今日、俺は図書室に来た
と言っても別にいい本はなかったし目的もない
じゃあなんで来たかと言うと、何となくかな
環那「__ん?」
少し飽きてきて図書室から出ようとした時
なんだかよく分からないコーナーで見覚えのある姿が見えた
俺は何をしてるか気になってその子に近づいた
環那「あこちゃん。」
あこ「あ、環那兄!」
環那「何してるの?(環那兄?)」
俺はあこちゃんにそう尋ねた
呼び方についても気になったけど
別に悪い気はしないしいいかな
あこ「今はね、闇の魔術を研究してるの!」
環那「へぇ、そうなんだー。」
あこちゃんは黒い本を見せて来た
それには『闇の魔術』って確かに書いてる
いや、なんでこんな本あるの?
誰の趣味?
あこ「ふっふっふ、これで我の魔眼も新たな境地へ......!」
環那「あっ(察し)」
大体わかった
あこちゃんは中二病って事かな
高1で中二病って何ってなるけど
まぁ、これくらいなら可愛いものだね
あこ「環那兄も一緒に見ようよ!」
環那「え?まぁ、いいけど。」
あこ「じゃあ行こ!」
環那「!」
あこちゃんはそう言うと俺の手を掴み
そして、空いてる席の方に向かって行った
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空いてる席に移動し本を開いた
その内容はおおよそ俺には理解できない
この世に存在する言語でない文字
何の法則があるのか分からない絵
うん、謎だ
あこ「わぁ......!」
環那「あこちゃん、これの意味わかってるの?」
あこ「えっとねー、これはバーン!ってなって、ここはドーン!ってなってるんだよ!」
環那「......?(???)」
あぁ、分かってないんだね
でもまぁ、微笑ましいね
ポスターで見た時から思ってたけど、やっぱり可愛らしいなー
あこ「どうしたの?環那兄?」
環那「さっきから思ってたんだけど、その呼び方なに?」
あこ「え?環那兄のこと?」
環那「うんうん、それ。」
あこ「これはね、あこ、リサ姉って呼んでるの。」
環那「うん。」
そう言えば、リサもそう呼ばれてたっけ
まぁ、何となくわかるかな
リサってそう言うキャラになってたし
でも、なんで俺まで?
あこ「それで、環那兄はリサ姉の彼氏だから、じゃあお兄ちゃんじゃないかなって!」
環那「あー、そういう事。」
義兄みたいなものね
別に結婚したわけではないけど
まぁ、呼びたいならいいや
あこ「呼んじゃ駄目だった?」
環那「いや、別にいいよ。」
あこ「そうなの?よかったー!」
環那「じゃあ、これ読もうか。」
あこ「うん!」
俺とあこちゃんはそれから本を読んで
昼休みが終わる2分前くらいに本棚に直し
それぞれ教室に戻った
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放課後、俺は普通に家に帰ってる
リサはバンドの練習で友希那と出て行って
今日は1人で帰る日だ
相変わらず、友希那には嫌われてて帰る寸前に睨まれたよ
困っちゃうねー、あはは
?「__あの、あなたは南宮環那さんですか?」
環那「ん?」
??「えっと......急に声をかけてすみません......」
校門を出てすぐ
俺は他校の生徒に話しかけられた
2人ともすごい美人さんだ
ていうか、どこかで見たことあるような......
紗夜「氷川紗夜と申します。」
燐子「白金燐子......です。」
環那「氷川紗夜、白金燐子......って、あ。」
思い出した
この2人、Roseliaのギターとキーボードだ
通りで周りの目を集めるわけだ
ていうか、俺はRoselia全員と会ったのか
でも、偶然って感じじゃない
向こうは俺に用があって来てるみたいだ
環那「大人気バンドのメンバーが俺なんかに何の用かな?」
紗夜「少しお話を伺いたいのですが。」
環那「話?それまた不思議なこと言うね。」
燐子「大切なお話なんです......」
環那「......?」
この白金燐子ちゃん
見た感じは気弱で人見知りな女の子
でも、そんな子がこの雰囲気
何か俺に関して重要な事......
いや、友希那かリサに重要なことかな
環那「有名人にそう言われたら、凡人の俺は大人しくついて行くしかないね。」
紗夜「......それでは、移動しましょう。」
燐子「ファーストフード店でいいですか......?」
環那「どこでもいいよー。」
俺はそう言って2人ファーストフード店に移動した
移動中、会話がないどころか目も合わなかった
十中八九、警戒されてるんだろうなー
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店に入って、取り合えず食べ物を注文した
ハンバーガーとか久しぶりに食べるなー
小学生以来かな?
環那(それにしても、多い。)
紗夜「......なんですか?」
環那「いや、なんでも。」
紗夜ちゃんのお盆には大量のポテトが乗っている
こんなに食べるつもりなのかな?
こう言っちゃなんだけど、気にしないのかな、色々と
紗夜「それでは、本題に移りましょう。」
燐子「そう、ですね......」
環那(さて、ここからかな。)
俺は少しだけ気を引き締めた
わざわざこの2人が出張って来たってことは
そんなに優しい話ではない事は分かる
まずは友希那かリサ、どっちかだ
環那「余計な話はそっちもしたくないだろうし、遠慮なく本題から言ってくれてもいいよ。」
紗夜「そうですか。なら、単刀直入に言います。」
燐子「......」
紗夜ちゃんは静かに目を閉じた
この周りだけ空気が重くなってる
1人でここまで雰囲気を作れるのか
流石、友希那が集めたメンバーだね
紗夜「今井さんと早急に別れ、この町から出て行ってください。」
環那「......(なるほど。)」
紗夜ちゃんは重々しい声でそう言った
この2人の用は友希那とリサ両方ってわけね
それにしても、これは予想外だ
いつも以上に笑いが出て来るよ
紗夜「ここ最近、あなたが来てから湊さんは調子を落としています。今井さんもどこか浮かれた様子。つまり、邪魔でしかないという事です。」
燐子「ひ、氷川さん......そんな言い方は......」
環那「いいよいいよ、事実だろうし。」
俺は笑いながらそう言った
さて、ここで問題だ
この2人にはおかしい部分がある
今の話、内容の違和感は少ない
けど、なぜ俺の顔と名前を知っていたか
その理由によって対応は変わってくる
環那「町から出て行け、か。思い切ったことを言うね。」
紗夜「冗談を言ったつもりはないのですが。」
環那「分かってるよ。紗夜ちゃんが本気なのは見ればわかるさ。」
紗夜「なら、にやけるのをやめて欲しいのですが。」
不機嫌だなー
まぁとにかく、2人の元を探ろう
まず、この2人は俺の顔と名前を知ってた
その理由は友希那かリサだろう
じゃあ、それはどちらか
その答えは案外簡単に絞ることができる
環那(全く、喧嘩が下手だねー。)
今回の事は友希那の差し金だ
根拠は話の内容と性格の兼ね合い
紗夜ちゃん、一見こういう事言いそうだけど
俺にも敬語で話すあたり分別はある
けど、今回の話はあまりに思い切り過ぎてる
つまり、2人の後ろには友希那がいるって事
環那「2人の言いたいことはよく分かった。要するに、『私達Roseliaの邪魔だからさっさとこの町から消え打失せろ、この腐れ邪魔男。』ってことでしょー?」
紗夜、燐子「!!」
俺がそう言うと2人の肩が跳ねた
いやー、挑発ってしてみるもんだね
情報を引き出すのが楽になる
環那「頂点を目指すバンド、うん、素晴らしい志だ。でも、そのために周りを犠牲にすることは君たちのやり方かな?」
紗夜「そ、それは......」
燐子「......」
環那「全く、友希那の入れ知恵には困ったものだよ。」
紗夜、燐子「......!!」
ズバリって感じかな
関係ない2人まで巻き込むなんて
嫌われてるとは思ってたけど......
環那(そっか、友希那はそこまでになったか。)
燐子「?(これは......?)」
ここまで嫌われると清々しいや
でもまぁ、それほどの事をした
こうなるもの必然だったのかもね
環那「まぁ、俺は別に君たちの邪魔をしたいわけじゃない。だから、賭けをしよう。」
燐子「賭け、ですか......?」
環那「そうそう。ルールは簡単、君たちは俺をライブに呼ぶ、それを見てもし俺が価値あるものだと判断すれば君たちの命令を何でも聞こう。」
紗夜「......それは、もし価値なしと判断した場合は?」
環那「君たちの一番大切なものを貰う。」
俺は笑いながらそう言った
さて、乗って来るかな
紗夜「......いいでしょう。」
燐子「ひ、氷川さん......!?」
紗夜「私達が価値のあるライブをすればいいだけです。もちろん、彼は公平な審査をするはずですので。」
環那「もちろん。」
紗夜「ならいいです。今日の事は湊さんに伝えておきます。」
紗夜ちゃんはそう言って席を立った
これで話は終わりみたいだ
俺もそう思って立ち上がり
最後に2人に話しかけることにした
環那「紗夜ちゃん、燐子ちゃん。」
紗夜「はい?」
燐子「どうしましたか......?」
環那「......関係のない2人を巻き込んで、悪いね。」
紗夜、燐子「え?」
環那「じゃあ、またね。」
俺はそう言って軽く手を振りながらその場を去った
全く、困ったものだよ
こんな駆け引きも何もない賭けをするなんてね
俺はそんな事を考え、少し笑った