お父さんが亡くなって、3日が経ちました
お葬式は何とかやり切って
今はお休みをもらっています
ていうより、休めと言われました
環那「__お疲れ、琴ちゃん。」
琴葉「南宮君......」
そんな私はやることもなく座っていると、彼がホットミルクをテーブルに置きました
なんで家にいるのかというのはいいです
むしろ、安心できます
環那(さてと、次の家事に行くか。)
琴葉「あ、あの......」
環那「ん?どうしたの?」
琴葉「一緒に、いてください......」
私はそう言って、彼を引き留めました
別に、何か用があったわけではありません
ただ、いてほしかっただけです
環那、琴葉「......」
特に会話はありません
でも、彼がいるだけで安心できます
琴葉「......あの、もう少し近くにいてもいいですか......?」
環那「いいよ。おいで。」
だから、甘えてしまいます
年上なのに、教師なのに
彼が触れられるくらい近くにいないと、安心できない
琴葉「......」
環那(俺がすべて解消させる......のは難しいか。)
琴葉(ダメ、ですね......私......)
私は弱い
彼がいないと、怖くてたまらない
離れてほしくない......
琴葉「......私は......」
環那「?」
琴葉「親不孝者......でしょうか......」
私は小さな声でそう尋ねました
ひどい質問です
怖くて答えを出せないから、私は彼に答えを依存してしまう
彼の出す答えは、きっと、正しいですから
環那「そんなことはないよ。篤臣さんも言ってた通り。」
琴葉「......いえ、分かっています。あれは__」
環那「これは慰めじゃない。」
琴葉「っ!」
彼は少し低い声でそう言いました
その言葉には説得力があって、納得させられるようでした
環那「ほんとにそうなんだ。琴ちゃんは親不孝なんかじゃない。」
琴葉「......!」
彼の言う事は、きっと正しい
お父さんのことも、彼の方が知ってる
だから、本当にそうなんでしょう
......なんて、そう思ってしまう
環那「本物はここにいるからね。親不孝者。」
琴葉「......比較対象が極端です。」
環那「あはは、そうかもね。」
こうして話していると、安心できます
彼なら、私とずっと一緒にいてくれる
絶対に置いて行かない
琴葉「......離れないでくださいね。ずっと......」
環那「!」
それでも、弱い私はそう言ってしまう
彼の言葉で聞きたいから
私がただ、安心したいから
環那「任せといてよ。」
琴葉「......はい......」
その言葉を聞いて、私は安心し、彼に抱き着きました
もう、一生離れたくない
いや、離れられないんです
私はもう、彼がいないと生きていけないんです
彼の体温、言葉、感触がないと、息が苦しくなるんです
それくらい、私は彼に依存してしまっているんです......
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“環那”
環那(__マズい事態になったな。)
街灯だけで照らされる道を歩きながら、俺はそんなことを考えた
このマズい事態って言うのは、もちろん琴ちゃんのことだ
ここ最近の様子を見る限り、俺の見立てが甘かったのが分かった
環那(ほんとに、被害甚大だな。)
篤臣さんの存在の大きさがよくわかる
あの人は見た目でイメージできないくらい良い人だった
この俺ですら、その人柄には感服したくらいだ
そんな人のもとにはいろんな人間が集まってくる
環那(......面倒だ。)
もし、そんな人がいきなりいなくなったら
その人が何か、組織の頭だとすれば
残されたそれはどうなるのか......
環那(崩壊してもおかしくない......な。後を継ぐ人間がいなければ。)
そんなことを考えてると、大きな和風の家に着いた
普通の人間が見れば恐ろしいだろうけど
俺にとっては実家みたいなものだ
俺は少し深く呼吸をして、家の門を開けた
「__新しい組長が到着したぞー!」
中庭に入ると、そんな声が家中に響き渡った
そして、ドタドタと多くの足音がなり
道を作るように全員が並んだ
『お勤めご苦労様です!組長!』
環那「そんなにかしこまらなくてもいいよ。歴で言えば君たちのほうが長いんだから。」
「いやいや、常にそれらしい行動はしてるじゃないですか。」
誰がナチュラルヤクザだ
出来るだけ普通にしてたよ
まぁ、そんなことはいいや
元気であることは良いことだし
環那「まっ、諸々のことは置いといて。」
俺は人の道を歩いて行って、屋敷の大広間に通った
そこには一段高い、上座がある
篤臣さんが座ってた場所だ
環那(驚きましたよ。篤臣さん。)
俺は上座を見つめ、少しため息をついた
ほんとにまさかだった
篤臣さんが遺言で俺を組長に据えるなんて考えてなかったから
環那(......頼まれましたよ。)
俺は軽く一礼し、その上座に腰を下ろした
これで、大企業とヤクザのトップか
中々ないんじゃない?この二足の草鞋
環那「知ってると思うけど......俺は南宮環那。」
俺は組員たちのほうを向き、口を開いた
全員、緊張した面持ちでこっちをみてる
まざ、ここにいる全員、俺に打ちのめされてるからね
トラウマっていうのもあるだろう
環那「これから君たちのトップになるわけだけど......俺に命を預ける覚悟はできてるかい?」
そう言って、俺は組員全員を見据えた
ここにいるみんなも、篤臣さんの忘れ形見だ
なんとか、道を示してあげないと
ほんとに、残しすぎですよ......篤臣さん