羽丘の元囚人   作:火の車

163 / 200
依存

環那(はぁ、困った。)

 

 空が紫っぽくなってきた朝方、俺はそんなことを思った

 

 今、俺にはいくつか解決しなきゃいけない問題があるけど、なかなか大変だ

 

 会社、組の皆のこと、琴ちゃんのこと

 

 それぞれが重要で重大な問題だ

 

環那「どうしようか......」

 

 どこから手を付けるべきか

 

 これからの組の活動についても考えないといけないし

 

 会社の方もこれから変わっていく時期だ

 

 無理なことはないけど、中々の重労働だ

 

 なにより......

 

環那(しばらくは琴ちゃんに時間を使うつもりだったのに、予定が狂ったな。)

 

 流石に今の琴ちゃんを放置するのは問題がありすぎる

 

 かといって、他2つも放置できない

 

環那(仕方ない。人見を使うか。)

 

 これらを1人で片付けるのは不可能だ

 

 会社と組のことは、あいつに任せよう

 

 それで、俺は最も重要な問題に着手することにする

 

環那「まずは、琴ちゃんをどうにかしよう。」

 

 取り合えず、考えてる策はある

 

 それを実行してから、後々のことは考えよう

__________________

 

 “琴葉”

 

 チュンチュンっと、スズメの鳴く声が聞こえます

 

 いつもならすぐに起きて学校に行く用意をするんですが、今日もお休みです

 

 教師の仕事は好きですが、お休みはありがたく思います

 

琴葉(彼は、いるのでしょうか。)

環那『__ただいまー。』

琴葉「!」

 

 まだ眠気が覚めない中、彼の声が聞こえました

 

 ビニール袋の音が聞こえます

 

 お買い物に行ってたのでしょうか?

 

環那「起きてる?琴ちゃん。」

琴葉「あ、はい。」

 

 彼は扉を開けて、顔をのぞかせました

 

 その様子を見て、私は安心しました

 

 まるで依存症です

 

 彼は学校に行ってないといけないのに、彼がいないと安心できないんですから

 

環那「調子はどう?」

琴葉「今よくなりました。」

環那「そっか。それはよかった。」

 

 今の、結構ちゃんとアピールしたんですけど、受け流されました

 

 彼のことなので、気づいてないなんてことはないはずないんですが

 

 分かっててしてるのでしょうか

 

環那「朝ごはんはどうかな?今日はコーンスープとバケットだよ。」

琴葉「食べます。」

 

 私はそう頷いて、ベッドから出ました

 

 慌ただしさの欠片もないこの朝

 

 彼と一緒にいられることが、嬉しくてたまりません

 

 この日々がずっと続けば......なんて思います

 

 けど、そんなことはありえないというのは、今までの彼を見ていれば容易にわかることですよね

____________________

 

 “環那”

 

 琴ちゃんの朝食を済ませて、俺はソファに座ってる

 

 隣にはもちろん、琴ちゃんがいる

 

 最近はずっとこんな感じな気がする

 

環那(さて、どうするか。)

 

 精神面はまぁ、そこそこ安定してる

 

 篤臣さんが亡くなった時に比べれば、だけど

 

 しかも、俺がいるとき限定だし

 

環那(さて、どうするか。)

 

 いつもの俺なら、出来るだけ正常な状態に戻そうとする

 

 それが出来てこそ、解決だから

 

 でもなぁ......

 

琴葉「?」

環那(こういう状態も、悪くないんだよなぁ。)

 

 このままこの子を依存させるっていうのも悪くない

 

 特にそれで困ることもないし

 

 てか、可愛いし

 

琴葉「どうしましたか?」

環那「いや、可愛いって思ってただけ。」

琴葉「っ!///」

 

 あ、顔赤くなった

 

 ほんと、俺の周りの女の子はうぶだなぁ

 

 たかが言葉だけでこんな風になるなんて

 

琴葉「......///」

環那「いつもみたいに年齢言っとく?」

琴葉「......あなたに年齢なんて、意味ないですから///」

環那「よくわかってるね。」

 

 可愛いけど、ツッコミがないのも落ち着かないな

 

 ボケとしての本能かな?

 

 いや、これは弱ってるから、多少は治るのか?

 

環那(やっぱり、家にいるだけじゃ、ダメかなぁ。)

 

 折角しばらく休みだし、外に出るのもいいかな

 

 何の因果か、あれも残ってるのもあるし

 

 ちょうどいい使いどころだろう

 

環那「ねぇ、琴ちゃん。」

琴葉「は、はい///」

環那「折角の休みだしさ、旅行行かない?最近、忙しくて、疲れてるでしょ?お互いに。」

琴葉「旅行、ですか?」

 

 俺がそういうと、琴ちゃんは首を傾げた

 

 やっぱり、この子忘れてるね

 

 自分で渡したくせに

 

環那「俺にくれたでしょ?温泉旅館の。」

琴葉「......あ、そういえば。」

環那(ほ、ほんとに忘れてたのか。)

 

 なんというか、さすがだ

 

 これでこそ琴ちゃんだよ

 

 俺は呆れつつもそう思った

 

環那「で、どうする?行く?」

琴葉「いいですね。行きましょう。(あなたのなら、どこへでも行きますが......)」

環那「そっか。じゃあ、明日行こ。」

琴葉「急ですね。いいですけど。」

 

 琴ちゃんはそう言って、コクンと頷いた

 

 これにもツッコまないかー

 

 ま、今はいいんだけどさ

 

琴葉「じゃあ、準備しますね。」

環那「うん。忘れ物はしてもいいよ?向こうで何でも買えるから。」

琴葉「大丈夫ですよ。」

 

 琴ちゃんはソファから立ち上がって、自分の部屋に行った

 

 それを見送って、俺は小さく息をついた

 

 さて、どうするか

 

環那(とりあえず、リサにエマの面倒頼むかー。)

 

 俺はそんなことを考えて、リサに電話を掛けた

 

 さてと、この旅行中にどのくらい持ち直せるか

 

 これによって、この休み明けに仕事行けるかに関わる

 

 まっ、何とかしようとすると空回りしかねないし

 

 琴ちゃんと一緒に楽しむことを考えるか

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。