夜の7時30分
俺とリサは買い物をした後、マンションに帰ってきた
晩御飯を一緒に食べるのは意外と初めてだ
昔は学校の時間以外は閉じ込められてたし
環那「いやー、こういうのもいいねー。」
リサ「そうだねー。」
そんな俺たちは今、2人で鍋を囲んでる
特に珍しくもない寄せ鍋
各々が入れたい具材を入れた
リサ「でも、なんで鍋なの?」
環那「最近、寒くなってきたからねー。暖かいもの食べたいじゃん。」
リサ「確かにねー。もう冬だよねー。」
なんだか、時間がゆっくり流れてる気がする
この空気感、いいなぁ
最近はすごい忙しかったし
環那「リサも勉強で疲れてるでしょ?」
リサ「疲れてるどころじゃないよ!」
環那「あはは、大変そうだね。」
リサ「うぅ、これだから天才は......!」
環那「別に俺、大学に興味ないし。」
どこの大学に行っても、一緒だろうし
それよりもやるべきことの方が多い
課題はまだまだ山積みだ
環那「リサは、将来なにするの?」
リサ「将来?......うーん。」
悩まし気な顔をしてる
まっ、将来を考えてる高校生ってあんまりいないよね
リサ「やりたい仕事とかはないけど、バンドは続けていきたいかな?」
環那「そっか。」
夢、か
これからも活躍して、メジャーデビューとか
そんな未来もあるのかな
リサ「どうしたの?いきなりそんなこと聞いて?」
環那「興味だよ。受験生は何を考えてるのかなって。」
リサ「なんか、悩んでる?」
環那「別に。」
俺は少し笑いながらそう言った
悩んでるわけじゃない
ただ、少し迷ってるだけだ
今の俺が悩んでるなんて、リサへの冒涜もいいところだからね
_____________________
“リサ”
あれから鍋を食べ終え、片づけをした
それからは環那がお風呂に入りに行って
その入れ替わりで今は、あたしはお風呂に入ってる
今日は、ここに泊まるけど
改めて考えると、すごくドキドキする
リサ(環那の家でお泊りって、今までなかったなぁ。)
当たり前のことなんだけど
環那に家と呼べる家はなかったし
うちにも泊まりに来ることもなかったし
リサ(なんで、あたしなんだろう......)
燐子とか、イヴとか、呼べる子はいるのに
それでも、あたしを呼んだ
今までの環那じゃ、考えづらい
リサ(ほんとに何か悩みがあるんじゃ......)
あんな若く社長になってるんだし
流石の環那でも悩んでるのかも
いろんな人の人生がかかった立場だし、プレッシャーもすごいだろうし
リサ(ここは、幼馴染であるあたしが話を聞かないと!)
環那『__リサー。着替えここに置いとくねー。』
リサ「!?///」
張り切りすぎて、つい立ち上がっちゃった
てゆうか、何のためらいもなく入ってきたんだけど!?
ほんとにデリカシーとかない......
そんなことを考えながら、少しだけお湯につかって
少しして、お風呂から出た
_____________________
お風呂から上がって、あたしはリビングの方に歩いてる
うちのお風呂と少し違うけど
浪平先生とエマのために整備したのかな?
すごく、入り心地が良かった
リサ「環那ー、上がったよー。」
環那「あぁ、意外と早かったね。」
リサ「何してんの?」
環那「会社の退勤状況の確認。今は定時帰宅を勧めてるからね。」
そういいながら、環那はパソコンの画面を見てる
これが、仕事関係のことをしてる時の環那の顔なんだ
真剣で、いつもよりも眼光が鋭い
リサ「でも、意外だね?残業ってマイナスイメージはあるけど、メリットもあるんじゃないの?」
環那「まぁ、そういう側面もあるね。けど、前までのあの会社は極端すぎるからね。仕事って生きるためにするけど、命かけるものじゃないでしょ?人件費削減っていうのもあるけど、社員が健全な生活を送って、生産性が上がれば、それだけ会社の業績は右肩上がりになるんだよ。」
リサ「いろいろ考えてるんだね。」
環那「そうでもないよ。あんな資産のある会社を手に入れたら、誰でもまず考えることだよ。」
それでも、色んなことしてるのは知ってるんだけどね
エマが毎日、メッセージで送ってくるし
ほんと、意外と献身的なところ、変わんない
環那「仕事量とかはこっちで調整することだし、あまりにも先代が下手くそすぎたってことだね。」
リサ「頑張ってるんだね。この前、テレビに出てたよ?天才経営者が動き出したって。」
環那「勘弁してよ......」
社長になってまだそんなに経ってないのに、もう環那は成果を出してる
専門家が分析して、今年は創業以来最高の業績を記録するだろうとか
新しいカリスマとか、色々と言われてた
リサ「あたしは嬉しいよ?環那がやっと正しく評価されはじめて。」
環那「別に、誰にどう思われようがどうでもいいよ。」
リサ「えー。」
環那は心底面倒くさそうにしてる
あたしとしては納得なんだけど
でも、少しは喜んでもいいのに
環那「俺は俺のしたいようにするだけだし。周りのこととか、どうでもいい。」
リサ「けど、いっつも誰かの幸せを考えてるじゃん。」
環那「そうなってほしい人だけだよ。」
とか言いつつ、社員さんのために頑張ってるんだよね
ほんと、捻くれてるなぁ
環那「......社員さんのために頑張ってる、とか考えてると思うけど、ほんとに幸せになってほしい人のために頑張ってるんだよ。」
リサ「!」
環那「例えば。」
リサ「__!?///」
フワっと、一瞬だけ体が浮いた
そして、そのままソファに倒された
リサ「え、か、環那......?///」
環那「ねぇ、リサ。」
いつもより、真剣な声でだ
雰囲気も、なんだかおかしい
これって、まるで......
環那「.......大学行くの、やめない?」
リサ「えっ......?どういうこと......?」
環那「つまり。」
環那は真っすぐあたしの顔を見据えた
そして__
環那「__高校卒業したら、俺と結婚しようよ。」
リサ「__!!///」
優しい声で、そういった
その言葉の後、環那の顔が少しずつ近づいてきて
そのまま、唇と唇が重なった