が流れた後、零司の体は一瞬にして変化した。
真っ黒なボディに絡みつく白・。青の3色の装甲、血のように赤い複眼がエクザスをにらみつけるように光輝く。
「俺は仮面ライダー ……仮面ライダーゼロだ!」
思えばこの時全てが始まったのだ。
ゼロのメダル、その強大な力をめぐる新たなる戦いが…
設定解説コーナー
ex01の補足です。このように今後も登場した用語はここで補足説明します。
ゼロメダル
ゼロメダルには謎が多く、まだ判明していない所の方が多い、
コアメダルと違い縁の色は黒、動物では無くそれぞれ幻獣をモチーフとしています。
各地の遺跡から発掘され、いくつかは鴻上が手に入れた。
覚醒しなければ使えず、未覚醒時は表面が真っ黒になっている。
一枚づつしか存在しない。
コアメダルの試作品とも言われている。
現時点で零司が所有しているのはユニコーン、フェニックス、リヴァイアサンの3枚