イヴちゃんとの一件があった翌日
俺はそこそこ元気に学校に行った
憑き物が取れたと言うのが正しいのかな
思った以上に心が軽くなった
イヴ「__お待たせしました!ブレンドコーヒーとチョコレートケーキです!」
そんな今日、俺は羽沢珈琲店に足を運んでる
いつも通りのコーヒーの香り
可愛らしい2人の店員さん達
やっぱり、ここはいい店だ
環那「ありがとう。」
イヴ「はい!ごゆっくり!......と、言いたいのですが。」
環那「?」
コーヒーとケーキをテーブルに置いた後
イヴちゃんはそう言って、笑みを浮かべた
イヴ「少しご一緒していいですか?」
環那「あー、そういう事。別にいいよ。」
イヴ「ありがとうございます!それでは、失礼しますね!」
そう言い、イヴちゃんは俺の前に座った
ここで相席するのは2回目かな
あの時は珍しくお悩み解決みたいな事してたけど
環那「イヴちゃんも何か頼む?」
イヴ「お構いなく!」
環那「まぁ、そう言わずに。もろもろのお詫びの意味も込めてさ。」
イヴ「そうですか?なら、カンナさんと同じものを!」
環那「オッケー。つぐちゃん!同じのもう1セットちょうだい!」
つぐみ「かしこまりました!」
つぐちゃんに注文をして
俺はコーヒーに口をつけた
相変わらず、すごく美味しい
イヴ「そう言えば、カンナさんは聞いていますか?」
環那「ん?何の話?」
イヴ「体育祭と文化祭のことです!」
環那「え、なんのこと?」
それについての話は聞いたこと無いな
理事長のやつ、そう言うのは報告しろって言ったのに
これはお仕置きが必要かな
イヴ「今回、体育祭と文化祭を羽丘と花咲川で合同ですることになってるんです!」
環那「へぇ、それは面白そうだね。それは日菜ちゃん発案?」
イヴ「いえ、リンコさんです!」
環那「!?」
燐子ちゃん!?
い、意外過ぎる......
絶対に日菜ちゃんだと思った
環那「合同で行事をする何て、思い切ったねぇ。」
イヴ「私はとっても嬉しいです!カンナさんと思い出を作れますし!」
環那「あはは、そっか。(う、うわぁ、昨日のうちに解決しててよかったぁ......)」
ほんっとにギリギリだったよ
もうちょっとでイヴちゃんが大変な事になってた
か、間一髪すぎる......
環那「それにしても、体育祭かー。」
イヴ「カンナさんは今までに何か思い出はありますか?」
環那「んー、どうだろ。あんまり思いつかないかな。」
小学校の時の運動会はどうでもよかったし
なんか適当に走って、お遊戯してとかの記憶はある
けど、思い出って程じゃない
環那「......あれ?マジで俺、小学校と中1、何してたっけ?」
イヴ「えぇ!?覚えてないんですか!?」
環那「どうでも良すぎて、つい。」
イヴ「さ、流石はカンナさんですね。」
俺自身もそう思う
普通はある程度覚えてるものだけどね
ここまで覚えてないのはちょっと......やばいね
環那「こ、今回は真面目に頑張るよ。折角だし。」
イヴ「カンナさんの本気ですか!それは楽しみです!」
環那「そんなに大したことないよ。」
イヴ「いえ、カンナさんはすごいと聞いています!」
環那「誰に?」
イヴ「リンコさんです!」
環那「またしても!?」
今日、よく出て来るね
しかも、なんで俺について話してるの?
てか、イヴちゃんと学校で話すの?
イヴ「カンナさんはクマやイノシシから走って逃げきったと聞きました!」
環那「いや、あれは火事場のバカ力みたいなものなんだけど......」
今思えば、よく生き残れたよね
あんな状況、死んでもおかしくなかったのに
イヴ「カンナさんは凄いです!チョウジンです!」
環那「普通の人がいいなぁ。」
俺はそう言い、苦笑いをした
ほんと、この子は可愛いな
こんなに話してて楽しい子はそうそういないでしょ
つぐみ「おまたせしました!ブレンドコーヒーとチョコレートケーキです!」
環那「あ、来た来た。」
イヴ「ありがとうございます!ツグミさん!」
つぐみ「いいんだよ!ごゆっくり、ね!」
イヴ「!///」
環那「あっ。(気付いてるね、つぐちゃん。)」
つぐちゃんは俺とイヴちゃんをニヤニヤしながら見て
そそくさと奥に下がって行った
イヴちゃんはそれを見て恥ずかしがってるのか
顔が真っ赤になって、ワタワタしてる
イヴ「あ、あうあう......!///」
環那「あはは、流石は羽沢珈琲の看板娘だね。」
イヴ「恥ずかしいです......///まさか、気付かれていたなんて......///」
まぁ、あの様子的に少し前から気付いてただろうね
あくまで予想だけど
イヴ「......こうなったら!開き直ります!///」
環那「え?」
イヴ「カンナさん!///」
環那「は、はい。」
つぐちゃんが下がった後
イヴちゃんは大声を上げて
自分のケーキをフォークで一口サイズに切り分け、それを差し出して来た
イヴ「あ、あーん///」
環那「開き直るって、そういうこと?」
イヴ「は、早くしてください///恥ずかしい、ので///」
環那「あ、あー、うん。いただきます。」
そう言って、俺はイヴちゃんのケーキを食べた
同じケーキのはずなのに、それはすごく甘く感じて
胸の内が、ほっと温かくなった気がした
......視界の端に覗いてるつぐちゃんが見えたけど
これは、イヴちゃんには言わないでおこう
__________________
翌日、俺はいつも通り学校に来た
けど、周りはいつもと様子が違う
どこか浮かれてて、うるさい
リサ「かーんな☆」
友希那「おはよう、環那。エマも。」
環那「おはよー。」
エマ「おはよ。」
しばらく机に突っ伏してると、2人が登校してきた
2人とも、いつも通り可愛いなぁ
てか、俺の周りにいる女の子って皆かわいいよね(自慢)
リサ「ねぇねぇ!環那はもう決めた?」
環那「なんのことー?」
友希那「体育祭の種目よ。今日、決めるはずだけれど。」
環那「あー、それね。」
まぁ、近々あるとは思ってたよ?
でもさ、昨日の今日でとは思わないじゃん?
展開早くない?
エマ「お兄ちゃんは何に出る?」
環那「んー。なんでもいいかなー。」
けど、走るのが良いかな
複数人でする競技は得意じゃないし
リサ「環那は何出ても勝つだろうし、どれでも変わらないよねー。」
環那「そんなことないと思うけど。」
エマ「お兄ちゃんに運動能力で勝てる人類が存在するわけがない。」
環那「いや、そんな事はないと思うけど。」
まぁ、冗談はそこそこにしておいて
出るなら200m走あたりかな
出来る限り目立たないように終わらせたい
環那「まぁ、程々に頑張るよ。」
リサ「本気の環那、見てみたいけどねー。」
環那「機会があればねー。」
リサ「それ、永遠に来ない奴じゃん。」
友希那「ふふっ、そうね。」
本気かぁ
この先、出す機会あるのかなぁ
ない方がいいんだけどね、俺としては
__________________
と言う話をしてからのホームルーム
教壇には琴ちゃんと委員長が立って
黒板には体育祭の競技がつらつらと書かれてる
こうしてみると、結構あるんだね
琴葉「__それでは!これから体育祭の種目を決めたいと思います!目指すはもちろん優勝!自分が自信のある種目を選んでくださいね!」
暑苦しい
体育祭の優勝なんて、何の意味もないのに
どうしてあんなに張り切ってるんだか
琴葉「何か出たい種目がある人は手を挙げてくださーい!」
環那「へーい。」
琴葉「南宮君!」
環那「200m走でー。」
琴葉「いいですね!では、200m走1人目は南宮君で!」
はい、これで決まりー
後はテキトーに流そうか
優勝は他のメンバーに任せて
琴葉「あと、南宮君にはリレーにも出てもらいます!」
環那「......はい?」
琴葉「いいですよね?」
このアラサーちゃんは何言ってるの?
リレー?この俺が?
いやいや、ありえないでしょ
環那「なんで、リレー?」
琴葉「リレーは全種目で1番配点が高いんです!つまり、ここを勝てばぐっと優勝に近づきます!だから、勝てるメンバーで挑みたいんです!」
環那「えー......」
琴葉「どうしてそんなにやる気なさそうなんですか!体育祭ですよ!?青春ですよ!?」
熱い熱い熱い
教室の温度上がってるって
リサ「環那はなんでそんなにリレー嫌なわけ?」
環那「それは言うまでもないでしょ?」
リサ「うん、まぁ、分かるよ?(環那、なんだかんだでクラスのこと嫌いだしなぁ......)」
リサと友希那とエマならともかく
他の奴らと協力するのは難しい
ほんとに全く息が合う気がしない
琴葉「困りましたねぇ。他のクラスは陸上部などの運動部で固めて来るのに......」
環那(すごい俺の方見てくる。)
琴葉「このクラスにも速い人はいるんですが、やはり南宮君の力なくしては......」
いい年した大人がおねだりする子供に見えて来た
クラスの視線が全部俺に集まってるし
あー......面倒くさい
環那「あーもう分かったよ......出てあげるよ。」
琴葉「本当ですか!?」
環那「どうせ、出るって言うまで駄々こねるんでしょ?」
琴葉「......何のことでしょうか?」
ほんとに子供みたいな大人だな
まぁ、そう言う所も可愛いんだけどさ
こういう時に発揮しないで欲しい
琴葉「じゃあ!この調子で決めて行きましょう!出たい種目がある人は手を挙げてください!」
環那(......やれやれだよ。)
俺は大きなため息をつきながら
残りの種目決めを眺めてた
琴ちゃん、優勝する気満々だけど
勝算とか、ちゃんとあるのかな
それがただただ、不安だ......