羽丘の元囚人   作:火の車

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電話

 朝、私はフカフカのベッドの上で目を覚ました

 

 カーテンの隙間から太陽の光が差し込んできて、低くなってきた温度が目を覚まさせてきます

 

 正直、私はこのくらいの朝が好きですね

 

 夏と違って、頭がすっきりして__

 

琴葉(__るわけないでしょう!?///)

環那「......」

 

 上記の内容は自分の部屋で目覚めてたら、の話です

 

 こう言うということは、今いるのは自室ではないという事です

 

琴葉(や、やってしまいました!///)

 

 彼の冗談を鵜呑みにして、つい夜に彼の部屋に来てしまいました

 

 だって、ほんとに寂しそうだったんですもん!

 

 好きな人にあんな顔されたら、一緒にいたいって思うじゃないですか!

 

琴葉(あー!///今日どんな顔して学校に行けばいいんですか!?///)

 

 思い出したら、絶対に意識しちゃいます

 

 どうにかして落ち着かないと

 

 取り合えず、深呼吸でも__

 

環那「心の中で喋ってるはずなのにうるさいね。」

琴葉「!?///」

環那「おはよ。」

 

 声がしたほうに視線を向けると、彼が目を開けてこちらを見ていました

 

 大慌ての私に対して、彼はいたっていつも通りです

 

 もう少しくらい、リアクションしてくれてもいいと思うんですけど

 

琴葉「お、おはようございます......///」

環那「うん。琴ちゃんは今日も元気そうだね。」

 

 そう言ってからベッドから降りて背伸びをしました

 

 今の服装がTシャツ一枚だから分かります、すごい身体です

 

 しなやかで力強い

 

 どこまでも実用性だけを追求した、一つの究極

 

 ここまで来るのにどれほどの研鑽があったのでしょうか

 

 そもそも、普通の人間がこの領域に到達できるのでしょうか

 

環那「さて。朝ご飯にしようか。」

琴葉「は、はい。」

 

 彼のことは好きです

 

 ですが、自分と同列の存在だとは思っていません

 

 きっと、私が思っている以上に彼は別次元の存在だと思います

 

 だからこそ、凡人の私は彼との付き合い方を考えていかないと

 

 部屋から出ていく彼の背中を見ながら、私はそんなことを考えました

__________________

 

 “環那”

 

 俺は今日も学校に来てる

 

 今は面倒な会社の社長してるけど、学生でもあるからね

 

 平気でサボるけど、普段は適度の授業は受けておかないと

 

琴葉「ここで語り手の『私』は__」

環那(授業は真面目なんだよなー。)

 

 家ではあんなだけど、仕事には真摯に取り組んでる

 

 いっつも弄ってるけど、授業の準備中に寝落ちしてることもある

 

 教師と言う仕事に本気で取り組んでる姿は、すごくいいと思う

 

環那(まぁ、この授業はなぜか俺の方見ようとしないけど。)

 

 十中八九、昨夜のこと思い出すからだろうなー

 

 冗談真に受けて、夜に俺の部屋来て一緒に寝たし

 

 教師として俺と顔を合わせるのは気まずいだろうね

 

環那(まっ、どうせ一晩経ったら忘れるか。)

 

 俺はそんなことを考えながら、教科書を閉じた

 

 それと同時に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り

 

 4限目の授業が終わった

____________________

 

 “琴葉”

 

琴葉(はぁ......///)

 

 授業が終わって、職員室に戻ってきました

 

 今日は彼が頭から離れません

 

 平日にああいうことするのはよくないですね

 

琴葉(どうすればいいんでしょうか///この気持ちは///)

 

 年上をここまで手籠めにするなんて......

 

 いや、彼に関しては年とか関係ないんですけど

 

 それでもここまで弱くなるなんて......

 

琴葉(今日、帰って顔合わせられますかね///)

 

 26にもなってこんな感じなんて、問題ですね

 

 もっと大人な恋愛ができると思ってたんですけど

 

 思い通りには中々なりませんね

 

琴葉(ま、まぁ、学校にいる間に落ち着きましょう///まだまだ時間はありますし、なんとか__)

環那「__失礼―。」

琴葉「!?///」

 

 そんなことを考えてると、彼が職員室に来ました

 

 な、なんで今日に限って来るんですか!?

 

 いつもは来ないくせに!

 

環那「やっほー。」

琴葉「ど、どうしたんですか......///」

環那「進路希望の用紙持ってきたんだよ。」

琴葉「あ、そ、そうですか///」

 

 まともに目を合わせられません

 

 昨日の感触がフラッシュバックして......

 

環那「まっ、俺はやるべきことがあるし、進学とかは特に考えてないけどね。」

琴葉「そ、そうですよね。」

 

 まぁ、だから遅れても良かったんですけどね

 

 私個人としては大学にも行ってほしいんですけど

 

 彼の場合、日本ではもう学ぶことはないでしょうし

 

環那「未来の琴ちゃんの自慢のために東大でも受けてあげようか?」

琴葉「それはまぁ、自慢にはなりますけど。どうせ進学しないじゃないですか。」

環那「あはは、そっか。」

 

 本当に彼はいろんな立場から見ても扱いに困ります

 

 どう導いていいのかわからないどころか、逆に導かれますし

 

 未来永劫、彼のような存在は現れないでしょうね

 

琴葉「それで、用はこれだけですか?」

環那「ま、そうだね。俺にとってのメインは琴ちゃんを茶化すことだけど。」

琴葉「あなたってそういうところありますよね!」

 

 私がそういうと、彼はパッと後ろに向いて歩きだしました

 

 本当に、彼は何でこうなのでしょうか......

 

 凡人とは違う世界でも見えてるのでしょうか

 

「__波平先生ー、お電話ですー。」

琴葉「は、はーい!」

 

 私は彼を見送ると、ほかの先生に呼ばれました

 

 

 この時の私は気づいていませんでした

 

 この電話が私の......私たちの平和な日常を変えることになるなんて

 

 

 

 

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