オーズNEXT 仮面ライダーゼロ/フレア   作:黒野永華

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やっと戦闘回です。
ここから段々と物語は加速していきます……


03 無限と代償と運命の2人

オーズ、それは欲望の王。

大きな欲望を持つ者のみに与えられる究極の力。

しかし、逆に無慾の象徴となりうるものがオーズになったとしたら?

その矛盾は、何をもたらすのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ユニコーン』

 

 

『フェニックス』

 

 

『リヴァイアサン!』

 

 

 

『ユー二フェーリヴァー!!』

 

 

奇怪な歌が流れた後、そこに立っていたのは、黒い仮面ライダーだった。

一角獣のような角に赤い複眼、体を覆うローブのような金の羽、足に絡みつく青い鱗のような装飾。

白、金、青の3色のパーツと比べ黒いアンダースーツが何処かミスマッチな姿。

全身に廻る赤いラインは血のように濁っている。

 

 

「……オーズ?」

 

 

少女がゼロに酷似したかつての英雄を思い出し口にする。

かつて、世界を終末へと誘ったとある研究者の暴走から世界を救った一人の英雄、

欲望の力を使い、メダルの力を自在に操る究極の戦士、仮面ライダーオーズ。

 

零司のその姿はオーズに酷似していた。

 

 

 

変身に使用した3枚のゼロメダル。

コアではなくゼロ、従来のメダルのような金縁でも銀色でもなく、黒い縁を持つ。

中心のメダル部分はそれぞれ、銀、金、青で彩られており、そこにはそれぞれの幻獣を

モチーフとする絵が掘られている。

 

コアメダルが生命の力を宿し、欲望を司るのに対し、

ゼロメダルに描かれているのは、本来存在しない空想上の生き物。

恐竜のように、かつて存在していた物とは違い、最初から存在していない生き物。

古からの人々の想像が形になったそのメダルは無の力を持つのに関わらず、無現の可能性を持っていた。

 

 

 

「っ…… これは……なるほど、ここまでとはな……」

 

 

ゼロへと変身した零司だが、突然胸を抑える。

痛い、いや苦しい。胸を裂くような痛みと、体の中が張り裂けそうな感覚が突如零司を襲う。

エクザスの攻撃では無い。エクザスは突然の変身に困惑している。

変身による反動か、メダルを取り出した事による弊害か、零司の体は謎の痛みに苛まれていた。

 

しかし敵はいつまでも待ってはくれない。

零司の様子を見て好機と見たのか手の鎌を振り上げ突撃してくる。

少女の確保より、障害の排除を選んだのか、一気に突撃してくる。

 

 

「クソっ! やるだけやるしか……てかっ!」

 

 

肩部のフェニックスファザーを展開し、金色のビームを一斉射する。

ビームは湾曲しエクザスへと迫る。

が、その瞬間エクザスは透明の膜のような物を展開しビームを全てはじき返す。

 

「チィ…… 一筋縄では… ならばっ!!」

 

 

フェニックスの羽で空中に飛び上がると敵めがけ一気にビームを放つ。

無論、先ほどと同じく防がれてしまうが目的はそれでは無い。

 

湾曲したビームが奴の足元に転がっていたガスボンベに発火し爆発する。

どうやら奴のバリアは物理的な爆発は防げないらしい。

 

そのまま飛び降りながら、蹴りを喰らわし続けざまに回し蹴りをお見舞いする。

 

『Gyaaaaa Gyaaaa』

 

 

猛攻にひるんだエクザスが闇雲に鎌を振り回し、零司を離す。

 

 

「これが……オーズの力?」

 

一瞬の猛攻を見た少女はまたもや、英雄の名を口にする。

3枚のメダルを使い変身し、圧倒的な力を持つ過去の英雄仮面ライダーオーズ。

今の零司はそれすらに並ぶほどの力を持っていた。

 

しかし、これほどの力には代償が付きものだ。

先ほどから零司の体は謎の痛みに襲われていた。

先ほどの傷ではなく、体の内側からくる謎の痛みは次第のその勢いを増してくる。

 

 

(クソっ これは不味いな…… もって後1分。次で決めるしかないか!)

 

鎌の攻撃をさばきながら一気にエクザスの懐に飛び込む。

 

エクザスもたまらず鎌を振りかざし反撃するが、鎌を避けるとそのまま叩き割る。

 

『Gyaaaa!』

 

獲物は一つ失ったがそれでも果敢に突っ込んでくる。

理性を持つ物の動きとは思えない。

 

(何だっ? だがこれはチャンスだ、このまま決める!)

 

銀色に光ったユニコーンの角が、エクザスを捕えると一気に空中へと投げ飛ばす。

 

「今だっ!!」

 

 

『スキャニングチャージ!』

 

ベルトのメダルを再びスキャンし、空へ飛びあがる。

 

フェニックスウィングが後方に展開し、段々と加速する。

ユニコーンの角のエネルギーが足に集中し、リヴァイアサンの鱗から水流がほとばしる。

 

 

「ハァーーー セイヤァーーーーー!!」

 

 

『Gyaaaaa!!』

 

 

強力なキック、『インビンジブルアロー』がエクザスに炸裂する。

瞬間、エクザスは一瞬にして体内のエネルギーが暴走し爆発する。

 

 

爆風が零司を見つめる理沙の頬をかすめ、破壊された廃材が周囲に転がる。

 

 

「勝った…の?」

 

 

「何とかな……」

 

 

そう答えた瞬間変身が解除され、その場に崩れ落ちる。

少女が急いで駆け寄り支えようとするが、零司の体を見て一瞬躊躇する。

 

黒いタトゥーのような物が顔まで駆け巡っている。先ほどまで無かったはずだ。

それは、まるで零司体をむしばんでいるように毒々しいものだった。

 

「あなた……それ…」

 

 

「気に…するな… ただの持病だ。」

 

なんとか意識を取り戻し、ゆっくりと答える。

変身の反動のせいか。かなり苦しそうな様子だ。

それに加え謎の黒い靄が体をむしばんでいる。到底無視出来る状態ではない。

 

 

「気にするよ! 今すぐ治療を……」

 

 

涙目で少女は零司の体をどうにかしようとするが、どうしようもない。

零司はなんとか、平然をよそうが、靄が広がるにつれ顔をしかめる。

 

「なんとかしないと…… このままじゃ…ゼロが…死んじゃう…」

 

 

慌てて周囲を見回した少女はあることに気づく。

それが零司を救えると確信した少女は涙を拭い、零司に近づく。

 

「うまくいくか分からないけど、きっと大丈夫。

今度は私が……」

 

 

零司の手を強く握ると、エクザスが爆発したあたりから光る粒子が現れる。

エクザスを構成してたエネルギー、セルビットだ。

セルビットが零司の周囲に集まると段々と胸に吸い込まれる。

 

セルビットが吸い込まれるのにつれ、黒い靄が収まっていく。

エクザスのセルビットが完全に無くなったころには零司の体は元に戻っていた。

 

「良かった……うまく行った……」

 

安心したのか力の抜けた少女が倒れるが、

今度は零司が少女を受け止めた。

 

「お前、一体……? いや、ありがとう」

 

 

少女の事を詮索しようとするが、腕の中で安堵している少女を見て、お礼を口にする。

こういう時はこれが正しいはずだ、と判断したからか、本心なのかは

分からないが、自然にこの言葉がでた。

 

「私こそ、ありがとう、ゼロ。」

 

少女は微笑んで言葉を返した。

しかし、ゼロと呼ばれるのに抵抗があるからか零司は少し考え、

自分の新しい名前を口にする。

 

 

「……零司だ。」

 

 

「えっ?」

 

 

「ゼロじゃない。今の俺は零司、火野零司だ。」

 

 

はっきりと自分の意思で名前を口にする。

イクスの人造人間であるゼロでなく、映司の息子で仮面ライダーである零司と。

この瞬間、零司の中にあった心の縛りが解けた気がした。

自身を零司ではなくゼロだと卑下し、人間らしく振る舞うことを疑問に感じていたことを捨て去る。

根本的な思いは変わらないが、何処か楽になった気がした。

 

 

「そう、零司よろしく。 私は理沙。ただの理沙だよ。」

 

 

「ん? 名字は?」

 

「無い。とっくの昔に捨てちゃったの。」

 

 

「そうか、昔の俺と同じだな。」

 

零司の名字は映司から与えられたもの。それまでは、名字など存在しなかった。

ただのゼロとして日々を過ごしていた。

 

「ねえ、零司は何のために戦う?」

 

突然来た核心を問う質問に、零司は少し驚き悩むがすぐ口を開く。

 

 

「俺は、自分…いや誰かの為に戦う。父さんのように。でも自分の意思で。」

 

 

その答えを聞いた理沙は満足気に笑い零司に抱きつく。

 

 

「良かった。 あなたならきっと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、やはり零司クンが新しい器だったか。」

 

 

豪勢な部屋の中、真っ赤なスーツを着た男はモニターを眺めながら口にする。

モニターには先ほどの戦闘の様子、付近の監視カメラの映像をジャックして得た物だ。

 

男の前には大きなケーキが完成間近でおかれている。

モニターの電源を切った男はクリームで大きくOの字を書く。

0『ゼロ』先ほど零司が変身した仮面ライダーの名前だ。

 

「しかし、あのメダルがあれほどの物とは、ドクター真木の遺産がこうなるとは。」

 

切り替わったモニターには零司の使っていたフェニックスメダルのデータ。

バースドライバーと保管してたリヴァイアサンメダルと引き換えに零司から手に入れた物だ。

最も、バースドライバーは不良品だったがこれは全くの偶然で仕組んだ物では無いのだが。

 

「ゼロのメダル、無の力と無現の欲望、両方の可能性を持つメダルか、

実に素晴らしいっ! 0の力だとしても、欲望の力でそれは無現にすらなる!」

 

 

ケーキに書かれたOの字にもう一つOをつけ足すと∞となる。

 

「それすらも超える力、それが欲望!」

 

 

さらにOを一つ加える。OOO『オーズ』それは欲望の王の名前。

 

 

「ゼロとオーズ、この2つは矛盾しているようでそうではない!

オーズはゼロに!、ゼロはオーズに! やがてオーズすら超える欲望が!!」

 

 

よほどうれしいのか、声を上げ、自身の欲望を叫ぶ。

ケーキにはOOOと0両方の文字が混ざりあうように書かれている。

 

 

「そのためにも、アレを完成させなくてはならないな」

 

男の名は鴻上光生、誰よりも強欲で、誰よりも貪欲な男。

欲望を愛し、その先の世界にある物を望む。

 

モニターが切り替わり、先ほどと違うメダルのデータが映し出される。

金色の縁に色取り取りの模様が描かれたメダル、コアメダル。

 

それは全て失われたはずだった。

しかし、これらは違う。古代のオーズも、映司も使う事の無かった新たなコアメダル。

その一部が将来、重大な事件を起こす事を知ってもなお、鴻上は開発を止め無かった。

新たなコアメダル、かつて未来のメダルと呼ばれたそれがそこに写しだされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






設定解説コーナー

セルビット

鴻上ファウンデーションが開発した次世代の電子エナジーコイン。
通常はただの電子コインだが、どう言う訳かエクザスの体を構成するのに使われている。
その上零司の体にも何故かこれらが含まれている。
セルメダルと性質は似ている為、代用も可能だがもちろんヤミーを生みだす機能は無くなっている。
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