やはり俺がVtuberになるのはまちがっている。 作:人生変化論
八幡はスカウトされる
世の中にはVtuberなるものが存在する。
動画投稿サイト『theytube』にて誕生した、2D又は3Dのキャラクター達が実況や生配信をするという、ここ数年で人気を確立したコンテンツである。
その人気故に、今では企業単位でVtuberを雇用し運営する、いわゆる企業勢と呼ばれるVtuberも珍しくない。
何故俺がそこまでVtuberに詳しいのか、それは。
「花蓮ちゃんしか勝たん」
俺自身、Vtuberを愛する視聴者の一人だからだ。
アイドル系Vtuberプロジェクト『わんちーむ!』。
企業系Vtuberグループで、平均チャンネル登録者数15万人を叩き出しているドデカい箱である。今や第4期生まで募集していて、Vtuber界隈を牽引する存在だと言えるだろう。
しばらく前に大怪我をやらかして、病院のベッドに座っている俺は、持っているスマホを熱心に眺めていた。
スマホの中では、ひとりの女の子が楽しそうに話している。
『浮気されたらー、地の果てまで追いかけてぐちゃぐちゃにしてやりますっ』
・ヒェ...
・こわい...
・清楚()とはいったい...
わんちーむ二期生、一ノ瀬花蓮。
黒髪ロングの制服姿である彼女は、まさしく清楚を体現している様なルックスである。
見た目に反したサイコパスムーブや強いホラゲ耐性が話題を呼び、活動開始から僅か半年でチャンネル登録者数15万人に達した人気Vtuberだ。
ちなみに俺の推し。
『そういえば、次のホラゲ決まりました!おじいちゃんの家ってホラゲやります♪』
・それホラゲ界最恐のやつや
・コワイ……笑いながらホラゲするのコワイ……
「またホラゲか……イカれてんな、まじで」
思わずそう口に出した。
一ノ瀬花蓮を推し初めたのは二週間ほど前からだが、彼女はその間に4本ものホラゲを配信している。
一ノ瀬花蓮のホラゲ耐性は他のVtuberと格が違う。どんなびっくり系の仕掛けでも、「ふふふっ」と笑って跳ね飛ばしてしまうのだ。
そこが一ノ瀬花蓮の特徴であり、大きな魅力だった。
俺こと比企谷八幡が一ノ瀬花蓮のことを知ったのには、大した経緯もない。
高校に入学して速攻車にバーンされ、病院にぶち込まれた。
命に影響があるわけではなかったが、大事を取って暫く入院生活。高校でもぼっちが確定した瞬間だった。
時間だけは余裕があったので、なんとなく眺めていたtheytubeでたまたま一ノ瀬花蓮を見つけた、ただそれだけの出会い。
何故彼女に惹かれたのかは分からない。でも見つけた途端に目が離せなくなり、そこから先はファン一直線だ。
今や立派なリスナーである。スパチャはまだしたことないけど。
◇◇◇
あれから数日、無事入院生活も終わり、俺は千葉の街を旅していた。
旅とか言ったが目的はラノベの新刊チェックである。それ以外にあるとでも?
ただ注目してほしいのは今日が平日ということ。
入院が終わっても医者がまだ学校に行かせてくれなかった。ありがとうお医者様。
というわけで今の俺はさながら不良少年のよう。
ただこの腐り目と黒単色のファッションのせいでよくニートに見えると言われる(小町談)。
春先の暖かい空気が心地よい。
こんなにもゆったりとした気分はいつぶりだろうか。
気温のせいか、はたまた平日に外出しているという特別感のせいか。俺、不良ンゴねぇ……。
昔からそうだが、他の皆が学校に行く中で自分だけ休む背徳感が嫌いな人はいないんじゃなかろうか。
小学生の頃なんて特にそうだ。ぼけーっとテレビを眺めていると始まるアンパン◯ンやガン◯ちゃんに胸を踊らせるのが一般的な小学生のセオリー。
そのまま録画したニチアサのプリキュアを一気見するまである。それは俺か。
「……ん?」
そんなことを考えながら、とぼとぼ歩いて本屋に向かう途中だった。
ふと、派手な色が目についた。
真っ赤である。赤いジャケットに赤いズボン、金髪の髪にグラサンでバッチリ決めている。
それなのに何故かジャケットには傷が目立ち、頬からは謎の出血をしていて。
ポケットに手を突っ込んで、いかにもという態度で仁王立ちする男が、歩道の真ん中にいた。
ふぇぇ、絶対ヤバめの人だよぅ。いつから千葉にもこんな人が出没するようになってしまったんだ。
こういう人はそっと目を背けるといいってどこかのお偉いさんが言っていたので、早速実行する。
幸い男が立っているのは道の真ん中だ、脇は通り抜けられそうだった。
そそそーっと進み、男の脇を通ろうとする。
その瞬間、男は瞬時に俺の行く手を阻むかのように移動してきた。
俺が横にスライドすると、男はキーパーのような速さで俺の前へと移動して言った。
「コンニチハー!肉まん、食べますカー?」
「いや、遠慮しときます普通に」
「ノーノー、そんなこと言わずニ!オイシーですよそこの肉まん!」
オイシーつったって指差してるのコンビニじゃないか。
どう逃げようか必死に考える俺に、男は一枚の名刺を差し出してくる。
「肉まんは建前デース!本題はこっちネ!」
強引に手渡された名刺を見てみる。
そこには、『株式会社みっくす代表取締役兼社長 ジョン・ルーン』と書かれていた。
代表取締役だと……この明らかにヤバそうな人が?
どこのアイドル育成ゲームの導入だよこんなん、二次元でしか見たことないわ。
「端的に言いまショウ、アナタをスカウトするデース!」
「スカウト?俺を……ですか?」
「イェース!アナタ……ワタシたちと一緒にVtuberになりませんカ!?」
この時の男……ジョンさんの発言は、俺の人生の中で一番、理解することができなかった。
◇◇◇
迷惑にならないよう近くの公園に行き、ジョンさんの話を聞く。
どうやらマジもんの社長さんらしい。ホームページも見せてもらった。
株式会社みっくす。
最近設立したばかりの企業で、Vtuberグループの運営をメインに行っていくとデカデカと書かれていた。
「それで、どうですカー?必要機材は我々が負担しますシ、お給料も出ますヨー!」
「…….tuberって、面接とかで決まるんじゃないんすか?スカウト制なんて聞いたことないですよ」
「まア、そうなんですガ。……ワタシはネ。ずっと思ってたことがあるんデース」
「はぁ……」
「Vtuberという活動ハ、ココロのありのままが出るんデース。アナタもそう感じたことはないですカ?面白くてすごく人気になるVtuberもいれバ、何かの問題で炎上するVtuberもいまース。それはネ、Vtuberという世界ガ、本当にやりたいことをやらせてくれる場所だからだと、思うんですよネ」
今では新人Vtuberも珍しくないし、一般的にもVtuber文化は普及してきている。
そこまで多くの人を虜にする理由の1つが、ジョン社長が言う『やりたいことをやらせてくれる場所』だということなのかもしれない。
ネットという、キャラクターという一枚の壁が、人間を素直にさせる。
だからこそ人間の本性が深く現れ、多くの人を虜にするのだ。
「つまりですネ、Vtuberというのはココロが面白い人が人気になるんですヨ。だったら、面接で選ぶよりも『ビビッ』ときた人をスカウトするべきだと思ったんですよネ」
「ビビッとが何かわかんないすけど.…..俺のどこかビビッときたんすか」
「わかりませんかー?その目デスよ、その目」
この目がビビッときたとはいったい。
子どもには怖がられ職質されるまであるよ?
言ってて悲しくなってきた。
「日本ではヒトは目を見ると分かると言いマスが、ワタシはそれが理解できませんでシタ。でもアナタの目を見て、その考えは吹き飛んだのですヨ!」
「それは.…..わかりやすい、ってことっすかね」
「そうデース。アナタの目は非常にわかりやスイ!他の誰よりも、輝いてみえまース」
「俺の目が?そんなバカな」
「今はまだみえないデス」
「まだなんかい」
結局淀んでるってことじゃねーか。
改めて思うが、めちゃくちゃな人だ。
喋り方はエセ外国人みたいだし、独特すぎるファッションセンス。俺も人のこと言えないけど。
挙句の果てには俺をVtuberにスカウトだなんて、本当に馬鹿げている。
「今はまだ深い闇の中デス。でも、磨くと誰よりも光り輝く。ワタシはその光り輝いたアナタの目を、一緒に見てみたいんデース」
本当に馬鹿げた人だ。
生まれてから目を貶されることはあれど、褒められたことなど一度もなかった。
初めて褒められたから、浮ついていたのかもしれない。
もしくはスカウトという非日常な現実に、興奮していたのかもしれない。
俺の口から出たのは、肯定的な言葉だった。
「俺でも……コミュ力ゼロだし、何の特技もない俺でも…...できるんですかね」
「……!もちろんデース!アナタには、その目で培った豊富な人生経験がありマス、だから大丈夫!アナタなら、トップレベルのVtuberなれマス!」
スカウトされた時から...いや、一ノ瀬花蓮を知った時から俺はVtuberに憧れていたのかもしれない。
現実とは一線引いたそのバーチャルの世界で、いつもVtuberは待っている。
社会という大きな波で戦った人たちは皆、彼ら彼女らに癒しや、楽しさを求めて会いに行く。
その中でVtuberも一緒に楽しみ、悲しみ、そして共に笑い合う。バーチャルの世界で、確かに生きているのだ。
俺も、そんな存在になりたいと、確かに憧れた。
客観的に見れば、自己顕示欲の塊だろう。くだらないと笑うだろう。
それでもいい。
黒歴史になろうが、十年も経てば笑い話だ。話す相手いないけど。
Vtuberになろうと、そう思った。
「ジョンさん...いや、ジョン社長」
「はい、どうしまシタ?」
「その話、ぜひ受けさせて下さい」
ジョン社長は、ふっと笑みをこぼした。
「まだ、アナタの名前を聞いていませんでしタ」
「比企谷、比企谷八幡です」
「八幡。我々みっくす一同は、アナタの入社を心から歓迎しマス!」
◇◇◇
さっきの感動を返して欲しいと、心から思った。
「イタイイタイ!それ以上は肩が取れまス!」
「ふっざけんな資金足りてねーのになんで未成年連れてきてるんだこのクソ社長が!」
「ノー!ノー!ほんとに.…..アアッ!」
先ほどはあんなにかっこよく見えたジョン社長も、今や哀れにしか見えない。
社長はたった1人の女性に絞め技をかけられ、悲鳴を上げているのだから。
俺がVtuberになることを決めた後、詳しい話がしたいからと会社があるビルへ向かった。
千葉の一等地、シャレオツなビルへ入って行った社長を追いかけ七階へ。
七階全体をオフィスとして借りているらしく、観葉植物やコーヒーメーカーが置いてあり、純粋な俺は『うわぁスゲェバリバリ仕事してそう』とか思ったのも一瞬だった。
まず、PCが一台もないのだ。デスクや椅子はたくさんあるのに。
そして働いている社員さんが1人もいない。
困惑している俺にジョン社長は言った。
「ウチは資金ギリギリ、社員1人の超超極小企業デース」
正直頭おかしいんじゃねーかと思った。
今時社員が少ない企業はザラだが、たった1人しかいないのにオフィス借りてVtuberスカウトする企業なんぞ前代未聞だぞほんと。
しかも当面の間Vtuberは俺1人、しかも稼ぎ頭。
なんなんだこのハードモード。某剣士もびっくりだ。
困惑する俺を気にせず、ジョン社長は声を張り上げた。
「リサー!リサいますカー!」
「んだようっせえな.…..こちとら誰かさんの見切り発車のせいで疲れて.…..ん?」
ジョン社長が呼ぶと、オフィスの奥から1人の女性が歩いてきた。
茶髪の髪をポニーテールにし、スーツを着ている。
甘いような苦いような匂いが香る。煙草だ。
「はー、ようやくスカウトしたか」
「イエース。今日からの新入社員、比企谷八幡クンデース」
「比企谷です、よろしくお願いします」
「はいはいよろしく。私は東山理沙、みっくす唯一無二の女社員さ」
東山さんはニカッと笑った。
「比企谷もバカ社長の口車に乗せられたんだろ?歓迎するよ、よろしくな」
「ノーノーノー!口車なんて言わないでくだサーイ!私の素直な気持ちデス!」
「Vtuberとして活動するから、契約とか色々あるけど...取り敢えず年齢教えてくれ」
「ワタシのことは無視ですかそうでスカ...」
「あ、年齢は16で高1っす」
「おーけーじゅうろ.…..待ってくれ、16?」
俺の年齢を聞いた東山さんは、わなわなと震えだした。
やっぱり未成年が企業と契約してVtuberになるのは無理がありますよね、薄々分かってました。
それでも何も言わないのが八幡くおりてぃ。言えなかっただけだけど。
未成年という事実に言葉を失った東山さんはジョン社長に掴みかかった。そして今に至る。
「はぁ…...まあこのクソ社長は置いておくとしてだ。ぶっちゃけた話、高校生を雇うのは難しい話じゃないんだ。あくまで契約という形でだけどな」
「モノ扱い!?ワタシはいったい...」
「良い例が作家だな、特にラノベの。高校生作家なんかと同じ感覚でいてくれ」
確かに作家だったり株だったりなど、最近は高校生で多額のお金を稼ぐ人も増えていると聞く。
某速筆高校生ラノベ作家やひきこもりイラストレーターとかな。お兄さーん!
「ただ金銭受け渡す以上御両親の承諾と口座が必要だから...今からでも挨拶に伺いたいんだが」
「うちに、ですか?今は仕事なんで...もうちょっとしたら母がいると思います」
今日は月初め、第1水曜日。
職によるが休日の会社員が多いらしい。
マイマザーもこの日は割と午後から家にいるから、後で連絡しておけばいいだろう。
親父?社畜に水曜休みがあるとでも?
「了解だ、じゃ先に活動説明しておくぞー」
手招きしながら歩きだした東山さんについていく。
ちなみにジョン社長は痛みで座り込んでます。
何も置かれていないデスクの間を通る。
床のシミや使い込まれたデスクには、そこに人の影があったことを感じさせた。
「ウチは金もないから、倒産した会社のオフィスをそのまま借りたんだよ。だいぶ綺麗にはしたんだが...やっぱ人が足りねーな」
東山さんは茶色いポニーテールをなびかせながら、くははと笑った。
オフィスのいちばん奥、会議室というプレートか掲げられた部屋に入る。
ガラス張りでオフィスから見えるようになっていた。
あのドラマとかでよく見るタイプね。
先に座った東山さんの向かいに座る。
東山さんはどこからか束ねられた紙を取り出した。
「これがウチの経営方針。クソ社長から聞いてるかもしんねーけど、いちおうな」
そう言って見せられた資料には、『自由に輝く、世界を変えるVtuberを』と書かれていた。
『私はその光り輝いたアナタの目を、一緒に見てみたいんデース』
あの時ジョン社長が言っていた言葉と同じだ。
「.…..馬鹿げた目標だと思うよな、Vtuberが世界を変えるって。本当の顔も知らなければ、声も知らない。男か女か、どこに住んでいるのか、どんな人生を歩んできたのか。そんな奴が、世界を変えられるのかって」
「…...はい」
「でもさ、変えられるんだなーこれが。何十、何百、何万という人が毎日同じ時間に同じ場所に集まって、一緒に泣いたり笑ったりする」
奇しくもその言葉は、俺が一ノ瀬花蓮に抱いた感情と同じだった。
「Vtuberという存在は、実際に変えてるんだよ世界を。1人でも2人でも、どんなに少なくても誰かしらの心を動かしてる」
東山さんは、照れたようにはにかんだ。
「私も思っちまったんだよ。今よりももっとたくさんの人を、世界をまるごと変えちまうよーな、そんなVtuberを育てたいってな。だからどんなに極小企業でも、クソ社長についていってんだ」
東山さんはさっき、比企谷も社長の口車に乗せられたと言っていた。
もとはそういう事だったのか。
世界を変えるVtuberになる。俺が。
俺にそんなことできるのか?
そんな不安よりも、今は、
「どうだ、わくわくしてきたろ?」
「俺も口車に乗せられたみたいです、東山さん」
高揚していた。
これからの不安もある。戸惑いもある。
それでも、俺にしては珍しい。心から燃えていた。
「くはは、そーかそーか!理沙でいいぞ、これから長い付き合いになりそうだしな」
「はい、よろしくお願いします理沙さん」
俺たちは、固い握手を交わした。
◇◇◇
「そもそも、Vtuberってまず2Dイラスト必要ですよね。依頼するお金あるんですか?」
理沙さんに聞いたのは、俺の率直な疑問だった。
基本的にVtuberは体と呼ばれるイラストが必要である。
イラストから2Dのモデルを作り、ウェブカメラなどを使って顔の動きを読み取り、配信するのだ。
その時に最も重要になってくるのは、イラストの魅力である。
Vtuberを最初に好きになるきっかけは、ほとんどが視覚と聴覚...つまり、イラストと声だろう。
声はVtuberをする人に依存するから良いとしても、問題はイラストである。
ほとんどのVtuberはイラストレーターさんなどに依頼をして、生みの親になってもらう。V界隈ではそれらイラストレーターさんの存在をママと呼んでいる。
つまり何を言いたいかというと、結局ママになってもらうのにもお金がいるということ。世知辛い。
「ふふーん、そこで数少ないクソ社長の良いところが活躍するんだよ!」
「おおー」
「ズバリ、人脈だ!あんな人間にも関わらず人脈が不思議と広い!不思議とな!」
得意げに話す理沙さん。
クソ社長とか言っている割には仲が良さそうだ。良いのか悪いのかもうわからん。
というか、理沙さんは社長と古くからの知り合いっぽいが...いったい何歳なんだろう。
社長もそうだが、2人ともだいぶ若く見える。
理沙さんに至っては二十代前半と言っても信じられるレベルで美人だ。煙草は吸ってるっぽいけど。
「実はクソ社長の友人の娘に、あの『やさいじゅーす』さんがいるんだよ。その縁で、八幡のママを引き受けてくれることになった」
「.…..!?あのやさいじゅーすさんが…...だと」
やさいじゅーす。
数々のラノベのイラストを担当し、その全てを大ヒットに導いてきた凄腕イラストレーターだ。
『ヒットするところにやさいじゅーすあり』と言われるくらいに知名度が高い。ちなみに俺もファンです本当にありがとうございます。
というか、理沙さんは今『娘』と言っていた。女の人だったのか。
やさいじゅーすさんは基本的に表に出ない。
イラストの依頼も全てメールで、顔以前に声すら誰も聞いたことがないのだとか。
そんな人に依頼できるジョン社長、何者なんだ一体...。
「やさいじゅーすさんが初めてVtuberのママをするとなりゃ、注目度はバカ高いだろ」
「っすね.…..プレッシャーやばいですけど」
「そう緊張すんなって!自分では気づいてないかもしれねーけど、なかなか良い声してるぞ、八幡は」
「そーなんすか…...?」
自分の声を聞くことなんて無かったから、気にしたことすら無かった。
「ま、そんなこと気にするよりも先に、八幡のご両親がVtuberになることを許してくれるかだな」
「それに関してはまぁ…...大丈夫かと。うちの両親は基本放任主義なんで、良い意味で」
「いい意味の放任主義なんてあるのか普通…...?」
別に完全な放任主義って訳でもないしな。
他の高校生よりも小遣いは貰っているし、社畜だから俺たちに時間を割けないことは俺も小町も了承している。
でも、小町とはよく外食行ってるよな…...あれ、パパンママン?
「っと、話してたら結構時間経ったな。そろそろ行くか」
髪を整えながら立ち上がった理沙さんに続き、俺も立ち上がる。
母さんに対して連絡は入れてある。後ろで小町の驚く声が聞こえたのは聴こえていないことにした。
会議室のドアを開けてオフィスに出ると、そこには体を痛めながらも必死に歩いてきたらしい社長がいる。
社長、そこにいるのはまずいと思いますよ。
「邪魔」
「アッ」
理沙さんは無慈悲に社長を蹴飛ばし、何事も無かったかのようにオフィスを歩いていった。
.…..この人だけには逆らわないようにしよう。
作者はVtuber好きなので、様々なネタをパクリスペクトします。ゆるしてください。