刹那の出来事だった
俺は奥の手を使い、奴に攻撃を仕掛けた
完全に限界を超えていた
だが......
ノア「......負けだ。」
敗北した
俺の振るった拳は奴に届くことはなく
逆に奴の拳が俺を捉え、沈められた
切り札もその瞬間に切れ、体力も残ってない
環那「驚いたよ。まさか、この土壇場で扉を開いて、あれまで使うなんて。どこで手に入れたの?」
ノア「......偶然だ。だが、トリガーになった事柄の自覚はある。」
環那「分かるよ。多分、俺も一緒だから。」
あれを身につける為のトリガー
それは、死のイメージだ
手っ取り早く言えば、死にかけること
だが、誰にでもできるわけではない
死に瀕し、そのイメージをものにする技量と精神力
その2つ併せ持たなければ、あれを使えるようにはならない
ノア「それでも、届かないとはな......やはり、化物か。」
環那「いいや。ただの経験の差だよ。」
ノア「......それは、使用した回数の話か?」
環那「だと思う?」
ノア「......いいや。」
改めて、恐ろしい奴だと思う
同じ力を使った俺にはわかる
あれを使いこなすのに必要なもの
それもまた、死のイメージだ
死に瀕するほど、あれの真の力は引き出される
だが、普通の人間では身も心も持つわけがない
なのに、奴はあそこまで継続できる
ノア「......貴様は一体、何度死んだのだ?」
環那「さぁね。忘れた。」
ノア「......」
今、分かった
こいつは常に並列思考を使っていたのだ
それは、ほぼ無限通りの死のシミュレーション
......敵わんな
あの日の言葉の意味が分かっちまった
そりゃあ、身がえぐれようが骨がむき出しになろうが、平気なわけだ
こいつは何度も死を体験してるんだからな
ノア「......いつになったら、俺は貴様に追いつけるんだろうな。」
環那「一生無理だよ。」
ノア「なんだと?それはどういう__」
友希那「もう、やめて!!」
ノア「っ!?」
環那「......二度と使うことがないからね。」
その瞬間、俺の目の前に月の光で輝く銀髪が靡き
どこか懐かしく感じる優しい匂いに包まれた
“環那”
友希那「もう、いい......あなたの気持ちは痛いほどわかった。だから、戦わないで......」
友希那はノア君を抱きしめて......いや、庇いながらそう言った
ノア君は驚いて、面白い顔になってる
俺にとっては予想外でもなんでもないんだけどね
ノア「な、なにをする、湊友希那。」
友希那「あなたが、私の為に戦ってくれていたのは分かったわ......でも、もういいの。」
ノア「なっ......!いいのか、貴様は、南宮環那を__」
友希那「もう、大丈夫。」
ノア「!!(まさか......!!)」
環那「......ふっ。」
ノア君がこっちを見てる
分かってたのか、とでも言いたげだ
なので俺は小さく頷いた
友希那「決着はついたでしょう?環那。」
環那「御覧の通り、俺の圧勝。これ以上続けられないし、続けても無駄だ。」
友希那「そう。」
ノア(貴様は......っ!!)
ノア君の気持ちは伝わって来た
けど、どちらにしろタイムリミットだった
あの子が来た時点で、全てが完成したんだ
友希那「なら、行きましょう。」
友希那はそう言い、ノア君に肩を貸して立ち上がらせた
体格差的に友希那はキツそうにしてる
けど、俺はここで手を貸せない
この場においては悪でいないといけないから
友希那「ありがとう、ノア。私のせいで......」
ノア「あ、あぁ......(なぜだ!貴様はなぜ、湊友希那の隣にいない!!)」
環那(いいんだ、ノア君。)
どちらにしろ、俺と友希那は元通りにならない
だから、その隙間を埋める必要があった
それが見つかるまで何とか粘るつもりだったけど
その必要はなかった
もう、友希那はちゃんと自分で見つけてたから
環那「ノア君。日本のとある言葉を教えておくよ。」
ノア「なんだ、それは......?」
環那「女心と秋の空。」
ノア「っ......!」
変わらない人間はいない
俺が変わったんだ、友希那も変わる
そして、その転換期が始まったんだ
ただ、それだけのことだ
友希那「行きましょう、ノア。」
「__おいおい、なんでこんなとこに誰かいんだ?」
環那、ノア、友希那「!」
話がまとまりそうなときに
向こうから見るからにガラの悪そうな男たちが歩いて来た
人数は50人程度
恐らく、ここを寝床にしてた奴らだろう
少し騒いだし、気づいたのか
「俺らの縄張りで喧嘩かぁ?」
「ショバ代取んぞ?あぁ!?」
環那「......はぁ。」
「なんだぁ?でけぇため息つきやがってよぉ!」
KYな奴らだ
折角の門出の時だってのに邪魔しやがって
もうちょっと待ってろっての
環那「友希那、ノア君。2人は行きなよ。」
友希那、ノア「!」
環那「どーせノア君はもう動けないし、友希那は戦えない。いるだけ邪魔だよ。」
俺はそう言って男たちの前に立った
全員、殺気立ってる
「何勝手に話し進めてんだよ!」
「女寄越せよ!」
「にがさねぇぞ?男はボコって、女はぶちおk__ぶふぉ!!!」
環那「......誰が通れと言った?」
男達「なぁ!?」
俺は2人の方に走って行った男をぶん殴った
地面に倒れて、ピクリとも動かない
完全に仕留めたかな
環那「ほら、さっさと逃げなよ。邪魔にならないように。」
友希那「え、えぇ......」
友希那とノア君がそんな声とともに歩き出したのが分かった
よかった、ちゃんと逃げてくれた
これで確認したかったことが確認できたよ
安心した
環那「ノア君。」
ノア「南宮、環那......」
環那「悪いけど、後は任せる。」
ノア「......っ!!(こいつは......!!)」
環那「さぁ......」
「っ!?(な、なんだこいつ......)」
(雰囲気が......!)
決して綺麗な道ではない
けど、確かに友希那は踏みしめてる
新しい未来への道を
全部、計算通りだ
ノア(貴様は、なぜ......)
環那「かかってこい。3分、もてばいいね。」
脳から命令を出し、エネルギーを無理矢理消費させ
エネルギーの出どころが変わっていく
別に使うまでもないんだけど
折角の門出だ
本気出しても、いいでしょ?
環那「ふっ......!!」
「き、きたぞ__ぐふぉっ!!!」
「ぎゃああああ!!!」
ノア(貴様はなぜ、自らが辛い道ばかりを選ぶのだ......!!南宮環那......!!!)
俺は、悪だ
自分勝手に人の運命を変える
そして、己の野望は必ず達成する
そんな、絶対悪
今までもこれからも、曲げることなんて一切、ありえない
最後まで貫いてこそ、悪は美しくなるんだから
___________________
環那「__3分、もたなかったね。」
静かになったその場所で俺はそう呟いた
周りには俺が倒した50人が倒れてる
一応、大怪我は負わせてない
多分、死ぬほど痛かっただろうけど
環那「はぁ......終わった。」
俺は空を見上げた
青白い月の光が降り注いでくる
今日は雲が少なくて、月が綺麗だ
環那「......」
空に浮かぶ月を見てると
また、何かが開く感覚があった
でも、それは別に重たくない
元から開いてて、いつでも出られた鉄格子だ
それがギギィーっと音を立て、ゆっくり開いていく
環那「ここが......外か。」
開いた出入り口から外に出た
けど、いざ出てみればどうと言うことはない
月の見え方も景色の見え方も心持も
あの目覚めた日から何も変わりはしない
何が大切かもはっきりと見えてる
ただ......
環那「寒いなぁ......外は」
少し寒い
長年いた檻から出た感想はそんなものだった
まだ秋だって言うのに、刺すように風が冷たい
今年の秋は寒冷気味なのかな?
環那「......いいや、違うか。」
寒いに決まってるじゃないか
秋は秋でも、冬の気配を感じるに決まってる
秋はもう終わりに向かってるんだ
だって今日は、10月26日なんだから
ここからルートが分かれます。
なので、アンケートを取ります。(期限は次に書くまで)
どのルートも外伝は必ず1つあります。
リサ:正規ルート
燐子:割とイチャつく
琴葉:環那の過去要素あり
イヴ:外伝他のルートより1つ多くなる(かもしれない)
みたいな感じの予定です