Go!プリンセスプリキュア!inディスダーク   作:アニアス

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第一話

全寮性の学校『ノーブル学園』

この学園を卒業した生徒たちの多くはスポーツ選手やスイーツ職人など自分の夢を叶えている。

まさに夢が叶う学校である。

 

そんな学園に最近妙な噂が立っていた。

何でも謎の怪物たちを退治して学園を守っているお姫様たちがいると。

 

 

昼休み、柔道部などの部活動生たちが中庭で走り込みの練習をしている中、校舎のベランダからそれを見下ろしている人物がいた。

 

「クソッ!プリンセスプリキュアめ!3人目を見つけられる前にどうにかしねえと!」

 

黒い髪にロックミュージシャンのような服を着こなした彼の名は『クローズ』

世界を絶望で呑み込もうとする組織『ディスダーク』の幹部の1人である彼は窮地に追い込まれていた。

かつてディスダークの野望を食い止めた3人の戦士『プリンセスプリキュア』の復活を阻止するために動いていたが、その復活を2人も許してしまうという失態を犯してしまった。

このような結果を自分の主人であるディスダークの女王『ディスピア』に報告できる訳もなく今に至るのである。

せめて3人目のプリキュアの復活だけは阻止しなければと焦っていた時だった。

 

「ほう、最近姿を見せなかったのはそういうことか」

「!?」

 

不意に後ろから聞き覚えのある声が聞こえたクローズがバッと振り向くと、高い所に白い帽子を被り黒い薔薇を手に持ち顔に化粧を施している金髪の男が座っていた。

 

「テメェ…!シャット!」

 

金髪の男が現れたことによりクローズは顔をしかめてしまう。

 

金髪の男の名は『シャット』

ディスダークの幹部の1人でクローズと同じようにプリンセスプリキュアの復活を阻止するために動いていたが、最近クローズを見かけなかったことに不信感を抱き探していたのであった。

 

高い所からクローズの前へ飛び降りたシャットは目付きを鋭くし黒い薔薇を向けた。

 

「我らを脅かすプリキュア。その復活を許すとは…これはディスピア様にお伝えする、のみ!」

「クッ!?」

 

クローズが2人のプリキュアの復活を阻止できなかったことを知ったシャットは主人であるディスピアに知らせると宣言すると、クローズは焦ってしまう。

 

2人の間にピリピリと空気が張り積めていく時だった。

 

「シャット様!見てくださいよアレ!」

 

突如2人の耳に聞き覚えのある声が聞こえその方向へ顔を向けると、いつの間に来たのか1人の少女がベランダの手すりから身を乗り出し中庭の方を指差していた。

 

少女は緑色の短髪を携えており肌の色は青白く鼠がモチーフとなっている灰色のフード付きのコートを羽織っており女子らしからぬ雰囲気を漂わせていた。

 

何事かと思いシャットは少女の隣に立ち指を差している方向へ視線を向けると、

 

「目指せ!金メダル!目指せ!金メダル!」

 

柔道部員の1人が木に帯を結んでそれを背負い投げのように引っ張り練習をしていた。

 

「あんなに必死に練習してるってことは、きっとデカイ夢ですよ。あれならより強力なゼツボーグが生まれますよ!」

「…確かに、中々の夢の持ち主だな。目の付け所がいいぞリンダよ。これは閉じ込めるのみ!」

 

灰色のフードの少女の名は『リンダ』

ディスダークのメンバーの1人でシャットの側近を務めており常に二人一組で行動している。

ディスダークの知将と言われる程頭の回転がよく、ディスピアからも一目置く程である。

 

リンダの発言から柔道部員を利用できそうだと思ったシャットはリンダを褒めて行動に移そうとする。

 

「抜け駆けすんのかテメェら!?」

 

そんな2人の行動にクローズは思わず反発してしまい阻止しようとする。

 

「ディスピア様に黙っててほしいならここは我らに譲るのみ。違うか?」

 

しかしクローズの弱みを握っているシャットはそれを武器にし半ば脅しで引かせようとする。

 

「チッ!勝手にしろ!」

 

自分の失態をディスピアに知られたらどうなるか分かったものではないため、クローズは悔しがりながら鍵穴の黒い空間を開きその中へ入りこの場から立ち去って行った。

 

「…シャット様って、クローズ様のこと嫌いなんですか?」

「そういう訳ではない。私はただ、失態を犯したクローズを咎めているのみ…さて」

 

クローズが撤退したことを確認したシャットは気を取り直して行動を起こした。

 

「さぁ!貴方の夢を見せなさい!」

 

その言葉と共にシャットの目が光り柔道部員の夢を除き込んだ。

 

『金メダルだー!』

 

その夢は案の定と言うべきか、柔道の大会で金メダルを取るということだった。

 

「その夢、絶望の檻に閉じ込めるのみ!シャット・ユア・ドリーム!」

 

するとシャットの胸元の黒い錠前が勢いよく飛び出した。

 

「行きなさい!ゼツボーグ!!」

 

その錠前は手足を出すように周囲が展開して柔道部員の夢を閉じ込めた。

そしてその影響により、錠前が顔になっている柔道着を来た大きな怪物が誕生した。

 

この怪物は『ゼツボーグ』

人の夢を絶望の檻に閉じ込めることにより生み出される怪物である。

 

「結構強そうですよ!これなら絶対いけますよ!」

「当然!さぁ来なさい!プリキュア!」

 

誕生したゼツボーグを見てシャットとリンダは邪悪な笑みを浮かべてプリキュアを倒すべく動き出したのだった。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「キャー!」

「うわぁー!」

「逃げろー!」

 

「ゼツボーグ!」

 

ノーブル学園の生徒たちは突如現れ暴れているゼツボーグから必死に逃げていた。

 

「あぁっ!?」

 

すると逃げていた生徒たちの中の1人、風紀委員長の『如月れいこ』がその場に転んで逃げ遅れてしまう。

 

「ゼーツ!」

 

それをゼツボーグが見逃す訳がなく捕まえようとれいこ目掛けて手を伸ばす。

このままでは捕まってしまうとれいこが目を瞑った時だった。

 

「やぁぁぁ!」

 

何処から途もなく金髪の長髪に桃色を基準とした花をイメージさせるドレスを身に纏っている少女がれいこから怪物を守るように拳を突き出して吹き飛ばした。

更にそこへ駆けつけるように水色のポニーテールで水色を基準とした海をイメージさせるセパレート衣装を身に纏っている少女が現れる。

 

彼女たちこそ、夢を守ると言われている伝説の戦士でディスダークと戦っている『プリンセスプリキュア』である。

『キュアフローラ』ことノーブル学園の1年生『春野はるか』と『キュアマーメイド』こと学園のプリンセスと呼ばれているノーブル学園生徒会長『海藤みなみ』はプリンセスの力を引き継ぎディスダークと闘うことを決心しているのである。

 

「冷たい檻に閉ざされた夢、返していただけますわ。お覚悟はよろしくて?」

 

フローラがいつものように決め台詞を言うと、唖然となっているれいこの前にピンクの毛並みの子犬が現れた。

 

この子犬は『パフ』と言い、ディスダークに支配されたホープキングダムから逃げてきた妖精の生き残りではるかたちにプリキュアの力を与えるきっかけを作ったのである。

 

「この犬は…!」

「その子に着いて逃げて」

「えっ?」

「早く!」

 

フローラとマーメイドから強く言われ立ち上がったれいこはパフと共にその場から逃げていった。

れいことパフが逃げたことを確認したフローラとマーメイドはゼツボーグと対峙すると、2人の目の前にシャットが降り立った。

 

「あなた達がプリンセスプリキュアですか…ふむ、確かに麗しい」

「誰…?」

「三銃士の1人!シャットロマ!」

 

シャットと初めて相見えたフローラたちが動揺しているとパフと同じ立場の紫の毛並みのインコの妖精『アロマ』が説明をする。

 

「ご紹介感謝するのみ。我が主ディスピア様のため、プリキュアには消えてもらうのみ!ゼツボーグ!」

「ゼツボーグ!」

 

シャットが命令を下すとゼツボーグはフローラたちに襲いかかるも避けられてしまう。

 

「たぁ!」

 

避けたと同時にフローラは飛び上がりゼツボーグの顔に何発もパンチを繰り出すも堪える様子が無く逆に捕まってしまう。

その後ろからマーメイドがキックを繰り出しゼツボーグの手が開きフローラは解放される。

再びフローラを捕まえようとゼツボーグが手を伸ばすと、それをフローラが避け逆に両手で掴むと、

 

「うぉりゃぁぁ!!」

 

何とゼツボーグを背負い投げをするように投げ飛ばした。

 

「はぁ!」

 

更にゼツボーグが投げ飛ばされた方向へ待機していたマーメイドが追い討ちをかけるように蹴り飛ばした。

 

「見事な連携ロマ!」

 

互いがピンチに追い込まれた時は即座に助け、チャンスの時は逃さずものにするフローラとマーメイドのプレーにアロマは絶賛する。

 

「流石は伝説の戦士プリキュア、しかしまだまだ。立て!ゼツボーグ!」

「ゼツボーグ!」

 

プリキュアの力にシャットは感心するも大したことはないと言わんばかりにゼツボーグに呼び掛けると、ゼツボーグは何事もなかったように立ち上がる。

 

意外とタフなゼツボーグにフローラとマーメイドが再び向かっていくと、シャットがあることに気がつき辺りを見渡す。

 

「そういえば、リンダはどこへ行ったのだ…?」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

一方その頃、ゼツボーグが現れた場所から逃げていたパフとれいこは立ち止まり呼吸を整えていた。

 

「ここまで来れば…!」

 

いまだに状況が把握できていないれいこであるが、遠い距離を走ったため、あの怪物は追って来れないだろうと安心していた。

自分を助けてくれたあの2人はどうなっているのだろうと後ろを振り向いた時だった。

 

「あぁ、確かにここまで来れば誰の邪魔も入んねぇな」

「!?」

 

突然誰かの声が聞こえ辺りを見渡すと、木の陰からシャットの側近のリンダが現れた。

突如現れたリンダにれいこが戸惑ってしまうがパフは唸りながらリンダを睨みつけている。

 

何故リンダがここにいるのかというと、本当はシャットと共に現れてプリキュアの相手をするつもりだったがパフが逃げていったのを目撃したため、まずはそっちから始末しようと追いかけたのである。

 

「お前ら妖精を放っておくと3人目のプリンセスプリキュアが復活しちまうかもしれねぇからなぁ。プリキュアの前に潰しておこうと思ってよ」

 

パフたち妖精がプリキュアが復活するきっかけを与えているためその根から叩こうとリンダがコートの背中の中へ手を伸ばすとそこから鉄パイプを抜いた。

 

「そこの人間ごと始末してやらぁ!!」

 

そしてリンダは飛び上がり鉄パイプを両手で握りしめパフとれいこ目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

場所は戻り、フローラとマーメイドがゼツボーグと闘っていると、向こうから衝撃音が響き渡った。

 

「何!?」

 

突然のことにフローラとマーメイドは何事かと思いその方向へ振り向いてしまう。

 

「あの方向は確か、妖精が逃げていった………そうか!リンダは妖精を始末しに向かったのだな!流石は我が側近!」

「ッ!?まさか他にも仲間が!?」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「あぁ!?」

「パフゥ!?」

 

衝撃音が発生した場所では、辛うじてリンダの攻撃を避けたれいことパフがその場に倒れていた。

リンダが鉄パイプを振り下ろした地面が大きく亀裂が入っており、とてつもない威力であることを物語っている。

 

「ったく、ちょこまかと逃げやがって…次は外さねぇぞ」

 

初手を外してしまったもののリンダは余裕の笑みで鉄パイプを肩に担ぎ確実にれいことパフを始末しようと歩き出す。

 

もうダメだとれいこが諦めた時だった。

 

「パフゥーーー!」

 

パフが立ち上がりリンダに目掛けて体当たりをするも体格差で負けて跳ね返されてしまう。

 

「あなた…!」

「…何のマネだ?」

 

突然のパフの行動にれいことリンダは理解できないも、パフは再び立ち上がりリンダへ体当たりをする。

体当たりをしては吹き飛ばされ、再び体当たりをして吹き飛ばされてとその繰り返し。

何度も同じ事を繰り返すパフの姿にれいこはようやく理解した。

 

「まさか…私を、助けようとしてくれてるの…?」

 

敵わないと分かっていても、自分がボロボロになっても、怖くて逃げ出したくても、れいこを守るためにパフは何度もリンダに体当たりをする。

 

「テメェ…いい加減にしやがれぇ!」

「パフゥ~!?」

 

何度も同じ事を繰り返すパフにとうとうリンダは怒りを露にしてパフを蹴り飛ばすと2、3回バウンドをして倒れてしまう。

それでも立ち上がろうとするパフの頭をリンダは無慈悲に踏みつける。

 

「パフッ!?」

「テメェみたいなヤツのことを何て言うか知ってるか?無駄な足掻きって言うんだよ!」

 

パフの勇気ある行動を嘲笑い、見下しながらリンダはパフの頭をグリグリと踏みつける。

 

その光景を見ていたれいこは、

 

「もうやめてぇーーー!!」

「なっ!?」

 

立ち上がってリンダに掴みかかりパフから足を退かそうとした。

自分のためにボロボロになってまで助けようとしたパフを見捨てることができないれいこはパフを助けるべく勇気を振り絞ったのである。

 

「このっ…!邪魔だ!」

「あぁっ!?」

 

しかしリンダの腕力に勝てず振り払われてしまったれいこはその拍子にその場に倒れ込んでしまう。

 

「次から次へと邪魔しやがって…!いいぜ、そんなに消されたいならテメェから始末してやる…」

 

流石にリンダもイライラがMAXを越えており妖精の始末を邪魔したれいこから始末しようとパフから足を退かしてれいこの前に立つ。

れいこを助けるべくパフが立ち上がろうとするもボロボロのため立ち上がることができない。

 

リンダは歯を見せながら邪悪な笑みを浮かべて鉄パイプを振り上げる。

 

「まずはその顔に傷をつけてやらぁ!!」

 

そして勢いよく鉄パイプをれいこ目掛けて振り下ろした。

 

流石にもうダメだと悟ったれいこは思わず目を瞑った。

 

「………?」

 

しかし、いつまで経っても衝撃がまったく起きずどうなっているのだろうと恐る恐る目を開けると、

 

 

 

「ぐぬぬぬ~…!」

「な、何ぃ!?」

 

 

 

先程怪物から助けてくれた少女のフローラがれいこの前に立っており、頭の腕で両腕をクロスさせてリンダが振り下ろした鉄パイプを受け止めていた。

 

「はぁ!」

「うぉっ!?」

 

突然現れたフローラに驚くリンダに駆けつけたマーメイドがキックを繰り出すも、リンダは咄嗟に鉄パイプでガードして後ろへと仰け反った。

 

「テ、テメェら!何でここに!?シャット様の相手をしてた筈じゃ!?」

「貴方たちの考えることはお見通しよ!」

 

こっちの衝撃音に胸騒ぎを感じたフローラたちはシャットとゼツボーグを後回しにして駆けつけたのだった。

まさかゼツボーグを後回しにするなど予測できなかったリンダは悔しそうにフローラとマーメイドを睨みつける。

 

「リンダ、妖精相手に何を手こずっている?」

 

そこへフローラたちを追いかけてきたシャットがゼツボーグを連れて現れた。

 

「も、申し訳ありませんシャット様!」

「ふん、まぁいい。今やるべきことは、プリンセスプリキュアを叩くことのみ!ゼツボーグ!」

「ゼツボーグ!」

 

パフを仕留められていないリンダにシャットは呆れるも今はプリキュアを倒すことを最優先としてゼツボーグに命令を下す。

 

「チィ!ディスダークの知将と呼ばれるこのリンダ様の力を見せてやらぁ!」

 

それに続きリンダも名誉挽回のために鉄パイプを構え直してフローラたちと対峙する。

 

「フローラ、貴女はゼツボーグをお願い。彼女の相手は私がするわ」

「分かりました!」

 

マーメイドから言われてフローラはゼツボーグの相手をするべく向かっていく。

 

「いいのかよ?2人ががりで攻めりゃあ勝てるかもしれねぇのによぉ…まぁどっちにしろ、同じ結果だけどなぁ!」

 

自分と対峙するマーメイドにリンダは邪悪な笑みを浮かべながら鉄パイプを握りしめて突っ込んで行った。

右、左、上、下からと様々な箇所から鉄パイプを振り回すもマーメイドは華麗なステップで避けていく。

 

「チッ!やっぱ一筋縄じゃいかねぇか…!だったらコイツはどうだ!?」

 

一向に攻撃が当たらないことにイラつくも一旦マーメイドから距離を取ったリンダは側に置かれているベンチ目掛けて鉄パイプを当ててマーメイドへと打ち飛ばした。

当然この攻撃もバックステップをして避けて着地をした時だった。

 

「もらったぁ!」

「はっ!?」

 

着地したと同時にいつの間にかリンダが目の前におりマーメイド目掛けて鉄パイプを振り下ろそうとしていた。

これは流石に避けきることができず先程のフローラのように頭上で腕をクロスして鉄パイプを受け止める。

 

「障害物が飛んで来たらやっぱそれに気を取られるよなぁ?」

 

ベンチはマーメイドに当てるためではなく自分から意識を瞬間的に逸らすためのものでありその隙をリンダは逃さなかったのである。

正に頭の回転がキレる者でなければできない戦法である。

 

「このまま押しきらせてもらうぜ…!」

「くっ………!」

 

ジリジリと力が増していく鉄パイプを苦い表情で押し返そうとするマーメイド。

しかし徐々に押されてしまいついに膝をついてしまう。

 

このまま力で捩じ伏せようとリンダが更に力を強めようとした時だった。

 

「パフゥー!」

「パフ!?」

「わぷっ!?なんだぁ!?」

 

後ろにいたパフがマーメイドの肩に飛び乗りそのままリンダの顔目掛けて飛びついていった。

突然視界を遮られたリンダは思わず鉄パイプを手から離してしまう。

 

「離れろコイツ…!」

 

顔にしがみついているパフを両手で掴み剥がそうとするリンダであるが中々離れない。

その隙をマーメイドは見逃さなかった。

 

「ハァッ!」

「グフゥ!?」

 

鋭いキックをリンダの腹部目掛けて繰り出し、後方へ蹴り飛ばす。

 

「パフゥ~!」

「あっ…!」

 

その拍子にパフはリンダの顔から離れたが宙高く飛ばされてしまう。

それを見たれいこは思わず走りだし落ちていくパフを見事にキャッチした。

元々犬嫌いの彼女であるがボロボロになってまで自分を助けれくれたパフを見捨てることなどできなかったのである。

 

「パフ…」

「…無事でよかった」

 

両腕の中でこちらに笑顔を向けるパフを見てれいこは安堵する。

 

「クソがぁ…!嘗めやがってぇ…!」

 

あと少しでマーメイドを仕留められそうだったにも拘わらずパフに妨害されたリンダは起き上がりながら鉄パイプを拾い怒りを露にする。

 

それを迎え撃つべくマーメイドが身構えた時、リンダの側にシャットが降り立った。

 

「リンダ、ここは引くぞ」

「な、何でですか!?まだやれますよ!」

「ゼツボーグがやられた。ならば撤退するのみ」

「はぁ!?」

 

シャットの言葉にリンダがゼツボーグの方を見ると、既にゼツボーグがフローラに浄化されていた。

強力なゼツボーグを生み出したというのにあっさり倒されてしまったためリンダは苦虫を噛み潰した顔になってしまう。

 

「分かったのならば行くぞ」

 

引き際を見極めたシャットは黒い鍵穴のゲートを開き撤退していった。

それに乗じてリンダもゲートを開き入ろうとした時、マーメイドの方を振り向いて指を差した。

 

「これで終わりだと思うなよ!次会った時は覚悟しやがれ!」

 

そう言い残したリンダは今度こそ撤退するのであった。

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