やはり俺がVtuberになるのはまちがっている。   作:人生変化論

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八幡は新衣装をお披露目する

秋も深まり、次第に冬の足音が聞こえ始めてきた十月。

去年は受験生であるからして、それはもう焦っていたわけだが、高校生という肩書きを手にしてからは別。模試だの補講だのと奔走する高三の姿を見て高笑いする毎日だ。未来の俺の姿だのという声は無視することとする。

 

県内でも有数の高い偏差値を誇る総武高校だから、大抵の学生は大学へ進学する。それは俺自身も例外ではない。先日の進路希望調査でも、県内の適当な文学部を書いた。

 

今後の未来を、どう生きるのか。

 

大前提として俺は働きたくない。毎日毎日死んだ目で通勤なんぞしたくないし、専業主夫として一生スネを齧って生きたい。けれど現実的には金が必要で、そこそこの賃金を貰うには学歴がいる。幾らVtuberという仕事があって、高校生としては身の丈に合わない給料を貰っているとしても、一生続けていられる確証はない。故にVtuber専業という道は考えておらず、なんとなくで大学を目指していた。

 

誰か養ってくれる富豪いないかな。家事はします。料理も努力します。

最悪社長にお茶出し役として雇ってもらうか。ニヤニヤしなからこき使ってきそうだしあの人。

 

 

「……寒っ」

 

 

昼飯を食べるために、教室から廊下に出た。

換気のためか、開いている窓の側を通ると、秋風が顔を撫でつけてくる。流石に肌寒いを通り越してきた。社長たちに出会ったのはまだ暖かい春だったのに、もう冬が迫ってきている。季節ってのは一瞬で過ぎるもんだな。

 

Vtuberになって半年。チャンネルの規模も、企業としてできることも、少しずつ増えてきた。アリスら他企業のVtuberと絡む機会も増えたからこそ、より将来について考える回数も増えて。

Vtuberってのはエンタメだ。他の娯楽と同じく、大衆に消費されることで価値を得る。エンタメは有限であって、いつかきっと淘汰される日も来る。

 

その『いつか』が、遠いのか近いのか。

ここ数年で動画投稿という文化が確立され、Vtuberが生まれた。たった数年だ。俺が高校を卒業して、大学生というモラトリアムを過ごす内に、Vtuberはどんなカタチになっているのだろう。

 

 

『もし未来が正しく実現したら、先頭に立つのは誰になる?______僕たちだ。不遇の時代を生き抜いて、性別なんて関係ないエンタメを提供する。それをやり遂げたらきっと、僕たちは唯一無二の地位を得る』

 

 

男性Vtuberの未来が訪れる。

そう断言した橘さんの言葉。女性が一強の界隈で、不安定な足場に立ち続ける彼。語る表情は真剣で、その未来が実現することを確信しているようで。

 

 

「……男の時代なんぞ、本当に来るのか?」

 

 

Vtuberってのはオタクコンテンツだ。

二次元の姿と、三次元的なコミュニケーション。スパチャ、要するに投げ銭の文化であったり、グッズやボイスで収益を得るマネタイズは、確かにアイドルやらの芸能と共通する部分がある。

 

それでも、今のメインターゲット層は男性。

愛人たちも、八割男性というデータは理沙さんから教えてもらったし、アリスらわんちーむの面々なんぞもっと男が多いだろう。わんちーむと絡める俺や橘さんが特殊なだけで、男の影が見えるとすぐに炎上する例があるしな。

 

この状況をひっくり返すには、それこそ。

 

 

「アイドル営業はなぁ」

 

 

イケメンだとか歌が上手いだとか、アイドル寄りの魅力を押し出すしかない。

確かに、リアルの俳優だの男性アイドルだの、ビジュありきの存在は女性人気が凄まじい。

その点Vtuberは、二次元の姿であるため自由に容姿を変えることができる。俺___花咲望の容姿だって、目が死んでいるだけで別に悪くはない。けれど、ぼっち冷笑系キャラで売ってるんだから、今更方向性を変えるのはとてつもなく恥ずかしい。ぼっち冷笑系って最悪すぎるだろ。

 

アリスとか蕾とか、めちゃめちゃバカにしてきそうだしな。やさいじゅーすさんくらいか喜んでくれるの、流石ママ〜、ママは全てを解決する。

 

けれど、今のままではきっと何も変わらない。

なんとなく配信して、愛人とくだらない話をして、時々誰かとコラボして。マイペースに、そこそこの金を稼ぐ生活はきっと楽しい。俺だって、そういう生活を望んでいたはずだ。

 

 

『今はまだ深い闇の中デス。でも、磨くと誰よりも光り輝く。ワタシはその光り輝いたアナタの目を、一緒に見てみたいんデース』

 

 

それでも。

世界を変えるVtuberになる。そう語る社長と理沙さんの姿が、どうしようもなく眩しくて。

何者でもない俺に全てを賭けた彼らの夢は、本物だと思った。

 

俺には人気が必要だ。知名度が、俺だけのコンテンツが必要だ。他のVtuberに、アリスにも負けない俺だけの魅力がいる。

 

世界を変えるVtuberに、本物になるためには。その『何か』を見つけなくてはならない。

 

 

「それが、見つからないんだけどな」

 

 

やさいじゅーすさんに頼んで、黒歴史小説でも出版するか?ノリノリで挿絵描くだろあの人。

もうなんか全裸で配信しようかな。コンプラギリギリで戦うVtuberに需要はありませんでしょうか。今ならコンプラ安売りできます。わんちーむ出禁とかいうデカすぎる対価を支払えば。

 

くだらない事に思考を占領されていたからか、廊下を歩く生徒の肩にぶつかってしまう。咄嗟に振り向いて、謝罪の声を上げた。

 

 

「すまん」

 

「……気をつけなよ」

 

 

振り向くと、こちらを睨む青髪の女子生徒。

ひぃんヤンキー怖いよぉ……圧倒的視線に八幡萎縮しちゃう。

 

すわぶん殴られるかと身構えたが、当然そんなことはなく。興味を無くしたのか、早々にこの場を去って行った。

間違いなく今のは俺が悪いしな。今後は気をつけることとする。

 

……にしても、今の声。どっかで聞いたことあるような気がするんだけどなぁ。

 

 

・・・

 

 

【活動半年記念】新衣装と重大発表あるぞ

 

 

「おつ。今日も元気に超広大遠距離爆殺魔法。花咲望だ」

 

・こんのぞ

・こん

・わくわく

・やっと冬服脱ぐんかお前

・新衣装楽しみすぎる

・重大発表ってなんだ?

・引退じゃないよなおい

 

「引退なわけないだろーが。まあ、ちょっとした報告。楽しみにしててくれ」

 

・おけ

・ライブとか?

・歌みた期待

・またギター弾いてくれても良いぞ

 

 

今日は活動開始して半年を記念した配信。

ベストパートナー選手権やらなんやらで忙しかった最近だが、無事に半年記念の枠は確保することができた。

 

本来なら、このタイミングでギターでも披露するかと思っていたんだけどな。諸々の騒動で既にお披露目してしまったから、急遽別の企画を用意する事になった。

 

 

「うし。まずは新衣装からな」

 

・牛

・ンモぉォォォ(期待)

・半裸か

・脱ぐんか

・ヤサイジュース:わくわく

・アリスオミソルシル:わくわく

・ママとベストパートナーさんちっすちっす

・花咲ガチ勢のお二人

・やさいじゅーすさん描いた側だろw

・わくわく

 

 

まず用意したのは、花咲望初の新衣装。いつぞやにやさいじゅーすさんと相談していたヤツだ。

服自体は八月に完成していたんだが、モデリングやらは完全に外部委託だからな。表情筋のアップデートも同時に行っていたから、想定よりも時間がかかってしまった。

 

まぁ、そんなわけで。

 

 

「それでは。俺の夏服見てってよ」

 

・夏……?

・もう秋通り越して冬だが

・お前夏中白ニットで過ごしてたな

・はよ洗えニット

・くっさぁ♡

・季節感どうなってんねん

・季節に逆張りしてる?

 

「こんなとこで逆張りしねぇよ」

 

 

馬鹿みたいなコメントにツッコミながら、一度配信画面から花咲望を退避させる。

用意していたショートカットを呼び出して、新衣装の夏服に早着替え。と同時に髪型も変えて、表情筋をアップデートした新モデルへと変更。

 

いくぞいくぞ……と焦らしつつ、遂に新たしい姿のお披露目だ。

 

 

「はいどーん」

 

・えっっっっっ

・えっど

・胸元開いてるやん

・鎖骨!鎖骨!

・男なのに……ぽちゃん

・子宮で恋愛すな

・うおおおおおお

・待ってオールバック良すぎる

・髪下ろすよりも好きだな

・社会人感がより強くなった

 

 

新衣装は、夏服兼スーツスタイル。

黒いスラックスに白シャツと、服装自体はシンプルだ。けれど、やさいじゅーすさんのとてつもない画力と、微細なこだわりもといフェチズムによって、とんでもない出来に仕上がっていた。

 

俺もこれくらい飾っていない方が好きだな。シンプルながらも決して適当ではない。シャツの皺や影まで細かく書き込まれている。Vtuberの衣装としても、そう無いこだわりのレベルだ。

 

 

「半袖っていうのがまた良いんだよな」

 

・血管な。わかる

・血管まで書いてるのこだわりすぎだろw

・確実にママの趣味で草

・ヤサイジュース:さいこう……すき……

・限界化してます

・最高の自給自足

・フェチすぎるこの花咲

・いいぞぉこれ

 

「やさいじゅーすさんマジ感謝」

 

・ヤサイジュース:win-winだねっ!

・てぇてぇな

・声を知ってしまったからこそ嫉妬ががが

・羨ましいぞ花咲

・天使ボイスにここまで好かれるなんて

 

 

やさいじゅーすさんがVtuberデビューしてからというもの、彼女の人気は鰻登りだ。

そのゆるふわボイスから発せられる言葉は世界を幸せにする。やさいじゅーすisマジ神。

 

イラストレーター専業だった時代も、女性であるという噂は流れていたが、あくまで噂に過ぎなかった。けれど配信によってそれが確定したから、彼女と親しい俺にヘイトが集まるのも当然のことで。

 

まぁ俺はディスティニーランドデートまでしたけどな!下賤の民の嫉妬なんぞ効かない効かなィ!

 

 

「ちなみに、ついでに表情筋もアプデしてるぞ」

 

・おお

・具体的には?

・いいね

 

「めっちゃ笑える」

 

 

アプデの結果を見せるため、大袈裟にニタァ……と笑う。

現実の俺の動きと同期して、花咲望も口角を上げた。

 

 

・きっっっっ

・ニチャァ……

・こわい

・普段そんな笑わんだろお前

・どこで使うんやその表情筋

 

「失礼だなおい」

 

 

確かに二次元だからまだ許されるが、現実の俺はほぼ逮捕案件。客観的に見れば、パソコンの前で超ニチャついてる異常一般男性だからな。絶対に外にこの光景を流出させてはならない。

 

 

「あとはシンプルに、首の可動域が広くなったな。ほれ」

 

・おお

・そんな前後できるんか

・立体的になったな

・気持ち画質も良くなってる?

・それは普通にいいね

 

 

前後左右と首を動かすと、Vもそれに追随する。

イラストをただ動かしているというよりかは、よりそこに存在する感覚が強くなった。収益が増えたからこそ、ここまでのアップデートが行えたことを考えると、やはり金かと思わざる負えない。

 

 

「まぁ、なんだ。ここまで来れたのはお前らのおかげだし、感謝しとく。ただの一般男性をこんなに応援してくれて、ありがとな」

 

・おお

・デレ咲きた

・俺も花咲に支えられてるよ

・お前の配信が生きがい

・これからも応援してるぞ

・お前がでっかくなってくのが嬉しい

・古参として胸張れるからな

 

 

珍しく、心からの言葉だった。

以前のベストパートナー選手権で、神楽ルナナが言っていた。同性からの人気ほど嬉しいものはない、と。

 

容姿の好みだとか声が好きだとか、同性のリスナーは恋愛的な観点だけで好きになっている愛人はきっと少ない。人柄だとか思考だとか、内面の要素を好きになって応援してくれるヤツが多い。

別に女性人気が嫌だとか、ガワで判断されるのが嫌だとか、そういうワケではない。単純に、花咲望というVtuberを通じて、比企谷八幡というひとりの人間を好きになってくれている。その事実が、心底嬉しかった。

 

 

「次はとりあえず一周年だな。一周年目指してぼちぼちやってくんで、応援してくれると助かる」

 

・もち!

・がんばれ

・期待してる

・もっとでっかくなってくれ

・花咲ならいける

・がんばれー

 

 

三万人、天下のわんちーむ様が抱えるVtuberたちからすれば、足元にも及ばない登録者数。

今だって同接は千人に満たない。千人、されど千人だ。

ただの男子高校生の話を、こんなにも多くの人が聞いてくれる。楽しんでくれる。生きがいだと言ってくれる。その言葉と事実に、どれほどの価値が込められているのか。

 

Vtuberってのは、呆れるほどに最高な存在だ。

 

 

・ツボミリッカ:活動半年おめでとう、花咲

 

「お、蕾。ありがとな」

 

 

コメント欄に現れたのは、みっくすのVtuberにして俺の同期、蕾六花だった。

こいつ最近、というかデビューしてからずっと調子良いんだよな。にんにくらーめんさんの仕立てが良すぎるってのもあるが、彼女自身に魅力がなければここまで伸びないだろう。

蕾の登録者は二万人を超え、すっかり追い越されてしまいそうな勢いだった。

 

 

・ツボミリッカ:今度の同期配信、遅刻しないでね

 

「おう。お前も早くダー○ソウルクリアしろよ」

 

・ツボミリッカ:見るな

 

「辛辣」

 

 

ゲーム配信の評判が良いことに味を占めて、巷で話題の死にゲームに挑戦するも、ひたすらにボコされ焚いて配信を終わるまでが最近のハイライト。

美人エルフ系の女の子がキレる姿は、それはもうお腹いっぱいになった。

 

 

・アリスオミソルシル:私とも早く配信するわよ!はーやーくー!

・ライバルさん参戦

・コメントするタイミング探ってたんだろうな

・お嬢こう見えて周囲の目気にするタイプだからなぁ

・ぼっちは空気を読みすぎて空気になるまである

 

・アリスオミソルシル:喧しいわねあんたのコメ欄

 

「アリスとは配信のネタがなぁ……」

 

・アリスオミソルシル:お!!!!!!い!!!!!

・草

・ネタないの草

・アリのぞコラボしすぎたかw

・流行りのゲーム割と一緒にやってるしなw

 

 

最近なんてもはや週一でアリのぞ配信してるからな。普通に考えて意味わからんだろ、別企業なのに。

 

 

「丁度良い、お前らなんか配信のネタない?」

 

・おしがま耐久レース

・クソ漏らし王選手権

・トイレから特定するジオゲ○サー

 

「人の記念配信なのに汚ねぇな」

 

 

汚い愛人どもは追放します。ねっ、麗華お嬢様?汚物は消毒ですわー!イマジナリーお嬢様もそう言ってます。

 

 

「健全なやつで頼むわ。有料配信じゃないんだわここ」

 

・それってFC……

・おっといけない

・江戸

・普通に歌枠やって欲しいけどな

・チューリングラブはよ

・お嬢は歌上手いんだからあとは花咲だけだぞ

 

「歌なぁ……」

 

 

歌に関しては、やさいじゅーすさんの件以降一度も披露していない。

練習自体は変わらずに続けているし、何ならギターは練習を配信する時もある。けれど歌はなんか小っ恥ずかしいというか、中々上達しないのもあって披露できていないのが現状だった。

 

 

「ボイトレ行くか迷ってるんよな、今」

 

・アリスオミソルシル:ボイトレ行くだけで全然変わるわよ

 

「お。アリスも行ってんのか」

 

 

昨今ボイトレの需要は高まっていて、学生や社会人でも通いやすい時間、金額で行っているところも多いらしい。今後Vtuberを続けるのであれば、歌は必須級のコンテンツだ。費用は会社で出してくれるらしいのもあって、真剣に迷っていた。

 

 

・お嬢、初期に比べるとまじで上手くなった

・お嬢といえば圧倒的ハイトーン

・高音超綺麗だよね

 

「高音出ないからな俺。覚悟決めるか」

 

 

自分が低音寄りの声質だってのは理解してるが、歌う際には中々不便だ。最近の歌はやけに高すぎるの多いし。

遂にボイトレへ通う覚悟を決めていると、見知った名前のアカウントが投げ銭をしてきた。

 

 

・ヒメミヤヒナ:花咲くんっ!活動半年おめでとー!!¥10000

・オウジルカ:おめでとう。新衣装も美しいね¥10000

・カグラルナナ:まあ、おめでとうなのじゃ¥10000

 

「太っ腹すぎだろお前ら。ありがとな」

 

 

コメ欄に現れたのは、姫宮ひなと王子ルカ、神楽ルナナのわんちーむ勢。先日のベストパートナー選手権から交流が続いている三人だった。

 

 

・賑やかになってきたな

・羨ましいぞ花咲

・超人気絵師と超人気Vtuberたちが集まる配信

・わんちーむ三期生集合で草

・でっかくなったなぁまじで

・後方腕組みおじさんもいます

・初配信の時はこんなにおっきくなるなんて思わなかったよ

 

「……まぁ。俺も予想できなかったな、こんな光景」

 

 

殆ど個人勢と変わらない規模感から始まった、Vtuberの花咲望というプロジェクト。

やさいじゅーすさんというブーストはあれど、所詮は何の特技もない男性Vtuber。どうにかバズらせようと黒歴史を晒して、ぼっちキャラを全面に押し出した。

そんな俺を、大手企業のアリスが見つけ出してくれて、紆余曲折ありながらも絡むようになって。同期がデビューして、他のVtuberとも絡む機会が増えた。

 

困ったな。最初はVtuber活動なんて、一人でやって行く気満々だったんだが。たった半年で、こんなに人生が変わってしまった。

けれど、今の光景は。そんなに悪くはないのだろう。

 

 

「配信も盛り上がって来たところで。重大発表するぞ」

 

・急に?!

・うおおおおおお

・うおおおお

・来たあああああ

・なんだなんだ

・わくわく

・うおおおおお

 

 

コメントの流れが速くなったのを横目に、俺は画面を一枚の画像に切り替える。

今回発表するのは、ベストパートナー選手権の少し前くらいから話が出ていた企画。その中の幾つかはさらに前から用意していたため、半年記念に間に合わせることができたモノたちだ。

 

 

「えー。花咲望、活動半年を記念して。グッズ発売します」

 

・まーじ?!

・遂にか

・待ってた

・買う買う買う買う

・ヤサイジュース:買います買います買わせてください

 

配信画面に映し出されたのは、グッズのラインナップ。

今回はウチの企業初グッズということで、社長や理沙さんもかなり気合を入れてくれた。

 

 

「一個ずつ説明していくぞ。まずは定番の、花咲望ぬいです」

 

・ぬいぐるみ!!!!

・思ったより可愛くて草

・腐り目が意外と良い仕事してるな

・可愛いんかいw

・意外と需要あるか?w

 

 

グッズの話が出た時、一番最初に決まったのがこのぬいぐるみ。

ぬいぐるみによる推し活は、つい最近広まり始めた文化ではあるが、Vtuber界隈では定番ともなりつつある。手のひらサイズのぬいぐるみを鞄に付けたり、旅行に連れて行ったりするのが流行っているらしい。小町もなんかスクバにつけてたな。

 

んで、完成したのがこの花咲望ぬい。試作品はすでに俺の元にも届いていて、今配信をしているPCの横に座っている。なんか憎たらしい顔してんなこいつ。

 

 

「服の装飾とかも結構凝ってるから、値段の割にはクオリティ高いぞ」

 

・いいね

・欲しいな

・そんな高くないんか

・サイズはひとつだけ?

 

「サイズ展開はこのちっこいのだけ。デカくすればするほど生産コストかかるらしいからな。弱小企業なもので……」

 

・リアルな話やめない?

・触れづら

・でかいの買うやつおるんかそもそも

 

「俺を抱きしめて寝たい愛人どもが買うんだろ」

 

・抱きしめたいわ♡

・擦り付けたいわ♡

・ぎゅーしたいわ♡

・愛人なんてほぼ男なんだよなぁ

 

「社長たちが気合い入れて作ったんで、可愛がってくれると助かる。じゃあ次」

 

 

次に用意したのは、花咲望の姿やロゴが入ったTシャツとタオル。アーティストのグッズとかでもよく見るやつだ。

 

 

「定番のTシャツとタオルな。普段使いできるように、そこまで派手なロゴは入れてない」

 

・おお

・これ欲しい

・丁度いいな

・ワンポイントくらいなの良いね

 

 

もっとデカデカとプリントする案もあったんだが、そこは俺が却下した。俺のリスナー層は殆どが男だから、必然的にグッズを売るターゲット層も男になる。ならば、普段着としても恥ずかしくないくらいが丁度良いだろうという判断だ。

 

 

・オウジルカ:かっこいいねぇ、これ買おうかな

 

「王子は似合いそうだな、こういうメンズライクなの」

 

 

ボーイッシュな格好だったしな、企画で会った時も。

ここまでが無難グッズ。これだけじゃ面白くないンゴねぇ……レッツエンターテイメンツ!

 

 

「こっから本番だからお前ら。次はこれです」

 

・……?

・まさか

・なん、だと……

・ふざけんなおい

・傷を抉るな

 

「やさいじゅーすさん監修兼作画。黒歴史小説の挿絵風ポストカードとアクリルキーホルダーです」

 

・ヤサイジュース:私が育てました

・生産者面するな

・なに掘り返してくれてんすか

・ノリノリで協力しそうだなこの人

 

 

だってえ!社長が俺のやりたいようにしていいって言ったんだもん!

 

 

「なんと全10種類。完全ランダムだが、10個まとめ買いしてくれたヤツは、確定でコンプリートできるという超優しい仕様です」

 

・いねぇよコンプするやつ

・誰が10個買うねん

・ぬいよりもコスパ悪いじゃねーかwww

・無駄に神作画なのやめてくれw

・画力の無駄遣いで草

 

 

今や伝説となった、俺の黒歴史小説の名シーンをイラスト化。

うっすい本編にも関わらず、やさいじゅーすさんの神のような画力によって、そこらのラノベの挿絵では比にならないクオリティと化している。

 

ほら、主人公アレスと父の決闘シーンなんてどうだい?それとも最終回の伏線回収のシーン?ほらほら、ラスティングゲートが滅茶苦茶格好良くなってるよ?

 

 

・アリスオミソルシル:かう!!!!!!!

・cow

・また牛もいます

・そういやいたわコンプしそうな人

・お嬢黒歴史小説のガチ勢だっけか

・それがきっかけで花咲のとこ凸ったからな

・お嬢、今回ばかりは同意できないよ……

 

 

ニッコニコのアリスの顔が浮かぶ。嬉しいやら気まずいやら。

例に漏れずグッズの試作品が届いているため、俺の部屋にはポストカードとアクキーが大量に放置されています。何なら原画まで送ってきたからなあの神絵師。その熱量はどこからきているのですか。

 

 

・超広大遠距離爆殺魔法は?

 

「まあ、当然……内緒と言っておこう」

 

・アリスオミソルシル:かう!!!!揃える!!!!

・三匹目

・んもォォォォォ

・カオスだなぁ

 

 

もはや定番となってしまった挨拶だからな。当然臨場感のある神イラストに仕上がっています。

 

 

「そうそう、超広大遠距離爆殺魔法で思い出したが」

 

・そんなんで思い出すな

・最悪の連想ゲーム

・ないだろそれで思い出すこと

 

「最後のグッズはそれに関連してる。その名も」

 

 

最後のひとつは、グッズでも定番のマグカップ。

 

 

「詠唱完全書き下ろし、超広大遠距離爆殺魔法マグカップです」

 

・???

・書き下ろしってそういう時使わんだろ

・どこに需要があるさっきから

・謎グッズ出すなおい

・遊び始めてるだろ

 

「失礼な。真面目に詠唱考えたんだぞアリスと」

 

・アリスオミソルシル:私が育てました

 

 

最後のグッズであるマグカップ。外側には詠唱と思わしき、厨二病感満載の詠唱が黒文字でずらりと並んでいた。

うん。俺でもなに作ってんだろうって思ったよ。けど思いついちゃったんだから仕方ないよね。

 

 

「ということで、以上が花咲望グッズです」

 

・半分は謎グッズなの草

・どこへのマーケティングだよ

・センスは色んな意味で良い

・花咲らしくて悪くないぞ

 

 

概ね好評で良かった。きっと好評だろう、そうだと思っておこう。

 

 

「販売期間はとりあえず年内。受注生産ではないので、在庫なくなり次第終了です。あしからず」

 

・おけ

・まあ楽しみ

・ぬいは買います

・ぬいとTシャツは確保しよ

・売れるといいね

 

「ま、グッズ出せるだけ感謝だしな。お前らも無理ないくらいに無理して買ってくれ」

 

・え?

・秒で矛盾すなよ

・買うが

・無理するやつお嬢くらいだろこのグッズで

 

 

無事にグッズの告知も終えたし、配信終わるか。

……と、危ない危ない。もう一個、告知があるんだった。

 

 

「じゃあぼちぼち配信終わるけど、最後にひとつ。俺のボイスを出す企画も進んでるっぽいんで、まあお楽しみに」

 

・?!

・ボイス?!

・アリスオミソルシル:????!!!!!

・ヤサイジュース:ほんとにっ????!!!

・お前ボイス出すんか

・台本とか恥ずかしがりそうなタイプなのに

 

「俺も出したくねぇよ、囁くのとか苦手だし。けどまぁ、ボイスは圧倒的に還元率がいいっぽいんで……」

 

・あー

・たしかになw

・よく聞くよね

・わんちーむとか収益の割合ボイスがでかいっぽいしなぁ

 

 

Vtuber業界におけるボイスとは、文章を読んで録音したものをデータとして販売するもの。

製造に人件費やら材料費やらがかかるグッズと違い、ボイスはレコーディングと編集さえ済ませてしまえばいいので、必要な元手が違ってくる。実際にアリスらわんちーむの面々も、収益の大半はボイスの売り上げが占めるらしい。グッズの生産で現状は大幅な赤字だから、俺もボイスを出す必要に迫られているワケだ。

 

勉強がてらアリスのボイス買ったから、今度感想を直接言ってやろう。今回買ったのは何だったか、『束縛ボイス』だっけな。いや、『風邪の俺に看病してくれるボイス』も買ったっけか。大胆なボイス出すなあいつも。

 

 

・ヤサイジュース:はーくん!わたしに台本書かせてっ!!!

・アリスオミソルシル:花咲!私に台本書かせなさいっ!!!

 

「ええ……」

 

 

絶対に変な台本書くからなぁこの二人。考える手間は省けるがどうしたものか。

あとコメ欄の後押しがうるさい。なんだこいつら。

 

 

「まあ、一旦保留ってことで。今日はこの辺で終わるぞ、おつ」

 

・逃げるな

・逃げるな

・びびって逃げたなw

・花咲ガチ勢の台本だからなぁ

・絶対に恥ずかしいシュチュエーションになるだろ

・告白ボイスとか書きそう

・そこまで大胆なことするかぁ?

・お嬢はともかくやさいじゅーすさんはあり得そうで草なんよ

・おもろいなぁ

・三角関係ほどじゃないけど複雑やw

・別に恋愛感情とかじゃないんだろうけど、互いにクソデカ感情持ってそうだからなぁ

・おつのぞ

・おつ

・半年おめでとう

 

 

 

 

 

 

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ポケモンの世界に生まれた転生者が旅に出る話▼(世界線がゲームかアニポケかも分からないしエンジョイクソボケなので何をやらかすか分からない)▼アニポケ時空になりました。▼タグは随時追加予定です。▼アンケを投げています。▼基本最速10票を採用していますが見逃しなどあり複数が10票越えしていた場合は1番多い票数の案を採用する予定です。よろしければ適当でもええのでポチ…


総合評価:4381/評価:8.56/連載:11話/更新日時:2026年05月24日(日) 05:03 小説情報

うわっ、前からタケノコが!!(作者:七夕ナタ)(原作:超かぐや姫!)

▼ 激闘のオンパロス編終わったヤッター!▼ 永劫回帰は強制参加!ハピエンにするまで終われまてん!もこれにて終了!▼ ▼ そんな旅を終えて、癒しを求めて臨時休暇という名目で列車を飛び出したナナシビト。果てのない宇宙へバカンスにでも行こうと意気込んでいたら、銀河を爆速で飛行する『光るタケノコ』に宇宙船が狙撃された一般通過転生宇宙人のお話。▼


総合評価:7926/評価:8.91/連載:16話/更新日時:2026年06月05日(金) 10:00 小説情報


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