羽丘の元囚人   作:火の車

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ひまりの相手

 日曜日が終わっての月曜日

 

 このちょっと気だるげな感じが懐かしい

 

 これが世の学生もしくは社会人の気持ちなのかな

 

 まぁ、今は俺もその1人なんだけどね

 

「うーっす、南宮ー」

「はよー。」

環那「おはよー。」

 

 もうクラスの対応にも慣れた

 

 別に普通にいられたらいいだけで深く関わる必要性もあまり感じられない

 

 思考能力があまりにも乏しい

 

 この様子じゃ1年もない期間を凌ぐのはどうってことないね

 

リサ「おはよ、環那!」

環那「おはよー。早いねー。」

リサ「いやいや、環那がギリギリなだけだって。」

 

 リサは苦笑いを浮かべながらそう言った

 

 そう言えば、今日は洗濯してて遅くなったんだ

 

 どうりで生徒の集まりがいいと思った

 

環那「まぁ、そう言う事もあるよね。」

 

 俺はそう言いながら席に着いた

 

 琴ちゃんが来るまで後5分くらい

 

 確かに、結構ギリギリだった

 

リサ「そう言えば、環那は知ってる?」

環那「どうしたの?」

リサ「ひまり、最近いい感じの男子がいるらしいよ!」

環那「ひまりちゃんに?」

リサ「うん!3年で教室はここの隣らしいよ!」

環那「ほほーう?」

 

 ひまりちゃんに言い感じの男子

 

 別に驚くことでもない

 

 ルックスに関しては羽丘でもトップクラス

 

 性格は明るくて、元囚人の肩書があった俺に物怖じしないほど気さく

 

 そんな子がモテない方が不自然だ

 

環那「まぁ、順当じゃないかなー?本人も彼氏欲しいなって言ってたしー。」

リサ「そうだねー。」

環那(まぁ、ひまりちゃんの性格上......)

 

 騙される可能性

 

 別に相手を見たわけじゃないけど疑うな

 

 ひまりちゃん、若干脳内お花畑なところあるし

 

 悪いやつに騙されたり......

 

環那(なーんて、縁起でもないか。)

リサ「あ、浪平先生来たよ。」

環那「ちなみに今日の琴ちゃん、左右で別の靴下履いてるよ。」

リサ「ごめん、それ聞きたくなかった。」

 

 リサのそんな言葉と同時に号令がかかり

 

 色々な連絡事項を琴ちゃんが話した後

 

 今日の授業が始まった

__________________

 

 午前の授業が終わっての昼休み

 

 俺はいつも通りリサと屋上に来た

 

 そこにはやっぱり、いつもの5人がいる

 

 そう思ってたけど......

 

環那「__あれ、ひまりちゃんは?」

巴「ひまりはー、まぁ、そこだよ。」

環那「?」

 

 ともちゃんは下の方を指さした

 

 俺はフェンスまで行き

 

 ともちゃんが指さした方向を見た

 

環那「あー、なるほど。あれが噂の。」

 

 校門近くのベンチ

 

 そこに座ってるひまりちゃんと男子

 

 横にいる男子はいかにも優しそうな顔をしてる

 

 顔の良さもあるけど、それ以上に女子が好きそうな見た目って感じ

 

蘭「今宮翔、だって。」

リサ「初めて見たなー。」

環那「まぁ、生徒も多いしそう言う人もいるよね。」

モカ「んー。」

つぐみ「モカちゃん?どうしたの?」

モカ「いやー、少し引っかかることがあってねー。」

環那「?(引っかかる事?)」

 

 モカちゃんの方に耳を傾けた

 

 この5人の関係は小さい時から続いてる

 

 そんな子が引っ掛かること

 

 これはもしかしたら重大な事かもしれない

 

モカ「ひーちゃん、ああいう顔の人好みだったっけー?」

巴「そう言えばそうだな?」

リサ「いやー、好きになる人と好みの人は違うって言うし?そう言う事もあるんじゃない?ね、環那?」

環那「......まぁ、そう言う事はあるけど。」

 

 確実じゃないって言ったらどうなるかな

 

 きっと、全員が不安になる

 

 ここは空気を読んでおくことにしよう

 

 俺はそんな事を考えながらひまりちゃん達の方を見た

 

環那「今が幸せそうだし、いいんじゃないかな?」

つぐみ「そうですよね!」

 

 経過観察、と言う事にしよう

 

 もしもの事があれば......

 

 いや、縁起でもない事は考えないようにしよう

 

 俺は迷いを振り払い、残りの昼休みの時間を過ごした

__________________

 

 放課後、俺は1人で下校してる

 

 リサはバンドの練習があるらしくて、友希那と一緒にライブハウスに向かった

 

 ライブもあるらしいし、頑張ってるんだろう

 

環那「!(あれは。)」

 

 歩いてる途中、前にひまりちゃんの姿が見えた

 

 横にはあの男子、今宮君?がいた

 

 一見すれば理想的な学生の恋人未満って感じかな

 

ひまり「__!」

翔「__!」

 

 会話内容は良く聞こえない

 

 けど、楽しそうなのは伝わってくる

 

ノア「あの2人が気になるか。」

環那「ん?ノア君?」

ノア「だれが君だ。」

 

 ノア君は若干怒りながらそう言った

 

 まぁ、別にそんな事はどうでもいいんだけど

 

 それにしても、なんでここに?

 

環那「どうしたの?」

ノア「貴様にエマからの伝言を伝えに来た。」

環那「エマからの?」

 

 これは結構意外かもしれない

 

 エマがわざわざ俺に伝言をよこすなんて

 

環那「......内容は?」

ノア「見なきゃ見えないものがある、だそうだ。」

環那「見なきゃ、見えないもの__っ!!!」

 

 その言葉を聞いて背筋が凍った

 

 そして、前を歩いてる2人を......いや、今宮君を見た

 

 でも、何回見ても普通だ

 

ノア「ほう。」

環那「何か見えた?」

ノア「さぁな。ただ......」

 

 ノア君は2人から視線を外し

 

 来た道を戻るように体を向け

 

 次の事を言った

 

ノア「人は見かけによらないな。あれもお前も。」

 

 ノア君はそう言い残して歩いて行った

 

 もうこの際、言葉足らずなことはいい

 

 問題はあの言葉だ

 

環那(見かけによらない?)

 

 俺は再度今宮君の方を見た

 

 どこに粗があるって言うんだ?

 

 素行も何も普通そのもの

 

 なにもないじゃないか......

 

環那(......もう少し様子を見よう。もしもの事があれば。)

 

 あの幼馴染4人を悲しませたくない

 

 あの美しい友情に傷をつけてはいけない

 

 もし本当に、そうなんだとしたら

 

 情報を持ってる俺しか動く事が出来ない

 

 だから......

 

環那(俺が何とかしよう。)

蘭「__あれ、南宮?」

環那「蘭ちゃん?それにみんなも。」

モカ「かーくんもおっかけてるのー?」

環那「いや、偶然だよ。」

 

 俺は笑いながらそう答えた

 

 取り合えず、ここは隠そう

 

 まだアクションを起こすべきじゃない

 

 何より、余計な心配をかけるべきじゃない

 

つぐみ「練習に呼ぼうと思ったけど、どうしようか?」

蘭「しかたないね。あたし達だけでしよ。」

巴「ベースないときつくないかー?」

モカ「まぁまぁ、気合でー。」

環那「あはは、頑張れー。」

蘭、巴、つぐみ(なんだろ、この2人が喋ると気が抜ける。)

 

 それから、4人はライブハウスに向かい

 

 俺は取り合えずあの2人を観察、もといストーキングして

 

 ひまりちゃんと今宮君が分かれたのを確認してから家に帰った

 

 

 

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