一週間ぶりの投稿です。
ようやく皆さん大好き?なあの男が登場します。
それはそうと最近ビルドが楽しみ過ぎて毎週が楽しみ過ぎる……
いつも思いだすのは暗い部屋、そして無機質な手術室、
繰り返される日常のなか訪れた変化はこれだけだった……
「これが今回の実験体か。」
「家族に捨てられたんだって?気の毒に」
「なるほど…、例のルートからか」
「だがこの手術で生まれ変われるさ」
「生きていれば、ですが」
「まっそういうことだな、では始めようか」
「全く、何時まで寝てる、いい加減起きろ、」
「んっ…… あっ零司、おはよう」
理沙が目を覚ますとそこは小さな小屋の中だった。
謎の力を使った後気を失った理沙を零司が近くにあった無人の小屋に運んで来たのだ。
「もう大丈夫なのか? 」
「うん、私はもう平気。 零司こそ大丈夫なの?」
問題ないと返す零司だが、無意識に傷跡を抑える。
心臓を貫かれたはずの零司だが、その傷は一瞬にして治ってしまった。
あれほどの傷を一瞬にして直すなどもはや人間業ではない。
「そう、良かった。 私の力がやっと零司の役に立てたんだ。」
「やっと?」
そこで零司は理沙を見る。初めてであった時もそうであったが何処か見覚えがある気がしたのだ。
それに理沙はさっきから零司の事を知っているかのような口ぶりで話している。
思い返しては見るが彼女と会った記憶は無い。
「お前、何処かで……」
そう言いかけて口を閉じた。零司自身過去の記憶が無い、そんな自分が誰か覚えているはずが無いと、
結論づけてしまう。自分の過去の手がかりを捜すのに零司は何故か戸惑っていた、
過去を知るのが怖いのか、あるいは…
「んっ零司、何か言った?」
「……いや、何でも無い。 それよりもさっきお前が俺に使った力、アレは一体何なんだ?
そもそもお前は……」
話を変え、理沙の力について尋ねる。瀕死の零司を一瞬にして回復させたあの力、それが一体何なのか、
イクスの事に大きく関係があるとみて間違いは無いだろう。
「んー零司は知りたいの? 理沙のこと」
「無論だ」
「じゃあ教えてあげる、でも一つ約束してくれない? 私を一人にしないって」
少しの空白の後零司は、理沙を見つめる。『一人にしないで』と言う言葉が何処か引っ掛かる。
それがどうゆう事を意味するのか、それがどんな事なのか、そう思うがやはり彼女の言葉に何処か聞き覚えがある気がする。
考えても仕方ないと思いながらも空返事をする。
「……分かった約束する」
考え抜いた末約束する。約束の真意は分からないが、何故かこの約束は守らなくては、そんな気がしたのだ。
「よかった、零司ならきっと約束してくれると思ったよ」
またもや零司の事を知ったかのような口ぶり、謎は深まるばかりだ。
理沙は二コリと笑い、ベットから立ちあがる。
うれしいというよりも安堵の表情を浮かべた理沙はゆっくりと小屋の中を歩き出す。
「それで、あの力は?」
「あ、アレの事、うーん確か『周囲に存在するセルビットの流れを操る』らしいよ」
零司の周りをクルクル回りながら、思い返すかのように答える。
どうやら自分では力の事を良く分かっていないようだ。
「なるほど、だからあの時俺の体のセルの流れが動かして活性化したのか。」
零司の体にはエクザスと同じセルが流れている。倒れたエクザスに残っていたセルを零司に流し、
変身の反動で弱っていた体を活性化させたのだ。
それほどの事をやってのけるとはやはり理沙の能力は常識を逸脱している。
「うーん…?、たぶんそうみたい。」
「お前なぁ、一体あの力にどれくらいの価値があるか分かって…」
「分かってるよ、理沙のこの力は特別だって事くらい分かっているつもりだよ」
クルリと向き返り真剣な眼差しを零司に向ける。
彼女の態度がクルクル変わるのを不審に思いながらも理沙に流される零司。
ニコニコとしてる笑顔の裏にも常に彼女は何かを抱えてる、そんな気がした。
「……そうか。で、そもそもお前は一体…?」
渋々納得する。これ以上この事は本人に聞いてもどうしようもないだろう。
先天的な能力ではなく、なんらかの要因で付加された後天的な能力なら本人が知っていることは少ないだろう。
そこで一つの疑問が生まれる。こんな能力を持ちながらも悠々としている彼女は一体何なんだろうか?
「理沙は理沙だよ。それだけ。」
含みのある言い方だ。理沙は理沙、その言葉にどんな意味があるのか、零司には分からないが、
その言葉の奥に理沙の本心が垣間見えた気がした。
「理沙はね、売られたんだよ。パパとママに。だから私はただの理沙。
理沙を捨てた家族の事なんてこっちから捨ててやったの。
パパとママに研究所に連れてかれて、そこに置いてかれたの。
たぶんイクスに売ったんだよ理沙の事を。理沙見ちゃったの、パパが研究所の人に頭下げてる所。」
悲しげと言うより、侮蔑するような顔を浮かべる。
両親に捨てられた事の悲しみより、自分をみすみすとイクスに売り払った両親に対する怒りが勝っている。
自分が尊敬していた両親に裏切られた事に対する憎しみは相当な物だろう。
「それで、ただの理沙、名字なんてない、か。」
昨日彼女に言われた事を思い出す。
自身の名をかたった時、彼女は同じことを言った。
「そう。私にはもう家族なんて居ない。誰かに捨てられるのはもうごめんだよ。でも零司は違うよねっ」
明るい笑顔を向ける。どうやらもう昔の家族のことをそこまで気にしていないようだ。
過去を振り返らないと言うことか、それにしても度が過ぎる気がする。
曲がりなりにも自分を育ててくれた家族をこうも簡単に忘れる事が出来るのだろうか、
最も家族がいなかった、理沙とは真逆な零司には分からなかったが。
「なんだって零司は私の王子様だもんねっ!」
「王子様!?」
理沙の突飛な言葉に驚きつつ、零司は肩の力を抜く。
そう思えば、エクザスと遭遇してからずっと警戒してばかりだった。
自分だけこうしているのがバカバカしくなり理沙の雰囲気に押され、墨に放置されているパイプイスに腰掛ける。
「…とは言えこのままにここに居るわけにはいかんか」
あれからイクスの敵襲は無かったが何時までも安全だとは限らない。
今居るのはただの小屋、もしまた襲われたら今度こそ危ない。こちらにはまともな武器もない、
誰かの援助を受けなければならないのは必然だ。
「クソっ、こうも奴に頼るのは癪だが、この際仕方ないか…」
頭の片隅に苦手な男の顔を思い浮かべながら、携帯端末を取り出す。
幸いもうジャミングは解除されているようだ。
「ねえ零司、奴って?」
不安そうに見つめる理沙の方を見て、ため息をつきながら答える。
「鴻上ファウンデーション会長、鴻上光生だ」
「やあ! 零司クン! そろそろ来る頃だと思ったよ!
いやーこう何度も零司クンと会えるとは、私はうれしいよ!」
出会って早々マイペースで話しだす鴻上、理沙が不思議そうな目でこちらを見る。
まるで状況を理解出来ていないようだ。
それも仕方ない、高層ビルの最上階にきたと思ったら、いきなりケーキを持ちながら大声で語る
おじさんが出てきたのだ。
「おっと、これは失礼。私は鴻上光生、この鴻上ファウンデーションの会長をしている。
以後よろしく、理沙クン!」
「あっ…えと…うんっ、よろしく鴻上さん」
何となく理解したようだ。ぎこちない返事を返す理沙を尻目に鴻上がさらに話しだす。
「それにしても、やはり零司クンが新たな器だったとは! いや、実にすばらしい!
無現と無、2つの矛盾する力を操る仮面ライダー! それがキミ、仮面ライダーゼロ!
最初は私もゼロのメダルを使うのには抵抗があったが、いやまさかあれほどの物とは…
やはり、欲望の力は素晴らしい! 欲望の力こそ世界を救うのに……」
「前置きは聞き飽きた、本題に入るぞ鴻上」
鴻上の熱気の入った演説を聞き流し、勝手に会長室のパソコンをいじりながらソファに腰掛ける。
何かのデータスティックをパソコンに挿入し、いくつかのデータをパソコンにコピーする。
「これと引き換えだ、こいつをしばらく匿え。どうやらイクスに狙われているらしい」
モニターを回し、データを見せると後に佇む理沙を指差す。
「ほう、なるほど、彼女がイクスの… 分かった彼女はこちらで保護しよう」
送られたデータに満足したのか、良い返事が返ってくる。
鴻上とは、何度もこうやって俺が昔イクスから持ち帰ったデータや技術と引き換えに様々な取引をしていた。
今や世界を代表する一大企業になった鴻上ファウンデーション、その持つ物全てを私慾のままに使えるこの男の
援助を受けれるのは非常に大きい。
「ねえ、ねえってば、零司聞いてるの?」
理沙の声がさっきから響いている。こちらは鴻上の交渉をしていると言うのに相変わらず
呑気に話しかけてくる。
「お前ってやつは…今がどんな状況だかわかってるのか」
「えー、だって暇だもん。ねえ、欲望おじさん何か服ってない? 理沙この服好きじゃないの」
「欲望おじさん?」
珍しく気の抜けた声を出す鴻上。
十中八九、鴻上の事だろう。さっきの話で何度も欲望と連呼していたからか、理沙の中では
鴻上=欲望というイメージがあるらしい。
まあ、ある意味間違ってはいないが。
とはいえ、言われて見れば理沙の服はあそこから抜け出した時に着ていた拘束服のままだ。
先ほどまではそんなところ気にする余裕がなかったが、理沙もずっと拘束服のままではうんざりしたようだ。
「後でそこら辺で適当な服を見繕ってやるから我慢してろ」
「えー、せっかくだから可愛い服が欲しいよー
ねえ買ってよ零司ー」
まずい、今この男の前で欲しいと言ったな、この男の前で欲望を口に出すと厄介になる。
「美に対する欲か、実に素晴らしい!ならこのカードを使うといい。
ここらの店ならこれで事足りるだろう」
上機嫌な鴻上がブラックカードを取り出す。
やはりめんどくさくなった。
とはいえ成る程、ああやればやつに色々たかれそうだ
「ねえ零司、行こ!」
「まてまて、俺は鴻上と話しをしにわざわざここに…」
理沙に手を引かれるが、ソファから動じない零司。
まだいろいろと鴻上と話したいことが山ほどあるのだ、おちおち買い物など行く気は無い。
「なら零司クン、これを使いたまえ、研究所が開発した新型デバイスだ、
私との極秘直接回線を繋げる。他にもいろいろ使える便利物だ」
めんどくさそうな顔をしながら手渡されたデバイスを受け取る。
ああ言えばこう、理沙と鴻上の2人のペースに完全に呑まれてしまっている。
しかし、デバイスをみるとぱっと見だかなかなかの完成度、到底ただの通信だけに使うような物ではない。
「おい、これは何のマネだ、 こいつどう見ても…」
「零司ー行くよー」
零司の言葉をさえぎるように理沙が間に入る。
鴻上は相変わらずニコニコとこちらを眺めている。
どうにかしようとするがどうやら無駄らしい。
鴻上に後で話すと伝え、半ば強引に理沙に連れられてく。
「ほら零司、早く早く!」
「ちょ…おい待て、分かったから引っ張るな!」
(あの零司クンがこう変わってくとは。ゼロのメダルの影響か、それとも…)
不気味な笑みを浮かべながら二人を見送る。
どうやら鴻上にもまだ何かあるようだ。
鴻上ファウンデーション本社ビルのそば、おしゃれな店が並ぶ小洒落た通りに二人はいた。
ビルを出て間もなく理沙が零司を引っ張り
近くにあったここへ連れてきたのだ。
こんなことをしている場合ではないと、注意をしようとしたが、
理沙がショーウィンドウを眺め目をキラキラとさせているのを見て、口を閉じる。
こういった場所はいったこも無く詳しい訳ではないが
「ありがと!零司、こういう所に一度行ってみたかったんだよね。初めて来たけどこんなたくさんの店があるんだね」
まるで初めてこういった場所に来たかのような口ぶり、零司のようにおしゃれに全く興味ない人ならまだしも、
理沙はそういった物をかなり意識している感じだが…
「初めて? お前なら結構行ってそうだが…」
「……パパとママといた頃は服はぜーんぶママのオーダーメイド、
それもよかったけどそれじゃなんだかママの着せ替え人形みたいで嫌だったの。
自分で好きな服を選ぶのが昔からの夢だったの。
まあ、パパとママがいなくなってからはずっとこんな服のままだったんだけどね。」
自傷的に笑い、拘束服の裾をあげる。
明るく振る舞う彼女だがその裏にはかなりの闇が垣間見る。
(初めて……か、)
「んっ? 零司? どうしたの?」
「何でもない、そうか、俺も詳しい訳ではないが俺の姉さんがこういうのに詳しくてな、少しは付き合ってやろう。」
姉である奈々は母の影響で、服飾関係の知識が豊富だ。何となくだが、たまにそう言う話をされるので、常識知らずの零司でも
一般人程度には一応知識を持っている。
「ねえねえ零司、これどう?」
「おい… お前は人の話しを…」
相変わらずのマイペースに引っ張られ、ペースを崩される零司、理沙のことを思って声をかけたのだが
どうやら取り越し苦労であったようだ。
理沙の能力と零司の体
理沙の能力は周囲に存在するセルビットを操る事が出来る能力である。
発動条件としてはセルに触れることが条件であり、対象に触れれば発動が出来る。
謎が多い能力だが、ゼロメダルと何らかの関係があるとされる。
零司の体はエクザスと同様セルビットが体に巡っている。
そのため、無の能力を持つゼロメダルと反応してしまい、変身時に大きな苦痛が伴う。