私のステータスプレートがオカシイ 作:お試し匿名
オルクス大迷宮、それは七大迷宮と呼ばれるダンジョンで、浅いところならレベル上げにうってつけ、とのこと。
ちなみに最高記録は地下65層……いったいどこまで続いているのやら。
(うーん、全然怖くない)
体感としてついさっきまでもっと凶悪なモノを見てしまったせいで、目の前の魔獣が可愛く見えてしまっていた。
とはいえそれは比べる相手がオカシイのであって、探索者である灯にとって脅威なのに間違いはない。
(っと、そうだポイントを能力に振り分けとこ……あれ?)
能力値や技能値等に振り分けられるという贈呈ポイント。
成長と同じ扱いらしいそれを、試しにSTRに振ろうとして注意が起こった。
―※水面灯のSIZでは12までしか振れません。
―※水面灯のSIZは変更できません。
―※恒久的に効果が適用されるのは
(えぇぇぇ!?四つ以外ダメなの!?それに最大値は……ぁ)
思い出したのは贈呈ポイントを得た際のこと。
限界値が技能が90、能力値が18と言われたが、
(うぅAPPも不可……つまり外見の大きな変更は出来ないってこと?EDUは学んで来たことだからまぁ分からなくもないけど)
クラスメイトが名簿順に呼ばれて魔物の相手をする中、自分にしか見えてないらしいステータス画面をポチポチしていく。
意外なのは、DEXが最大まで振れたことだ。
(回避とかにマイナス補正が入るって話だったけど、TRPGだとDEXって器用とかも含まれてるからかな?)
STRは文字通り筋力、CONは体力や健康状態、SIZは体格、INTは学習能力や記憶力といった知性、POWは精神力でMPに関わってくる、DEXは機敏に体を動かせるかという敏捷性、APPは外見の良さ、EDUは教育されたことなどの身についている知識。
総合的に見て、灯の能力値はかなり良い。
(CONとか元水泳部だった頃の名残だろうなぁ。故障してからは勉強する時間が増えたし、次に怪我した時や誰かが怪我した時の為に手当の仕方をしっかり学び直したのもあるかも?)
外見の良さは、まぁそれなりに告白された経験があるため成程なぁといった具合。
ともかく能力値を上げると、こうなった。
STR 9→12
CON 14→18
POW 14→18
DEX 6→18
APP 15
SIZ 9
INT 11
EDU 14
合計消費23P
残83P
そして、上げ終わった後に新しいメッセージが届いた。
―※「幸運」の値が上限に達したことを確認
―※「幸運・ポイント消費」によるダイス値の変動ルールを解禁します
―※このルールはダイス結果クリティカル及びファンブル域の値を変動させることは出来ません。6~95以内の変更となります。
(これ、確か7版のやつだっけ?)
ダイス目で失敗した場合に「幸運」の値を消費することで成功にさせることが出来るルールのこと。
今までが6版と呼ばれる表記であったため、少し驚きながらポイントの振り分けを改めて考え直すことになる。
(攻撃系の技能取ろうと思ったけど、消費に使えるなら話が変わるなぁ)
欲しいのは投擲とマーシャルアーツと言われる格闘技に関する技能。
しかし、もしもの時を考えればポイントを残しておいたほうが良い理由が増えてしまった。
暫く考え、「投擲」の値を弄ることにした。
投擲(25)→50
残58P
(本当は回避とか欲しいけど、マイナス補正あるならほぼ意味ないし)
格闘系の技能も同じ理由で却下。
銃火器があればいいのだが、この世界の武器は主に刀剣とか弓とかだ。
魔力で強化し技能でぶっ放せるため、火薬を使った高威力武装が開発され難いのだろう。
「次!水面灯!」
「あ、はーい」
(さて、わたしの
渡されたナイフを投擲してみると…―。
―投擲(50)73
一度目は失敗、地面に突き刺さってしまった。
メルドさんからは「筋は良い、落ち着いてやれ」と応援してもらいつつもう一投。
―投擲(50)2
今度はクリティカル!わがままを言えば普通にやってどうなるかを試したかったナイフは見事魔物の眉間に突き刺さって絶命した。
(あれ、ネキネキ、ダメージダイスは?)
―ゲーム脳すぎでは?
(辛辣ぅ!?)
―武装の攻撃が通じれば通じます、武装による攻撃はそういうことです。
(あ、はい。丁寧にありがとうございます)
余りにごもっともな説明を受け、思わず脳内でペコリと頭を下げるイメージをしてしまった。
メタ的なことを言うと、世界観の違う攻撃のダメージ試算はするだけ無駄、ということだろう。
そもそもHP表記があるのは灯だけだったのを、今更ながらに思い出した。
(となると、クリティカル効果は弱所に必中?装甲無視とか選べるのかは、まぁ分かんないか)
装甲を持つ魔物が出てくる場所まで行くことは無いため、適当に想像だけして魔物を倒していく。
そして、ついにLvが上がる時が来た。
目の前に灯にしか見えない半透明のウィンドウが現れる。
―初のレベルアップおめでとうございます!ボーナスとして(1D10)1P贈呈します!
―LvUP報酬として(1D5)2P贈呈します。残61
―Lv2 になったことを確認しました。ポイントを消費することで『魔術』を会得することが可能です。
(魔術?って多い多い!!)
新しいタブをクリックすると、ずらっと出てくる魔術のタイトルと大雑把な効果の数々。
―推奨しますか?YES/NO
(イエスイエスイエース!)
―推奨魔術(※能力のMP・SAN消費は贈呈ポイントでも一部まかなうことが可能です)
・癒し(傷の治癒促進の最大効率化/消費P1)
・魔力を付与する(物質に対し魔力を装填・強化する/消費P5)
・肉体の保護(MPとSANを任意消費することで纏える不可視の鎧/消費P5)
・被害を逸らす(MP消費により攻撃を別方向へそらす/消費P8)
・幽体の刃(MP及びSAN消費することによって不可視の刃/消費P10)
(おぉ~~~!攻撃魔法って感じ!……ん?)
下へスクロールしていくと、そこには習得済となっている魔術が載っていた。
・■■■■■■■■(招■・■■済)
・従僕召喚(シャンタク鳥、忌まわしき狩人、外なる神の従者のMP10消費による召喚及び使役権
(…………見なかったことにしよう)
―リアルアイデアの成功を確認しました。SANチェックです
(うわぁん!容赦ないねぇ!)
―SANチェック(64)76
―(1D3)2―62
薄々感じていたことだが、灯は自分が召喚された際、とある邪神もしくはナニカの眷属と思われる存在と一緒に来てしまったらしい。
背筋に怖気を感じつつ、こうなりゃヤケだと自分を鼓舞して推奨魔術をポチポチ習得していった。
(これで、残りのポイントは32……アビーちゃんに助けられてなかったら、こんなに覚えられなかったなぁ)
あの場所での出来事にこんな風に感謝することになるとは思わず、感慨深く感謝の念を神秘的な少女に送りつつ、着実にレベルを上げていった。
戦闘職ではないので、その上り幅はゆっくりなモノだったが。
Lv2→Lv5
(1D5)5
(1D5)5
(1D5)4
残46P
順調に20階層程潜った頃、檜山というクラスメイトが「香織の為に」という理由で宝石を取ろうとして罠にかかった。
彼は軽薄で不良な方だったが、あんな軽率で分かりやすく白崎香織に接していただろうか?
そんな疑問を解消する間もなく、地面が光り輝く。
「これは――」
それは、転移魔法陣の光。
日本から喚び出された際にも見たモノだった。
「どこだ、ここは」
「石橋の上…?」
クラスメイトと騎士たちがそろってもまだ余裕がある大きな石橋。
両端は底が見えない崖であり、目の前には黒い魔法陣――そこから、4本足に大きな二本角を持つ、巨躯の真っ黒い魔獣が現れた。
「反対側へ逃げろ!!アレは恐らくベヒモス!!65階層まで潜った猛者でも歯が立たなかったバケモノだ!!」
メルドの怒号にも似た強い指示に走り出すクラスメイト達。
だが、反対からも黒い魔法陣から骸骨兵の群れが現れ、挟まれてしまう。
(どうしよう……どうしようっ)
戦闘職ではない自分は前に出られない。
あの骸骨兵相手に突撃している騎士やクラスメイト達を巻き込まないように魔術を打ち込める気はしない。
かといって、目の前のバケモノを相手にするには圧倒的に火力不足。
混沌とするこの局面で、灯は右往左往とするただの少女になっていた。
彼の行動を、見るまで。
「――みんなを救えるのは君しかいないんだ!!」
聞いたことの無い彼の、南雲ハジメの強い声。
いつもこんな風に自分から発言することの無かった彼は、ベヒモス相手に無謀な戦いを挑もうとしていた天之河を説得していた。
目の前のベヒモスじゃなく、皆と一緒に退路を確保してほしい、と。
「南雲…」
「この状況を切り抜けるには強いリーダーが必要なんだ!前ばかりじゃなくて、後ろもちゃんと見て!!」
「だが、奴はどうする!?」
そう、騎士たちのリーダーであるメルドには悪いが、彼一人で抑えられる相手ではない。
天之河が考えなしの特攻だったとしても、その
「僕に考えがある」
彼は、南雲ハジメは水面灯以上に酷い状態での召喚だった。
高いステータスは無く、技能もありふれたもので、特別なモノなんてなにも、無い筈なのに。
彼は、ベヒモスという巨躯の怪物相手に時間稼ぎを買って出た。
(どうして)
メルドが一撃凌ぎ稼いだ隙を見て、石橋へ錬成を行いその四肢を拘束する。
幸いこの石橋は質量が大きく、材質は簡単でただ抑えるだけなら彼でも出来た。
(なんで)
だが、彼の貧弱なステータスと練度の低い
なのに、彼は錬成の効果範囲の都合からバケモノの目の前まで行って『錬成』している。
(そんなに、強いの?)
この時、初めて水面灯は南雲ハジメという人間の本質を知った。
出来ることを模索し、やれることをやる。その、なんと難しいことか。
「わた、しも――」
脚を壊した時、絶望した。好きだった水泳が出来なくて悲しくて仕方がなかった。
でも、病院のお医者様が、家族が、友達が優しくしてくれたお陰で前を向けた。
灯は誰かが居なかったら行動できず、いつまでも悲観に暮れていた自信があった。
南雲ハジメの様に、自発的な行動で局面を変えたことなど、無い。それはつい先日アビゲイルに助けてもらった時もそう。
わたしも、できるだろうか
それは言葉ではなく、想いだった。
自分で出来ることを自分から行いたい、右往左往しているだけではダメだと。
(魔術、ネキ、拘束系魔術ある?!)
―推奨魔術『手足の萎縮(10m以内を対象にして指定の手足一つを持続的に攻撃・脆弱化させる。対象の強靭に比例してMP消費)/消費P10』
(会得!)―残36P
脳裏に駆け巡る呪文と効果の詳細を精査する間もなく、駆け出す。
ベヒモスが巨大なだけあり、10m以内となると最早目の前同然だった。
「水面さん!?」
「私も手伝うよ!」
手をかざし、魔力を――MPを消費する。
相手との力量差があまりにも大きく、MPが
同時にベヒモスの右前足が脆弱化。ハジメの拘束から逃れようと藻掻き、
これで四肢を抑えていたハジメの負担が3/4になる。
今度はポイント消費で魔術を放とうとして、背後から声がかかる。
「準備が出来たぞ!!こっちへ走れ!!」
「っ行こう!」
「うん!」
上がったDEXとローラーシューズの補助がある分、灯の方が前へ出ることになった。
走る二人を避けるようにして、魔法が放たれベヒモスを削っていく。
このままなら自分たちも逃げられる、そう思った時――時が止まった。
―目星をどうぞ
(え?)
―目星(74)88
唐突なダイスロールに戸惑い、灯は何も気づくことは無かった。
次の瞬間、背後……ハジメの悲鳴が聞こえた。
「うわぁあ!?」
「南雲くん!?」
器用になった
魔法の誤爆だろうか、食らったハジメはのけぞって足が止まってしまっていた。
「っ」
振り向いたままハジメの元へ向かい、―DEX*5(90)34―彼の手を取って立ち上がらせた。
「急いで、まだ」
『GYAAAAAAAAAAAAA!!!!!!』
間に合う、そう告げた言葉はベヒモスの雄叫びに搔き消される。
ベヒモスの巨躯が、ハジメの錬成で消費した分脆くなった石橋を叩き壊し――。
―幸運(90/2)99
その破壊は、ハジメと灯の足元まで伝播した。
足場は崩れていき、途中で噴き出た氷に阻まれ繋いでいたハジメの手は離れ、二人は底へ落ちていく。
◆
技能成長
『投擲(50)75→(1D10)1』(51)
作者は八百長していません、今一番頭を抱えているのは私です……なんで一緒に落ちてるの???失敗のことも想定して私は幸運消費を追加したんですよ???
脳内にダイスロールを提示してくるネキの名前を決めてみよう
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脳内ネキ
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ナビネキ
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ダイスネキ
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お姉ちゃん
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そこに命名表があるじゃろ?