羽丘の元囚人   作:火の車

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文化祭2日目

 あの件から一晩が明けた

 

 あれからは一旦うちのクラスは出し物を中止し

 

 エマと琴ちゃんの怪我の状態を見た

 

 取り合えず、2人とも大怪我はないようで安心した

 

 けど、一つ気がかりだったのは、友希那が戻らなかったこと

 

 ノア君からは救出したって言う連絡が入ったけど

 

 状態があんまりよくなかったんだろうか?

 

リサ「環那ー!おはよー!」

環那「あ、リサ。おはよ。」

 

 それで、今日

 

 俺達のクラスは屋台を再開する

 

リサ「いやー、マジで完璧に直してるじゃん!よくここまで1人でやれたね!」

環那「まぁ、今回はエマに相当な苦労をかけちゃったからね。そのお詫びもかねて、ちょっと頑張った。」

 

 折角エマがやりたがってたし

 

 あんなのの為に中止なんてもったいない

 

 と言うことで、死ぬほど頑張りました

 

リサ「良いお兄ちゃんだね~。」

環那「良いお兄ちゃんなら妹があんなになるまで頑張らせないよ。」

リサ「うわっ、感情戻っても捻くれてる。」

環那「そんなことなくない?」

 

 別に捻くれてはないと思うけど

 

 俺が迷ってなかったらもっと被害は少なかっただろうし

 

 今回は俺が全面的に悪い

 

環那「......でも、良かった。」

リサ「?」

 

 教室の向こうでクラスメイトと話してるエマを見る

 

 張り切って準備してて、楽しそうだ

 

 そこまで重い怪我じゃないと言っても万全じゃないのに

 

 ほんと、子供って元気だよね

 

環那「エマにとって、最初で最後の文化祭が中止にならなくて。」

リサ「親だねぇ。」

環那「本当なら、年齢通りに中等部に入れてあげたかったんだ。」

リサ「!」

環那「でも、それじゃあレベルが違いすぎて浮いちゃうから、俺がいるこのクラスしか入れられなかったんだ。」

 

 俺は悪い意味でこのクラスの異分子だから

 

 エマくらいの違和感ならある程度緩和出来る

 

 そう思ったから、飛び級扱いにして、このクラスに入れた

 

 けど、正解だった

 

環那「ありがとう、リサ。」

リサ「え?」

環那「今、エマが楽しそうにしていられるのはリサのお陰だよ。感謝してる。」

リサ「......あたしも、楽しいから一緒にいるだけだよ。」

環那「そっか。ありがと。」

 

 俺はそう言って、少し笑った

 

 まだ3年生の時間は半分残ってるけど

 

 これなら安心だ

 

環那「よかったよ。リサが近くにいてくれて。」

リサ「これからも一緒だよ。あたし達はずっと、幼馴染だからね。」

環那「......そうだね。」

 

 幼馴染、か

 

 切れない繋がりがあるって言うのは良いね

 

 まぁ、でも......

 

友希那「エマ。大丈夫なの?」

エマ「問題ない。それより、あなたもこれ着て。」

友希那「す、すごい衣装ね。」

エマ「自信作......!」

 

環那(こっちのケジメも、つけなきゃね。)

 

 まだ、全部が終わったわけじゃない

 

 俺のやるべきことはまだ山積みだ

 

環那「行こうか。」

リサ「そうだね!エマのこと、うんと楽しませてあげよ!」

環那「あぁ。」

 

 俺はリサとそんな会話をして

 

 各々の準備に取り掛かった

 

 取り合えず、今は文化祭だ

 

 自分に割り当てられた仕事はちゃんとこなそう

___________________

 

 “燐子”

 

 私は今、環那君のクラスに来ています

 

 昨日は色々あって来れなくて今日来たけど

 

イヴ「ひ、ひぇ......」

燐子「うぅ......」

 

 ちょっと後悔してます

 

 エマちゃんが本気で作ったって聞いたけど

 

 思った以上にリアルで

 

 しかも、長く感じる

 

 若宮さんと2人で来ましたけど、2人いても怖いです

 

イヴ「ぶ、文化祭のレベルじゃないですよぉ......」

燐子「ここ、教室ですよね......?うちの学校より広いと言っても、長すぎでは......?」

 

 施設にあるお化け屋敷と比べても、遜色ないのでは?

 

 エマちゃん、どれだけ頑張ったんでしょう......?

 

イヴ「ど、どうしましょうか......怖すぎて足が震えてきました。......って、あれは?」

燐子「どうしました......?」

イヴ「いえ、何か落し物が__ひっ!」

燐子「え......?」

 

 目の前に落ちてる物を見て、確然としました

 

 そこに落ちてたのは人間の腕でした

 

 え、なんであんな物が落ちてるんですか?

 

?「__あったあった~。」

燐子、イヴ「っ!?」

?「見つけてくれてありがとう~。」

 

 後ろから聞こえてきた声

 

 軽くて、柔らかい口調

 

 でも、それはこの空間においては異質で

 

 しかも、いきなり現れました

 

 私たちは驚いて、バッと振り向きました

 

?「腕、失くしちゃってたんだ~。」

燐子、イヴ「き、きゃぁぁぁあああ!!!」

?「え、あの__」

イヴ「悪霊退散ー!悪霊退散ー!」

?「あの、ちょっと......」

燐子「え......?」

 

 落ち着いて聞いてみたら

 

 その声はよく知ってる声でした

 

 仮面をつけてるけど、体格も髪型も同じだし

 

 あれ、この人って......

 

燐子「環那、君......?」

環那「そうだよ~。2人が来るから、張り切って驚かせようと思ったけど、張り切りすぎちゃった☆」

イヴ「カンナさーん!!」

環那「わっ!ごめんごめん!」

燐子(あっ、そっか。)

 

 環那君って右腕取り外せるんだった

 

 あの義手が違和感なさ過ぎて忘れてた

 

 ビックリした......

 

環那「2人とも、思ったよりも怖がりなんだね。」

 

 環那君はそう言いながら義手を拾い

 

 そのまま取り付けました

 

 あんなに簡単に取り付けられるんだ

 

環那「ちなみに、ここは大体半分くらいだから、もう少し頑張ってね。」

イヴ「半分、ですか......」

環那「すぐに終わるよ。」

 

 ここまで来てもまだ半分なんだ

 

 教室の中とは思えない

 

環那「じゃあ、俺は持ち場に戻るね。あ、それと......」

燐子、イヴ「?」

環那「半分以降は怖さのレベルも上がるから、頑張ってね。」

燐子、イヴ「え?」

 

 環那君はそんな置き土産を置いて、どこかに消えていった

 

 あの、ここまででも十分怖かったんですが......

 

 と言うより環那君、ちょっとだけイジワルになったよね?

 

燐子「......行きましょうか......」

イヴ「そ、そう、ですね......」

 

 私たちはそんな会話をして、先に進みました

 

 それからの私たちは悲惨で

 

 恐らく、教室の外まで叫び声が響いてたと思います

 

 それくらい、怖かったです

___________________

 

 なんとか、外に出られました

 

 昨日の体験がなかったら最後まで歩けなかった

 

 本当に、怖かった......

 

環那「おかえり、2人とも。」

イヴ「カンナさーん!怖かったですよー!」

環那「あはは、エマが喜びそうだ。」

 

 環那君は嬉しそうに若宮さんの頭を撫でてる

 

 もう少し周りを気にした方がいいと思うけど......

 

 仕方ないのかな?

 

環那「あっ、そうだ。燐子ちゃん?」

燐子「どうしたの?」

環那「後夜祭の時、来てほしい所があるんだ。」

燐子「?」

 

 環那君はそう言って

 

 一枚のメモ用紙を手渡してきた

 

 そこには、屋上って書いてある

 

環那「燐子ちゃんの生徒会長としての仕事は他に割り振ってあるから、安心してね。」

燐子(そこまで準備してるの?なんだろう......)

 

 何かあるのかな?

 

 思い当たる節はないし

 

 環那君のことだから、皆で何かするのかな?

 

燐子「絶対行くね......!」

環那「うん。楽しみにしてて。」

 

 環那君は笑いながら教室に入って行った

 

 一体、後夜祭の時に何をするんだろう?

 

 分からないけど、すごく楽しみだな

 

 

 

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