あれから文化祭を楽しんで、後夜祭の時間になりました
校庭ではキャンプファイヤー等をして盛り上がってます
けど、私はそこから離れ、屋上に向かってます
燐子(そう言えば。)
氷川さん、下にいなかったような......
環那君に呼ばれてたのかな?
声をかけてくれたら良かったのに
燐子「あ、ついた。」
そんなことを考えてるうちに屋上に着いた
ここで合ってると思う
だって、環那君、裏にちゃんと地図書いてあるし
......よく見たら、これすごい
どうやって書いたんだろ?
燐子(取り合えず、入ろうかな。)
私はそう思って、ドアノブを捻って
そのまま、ゆっくり扉を開けた
あこ「__りんりーん!」
みんな「お誕生日おめでとーう!」
燐子「え?」
ドアを開けたら、いきなりそんな声が飛んできた
あれ、誕生日......って、あ、そうだった
昨日が衝撃的すぎて忘れてた
リサ「あはは!燐子、すっごい驚いてるじゃん!」
燐子「い、色々ありすぎて、忘れてました。」
エマ「それもそうだと思う。」
紗夜「まぁ、取り合えず、これをどうぞ。」
氷川さんはそう言って
本日の主役と書かれたタスキを渡してきました
これ、環那君の時も渡してたような......
ハマってるのかな?
イヴ「おめでとうございます!リンコさん!」
琴葉「おめでとうございます、いい歳にしてくださいね。」
燐子「ありがとうございます。(あれ?)」
お祝いの言葉をもらってる途中
私はあることに気づいた
それは、環那君がいないこと
いつもなら、こういう時はノリノリなのに
あこ「あー、りんりん。今、環那兄いないな~って思ったでしょ~?」
燐子「え、な、なんで......!?///」
あこ「顔に書いてあるんだもん!大好きだもんねー!」
燐子「うぅ......///」
あこちゃんの声、大きすぎるよ......
いや、バレてるんだけど
それでも恥ずかしい
あこ「ちなみにね、りんりん。」
燐子「どうしたの?」
あこ「環那兄さ、もうちょっとで来るよ。」
環那『__りーんーこーちゃーん!』
燐子「!?(どこから!?)」
あこ「あ、来た。」
どこかから、環那君の声が聞こえる
でも、どこからだろう?
なんだか、下の階くらいから聞こえるような......
環那「よ......っと!」
燐子「!?」
そう思ってると、環那君が柵の向こうに現れ
そのまま、柵の手すり部分を掴んで空中で一回転して
綺麗に私の前に着地した
環那「お誕生日おめでとう!」
そして、笑顔でそう言った
いや......何が起きたの?
すごいことが起きたのは分かるけど
すごすぎてコメントできない
環那「あれ?」
リサ「環那ー。燐子、動揺してるよー。」
紗夜「あんな登場の仕方をすれば当然です。」
環那「そんなにダメだった?ドッキリとサーカスの要素を取り入れたんだけど。」
琴葉「やりすぎですよ!せめて、後ろから驚かせるくらいじゃないと!」
千聖「......あれ、どうやってるの?」
彩「さ、さぁ?」
イヴ「あれがカンナさんの普通ですよ!」
麻弥「え、えぇ......?(困惑)」
日菜(......あれ、誰?別人じゃん。)
ビックリしすぎて、言葉を失ってた
そうだよね
環那君なら、ああいうこともできるよね
環那「まぁ、いいや。何はともあれ、誕生日おめでとう!燐子ちゃん!」
燐子「う、うん、ありがとう、環那君。」
環那「いやー、ビックリさせちゃったね。そろそろ真面目にするよ。」
環那君はそう言って、どこかに電話をかけた
すると、すぐに屋上の扉が開いて
テーブルや料理を持った人たちが入って来た
瞬く間にそれらが配置された
環那「今日は誕生日パーティーだ。燐子ちゃん、思う存分楽しんでね。」
リサ「いえーい!燐子ー!こっちおいでー!」
あこ「今日は環那兄に独り占めさせてあげないよー!」
燐子「わっ......!」
環那「いつもそんなに独り占めしてないんだけどね。」
環那君がそう言う中、私はあこちゃんたちに手を引かれ
そのまま、皆で出来た輪の中に入って行った
“環那”
環那「ふぅ。」
取り合えず、掴みは良い感じでしょ
ノリのいい子が多いし
燐子ちゃんもきっと楽しんでくれるでしょ
そう思いながら、俺はさっき置かれた椅子に座った
紗夜「お疲れですね。」
環那「んー?そう見える?」
紗夜ちゃんが近づいて、声をかけてきた
いつもの呆れ顔で、そんなことを言ってくる
紗夜「えぇ。どうせ、徹夜ですべてやったのでしょう?」
環那「あれバレてる?」
紗夜「目の下のクマがいつもより濃いですからね。」
環那「よく見てるね。」
この子、人のことよく見てるよね
リサほど付き合いが長いわけでもないのに
普通にすごいな
環那「もしかして、俺のこと好きなんじゃ__」
紗夜「いえ、嫌いじゃないだけです。」
環那「珍しく食い気味だね。」
紗夜「本当に好きでも嫌いでもないんですよ。究極に。」
環那「まぁ、だよねぇ。」
大体、俺の持ってる感想と同じだ
俺は友達としては結構好きだけどね
ズバッとツッコミしてくれる感じが特に
紗夜「でも、最初に比べればかなりイメージは改善されましたよ。今はまぁ、良い友人くらいには思ってます。」
環那「そっか。それは良かった。」
紗夜「と言うより、私も座ってもいいですか?」
環那「どうぞー。」
紗夜「では、隣失礼します。」
紗夜ちゃんはそう言って隣の椅子に座った
この子はワイワイするタイプでもないし
ここから見てるくらいがちょうどいいんでしょ
紗夜「それで、今回はどのくらいかかったんですか?」
環那「クラスの出し物を復旧とこのパーティーの仕込み合わせて、ちょっと徹夜くらい。」
紗夜「よくやりますね、あなたも。」
環那「大切な日だからね。ちょっとくらい頑張っても罰は当たらないでしょ。」
今日は燐子ちゃんとエマが楽しんで貰うのが目的だった
そして、その目的はこの時点でほぼ達成した
後は、最終手順に移行するだけだ
紗夜「変わりましたね、雰囲気。」
環那「そうかもね。全部、返してもらったし。」
紗夜「それだけではありませんよ。」
環那「?」
その言葉に、俺は首を傾げた
そうしてると、紗夜ちゃんは小さく笑い
ゆっくり口を開いた
紗夜「確かに、今のあなたはもう1人の南宮君の要素も入ってます。ですが、それだけではありません。」
環那「どういう意味?」
紗夜「人間っぽくなった、と言う意味です。」
環那「!(紗夜ちゃん__)」
紗夜「まぁ、能力は人間のそれではありませんが。」
環那「上げて落とすの良くないよ?」
そこは仕方ないとは思うけどさ
それでももっとタイミングあったよね?
環那「紗夜ちゃーん、折角ちょっと感動してたのにひどくなーい?」
紗夜「別にいいじゃないですか。」
環那「紗夜ちゃん絶対にドSでしょ。」
紗夜「えぇ、恐らくそうですよ?あなたもでしょう?」
環那「そのはずだけど、紗夜ちゃんと話してるとそうでもない気がしてくるよ。」
まぁ、これくらいの距離感がちょうどいいか
俺はどっちかと言うとボケだし
こっちの方が楽に話せる
環那「さて、俺は次の準備をしようかな。」
紗夜「まだ何かあるんですか?」
環那「サプライズ一つじゃ、つまらないでしょ?」
紗夜「そうですね。(本当に、変わりましたね。前までなら、そんな風に笑わなかったのに。)」
俺は軽く手を振ってから次の準備をするためその場を離れた
さて、こっちは喜んでくれるかな
___________________
“燐子”
しばらく、私はパーティーを楽しみました
お料理も食べて、プレゼントも貰って
すごく幸せな時間でした
リサ「そう言えば、環那。まだプレゼント渡してなくない?」
環那「ん?」
燐子「!」
そんな中、今井さんのそんな声が聞こえました
そう言えば、そうかも
パーティーの間はあんまり話せてもなかったし
環那「あー、そうだったね。」
環那君はそう言って、苦笑いを浮かべた
どうしたんだろう?
いつもと違って、歯切れが悪い気がする
あこ「もしかして、プレゼント忘れちゃったの!?」
環那「いや、それはないよ。けど、まぁ......」
燐子「?」
環那「ちょっと、移動していい?って言っても、そこの上に行くだけなんだけど。」
出入口がついてる建物を指さしながらそう私に聞いて来た
何かしたいことがあるのかな?
燐子「いいけど、何かあるの?」
環那「まぁ、ちょっとね。取り合えず......」
燐子「!///」
環那君は私の方に近づいて来た
目の前に立った瞬間、私はお姫様抱っこをされた
あの合宿の時以来だ
環那「お姫様をご招待だ。しっかり掴まってて。」
燐子「は、はい///」
リサ「むぅ~(ズルい。)」
琴葉(羨ましいですね......私の年齢的にお姫様はキツイですが。)
イヴ「お姫様......ですかぁ......///(悪くない、のでしょうか///)」
エマ「完全に呆けてる。」
環那君は私を抱えたまま走って
そのまま、建物に飛び乗った
___________________
環那「__はい、ここで到着。下ろすね?」
燐子「う、うん///」
私は丁寧に地面に下ろされた
ここはさっきよりも景色がよく見える
高さはそこまで変わらないのに
全然、見え方が違う
燐子「それで、なんでここに来たの?」
環那「別に下でもよかったんだけど、色々な理由でね。一つは__」
(ドーン!)
燐子「!」
環那「これ。」
私たちが上に来てすぐ
どこからか大きな花火が上がった
お祭りのと変わらないくらい大きい
まさか......
燐子「これ、環那君が?」
環那「そうだよ。折角だし、もう一つのサプライズをと思って。どうかな?」
燐子「すごく、嬉しい......!綺麗......!」
環那「そっか。じゃあ、もう少し見てようか。」
燐子「うん......!」
私は大きく頷いて、花火の方に視線を移した
空高く、いくつものカラフルな花火が上がって
暗くなった空が彩られていく
燐子(環那君......///)
環那「!」
そして、横には大好きな人がいる
指を絡めて手を握って、体を寄せた
夏は、一緒に花火は見られなかったから
こうしてみたいと思ってた
燐子「綺麗、だね......///」
環那「喜んでくれてるみたいでよかった。」
今の環那君の笑顔は心が温かくなる
心から笑ってるのが分かるから
今まではどこか、無理矢理笑ってたのを感じてたから
こんな風になってくれ、すごく嬉しい
環那「......ねぇ、燐子ちゃん。」
燐子「どうしたの?」
環那「前に俺が、燐子ちゃんのことを運命感じるって言ったの覚えてるかな?」
燐子「お、覚えてる......///」
運命を感じるって言われたことは覚えてる
あの時は、遭難した時で
初めて、環那君と一つになった後で
今の始まりだった
環那「あの日からしばらく経つけど、つくづく思うよ。燐子ちゃんは、俺の運命の人なんだって。」
燐子「っ......!///」
環那「俺は、燐子ちゃんがいたから強くなれたんだと思う。燐子ちゃんがいなかったら、きっとまだ止まったままだった。」
ギュッと手を握られる
左手だからか、より環那君を感じる
環那「あの日、燐子ちゃんに言われた言葉。あれが、すごく痛かったんだ。図星過ぎて。」
燐子「!」
あの日、は環那君のおうちに泊まった時だ
あの時の私はおかしくて、いろいろ言っちゃったけど......
やっぱり、踏み込んでほしくないところだったんだ......
環那「だけど、あれを切っ掛けに色々考えた。そして、色んな人に手を借りちゃったけど、全部を断ち切れた。」
燐子「......!」
環那「俺の価値観すべてを壊すきっかけになった燐子ちゃんは、まさに運命の人だと思う。」
燐子「......うん。」
本当に良かったのか、なんて聞けない
だって今、環那君は幸せそうだから
憑き物がとれたみたいに、すっきりした顔をしてるから
環那「だから、感謝してる。生まれてきてくれて、出会ってくれて。だから......って言うのもおかしいんだけど。これ、受け取ってほしいな。」
燐子「!///」
環那君はそう言いながら
上着のポケットから小さな箱を出して
それをこっちに差し出してきた
燐子「え、えっと、開けてみてもいい......?///」
環那「いいよ。むしろ、開けて見てほしい。」
そう言われたので、一旦、繋いでる手を離して開けてみることにした
私は箱の蓋を丁寧に開けた
すると、そこからは......
燐子「__す、すごく、綺麗......///」
美しい海をそのまま結晶にしたような今にも溶けてしまいそうなほど綺麗に輝く宝石があしらわれた宝石とダイヤモンドがマーキス・カットされ、あしらわれた指輪が姿を現した
ダイヤモンドは分かったけど
もう一つがどうしてもわからない
環那「それは、パライバトルマリンだよ。」
燐子「パライバ、トルマリン?」
環那「1989年にブラジルのパライバ州で発見された宝石。発見当時は数多く出回ったけど、現在はあまり産出されてなくて、希少なんだ。」
燐子「えぇ......!?そんなの、貰ってもいいの......!?」
環那「いいよ。むしろ、燐子ちゃんに持っててもらいたい。」
環那君はそう言いながら
もう一つ、今度は細長い箱を出した
環那「でも、まぁ、キーボードするときに指輪ついてたら邪魔になるかもしれないから、これも。」
そう言って今度は環那君が箱を開け
その中を見せてくれた
環那「こっちは、同じ宝石を使ってるネックレス。」
燐子「!?」
環那「これなら、普段使いもしやすいかなって。」
燐子「お、恐れ多くて、そう易々使えないよ......!」
環那「あはは。燐子ちゃんっぽい。」
環那君は笑いながらそう言った
本当に、こんないいもの貰っていいのかな?
ここまでも色々してもらってるのに......
環那「でもね、これは自分の才能を目覚めさせるって言う意味のパワーストーンでもあるんだ。」
燐子「え、そうなの......?」
環那「うん。だから、普段使いは出来なくても、ライブの時とかに連れて行ってあげてくれれば、お守りにはなるかもね。」
燐子「じ、じゃあ......///」
環那「?」
燐子「一回、つけてみてくれない、かな......?///このまま持って帰っても、自分じゃきっと......つけられないから......指輪も......///」
私は声を絞り出しました
すごく恥ずかしいけど
これは、最初に環那君に付けられたいから
環那「うん、了解。少し、髪あげるね?」
燐子「うん......///」
環那君はそう言って私の後ろに回り
前からネックレスを通して
後ろで髪を上げ、それを付けてくれました
サイズは驚くくらいピッタリでした
燐子「ど、どう......?///」
環那「すごく似合ってる。」
燐子「あ、ありがとう......///じゃあ、指輪も......///」
環那「うん。」
燐子「......///」
私の左手が環那君に握られます
も、もしかして、薬指につけてくれる、の?
そうなら......
環那「......」
燐子「......///(ど、どうしたんだろう......?///)」
左手を握ったまま、環那君が停止しました
様子がおかしい
環那君ならすぐに終わらせそうなのに
環那「......ご、ごめん。」
燐子「え__あっ。」
環那君はいきなり謝ったかと思ったら
指輪を左手の人差し指に付けました
あれ?
燐子「......環那君?どうして、この指なの?」
環那「いやぁ、あのぉ......」
燐子「なんで?」
やっぱり、今日の環那君は歯切れが悪いです
なんだか、挙動不審だし
今は目線までちゃんとあってない
環那「......すっごく情けない理由なんだけど。」
燐子「?」
環那「......薬指に付けるの、心臓破裂しそうなほど動いて、無理だった。」
燐子「っ......!?///」
顔を背けながら、そう言った
どうしよう、今まで見たことない姿だ
こんな環那君、初めて見た
けど、可愛い......
燐子「恥ずかしかったの......?///」
環那「......多分、そんな感じ。」
顔をそむけたまま、そう言った
感情戻ると、こうなるんだ
今までからは考えられないや
燐子「じゃあ、今は良いよ......///」
環那「......すみません。」
燐子「全然、大丈夫だよ......///大切な時に取っておくから......///」
環那「!」
私は向こうを向いてる環那君の顔を引き寄せた
距離はもう、15㎝も空いてない
そんな状況で、私は言葉をつづけた
燐子「取っておくから......その時には、ちゃんと嵌めてね......///ちゅ///」
環那「っ!」
私は環那君にキスをした
それと同時に一際大きな花火が上がった
そして、その花火が花開いて、散った頃に私は唇を離した
燐子「愛してるよ、環那君っ!///」
私はとびきりの笑顔でそう言った
この時は幸せいっぱいで
今までにないほど、大きな声が出ました
......ただ、ですね
この時の私はすぐ下に皆がいることを忘れてて
今井さん、若宮さん、浪平先生からはズルいと言われ
他の皆さんには『大胆ですね......』と言う感じの態度を取られ
顔から火が出そうになったのは、この後すぐの事です