羽丘の元囚人   作:火の車

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やるべきこと

 水族館というのは意外と楽しい

 

 海の生物をよく知らなくても、綺麗な水槽を楽しめる

 

 雰囲気もいいし、デートには持ってこいだ

 

 燐子ちゃんも嬉しそうだし

 

環那「そう言えば、ここはイルカショーとペンギンの触れ合い体験があるんだって。行く?」

燐子「行きたい......!」

環那「じゃあ、行こうか。時間もいい感じだし。」

 

 現在地もちょうど会場近くだ

 

 燐子ちゃんも歩き回って疲れてるだろう

 

 休憩するのにも、ちょうどいいかな

 

燐子「イルカショーって、小学生以来かも。環那君は?」

環那「ないよ。行く機会もなかったし。」

 

 そもそも、水族館も今日が初めてだからね

 

 今までは遊んでる暇もなかったし

 

 なにより、興味もなかったしね

 

燐子「なら、環那君の初めての時に隣にいられるんだね......!」

環那「言い方。」

燐子「?」

 

 あ、無自覚ね

 

 俺の思考が汚れすぎてるのか?

 

 いや、でも、あれは勘違いするよね?

 

環那「まー、いいや。とりあえず行こう。」

燐子「うん......!」

 

 そんな会話の後、俺たちは会場に向かった

 

 ちょっと、今日の俺はおかしいな

 

 イルカショー見ながら落ち着こうか......

____________________

 

 “燐子”

 

燐子「__わぁ、すごい......!」

 

 あれから数十分後、イルカショーが始まった

 

 久しぶりに見るショーはすごくて、高く飛んだり、順番に飛んだり、イルカの賢さに改めて驚く

 

 本当にどうやってるんだろう?

 

燐子「イルカって賢くて、可愛いね......!」

環那「そうだねぇ。」

燐子「あ、次は係員の人乗せてる......!」

 

 イルカショーってすごいなぁ

 

 それに、可愛い

 

 体は大きいけど、鳴き声はなんだか小動物みたいだし

 

環那「好き?イルカ。」

燐子「うん。可愛いくて、好きかな。」

環那「じゃあ、将来飼う?」

燐子「え!?」

 

周りの客「!?」

 

 環那君の言葉に驚いた

 

 今までも結構すごいこと言ってるのは聞いたけど、これは予想外すぎる

 

 て言うより、イルカって飼えるの?

 

燐子「だ、ダメだよ?出来るとしても、ね?」

環那「まぁ、確かに、世話も大変だしね。働きながらとなると、俺が関わりずらくなるかもだから、燐子ちゃんの負担が大きくなるか。」

 

周り(え、そういう問題......?)

 

 絶対に問題にするべき点はそこじゃない

 

 周りの人たちもそう思ってるよ、多分

 

 環那君の中で、イルカって犬や猫と同じ扱いなの?

 

燐子「環那君って、本当に突拍子もないこと言うよn__」

(バシャ!)

燐子「!」

 

 環那君と話してると、横から水が跳ねる音がした

 

 ここは結構前の方の席で、水しぶきも飛んでくるって言ってた

 

 多少濡れるくらいは大丈夫だけど、これはちょっと想定外かも

 

 小さいときの記憶ってあてにならないなぁ......なんてことを考えた

 

環那「おっと、それは困るな。」

燐子「!?」

 

 その時、目の前にバサッと何かが広げられた

 

 飛んできた水はそれに阻まれて、こっちに水滴は来なくて

 

 それを確認した環那君は満足げに微笑んでいた

 

環那「悪いね。燐子ちゃんに風邪をひかれると困るんだ。」

燐子「か、かっこいい......///」

 

周りの客「えぇ......(ドン引き)」

 

 正直、環那君の動きは全く見えなかったし、今の状況的に水しぶきより早く動いてることになるけど

 

 そう言うのは全部どうでもいい

 

 やっぱり、環那君ってすごくかっこいい......

 

環那「折角の綺麗な服が濡れちゃうのも、残念だからね。さぁ、ショーを楽しもうか。」

燐子「う、うん、ありがとう......///」

 

 環那君はそう言って、ゆっくり腰を下ろした

 

 でも、あんなの見せられたら、とてもじゃないけどイルカショーに集中できなくて

 

 ずっと、環那君の方を見て、最終的にはくっついてしまっていた

 

 けど、これはこれで、いいよね?

____________________

 

 “環那”

 

 あれから数分ほどしてイルカショーは終わった

 

 初めて見たけど、中々楽しめた

 

 やろうと思えば真似できそうだし、今度ドッキリでやるか

 

燐子「すごく見ごたえあったね......!」

環那「そうだねぇ。」

 

 燐子ちゃんも満足そうだ

 

 時間はまだ余裕あるし、どうするか

 

 折角だし、お土産とか選ぶのもいいかも

 

燐子「ねぇねぇ、環那君?」

環那「どうしたの?」

燐子「その......イルカのぬいぐるみ欲しいんだけど、買ってきてもいいかな......?///」

環那「ぬいぐるみ?」

 

 ショーに影響されたのか

 

 別に恥ずかしがることもないのに、可愛いねぇ

 

環那「あはは、そんなことか。いいよ、一緒に買いに行こうか。」

燐子「こ、こんな年になってぬいぐるみってどうなのかなって.....///」

環那「いいんじゃない?燐子ちゃんは世界一可愛いから。」

燐子「ま、また、平気でそう言うこと言う......///」

環那「.....」

 

 俺が少しでも気を抜いてたら襲ってたぞ

 

 ほんとに、俺の中の何かを刺激してくる子だな

 

 燐子ちゃんから余裕そうに見えてると思うけど、割と内心はギリギリだよ

 

 主に理性で本能止めるのにね!

 

燐子「環那君......?///」

環那「なんでもないよ。お土産コーナー、行こうか。」

燐子「うん......!」

 

 まだだ、まだ何もしちゃいけない

 

 今日は、やるべきことがあるんだ

 

 それが終わるまでは、耐えないと

 

 俺は燐子ちゃんに腕に抱き着かれながら、そんなことを考えていた

 

 

 

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