最近、環那と友希那の距離が開いてる気がする
環那はずっと悩んでる感じだし、友希那は環那を避けてるし
2人に何があったんだろ?
リサ(んー。)
2人が喧嘩ってのは考えずらい
今まで結構一緒にいるけどそんなことはなかったし
友希那が怒っても、環那は丸め込んじゃうし
リサ(環那が悩んでるっぽいのがなぁ。)
なんかただならぬ雰囲気だし
折角仲直りしなのに......
ほんと、次は何なんだろ......
琴葉「ぶち当たってますね、壁に。」
リサ「浪平先生?」
琴葉「今井さんも気にしているんでしょう?南宮君と湊さんの事を。」
リサ「まぁ、そうですね。」
浪平先生も気づいてたんだ
まぁ、生徒のことはちゃんと見てる人だし
当然っちゃ当然なのかな
リサ「それで、壁って何のことですか?」
琴葉「今まで一番大切にしてきた人と距離が出来て、外と内で起きてる変化に戸惑ってるように見えます。」
リサ「変化、ですか。」
確かに、環那って構成物質に友希那が入ってるんじゃないかってレベルだったし
そんな友希那と距離が出来たら
それは、人生そのものを変えるほどの変化なのかもしれない
琴葉「あの化物レベルの力を手に入れる切っ掛けになったほどの人です。いくら他に好きな人が出来ても、根底にはやはり湊さんがいたのでしょうね。」
リサ「......まぁ。」
それはそうだ
あたし達のこと好きって言い始めてからも
環那はやっぱり、友希那のことを気遣ってた
未だに答えを出せてないのも、友希那のことがあるからかもしれない
リサ「......あたし、環那のこと変わったって思ってましたけど、これからなのかもしれないです。」
琴葉「そうですね。」
きっと、簡単なことじゃない
死ぬほど苦しんでるはず
過去か未来かの選択
それは難しいとかそう言うレベルじゃない
リサ「......!(もしかして、もう1人の環那って......)」
琴葉「何はどうあれ、私たちに出来ることは隣にいて、倒れそうになったときに支えてあげることだけです。」
リサ「そう、ですよね。」
環那が今の状態になった原因はあたし達だ
その責任は取らないといけない
例え、選ばれなかったとしても
リサ(......そう、選ばれなくても。)
あたしは心の中でそう呟いて、作業に戻った
今は、2人を見守ろう
環那があたしと友希那にそうしてきたみたいに
___________________
“環那”
友希那は分かってたんだろうか
俺の気持ちが少しずつ、リサ達に移ってたことを
いや、確実に分かってる
環那(ほんと、ダメだなぁ、俺......)
友希那に気を遣わせるなんて、ありえない
何のために俺はここまで自分を叩き上げてきたんだ
14年もの時間を費やしたって言うのに
環那(......クソ。)
変わらない人間はいない
そう言えばそうとしか言えない
けど、そう易々と納得できるものじゃない
イヴ「あれ?カンナさん?」
環那「イヴちゃん?」
しばらく色々と考えながら歩いてると、イヴちゃんとばったり出くわした
学校帰りなんだろうか、まだ制服だ
イヴ「って、だ、大丈夫ですか!?」
環那「え?」
イヴ「すごく顔色が悪いですよ!?」
環那「顔色?」
って、あ、そっか
ここ3日は寝てないんだった
余計なこと考えないように仕事ばっかりして
イヴ「と、取り合えず、休まないと!」
環那「え?」
イヴ「一緒に来てください!」
環那「あの、ちょ__」
俺はイヴちゃんに手を握られ
そのまま、引っ張られた
一体、どこに行くんだろうか
___________________
イヴちゃんに連れて来られたのは静かな公園だ
広くも狭くもなく、子供も誰1人いない
俺は何でこんな場所に来たのか、疑問だった
イヴ「それでは環那さん!ここに寝てください!」
環那「え?」
イヴちゃんはそう言って太ももをポンポンと叩いた
この子はまた、アイドルとしてやばいことを......
パパラッチに引き抜かれたらどうするんだろう
環那「イヴちゃん?流石にそれは__」
イヴ「大丈夫です!それよりも、今はカンナさんの方が大事です!」
環那「ぐえっ。」
俺はイヴちゃんに頭を掴まれ
そのまま、無理矢理寝かされた
この細い体のどこにこんなパワーを?
普通に驚いたんだけど
イヴ「カンナさん、いつから寝てないんですか?」
環那「えーっと、3日前?」
イヴ「3日も!?そんなのダメです!不健康です!」
環那「その通りすぎてぐぅの音も出ない。」
横になって、一気に疲れが出てきた
体が怠い、瞼が重い
全員が鉛で固められたみたいだ
全く動けない
イヴ「それで、どうしたんですか?3日も寝てないなんて。」
環那「まぁ、色々あって。」
イヴ「色々、とは?」
環那「......」
イヴちゃんにそう尋ねられ、俺は口を閉ざした
なぜだか分からないけど、あの日の燐子ちゃんがフラッシュバックする
そんな風でいると、イヴちゃんは口を開いた
イヴ「......カンナさん、悩んでますね?」
環那「っ!」
イヴ「見ていれば分かります。今のカンナさんはすごく、ツラそうです......」
......まぁ、流石にバレるか
今はきっと、無表情を保ててないだろうし
イヴちゃんなら、気づいても不思議じゃない
イヴ「......なんでかは聞きません。」
環那「!」
イヴちゃんはそう言って、手で俺の目を覆った
柔らかくて、ひんやりしてて、暗い
すごく落ち着く、別世界みたいだ
そう思いながら、俺は体中の力を抜いた
“イヴ”
環那「......優しいね、イヴちゃんは。」
イヴ「カンナさんほどではないですよ。」
環那「そんなに優しくないよ、俺。」
カンナさんは小さく笑いながらそう言います
ですが、実際はすごく優しいんです
カンナさんが動くのはいつも、誰かの為です
自由奔放なところはありますが
あれ程の力を持ちながら、決して私利私欲に溺れていません
イヴ「いえ、優しいです。カンナさんは誰かのために頑張れる人です。」
環那「......違う。」
イヴ「え?」
環那「俺は、周りを利用するだけ。自分の優しい世界を守るために、全部を利用してるだけだよ。」
イヴ「!///」
俺は自分の目を覆ってるイヴちゃんの手を握った
柔らかい
手入れとかちゃんとしてるからかな
スベスベで綺麗で触り心地が良い
環那「ただ、自分が守りたい人たちを守ってるだけなんだ。それが偶然、他も救う結果になっただけ。別に意図してたわけじゃない。」
イヴ「......その、守りたい人には///」
環那「勿論、今はイヴちゃんも入ってる。」
イヴ「!///」
カンナさんはそう言いながら、私の手を握りました
男の人の手はこんな風なんですね
私よりも、硬い感じがします
環那「......もう、好きになっちゃってるから......リサも、燐子ちゃんも、琴ちゃんも、イヴちゃんも。」
イヴ「カンナさん......?」
環那「......でも、友希那も大切に思ってるんだよ。過去の思いが心臓を締め付けてて、皆を好きだと認めようとすると、棘が食い込んでくるんだ......っ。」
イヴ「っ!」
嬉しい気持ちから、一気に悲しくなりました
私の知らなかったカンナさんの姿
苦しそうで、今にも押しつぶされてしまいそうで
自分の在り方が分からなくなって、足掻いてる
そんな、悲しい姿でした
環那「全部分かっちゃうから、ゆっくり見えるから、何もかも分からなくなるんだよ......心が苦しくなっても、体が痛くても、全部が遅れてくるんだ......」
イヴ「!!」
全部、遅れてやってくる?
と言うことは、カンナさんは色んな痛みを後から一気に味わってきた、ということ
普通の人が分散させるはずの苦しみを、全て......
そんなの、生き地獄です......
イヴ(私に、出来ることは......)
カンナさんの感覚は超人的です
そう簡単にどうにもできません
でも、苦しみと聞いて一つ、思いつきました
イヴ「......なら、何も見ないでください。」
環那「っ......!」
イヴ「この時間だけは、私だけを見ていてください。癒しになれば、いいのですが。」
私の仕事は色んな人を楽しませたり、癒すことです
ですが、全ての苦しみを癒すことは出来ません
だから、せめてこの時間だけでも
色んな苦しみを忘れて欲しいです
イヴ「カンナさん、大好きです。」
環那「......!」
イヴ「ん......っ///」
私はカンナさんにキスをしました
目も感覚も全部閉ざして
忘れてもらえるように願いを込めて
イヴ「忘れてください。今この時だけ、私だけを見ていてください。」
環那「イヴ、ちゃん......」
私はカンナさんにそう言いました
これにどこまで効果があるかは分かりません
でも、私が甘えてもいい時間であれるなら
今は、それでも構いません
カンナさんが幸せなら
私はいくらでも、この身を差し出します