羽丘の元囚人   作:火の車

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好きなもの

 なんとか、環那君と触れ合うことが出来た

 

 けど、ほとんど主導権握られてた

 

 私はもっと、環那君に気を張らないでいてほしい

 

 というわけで、今は次のプランを考えています

 

燐子(うーん、環那君って何が好きなんだろう?)

 

 好みとかそういうのはわかる

 

 けど、具体的に何が好きかって聞かれると分からない

 

 それだけじゃなくて、他にもあの人脈の広さとか、なんで浪平先生のお父さんに助けられたのかとか、謎が多い気がする

 

燐子(ミステリアスな環那君、かっこいい......///)

 

 って、そうじゃなくて

 

 環那君の好きなものとか気になるかも

 

 でも、あんまりものに執着するタイプじゃないし

 

燐子(やっぱり、もっと環那君のことを知りたいし、色々と質問してみよう......!)

 

 私は部屋で1人、そう意気込んだ

 

 明日はお休みで環那君に会えるし

 

 時間はたくさんあるよね

____________________

 

 翌日、私は駅前に来てる

 

 今日は少し遠くのカフェに行くことになってて

 

 ちょっとだけ、いつもよりオシャレをしてる

 

燐子(気づいてくれるかな......これ......///)

 

 私は付けているネックレスを眺めながら、そんなことを考えた

 

 これは、環那君が誕生日にプレゼントしてくれたもので

 

 今までは部屋の中で眺めてただけだけど、今日は思い切って身に付けてきた

 

燐子(い、一応、ネックレスに合うようなコーディネートにしたけど、ちゃんと似合ってるかな......?)

 

 服はすごく可愛いし、ネックレスにもあってる

 

 けど、私に似合ってるのかな?

 

 環那君は恥ずかしいくらい褒めてくれるけど、私は地味な部類だし

 

 顔が服に負けてないかなって不安になる

 

燐子(ど、どうしよう、ここまで来て怖くなってきた......)

環那「__お待たせー。」

燐子「~!?」

 

 私はあれこれと考え事をしてると、いきなり環那君が現れた

 

 ビックリしすぎて、体がビクッてしちゃった

 

 全然、気づかなかった......

 

燐子「あ、お、おはよう......!」

環那「おはよう。」

 

 まだ待ち合わせ20分前なのに、なんでいるの?

 

 ちゃんと心の準備も出来てないのに

 

 びっくりして心臓が止まりそうだったよ......

 

燐子「な、なんで、もう来てるの......?」

環那「少しゴミ掃除を、ね。」

 

 環那君はにっこりと笑いながらそう言った

 

 久しぶりにこの笑顔見たかも

 

 どうしたのかな?

 

 “環那”

 

環那(ふぅー、危ない危ない。)

 

 待たせたら悪いと思って早めに来てよかった

 

 じゃなかったら、ゴミを見つけられなかったよ

 

燐子「ゴミ掃除......?会社の活動の一環......?」

環那「まぁね。(大嘘)」

燐子「偉いね、環那君......!次は、私も呼んでね......!お手伝いするから......!」

環那「あ、あはは、それは助かるなぁ。」

 

 マズい

 

 ゴミ掃除はゴミ掃除でも、そっちじゃないんだよ

 

 てか、目が輝きすぎだよ

 

 こんな目してる子に、『君にナンパしようとしてる奴を掃除したんだよ。』とか、言えないでしょ

 

環那「ま、まぁ、行こうか。電車もそろそろ来るし。」

燐子「うん......!」

 

 俺と燐子ちゃんはそんな会話をして、その場を離れた

 

 その辺にナンパ男が転がってるけど......

 

 まぁ、いいや

____________________

 

 “燐子”

 

 あれから電車に乗って、目的地に着いた

 

 この辺りに来るのは初めてだけど、いい場所だと思う

 

 綺麗で、静かで、デートにぴったり

 

環那「__燐子ちゃん、注文は決まった?」

燐子「うーん、パンケーキとか気になるかな?」

環那「じゃあ、パンケーキとホットミルクにする?」

燐子「うん、そうする......!」

 

 環那君、私の好きなもの覚えててくれてるんだ

 

 なんだか、嬉しいな

 

環那「すみませーん。パンケーキとホットミルク、チョコレートケーキとブレンドコーヒーください。」

店長「かしこまりました。」

 

 そう注文を済ませ、環那君はテーブル上のお水に手を付けた

 

 水を飲んでるだけなのに、環那君から目が離せない

 

 なんだか、すごくキラキラしてる......!(燐子フィルター)

 

環那「俺なんか見て、楽しいの?」

燐子「!?///(き、気づかれた......!///)」

 

 ま、まぁ、それはそうだよね

 

 だって、環那君だもん

 

 絶対に気づかれるに決まってるよ

 

燐子「環那君がかっこよくて、見ちゃって......///」

環那「そう言うのはきっと燐子ちゃん含むごく少数だよ。」

燐子「そ、そんなことないもん......っ!///」

環那(かわいっ。)

 

 大好きな人を悪く言われるのは、嫌だ

 

 環那君はちゃんとかっこいいもん

 

環那「そんなに可愛い顔されても困るなぁ。」

燐子「はうっ///」

 

 頭の上に環那君の手が置かれた

 

 撫でられてる

 

 しかも、すごく上手......!

 

環那「ほんとに燐子ちゃんは可愛いなぁ~。頬っぺた膨らませて怒る子なんて久しぶりに見たよ~。」

燐子「あぅ......///」

 

 恥ずかしい

 

 周りに人はいないし、店長さんも目をそらしてくれてるけど

 

 それでも、すごく恥ずかしい

 

 体のどこかが爆発しちゃいそう

 

燐子「か、環那君、撫ですぎ......///」

環那「あぁ、ごめんね。つい。」

燐子「あ、いや、その......嬉しいから、いいんだけど......恥ずかしいよ......///」

環那「あはは。」

 

 褒めてるけど、どこかに意地悪も含まれてる

 

 環那君、そういう所あるもん

 

 私はそんなことを思いながら

 

 少し涙目で環那君を見つめた

 

 “環那”

 

環那(可愛すぎるでしょ。冗談じゃない。)

 

 燐子ちゃん、自覚はないと思うけど、けっこう魔性の者だ

 

 清楚で、可憐で綺麗なのに、それを自分の手で汚してしまいたいと思わせる

 

 それはきっと、俺を俺たらしめるものの本能だ

 

 他の男には触れさせたくない、俺だけの手で汚したい

 

 そういう独占欲を無意識で刺激してくる

 

 ある意味、魔性だ

 

燐子「環那君......?///」

環那「あ、ごめん。」

燐子「どうしたの......?///」

環那「なんというか、腹減ったなぁ......ってね。」

燐子「そうなの?」

 

 絶対に俺の考えてる意味で受け取ってない

 

 まぁ、別にいいんだけど

 

 てか、今はまだバレないでいい

 

燐子「何か食べる?」

環那「まだ大丈夫だよ。まだ、ね。」

燐子「うん?(どういう意味だろう......?)」

 

 友希那の時は思いもしなかった

 

 やっぱり、今までとは違うんだ

 

 大切+αがあって、この子が欲しいと思う

 

 今すぐにでも触れたいという本能が俺の中で暴れまわってる

 

環那(まだだ。俺が考えうる限り、最高のタイミングまで待つんだ。燐子ちゃんが求めてくる、その時まで。)

 

 正直、空腹ではあるけど、それはそれでいい

 

 一番いいのは、燐子ちゃんから来るとき

 

 それまでは、待って、可愛い燐子ちゃんの姿を楽しむとしよう

 

 幸い、時間はいくらでもある

 

燐子(......って、普通に楽しく喋っちゃった。環那君の好きなものを聞くんだった。)

環那「?」

 

 燐子ちゃんからの視線の種類が変わった

 

 ただ見てるだけから、疑惑に変わって

 

 何か質問があるというのが分かる

 

環那「どうしたの?燐子ちゃん。何か気になることでもある?」

燐子「えっと、環那君の好きなものが気になって......」

環那「俺の好きなもの?」

 

 これまた意外な質問だ

 

 まぁ、別に積極的に自分のこと話さないし

 

 大方、恋人になったんだし、好きなものを筆頭にもっと俺のことを知りたい......って所かな

 

環那「ふふっ。」

燐子「?」

環那「俺の好きなものなんて、聞くまでもないよ。少し考えればわかるさ。」

 

 そう、聞くまでもない質問だ

 

 答えなんて、決まってる

 

 そんなことを思いながら燐子ちゃんの方を見てると、彼女の顔は真っ赤になった

 

燐子「あ、そ、まさか......///」

環那「ね?分かったでしょ?」

店長「__お待たせいたしました。」

 

 それとほぼ同時に店長さんが注文した品を運んできた

 

 それが丁寧にテーブルに並べられ

 

 店長さんがカウンターに行ったのを見送ってから、俺はコーヒーに口をつけた

 

環那「ね?聞くまでもないでしょ?」

燐子「......うん///」

環那「ほら、食べなよ。」

 

 俺はそう言いながら、チョコレートケーキを一口サイズにカットし

 

 それを燐子ちゃんの前に差し出した

 

環那「こっちも味見してみなよ。美味しいよ、きっと。」

燐子「い、いいの......?///」

環那「うん。こっちも気になってたでしょ?」

燐子「(ば、バレてたんだ///)い、いただきます......///」

環那「はい、どうぞ。」

 

 燐子ちゃんは恥ずかしそうにしながら、チョコレートケーキを口に入れた

 

 その姿に多少なりそそられるものはあったけど

 

 それ以上に可愛さがあって

 

 その後もついつい、ケーキを全部燐子ちゃんに食べさせてしまって

 

 本気でそれを申し訳なさそうにしてる燐子ちゃんもまた、とても可愛かった

 

 

 

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