新たな宿命
あれから、あの場所は離れた
恩人の門出を見送って、邪魔も排除した
俺のあの場での役割は全部終わった
環那「......っ。」
歩けてはいるけど、かなり体は疲労してる
今にもドロドロに溶けそうだ
あれを使った後はいつもこうなる
環那(......俺は今、どこに向かってるんだろう。)
体は限界ギリギリ、頭も痛い
けど、体がどこかに向かってる
どこに向かっているんだろうか
......いいや、分かってる
だって、自分のことだもん
環那「......ここか。」
目的地は公園だった
ただ、普通の公園じゃない
俺にとっては特別な、美しい思い出が詰まった場所だ
環那(懐かしいな。何年ぶりだろう。)
この場所には、あえて来なかった
ここにいたら、甘えが出てしまうから
環那「......全部、終わった。誓いは果たしたよね。」
あの日、友希那と出会った木の下に向けて、そう言った
きっと、友希那は幸せになる
ノア君に任せておけば何の問題もない
環那「次はどうしようか......」
何をすればいいのか分からない
人生最大の野望を叶えるとはどういうことか、自覚する
何かしてないといけない方が楽だ
環那(次は、何をしようか。)
スッと目を閉じる
俺がここに来たのには、きっと意味がある
何かを求めてるんだ
この場所で、また......
環那(......いいや、現実的じゃないか。)
燐子「__か、環那、くん......っ!!」
環那「っ!」
現実的じゃない
こんなことは本来、ありえないんだ
運命を感じたことはあっても、それは理不尽なものじゃない
限度は必ずあるはずなんだ......本来なら
環那「......なんで、ここに?」
口から、そんな言葉が零れる
俺がここにいると特定できる情報はないはずだ
なのに、なぜ......
燐子「半分は、賭けだったけど......環那の過去の話を聞いた時、友希那さんと公園で出会ったって言ってたから......友希那さんのお家から一番近い公園に来たの......」
環那(バカな......)
それだけの情報で、ここに来たのか?
......いいや、本当に賭けだったんだ
だから、俺があの場に留まっていようが、家に帰ろうが、ここに来たんだ
環那「......本当に、運命ってすごいや。」
もはや、疑いようもない
いや、別に今までも疑ったことはない
彼女は、白金燐子は、運命の人なんだ
環那(俺は、また、この場所での出会いを求めてたのかな。だとしたら、俺も運命に動かされたわけか。)
燐子「ど、どうしたの......?どこか、調子悪い......?」
環那「......いいや。大丈夫。」
心配そうな燐子ちゃんなそう答える
こんな体の不調はなれたものだ
大したことじゃない
環那「ねぇ、燐子ちゃん。」
燐子「.......?」
環那「俺、燐子ちゃんと出会えてよかったって思ってる。」
燐子「え......?///」
ここに来てくれたのが燐子ちゃんで良かった
やっぱり、この子は俺に安息をくれる
ぽっかりと空いた穴が埋まるのを感じる
この子じゃないと、ダメなんだ
燐子「わ、私も、環那君と出会えて嬉しいよ......っ!///」
環那「......そっか。」
胸の奥が熱い
ほんとに俺は出会いに恵まれてる
この子と出会ったことで、俺の人生はどこまで好転したことか
もし出会ってなかったら、心も体も壊れてたかもしれない
燐子ちゃんは俺に助けられたって言ってるけど、こっちこそ、どれほど救われてることか
環那(......)
己の価値観全てを壊す運命
俺はそれに出会って、変えられた
そして、今、俺は......
環那「......君が好きだ。」
燐子「......!///」
環那「!(なっ)」
やっば、口滑った
しかも、訳わかんない口調なってるし
環那「あ、いや、今のは__」
燐子「冗談......?」
環那「......冗談、ではないけど。」
少し涙目になりつつ、そう言われた
この顔されると、引くに引けないぞ
環那(あー......どうしよ。)
吐いた言葉は呑み込めない
てか、隠したところで何のメリットもないし
あー......やっちゃった
環那「分かった。ちゃんと言うよ。」
燐子「!」
俺は少しだけ、深呼吸をした
あれを使ってる時とは違う、激しい心臓の動きだ
やっば、これ
環那「俺、燐子ちゃんが好きだよ。」
燐子「......うん///」
言葉が詰まってるような感覚はあった
けど、思いの外、それはすんなりと出て来て
心臓の鼓動が激しくなった
けど、もう一つ、言わないと
環那「俺の恋人になってほしい。」
燐子「......///」
場が静寂に支配される
聞こえるのは、風で揺れる木の音と自身の心音だけだ
燐子「......私も、好き///」
環那「!」
燐子「7か月間、一緒にいて......最初よりずっと、好きになった///本当に......本当に、嬉しいよ///」
燐子ちゃんが近づいてくる
恐ろしく、ゆっくりに感じる
これが緊張してるってことか
燐子「__待ってたよ......!///環那君......!///」
環那「......うん。お待たせ。」
燐子「!///」
そう言って、俺は燐子ちゃんを抱きしめた
暖かくて、優しい匂いがする
幸福感で、判断力が鈍りそうだ
燐子「今までの分、たくさん、一緒にいてね......?///」
環那「俺も、そうしようと思ってた。」
幸せだ
でも、この子となら、もっと幸せになれる
なんとなく、そんな気がする
環那(その分、俺がこの子を幸せにしないと。)
この場所で出会ったのは、新たな宿命だ
けど、今までと違うことがあるとすれば
それは、向こうも俺に何かを与えてくれて
前よりもずっと、優しいということだ